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2015-02-06 08:48:36
衆院が昨日2月5日に開いた本会議は、はなはだ異様な光景でした。出席議員が全員起立して、「イスラム国」に対する非難決議を採択したのです。
何が異様か。全員起立した議場は、ファッシズム一色に覆われたような、異様な印象を与えました。
安倍政権下の今国会は、「イスラム国」の残虐殺人行為に触発されて、「テロは悪い。テロの脅威に屈するな」という空気に支配され、自民党による「一党支配体制」が新しい段階に進んだといえます。日本のファッシズム体制が、新しいページを開いたといえます。
アメリカのナオミ・クラインは「ショック・ドクトリン」という本を書き、惨事便乗型資本主義の正体を暴きました。アメリカでの参事便乗型の典型例は、「9.11」のあとのブッシュ政治です。「愛国者法」と名づけた、何でもできるオールマイティの法律を成立させて、ブッシュ政権の軍産複合体体制をさらに強固にしたのでした。
かつての自民党による「55年体制」は、まだチェック・アンド・バランスの力関係が働き、「健全な保守」の空気が残っていました。今年2015年になってからのアベ体制は、新しい「15年体制」のはじまりと位置づけられるものです。二人の日本人の首を切る映像が流され、「ショック・ドクトリン」の舞台が整いました。
この機を逃すなと機敏に立ち回り、全員起立の非難決議を採択させ、今後、安倍政権を批判するものは「非国民」と逆批判できる素地を作ることに成功したのです。
人を残虐に殺すことを意に介しない「イスラム国」のやり方は、非難されてしかるべきです。だからといって、一国の国会議員が全員そろって起立して、非難決議なるものを採択するのは、やはり異様というほかない。そこには、「全員一致方式」という別の意味を持つ空気、ファッシズムの臭いがぷんぷんと立ち昇ってきます。
この機を逃さず安倍政権は素早く、憲法改定に取りかかることを表明しました。自衛隊を海外に派遣できるようにする恒久法の成立にも精力的に取り組む意向です。野党は、あれよれよと見守るばかり。なす術(すべ)なし、制止する術なし。
国会審議の中で、菅義偉・官房長は「『イスラム国」側と接触するつもりはなかった。一切接触していない」と答弁。つまり、二人が拘束されたことが分かった何か月も前から、「二人を見捨てる」と、見殺し方針を固めていたと言えるのです。
あとは、現地対策本部をつくってみせたり、「各国と連携を取り、情報を収集し分析して、全力で救出の努力をしている」と 言ってみせたり。すべて世論対策上のパフォーマンスだったことを、平気で明らかにしたのでした。
今や安倍政権は、世論は完全にコントロールできる、と自信満々です。「オレが世論に『右向け右』と言えば、右を向く。日本は、オレの意のままだ」と、ヒトラーばりの「独裁者」に成りあがったつもりです。
世論操作をするための翼賛広報体制も万全です。日本最大部数の読売新聞はもともとアベべったり。最大のテレビ局NHKも意のままに支配しました。
野党第一党の民主党がだらしないのはいうまでもありません。共産党も、トップの委員長みずからが、自党の国会議員に「(安倍政権批判は)不適切だ」と言い出す始末です。
しかし、安倍政権がファッシズム体制を完成させるにあたって、客観的に最も力を貸しているのは、安倍政権に高い支持を与える日本国民です。「羊の群れ」状況のおとなしい日本国民こそが、ファッシズムへの道を開いているといえます。
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