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写真はイメージ/(C)日刊ゲンダイ
サジ加減で対象拡大 やっぱり抜け道だらけ残業代ゼロ法案
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/157163
2015年2月13日 日刊ゲンダイ
あざとい連中だ。「高度プロフェッショナル制度」なんて、もっともらしく命名された“残業代ゼロ法案”の話。厚労相の諮問機関、労働政策審議会の6日の分科会で制度の骨格が固まった。
民主党や労組などの猛反発にもかかわらず、安倍政権は来年4月の施行を目指し、来月下旬に関連法の改悪案を通常国会に提出するハラでいる。問題は、具体的な中身については法成立後に省令で定めるという点だ。
「『省令で』というのは霞が関の常套手段です。『法律』で細かく定めてしまうと、それを変えるためには国会審議が必要になり、手間がかかる。法律の下には『政令』があり、これは閣議決定が必要ですが、『省令』なら省内で審査、決裁するだけで済む。要するに残業代ゼロ法案は、所管の厚労省のサジ加減で好き勝手にいじることができるわけです」(霞が関関係者)
■一層進む企業のブラック化
安倍政権がゴリ押ししようとしている残業代ゼロ法案は対象年収が1075万円以上で、対象業務が為替のディーラーやコンサルタント、研究開発など高度な専門知識を持つプロに限定されるというが、それはあくまで“暫定措置”なのだ。
年収1000万円以上のサラリーマンは、25人に1人。さらに高度な専門職となれば、対象は数十人に1人だから「俺には関係ない」なんて言っていられない。安倍政権と官僚の思惑次第で、いつでも簡単に対象を広げられてしまうのだ。
「安倍政権は『脱時間給』が成長戦略の目玉。それで生産性が向上するなんて言いますが、いまのご時世、残業代欲しさにダラダラと仕事をするサラリーマンなんていませんよ。そんなの即リストラ候補です。むしろ仕事量が多すぎて、サービス残業せざるを得ないのが実情で、そっちを行政指導すべきでしょう。携帯電話ではありませんが、働いても働いても定額の残業代ゼロ法案では、逆に短い時間で大きな成果を挙げても、賃金で報われないケースが出てきます」(経済ジャーナリスト・岩波拓哉氏)
第1次安倍政権では、残業代ゼロ法案は「過労死促進法」とバッシングされ、廃案になった。それに懲りたか、今回は対象者の過労防止のため、企業側に健康管理を義務づけるとか言っている。甘言にだまされていたら、企業のブラック化が進むばかりだ。
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