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VICE NEWS
【岩上安身のニュースのトリセツ】トルコに対策本部を設置しなかったのは「原発輸出に悪影響を与えないため」!? 〜イスラム国邦人人質事件、安倍政権の呆れた理由を英字メディアがスクープ
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/232864
2/13 22:26 IWJ Independent Web Journal
最悪の結末を迎えた今回のイスラム国邦人人質事件をめぐり、安倍政権の失策として指摘されている点がいくつかある。
なぜ湯川氏が拘束されてから以降「イスラム国」(以下、ISと略す)に対して刺激するような発言を繰り返してきたのか。湯川氏については、救出のための対策らしい対策をほとんど何もとってこなかった。
後藤氏に関しても、拘束の事実が政府の耳に入ってからも十二分に手を尽くしたといえるか、疑問がある。
また、これまで何度も指摘してきたように、イスラム法学者の中田考氏は、ISとの間で連絡のとれるパイプももっており、人質を取り返す可能性のあるルートが残されていた。それにもかかわらず、中田氏は逆に警察の家宅捜査を受けて、動きを封じられ、政府はこのルートを活かすことがついになかった。いったいなぜなのか。
なぜ、安倍首相は、このナーバスな時期に、イスラム社会の神経を逆なですることをいとわずに、イスラエルとの軍事を含むパートナーシップを世界にアピールしてみせたのか。
また事件後、なぜ、ただちにISに対して「報復」宣言ともとれる会見を行い、集団的自衛権行使や、海外での自衛隊による武力行使の議論と結びつけてゆくのか。この事件を「奇貨」として「自衛隊を海外派兵できる国」になろうとしているとしか映らない。
それらはひとつひとつ詳細に検証するに値するテーマである。今回はそのうちの2点、「現地対策本部をヨルダンに置いたこと」、そして「エジプトでの安倍総理の『対イスラム国』スピーチ」について触れる。
事件発生直後から多くの外交専門家、中東情勢に詳しい学者が、「現地対策本部はヨルダンではなく、イスラム国との人質交渉で解放実績のあるトルコに設置すべきだ」と再三訴えてきた。
トルコは、自国の人質49人を交換によって全員無事に取り返した実績を持つ。また、過去に人質を交渉で取り返した国々も、その人質交換のポイントはことごとくトルコ国境である。交渉によってISから人質を取り返すときに、必ず鍵を握るのは、トルコなのである。
専門家が、現地対策本部をトルコにすべきだ、と主張するのには、相応の理由があるのである。
しかし、日本政府は頑としてその進言を聞き入れず、最初からヨルダンに対策本部を構えていた。
もうひとつの謎。なぜトルコを避けるのか。合理的な理由はなかなか見あたらなかった。しかし、その理由について、驚くべきスクープが飛び込んできた。トルコに対策本部を置かなかったのは、「トルコへの原発輸出に悪い影響を与え得ることを恐れたため」だと言うのだ。
この衝撃的な2つのスクープを報じているのは、世界30カ国に支部を置く、英字メディア「VICE NEWS」だ。以下、「イスラム国との日本の新しい戦争の内部」と題する英語記事をIWJは独自に仮訳し、紹介する。
同メディアはまた、イスラム国側に犯行の口実を与えてしまったと指摘されている、1月17日に安倍総理がエジプトで行ったスピーチについても、「対イスラム国」の姿勢を鮮明に打ち出した部分は、「外務省が用意した文章に安倍総理が勝手に書き加えたもの」だとすっぱ抜いている。
記事目次
・「安倍政権は、二人の男性の死を、長年の軍事アジェンダを進めるために利用しているように見える」
・あえてトルコを避け、ヨルダンに対策本部を置き続けたのはなぜか
・トルコ国内の反原発世論の高まりを懸念?
