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2015年02月13日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆安倍晋三首相は2月12日午後、国会で施政方針演説を行い、今通常国会を「改革断行国会」と位置づけ、アベノミクスの第3の矢と位置づける「成長戦略」では、農協改革を筆頭に挙げ、「全国農業協同組合中央会(全中)を一般社団法人に移行し、地域農協への指導・監査権を廃止することで「意欲ある担い手と地域農協が力を合わせ、ブランド化や海外展開など農業の未来を切り拓(ひら)く」と訴えた。すなわち、農協改革などの規制改革推進が、「成長戦略」の具体的中身ということのようである。
日本の産業分類は現在、日本標準産業分類(日本の公的統計における産業分類を定めた総務省告示)が使われている。だが、細かすぎるので、古典的な産業分類、たとえば「コーリン・クラーク」の3分類「第一次産業、第二次産業、第三次産業」に従えば、第一次産業 − 農業、林業、水産業など、狩猟、採集、第二次産業 − 製造業、建設業など、工業生産、加工業。電気・ガス・水道業、第三次産業 − 情報通信業、金融業、運輸業、小売業、サービス業などが、分かり易い。規制改革は、これらのそれぞれの産業分野に巣くっている諸規制を取り払うことを意味している。
だが、安倍晋三首相が、取り組もうとしている第一次産業 の1つである「農業」に対する規制改革=農業改革とは、「農協法に基づく組織と位置づけられてきたJA全中を、4年後の2019年(平成31年)3月末までの間に一般社団法人へと形態を変える」ことであるから、煎じ詰めれば、「JA全中を一般社団法人化すること」である。つまり、農業改革の対象になっているのは、JAの正組合員が472万人にすぎない。
これがどうして、アベノミクスの第3の矢と位置づける「成長戦略」になるのか。不可解である。「成長戦略」と言うからには、全国民がこぞって参加する「総動員型」でなければならない。特定の産業分野に直接関わっている関係者が頑張るだけでは、成長戦略にはなり得ない。それどころか、安倍晋三首相が、「4年後の2019年(平成31年)3月末」まで首相の座にいるかどうかも分からない。
◆しかも、安倍晋三首相は、「農業」に対する規制改革=農業改革」を「成長戦略」としながら、その裏でTPPに結びつけて、米国オバマ大統領の歓心を買おうとして、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉を「3月中に妥結」させようとしているのだ。
安倍晋三首相は、「4月下旬から5月上旬にかけての大型連休中に訪米し、オバマ大統領と会談する方向で調整を進めている」と言われているので、「農業」に対する規制改革=農業改革」をお土産に持って訪米したいからである。
はっきり言えば、既述したように、米国が、安倍晋三首相の農協改革のなかで、最も強く食指を伸ばしているのが、農協が保有している預金や保険事業の資産である。
全国約700ある単協の貯金の大部分を農林中金に集中させる。預金金額の規模は約90兆円。農協関連の保険事業の総資産額は50兆円、農業共済事業は約300兆円にのぼる。これらすべてを外資ヘッジファンドや保険会社に開放する。そのためには、JA全国農業協同組合中央会(全中)からいわゆる「特権」を取り上げて、事実上解体状態にしておく必要がある。国民の大事な「お宝」を開放して、主に米国の外資ヘッジファンドや保険会社に吸い取りやすくする。これが、安倍晋三首相が、熱心に取り組んでいる「農業」に対する規制改革=農業改革」の肝の部分である。
◆大東亜戦争(日中戦争、太平洋戦争などの複合的戦争)が終わった直後、日本の農業人口は1200万人と言われて、文字通り「農業国家」であった。それが高度経済成長の過程で、歴代自民党政権は、農業分野から工業分野へと人口移動を推進してきた。農林水産省大臣官房政策課情報分析室は、農業従事者の人口動向を以下のように分析している。
「我が国の農家戸数は、雇用機会の拡大による都市部への農家人口の流出や高齢化に伴う離農等により、昭和25年をピークに減少を続けている。17年の販売農家は、196万3千戸と10年前(7年)より68万8千戸、5年前(12年)より37万3千戸減少している。このうち、主業農家と準主業農家は、10年前(7年)より4割減少し、7〜12年は減少幅の小さかった副業的農家も、12〜17年には減少率が11.8%に拡大している」
「農家世帯員数は、農家戸数と同様に減少傾向にあり、17年は837万人と10年前(7年)より30.5%、5年前(12年)より20.0%減少し、近年減少幅が拡大している。また、農業就業人口は、17年は335万人と10年前(7年)より19.0%、5年前(12年)より13.8%減少し、農業世帯員数と同様に減少幅が拡大している。逆に、基幹的農業従事者数は、昭和60〜7年にかけて5年ごとに1割以上の減少が続いていたが、7年以降、減少幅が縮小している」
「基幹的農業従事者全体に占める65歳以上の割合は、どの地域でも増加傾向にあり、全国では17年に57.4%と、20年前(昭和60年)の3倍の割合になっている。このうち、北陸や中国地方では基幹的農業従事者の7割が65歳以上となっているなど、北海道を除く地域の基幹的農業従事者の高齢化が顕著である。これは、17年の都府県の専業農家数が、5年前(12年)より4.7%増加していることから推測できるように、今まで兼業農家であった者の一部が、退職を機に専業農家となり、基幹的農業従事者に位置付けられたためと考えられる。我が国の人口が減少局面に入ったとみられるなか、生産年齢人口は7年の8,716万人をピークに減少しており、17年には8,409万人となっている。今後も減少が続き、24年には8,000万人を割り込み、20年後(37年)には7,096万人になると予想されている。農業分野では、近い将来昭和一けた世代をはじめとする我が国農業を支えてきた高齢農業者の多くが引退することが見込まれ、我が国の農業労働力は、ぜい弱化の進行が懸念されている。担い手に施策の集中化・重点化を図ることで、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う強じんな農業構造の確立を目指すことが重要である」
「現在、我が国では少子化が問題となっていますが、農家の子どもの数について、農林業センサス(17年)の結果を使って全国平均と比較してみました。その結果、出産可能年齢といわれる15〜49歳の女性1人当たりの15歳未満の子どもの数は、農業経営を法人化している農家では0.74人、売上1,500万円以上の農家では0.71人、経営規模が4ha以上の農家(都府県)では0.70人と、全世帯の平均(0.63人)や農業経営体のうち家族経営の平均(0.61人)よりも多いという結果でした。農業従事者の高齢化が進んでいるなか、法人化している農家や売上が比較的多い農家では子どもの数が多いことがうかがわれます」
こうした分析を基にして、日本の農業を立て直すには、農業に従事しようと思う若者たちを増やすことが、何よりも大事である。それには、農業高校、農業専門学校、農業大学、あるいは、農業と工業を結びつけた農工業高校、農工業専門学校、農工業大学などの教育機関を整備・充実することである。遠回りに見えても、これが近道である。
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