132. 2015年2月07日 13:46:02
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香田さんも日本基督教団の信徒だったのが気になってしょうがないんで検索しているんですが。 亡骸は日本に帰ってきたのかどうか知らないので調べたら、それがはっきり書いたものが見つからないんです・・・なんして? 日本政府が、検死の結果香田さんの指紋と歯型が一致したと発表したそうですが。 その後、きちんと九州のご遺族の元に返されたのか、どなたかご存じありませんか? まとめがあったので、かなりの長文ですが全文転載します。もしかしたら重大な資料かもしれませんし。 それが奇っ怪なんですよ。引用元が削除されてるって妙じゃないですか??? 大事件にもかかわらず。 では、大判取りますが、投稿者さんと管理人さんどうぞお許しください。 香田証生さん人質事件のまとめ http://1st.geocities.jp/matome83/iraq/news2.html ○報道のまとめ2(関係者談話、政府の動き系) ●「募金に利用しないで」 香田証生さんの家族
イラク日本人殺害事件で犠牲となった福岡県直方市の香田証生さん(24)の家族は2日、直方市を通じ、事件を政治活動に利用したり、募金活動などを行わないでほしいとの意向を明らかにした。
香田さんの家族が同市に託したメッセージは「証生は何のグループにも属さず、政治活動も行っておりません」とした上で「事件を受けていろいろな活動が行われていますが、募金カンパ等の資金集めにはこの事件を利用しないでください。純粋に平和を願う活動のみを行われることを願います」としている。
家族は、集会などでの写真の利用もやめてほしいとの意向という。
この日午前、直方市幹部が香田さん宅を訪れ家族に面会。意向を記した文書を受け取った。
同市幹部によると、両親は、香田さんの遺体が確認された後は寝込んでいたが、2日は起きられるようになった。(共同11/2 17:00)
●人質事件再発防止に万全の対応指示…首相
小泉首相は2日午前の閣僚懇談会で、イラクで香田証生さんが殺害された事件について「最善を尽くしたが、残念な結果になった。今後とも、いつこういう事態が起きるか分からない。緊張感を持ってしっかりやっていきたい」と述べ、同種事件の再発防止に万全の対応を期すよう指示した。(読売11/2 14:48)
●香田さんの遺体 クウェートに到着
イラク日本人殺害事件で、香田証生さん(24)=福岡県出身=の遺体が2日午前5時25分(日本時間同日午前11時25分)、バグダッドからクウェートの米軍基地に到着した。日本政府当局者が明らかにした。手続きが順調に行けば2日深夜(同3日朝)にも日本に向けて移送される。
香田さんの遺体は日本から駆け付けた法医学の専門家や在クウェート日本大使館の医務官が本人確認した後、アンマン現地対策本部長の谷川秀善外務副大臣が米軍側から引き取る。
遺体搬送に伴うイラクでの手続きは1日昼ごろ終了。遺体はその後バグダッドの米軍基地に運ばれ、2日早朝に米軍機でバグダッドを出発した。クウェートでの手続きは遺体到着後から本格化する。(共同11/02 12:29)
●「命を大切に」 香田さんの母、憔悴して語る
イラク日本人殺害事件で犠牲となった香田証生さん(24)の母親の節子さん(50)は2日、福岡県直方市の自宅を訪問した福岡県議に「このような悲しい結果になり、命を大切にするということを若い人に分かってほしい」などと語った。
自宅を訪れた一尾泰嗣県議によると、節子さんは「証生という名前は元気な子供に育ってほしいという願いを込めて付けた」などとも話した。
両親は憔悴(しょうすい)した様子で、息子を亡くした現実を受け止めようと懸命になっているようだったという。
また、香田さん宅を訪れた直方市幹部によると、節子さんは泣き腫らしてまぶたが腫れ、顔色が悪かった。
外務省からは1日に、遺体搬送の状況を伝える電話があり、家族も「なるべく早く(遺体に)会いたいのでよろしくお願いします」と要望したという。(産経11/02 10:58)
●「言うことない」 米国務省副報道官
米国務省のエレリ副報道官は1日、イラクで殺害された香田証生(24)さんの頭部が米国旗の星条旗にくるまれていたことについて「状況の詳細をお答えすることはない」と語った。同副報道官は殺害を「犯人らが常軌を逸しており、彼らが従っていると称する信仰を裏切っていることを示している」と改めて厳しく非難した。(毎日11/2 10:29)
●「テロは許されない」法相
南野知恵子法相は2日午前の記者会見で、イラクでの日本人殺害事件について「何も悪いことをしていない人が殺害されたことに義憤を感じている。テロであり、そういう行動は許されない」と非難した。
法相は今後の日本の捜査当局による真相究明について「一般論だ」としながらも「日本の刑法の殺人罪などが成立するのではないか。外国への捜査共助を含め可能な限り、捜査を尽くす」と述べた。(産経11/02 10:28)