・裏には米国への配慮も
■「安倍政権は、二人の男性の死を、長年の軍事アジェンダを進めるために利用しているように見える」
※VICE NEWS 2015/2/6「イスラム国との日本の新しい戦争の内部」 Inside Japan’s New War With the Islamic State
https://news.vice.com/article/inside-japans-new-war-with-the-islamic-state
昨年シリアで二人[後藤さんと湯川さん]が誘拐された後、(日本政府に)数ヶ月間人質解放のために秘密裏に交渉してきた。そして、1月17日、安倍はカイロでスピーチを行った。日本の外務省の人によると、安倍は外務省が用意したスピーチにはなかった二つの文章をつけ加えたが、それは非常に注目を集めた。
『ISILによる脅威を減らすのを手助けするために、私たちはトルコとレバノンに支援を提供し、また、イラクとシリアの難民や家を失った人々への援助を提供する。これらのISILと闘っている国々に、私たちは、人材やインフラの発展の援助のために全体で2億ドルを約束する』。
安倍政権は、二人の男性の死を、長年の軍事アジェンダを進めるために利用しているように見える。日本の自衛隊を『日本人の生命を保護する』ために利用することを拡大しようとしているだけではなく、日本の経済的な敵に対しても軍事力を活用することを正当化しようとしている。
後藤のビデオが発表された後の首相の公式声明で、安倍は『私はこれらの残酷でむごたらしい行為に激怒している。私はこれらのテロリストを決して許さない。彼らのひどい行為の責任を取らせるため、国際社会とともに動く』と述べた。
これらは、日本の首相の発言としては珍しく激しい発言である。
安倍政権は、『われわれはあらゆる方法を尽くし、できることは全てやった』と言い、交渉の結果についての責任を否定している。
御覧の通り、「VICE NEWS」は、非常に歯切れのよいタッチで、安倍政権が、この人質殺害事件を、「長年の軍事アジェンダを利用しているようにみえる」と喝破している。
安倍総理はたしかに1月17日エジプトの首都カイロで行ったスピーチで、「イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します」と表明している。
「対イスラム国」の姿勢を鮮明に打ち出したことで、イスラム国側に犯行の口実、「2億ドル」という巨額の身代金要求の口実を与えてしまったという批判が、多くの識者や専門家からあがったが、これは当然のことである。人質をIS側に握られていると知っていながら、わざわざISを挑発するようなものである。これでは水面下でひそかに人質の返還を行うのは困難であり、自らその道をふさいだに等しい。にもかかわらず、そうした「退路を断つ」かのような言葉選びをしたのは、安倍総理自身だというのである。
※首相官邸HP 平成27年1月17日 日エジプト経済合同委員会合における安倍内閣総理大臣政策スピーチ
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2015/0117speech.html
「VICE NEWS」はこの攻撃的な文章について、「外務省がチェックを行ったオリジナルのスピーチにはなかった」とする証言を報じている。
外務省の高官(報復を恐れて名前は明かさなかった)は、カイロでのスピーチと『外交の即席爆発装置』は結びついているという。『”ISISの脅威を減らすため”についての文章と、”日本はISISと闘う国々への支援として2億ドルを約束する”の文章は、外務省がチェックを行ったオリジナルのスピーチにはなかった』。『外務省の一年目の職員でさえも、これらの言葉がISILのような過激派との戦争宣言になりうるということは分かるだろう』。
安倍の報道官は、VICE NEWSに対して、『われわれはスピーチの最終稿が完成しスピーチが行われた経緯についてや、何がオリジナルの原稿に含まれていたのかについてはコメントしない』と語った。
外務省内部の者は、『たたかう』というキーワードの使用に関する日本の特質について内部で議論されたと言う。『たたかう』には、音の同じ異なる漢字の言葉があり、ふたつは少し意味が異なる。ひとつは抽象的な闘争を意味しており、たとえば『癌との闘い』などに使われるが、もうひとつは、戦争を論じるときに用いられる。外務省は日本語の原稿では、より抽象的な漢字を使うことに決めた。
