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イスラム国問題を逆手に取って進む軍事大国化、朝日に追いつけない読売、新聞記者はシリアを取材してはいけないのか?
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2015年02月06日 MEDIA KOKUSYO
イスラム国が2人の日本人を処刑した事件を逆手に取って、安倍内閣による軍事大国化の動き、それに伴う治安の強化や学校教育に対する締め付けがエスカレートしている。
中国や韓国との領有権問題を利用して、反中・反韓意識を煽り立て、それを追い風として解釈改憲の閣議決定を強行したり、特定秘密保護法を成立させたのと同じ方法が、イスラム国問題を背景に進行している。
新聞・テレビの報道で、こうした動きを確認することが出来る。以下、主要な記事の一部をピックアップしてみよう。
■「国内にイスラム国支持者」=山谷国家公安委員長が答弁(時事通信 2月4日(水)20時35分配信)
山谷えり子国家公安委員長は4日の衆院予算委員会で、過激組織「イスラム国」が後藤健二さんらを殺害したとみられる事件に関し、「(イスラム国)関係者と連絡を取っていると称する者や、インターネット上で支持を表明する者が国内に所在している」と述べ、警察庁で関連情報の収集・分析を進めていることを明らかにした。平沢勝栄氏(自民)への答弁。
■安倍首相、9条改正に意欲=空爆後方支援否定も「合憲」―参院予算委(時事通信 2月3日(火)16時6分配信)
安倍晋三首相は3日午後の参院予算委員会で、戦争放棄をうたった憲法9条について「わが党(自民党)は既に9条改正案を示している。なぜ改正するのか。国民の生命と財産を守る任務を全うするためだ」と述べ、「国防軍」創設などを盛り込んだ自民党改憲草案の実現に意欲を示した。次世代の党の和田政宗氏への答弁。
首相は、有志連合による過激組織「イスラム国」への空爆作戦に関し、仮に自衛隊が後方支援を行ったとしても、海外での武力行使を禁じた憲法9条には抵触しないとの認識を示した。
■朝日の複数記者、外務省が退避要請のシリア入国(読売新聞 2015年01月31日 13時33分)
【特集 邦人人質】
イスラム過激派組織「イスラム国」とみられるグループによる日本人人質事件で、外務省が退避するよう求めているシリア国内に、朝日新聞の複数の記者が入っていたことが31日分かった。
同省は21日、日本新聞協会などに対し、シリアへの渡航を見合わせるよう強く求めていたが、朝日のイスタンブール支局長はツイッターで、26日に同国北部のアレッポに入り、現地で取材した様子を発信していた。
■警察庁、「国際テロ対策推進本部」を設置(TBS系・JNN) 2月5日5時28分配信)
イスラム国による日本人殺害事件で、イスラム国が「今後も日本人を標的にする」と表明していることを受け、警察庁は4日、「国際テロ対策推進本部」を設置しました。
警察庁は警備局長を本部長とする「国際テロ対策推進本部」を設置、今回「イスラム国」が日本人を殺害した上、「今後も日本人を標的にする」と表明していることを受け、この事件を検証し、今後のテロ対策を見直すということです。
■女性教諭、授業で児童に湯川さん遺体画像見せる(読売新聞 2月5日19時48分配信)
名古屋市教育委員会は5日、同市立小学校の授業で、女性教諭がイスラム過激派組織「イスラム国」に殺害されたとみられる日本人人質の遺体の画像などを児童に見せていたと発表した。
市教委は「不適切な指導だった」として謝罪した。教諭は「情報のあり方を考えさせ、生命の大切さについても目を向けてほしかった。画像を見せたことは浅はかだった」と話しているという。
◇教育統制の背景
改めて言うまでもなく、軍事大国化を進めるプロセスで、それに連動した政策が登場する。具体的には、たとえば日米共同作戦にともなう軍事上の秘密を非公開にするための特定秘密保護法である。軍事秘密が外部に漏れると、軍事作戦に支障をきたすから、この法律が制定されたのだ。
とはいえ特定秘密保護法の運用に際しては、指定対象になる秘密が、軍事に関するものを建前としながら、はるかにその領域を超えていることも事実である。それゆえに法律の拡大解釈による秘密指定により、ジャーナリズム活動が制限されたり、人権侵害が日常化することが懸念されているのである。
また、教育の統制も軍事大国化と連動する。それは戦前・戦中の愛国心を煽る教育がどのようなものであったのか、その歴史をふり返れば一目瞭然だ。
安倍首相が愛国心教育に熱心なことは周知となっている。第1次安倍内宮の時代に教育基本法を改正しただけではなく、「美しい国プロジェクト」と称する観念論教育にも着手した。こうした流れは、1960年代に中教審が打ち出した「(目上の人に)期待される人間像」の文脈に属する。
もっとも安倍内閣の教育政策は、戦争目的だけではなくて、少数エリートと従順な多数の労働者の育成という新自由主義下の生産体制に合致した人間像の形成という側面もあるが。
◇シリアを取材してはいけないのか?
上に引用した記事、「朝日の複数記者、外務省が退避要請のシリア入国」(読売)は、「期待される人間像」から一貫してきた日本の教育政策の中で、どのような人間が作られてきたのかを如実に物語っている。
政府が危険地帯に近づかないように邦人に対して退避要請を出すのは、立場上、当たり前のことである。ところが問題は、読売の記者が、それを素直に受け入れて、「抜け駆け」した朝日新聞の記者を暗に批判していることである。
われわれは幼児から、学校の先生の指示には素直に従うように教えられてきた。そこには目上の人の言葉に疑いを差し挟む余地がない。そういう生徒こそが学校の成績もよく、「お受験」を勝ち抜いて、大企業に就職していく。そしてマスコミ部門では、新聞記者やテレビのデレクターになっていく。
目上の人の指示に盲従する体質。それが読売の記事には、露骨に反映している。読売が紙面では、朝日に追いつけないゆえんではないだろうか?
※写真の出典=ウィキペディア
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