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TPP加盟で健康保険制度が崩壊する危険性を孫崎亨氏が指摘
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150212-00000012-pseven-soci
SAPIO2015年3月号
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への加盟は国益をはっきり左右する大問題だ。国民の生活を脅かしかねない懸念について、元外務省国際情報局長の孫崎享氏が指摘する。
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「関税の聖域は守る!」と宣言してTPP交渉に臨んだ安倍政権だが、TPPの最大の問題は、関税の撤廃ではない。TPPに加盟すれば、非関税障壁の撤廃も迫られることになる。もっとも危惧されるのは、日本が世界に誇る健康保険制度が崩壊する危険があることだ。
アメリカの医療系企業が日本で病院を建て、超高額な医療サービスを始めたとしよう。現在、日本では、効果が未実証の最先端医療に対しては公的な健康保険が適用されず、全額自己負担の自由診療になっているが、もしアメリカの事業者が「我々の提供する最先端医療に保険を適用させないのは、非関税障壁だ」と訴えたらどうなるのか。
現在、TPP交渉において「ISDS(またはISD)条項」という投資家を保護する条項の導入が検討されている。これは、投資家が投資先の国の法律などにより不利益を被ったと認識した場合に、仲裁機関である国際投資紛争解決センター(ICSID)に提訴し、受けた損害について投資先国政府に対し賠償を求めることができる制度である。ICSIDの採決には強制力があり、公共の利益は考慮されず、「投資家がどれほど被害を被ったか」という観点だけで審議される。
実際にICSIDに提訴された案件としては、こんな事例がある。メキシコに進出したアメリカの産廃処理業者が、産廃の埋め立て地を建設したが、有害物質が流出したため、地方自治体が建設許可を取り消した。それを不服として事業者が提訴し、訴えが認められ、メキシコ政府は多額の賠償金を支払わされた。
他にもこんな事例がある。アメリカの製薬会社がカナダで新薬の特許を申請したところ、臨床試験が不十分として特許を与えなかった。米製薬会社はカナダの裁判所に持ち込んだが却下されたので、ICSIDに提訴。カナダ政府に対する1億ドルもの賠償請求が認められたのである。
これが何を意味するのかというと、国家主権の喪失に他ならない。その国の法律よりも、ICSIDの判決が優先されるのだから、主権が失われたも同然である。
もし米企業が提供する超高額医療まで健康保険を適用させることになれば、ただでさえ赤字の日本の健康保険制度は、早晩、破綻する。しかし、保険適用を拒否すれば、ICSIDに提訴され、巨額の賠償金を支払わされる可能性がある。これを避けるために、日本政府としては法律を改正して、「混合診療」を解禁することになろう。
混合診療とは、患者の意思に応じて、保険が適用される通常の保険診療に、保険外診療(自由診療)を併用する制度である。これの何が問題なのかというと、今まで患者が全額負担していた高額な自由診療にも部分的に健康保険が適用されるようになるので、公的負担が増大する。
さらに、病院や製薬会社は、より儲けの大きい保険外診療に力を入れるようになり、従来なら保険適用されていた新しい治療法や新薬が、保険外のまま据え置かれ、公的な健康保険制度が形骸化しかねない。要するに、アメリカのような医療制度になるのだ。
そうなれば、国民は高額な医療費を支払うために、民間の医療保険に加入するしかなくなる。アメリカの保険会社が押し寄せてくるのだ。つまり、これこそがアメリカの真の狙いである。TPPによって、日本の皆保険制度がアメリカに食いつぶされることになろう。
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