同様に、英語の翻訳でも、彼らは『ISILとの交戦(warring)』や『ISILとの闘い(fighting)』よりも『ISISとの争い(contending)』を使ってきた。英語の言葉をできるだけソフトにするよう、外務省は特別な注意を払ってきたと報じられている。2月2日、外務省の代表が自民党本部に呼ばれ、安倍のスピーチが外国の報道機関に適切に伝えられなかったと言われた。
外務省の情報提供社はVICE NEWSに対し、『われわれは(カイロのスピーチ原稿の)英語翻訳がひどいと非難されていて、(それによって受けた)ダメージを押さえ込んでいる』と、『安倍総理は(外務省が用意した)原稿どおりに読まなかったんだ』と述べた。
安倍がスピーチを行ったとき、外務省は油断していた。さらに、安倍が約束した2億ドルは、まだ国会に承認されていなかった。外務省は後になって、安倍がカイロのスピーチで意味していたのは、『国会で承認を得て』2億ドルを配分するということだったと明らかにした。
それにもかかわらず、イスラム国は安倍のスピーチを戦争の宣言だとみなしたようだ。
以上のように、外務省がこれまで、複雑な中東情勢において無用な刺激を与えないために、総理の発する文言に細心の注意を払ってきたことや、安倍総理がそれを無碍にした様子を、VICEは生々しく報じている。
この報道が事実であれば、安倍総理は外務省の制止を振り切り、勝手にイスラム国をあえて刺激するような文言をつけ加え、結果、今回の邦人2名の殺害という最悪の結末を招いたことになる。
この「官邸の暴走」については、2月2日の報道ステーションも大きく取り上げている。番組では、「そもそも外務省関係者によれば、パリのテロ事件もあり、外務省は総理官邸に対し中東訪問自体を見直すよう進言していた」とし,安倍総理のカイロでのスピーチについても,「外務省幹部によると、この内容についても総理官邸が主導して作成されたという」と報じた。
しかしこうした報道に外務省は過敏に反応した。
報道ステーションの放送翌日、外務省はこの番組内容を「あたかも外務省の意に反して,中東訪問が行われ,スピーチの当該部分が作成されたかのような報道」は、「事実と全く異なる」として、文書及び口頭で異例の抗議申し入れを行ったのだ。
※外務省HP 2月2日放送 テレビ朝日「報道ステーション」の報道(総理中東訪問関連)に関する申し入れ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/p_pd/prs/page4_000955.html
申し入れ文書では、「国民に無用の誤解を与えるのみならず,テロリストを利することにもつながりかねないものであり,極めて遺憾」とまで言い切っている。
しかし、この「官邸の暴走」という報道は、国内の報道番組に対して圧力を加えれば、コントロールできるというものではない。VICEのような海外メディアが独自取材で得た証言をもとに、世界30カ国で報じていく時代なのである。る。そうした報道のグローバル化を止めることはできない。外務省と官邸の感覚は、あまりにズレていはしないか。日本の国内のメディアのしめつけを強化しさえすれば、一国内で情報統制ができると考えているのであろうか。
■あえてトルコを避け、ヨルダンに対策本部を置き続けたのはなぜか
トルコになぜ対策本部をおかなかったか、という点について、VICEはこう述べている。
殺すという脅迫を受けてはじめて、日本政府はヨルダンの大使館に人を派遣した。ヨルダンでは、イスラム国との交渉が行われていた。
国際的な人質事件にかかわった経験のある、日本の警察庁に近い情報提供者は、「私たちはトルコに緊急人質事件本部を設置したかった」と、VICEニュースに述べた。「トルコはISILとの交渉に成功し、人質を解放させてきた。ヨルダンではなく、トルコにするのが、合理的でもっともよい選択だった。経産省、外務省、内閣がわれわれのアドバイスに反対した。黒海周辺に原発を建設するためのトルコとの220億ドルの日本の取引に悪い影響を与え得るためだ。交渉の際に物事が悪い方向に進めば、トルコは自分たちの国にISILのテロリストが攻撃を行いうるような、日本による新しい原発の建設を渋るかもしれない」。
中東情勢の専門家である内藤正典・同志社大教授は、1月20日の映像公開直後にTwitterでこう指摘している。
