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イスラム国人質だけじゃない! 安倍失脚を招くJA全中との全面抗争(1)
http://wjn.jp/article/detail/2387908/
週刊実話 2015年2月19日 特大号
ついに、最悪の事態が発生した。会社経営者の湯川遥菜さん(42)の命を奪ったとされる過激派組織『イスラム国』が、残されたジャーナリストの後藤健二さん(47)殺害映像を動画サイトにアップしたことから、安倍政権が壊滅的な打撃を被っているのである。
「2月1日に投稿された後藤さんの殺害映像は湯川さんのケースと同じで、胴体と首が切り離された衝撃的なものだった。『イスラム国』はこの映像とともに、『お前の国民はどこにいても殺される』と日本に対して宣戦布告した。そのため、国内世論は事件の原因となった首相の中東支援を痛烈批判し、政権基盤が根底から揺らぎだしているのです」(自民党担当記者)
もっとも、安倍首相を襲った“厄災”は、これだけではない。実は、国内からは別の火の手が上がり、安倍政権は“内憂外患”の危機に瀕しているのである。
農水省の担当記者が言う。
「それが、農協の元締めである『全国農業協同組合中央会』(JA全中=万歳章会長)の反乱なのです。461万人の正組合員を数える全国の農協を束ねる同団体は、選挙時に候補者の当落を左右する力を持つ一大組織だが、ここにきて内部から『全中を潰す気なら倒閣に動く』との声が飛び出している。これが原因で、4月の統一地方選を前に全面戦争に突入しそうな雲行きなのです」
同記者によれば、もともとこの騒動は安倍首相がTPP(環太平洋パートナーシップ協定)への参加交渉の遅れを取り戻そうとしたことが発端。農協組織が関税撤廃貿易の足かせとなることを見越した首相が、昨年5月に農協、農業生産法人、農業委員会の抜本的改革論をぶち上げたことから巻き起こったのだ。
無論、その際に全中は組織の解体を示唆する発言に痛烈批判を展開したが、同団体が反発した理由はこれだけではないのである。
「実は、首相がこうした策を弄した裏には、農協が保有する約400兆円のカネが絡んでいるともっぱらだった。米国にベッタリの安倍首相は、この莫大な農協マネーを狙って農協潰しに動いたとの観測が強まっていたのです」(同)
ただし、それも無理もない話と言うほかはない。ここで言う莫大な金額は、JA共済が保有する約300兆円とJAバンクに貯め込まれた約90兆円の合算額。日本人の預貯金総額の約1割にあたるといわれるこのカネは、以前から「米国が市場開放を狙っている」と評判だったからなのだ。
「つまり、安倍首相はTPPの参加とその進捗に難色を示す米国に恩を売るために、全中の解体と農協法の廃止を訴えたのです。また、この策略は周到で、農協には正組合員の他に農業に携わっていない530万人の准組合員がいるが、今後はこの会員数が『正組合員の半数を超えてはならない』とする規定を設けるつもりという。農協組織が保有する400兆円のうち200兆円は准会員らの保険や預貯金額といわれており、農協を牛耳る全中を金銭的にも追い詰める魂胆なのです」(同)
また、全国紙の政治部記者は、“全中封じ”にかじを切った安倍首相のさらなる策略をこう明かす。
「しかも、当初は全中と提携する全国700カ所余りの農協に対する監査権限の剥奪案、全中と傘下組織の都道府県中央会が地域の農協から一年間に集める380億円に及ぶ上納金も、なくす方針だったのです」
だが、そうは言っても全中は自民党と二人三脚で我が国の戦後農業を支えてきた看板組織。それが“全中憎し”に転じたのには、別の理由が存在するともいわれているのだ。
「その筆頭が、'09年の総選挙時に民主党が公約に掲げた農家への戸別補償制度。これに全国の農協がなびき、政権を奪われた恨みが大きい。また、以前は600万人もいた農協の正組合員数が目減りし、かつてはその発言で国会が空転するといわれた農林族の力が落ちたために、全中の解体に動いたとみられているのです」(自民党農林族議員)