総理はトルコに行ってエルドアン大統領に人質解放について要請すべき。日本がイスラム教徒の国でないことは知られている。イスラム圏でイスラム国に対して敵対していないトルコしか頼る相手はいない。在モスル総領事らの拘束以来、トルコ人は人質になっていない
さらに、1月23日にも重ねて、トルコに対策本部を置く必然性を訴えている。
現地対策本部はヨルダンでなくトルコの首都アンカラに置く方が、はるかに情報が集中してくる。多くのガセ情報から本物を選ぶときに、ヨルダンでは欧米の情報機関が中心になるが、トルコでは欧米+現地情報が得られる。
実際、ヨルダンの現地対策本部がイスラム国との直接交渉をすることはなく、ヨルダン政府に頼りきりだった。現地に入った中山泰秀外務副大臣も手持ち無沙汰で、TwitterやFacebookで自身の写真を投稿することに勤しむ有様だった。
※日刊ゲンダイ2015年2月10日 人質事件より食事? 中山副大臣が現地本部から「米送れ」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/157102
このVICEのスクープが事実だったとしたら、トルコを避けてヨルダンに対策本部を置き続けたのは、単なる安倍政権の無知による判断ミスではなく、確信犯的な選択、ということになる。判断基準として、人質返還交渉が最優先事項とされたわけではない、ということにもなる。「人命第一」という言葉は、空手形だったのだろうか?
■トルコ国内の反原発世論の高まりを懸念?
人質より日本政府が優先したのが、原発輸出というのがVICEの主張の核である。
日本は、自国内で破滅的な原発事故を起こし、その収束の見通しも立たないにもかかわらず、現在、原発輸出を可能にする原子力協定をトルコをはじめ、ヨルダン、アラブ首長国連邦と締結し、サウジアラビアとも締結交渉中だ。
2013年5月に安倍総理がトルコを訪問し、黒海沿岸のシノップ地区への原発建設計画が決まった。シノップ原発は日本原電が地層調査を請け負い、三菱重工業や伊藤忠商事、仏GDFスエズによる企業連合が220億ドルで受注。三菱重工と仏アレバの合弁会社アトメア製の次世代型原子炉が採用される。まさに、国家規模の原発輸出の本丸であり、日本の原子力ムラにとって、原発推進の活路を見出す突破口である。
※ロイター2013年5月4日 日・トルコが原子力協定で合意、三菱重工など黒海沿岸に原発建設へ
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE94202H20130503
しかし、トルコでは1900年以降、マグニチュード6以上の地震が72回起きており、原発の耐震性が懸念されている。また、同国では過去50年間に3回の軍事クーデターが発生しており、テロも頻発している。こうした自然環境および社会的環境は、長期的な管理が必要となる放射性廃棄物を排出する原発にとっては大きな問題であると専門家だけでなく、トルコ国内からも懸念の声があがっている。
建設予定のシノップ市は、かつてチェルノブイリ原発事故で被害を受けた地域であり、シノップ市長は反対を表明。2013年にはシノップ市の住民2871名が日本の国会議員に対する要請書を提出するなど、反対の声も根強い。
※2014/01/22 トルコへの原発輸出 現地の市民から日本の国会議員宛に原発建設中止を求める要望書提出
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/121010
もし、トルコがイスラム国から反感を買えば、トルコ国内の原発がテロの標的にさらされるかもしれない——テロのリスクの高まりは、トルコ国内の原発反対の世論の高まりに結びつくだろう。となると、自分たちが売り込んでいる商談が破談に終わるかもしれない。それはなんとしても避けたい、そんな計算が働いたのだろうか。
記事が事実であれば、安倍政権は「人質の人命第一」と口では言いながら、その実、原子力ムラの利益を優先させて、対応にあたったことになる。そして、トルコにおけるテロリスクを高めることを避けて、自国にテロリスクを引き寄せてしまったことになる。自国の海岸線にずらりと原発を並べた無防備な状態で、である。なんという愚かしい話だろうか。
■裏には米国への配慮も
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