要は、自民党の集票マシンとして機能してきた農協組織が民主党の揺さぶりで離反。その恨みがTPPへの参加準備と相まって噴出したわけだが、ここ最近の両者の攻防戦は枚挙にいとまのない状態なのである。
政治部デスクが言う。
「TPPへの早期参加を企てていた安倍首相は、全中の改革論をぶち上げる前に一貫してTPPへの参加に反対を表明していた西川公也農水相を一本釣り。党内の対策委員長に就任させ、反対派を骨抜きにしようと画策したのです。実際、この策略は大成功。昨年6月に開かれた自民党農林関係合同会議では、農協改革を痛烈に批判した農林族議員に対して西川氏が逆ギレ。『何を言っているんだ、小僧!』と意見を一蹴したほどなのです」
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イスラム国人質だけじゃない! 安倍失脚を招くJA全中との全面抗争(2)
http://wjn.jp/article/detail/0216496/
週刊実話 2015年2月19日 特大号
統一地方選で踏み絵迫る農協
だが、こうした攻撃にさらされ続けた全中も、手をこまねいてばかりいたわけではない。年明けには、それを跳ね返して余りある逆襲劇に転じたのだ。
「それが今年1月11日に投開票された佐賀県知事選なのです。この選挙時に地元農協や自民党県議の一部が、自公が推す農協改革推進派の候補者に猛反発。反農協改革派である元総務官僚の山口祥義氏を推し、4万票近い大差で圧勝した。この全中のパワーに、安倍首相や自民党幹部は震え上がったほどなのです」(前出・農水省担当記者)
また、前出の政治部記者がこう話す。
「さらに山口氏が当選すると、佐賀県は原発再稼働やオスプレイへの慎重論を唱え、揚げ句に統一地方選の候補者らに『農協改革に是か非か』の踏み絵を課す方針を打ち出した。各県の農協でもこの佐賀方式を取り入れる動きが出始めており、今後、安倍首相と全中の全面抗争は避けられない状況なのです」
一方、これに伴って形勢不利と見た官邸筋では別の動きも出始めているという。
「党内で幅を利かせる二階俊博総務会長は、山口氏の対抗馬擁立時に推薦の判を押さなかったことから“隠れ農協理解者”とみられてきたが、形勢不利と見た安倍首相は彼の懐柔を図りだしたという。周辺議員らに『佐賀と農協はこれから二階氏にお願いする』と漏らしたともいわれ、農協組織に広がる反自民の狼煙を払拭することに、血眼とみられているのです」(前出・農林族議員)
しかも、これに加えて党内の農協改革法案検討プロジェクトチームの会合では、来たるべき統一地方選を睨んだ議員らから、次々と改革に反対の声が飛び出しているという。そのため、官邸側も改革案の軌道修正を迫られている状態なのだ。
「今では農協の監査権や指導権は奪うものの、全中を農協組織のシンクタンクにして、その機能を残そうとの素案が練られるほどに改革案が後退しているのです。また、上納金も廃止の方針だが、各農協と話し合い、了承されればカネを集めてもいいというところまで軟化しているのです」(自民党担当記者)
全中関係者がこう語る。
「結局、争点は農協組織が保有するカネの扱いで、安倍政権はここに手を突っ込んでくる可能性が高い。そのため、2月中の閣議決定と法案提出が濃厚とみられているが、我々は統一地方選後に日程をずれ込ませることを目標に掲げている。全国の農協にハッパを掛けて候補者らに踏絵を踏ませれば、選挙後、安倍政権が転覆する可能性も高いからです。そのため、この2カ月程度が戦いの天王山になると見ているのです」
果たして、安倍vs全中の闘いに和解の道はあるのか。水面下の攻防戦が見モノだ。
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