●政府、第三国政府経由で犯人と交渉 29日には生存情報
イラクのバグダッド市内で香田証生(しょうせい)さん(24)が拘束、殺害された事件で、日本政府が第三国政府を通じ、拉致した犯行グループとの間で解放交渉を進めていたことが、複数の政府関係者の話で明らかになった。10月29日未明時点での香田さんの生存情報も得ていた。日本政府は香田さんが誘拐専門のグループにさらわれた後、ザルカウィ幹部が率いる「イラク・アルカイダ機構」に引き渡されたとの情報も把握。人質解放に向けた交渉を急いだが、実を結ぶことはできなかった。
「香田さんは生きている」
日本時間29日未明。日本政府に「確度の高い情報」(外務省筋)として香田さんの生存情報がもたらされた。「48時間以内」の自衛隊撤退を求める犯行声明がイスラム系ウェブサイトに掲載されたのは27日午前2時7分。その時点から、すでに50時間以上が経過していた、という。
事件発覚直後、日本政府は周辺国や人質解放の経験を持つ国など計25カ国に協力を要請。新たな情報は、そのうちの1国からもたらされた。
29日午後7時、記者会見で高島肇久外務報道官は「我々は(香田さんが)生存していると確信して動いている」と語った。
情報は細い糸でつながっていた。政府関係者によると第三国の情報機関がイラク国内の誘拐グループとの接触に成功し、「生存」が伝えられた。
イラクでは最近、身代金目当てで外国人を誘拐する犯罪集団が横行している。日本政府に寄せられた情報では、香田さんは、まずこうした犯罪集団にバグダッド市内で誘拐された。その後、「イラク・アルカイダ機構」の手に落ちたという。「政府職員でもない香田さんでは高額の身代金を取りにくいと判断され、引き渡された可能性もある」との分析も伝えられた。
この機関は、さらに「ザルカウィ幹部とのパイプはないが、誘拐グループとはコンタクトがとれる」と説明。香田さんの身柄をアルカイダ機構から最初の誘拐グループに取り戻すとの方針を立て、交渉に入ったと日本側に伝えた。日本政府は小さな可能性に賭けた。
さらに、香田さんの所在について「バグダッド北方をあちこち動き回っている」との情報が入った。具体的には、バグダッドとティクリートの間の「バラド」という地名も挙がった。日本政府は直ちに米軍に一帯の警戒・捜索を要請した。
30日未明、そのバラドで米軍が「日本人らしき遺体を発見した」と連絡を入れてきた。「身長、体重、身体的特徴が一致した」という内容で、外務省幹部は「遺体は香田さんにほぼ間違いない」との見方を与党幹部に一斉に伝えた。
だが、結果は別人。「遺体の発見地点が事前に聞いていた『バラド』だったので、間違いないと思いこんでしまった」と外務省幹部は悔やんだ。政府高官の一人は「外務省がこの情報に引きずられた」と指摘する。
30日午後、外務省首脳は省内や第三国の大使館に指示を出した。
「遺体の件は間違った結果に終わったが、情報機関との線は切るな。日本政府にはこれしか犯人につながるルートがない」
イラクの治安悪化でバグダッドの日本大使館員の外出すらできないなか、犯人との接触や情報収集は第三国に頼らざるを得なかった。
しかし、31日午前1時ごろ、香田さんの無残な姿がバグダッドで見つかった。
政府関係者によると、第三国を通じた交渉は、犯行グループが殺害を急いだため、「時間切れになってしまった」という。「そもそも狂信的な反米集団であり、交渉の余地がなかった」とも振り返る。
町村外相は、香田さんの死亡確認後の同午前10時、「人質解放に向けてありとあらゆる努力を行った」と記者会見で語った。が、「努力」の中身は「相手国政府と関係者との信義ということもある」と説明を避けた後、こう付け加えた。
「いろいろなルートで何とか解放を目指して努力をしてきましたが、4月に経験したグループより困難な面があった」 (朝日11/02 08:29)
●香田さんの遺体、星条旗なかった?…ナゾ深まる
【バグダッド】イラクで武装勢力に拉致・殺害された香田証生さん(24)の遺体が放置された状況について、発見から丸1日以上がたった1日、現地ではナゾがかえって広がっている。
先月30日夜の発見後、AP通信などは一斉に「遺体が星条旗にくるまれていた」と報じたが、1日に病院関係者や周辺住民に当たると、「星条旗などどこにもなかった」と口をそろえた。
香田さんの頭部と胴体を切り離した上で、星条旗にくるんだとされる犯行手口は、「武装集団が日本と米国を同一視した」ものと解釈され、今回の事件の象徴となりつつあるが、肝心の事実関係はあいまいさを残しているようだ。
遺体が搬送された発見現場近くのカルク・ジュムホリー病院職員は1日、「(香田さんの)頭部は布で覆われていたが、胴体はうつぶせで毛布状の布の上に寝かされていた」と語った。イラク保健省に所属する救急職員も「被害者は白いTシャツを着ており、星条旗はなかった」と言明した。最初に遺体を発見した近所の住民も同様の証言をした。(読売11/2 3:11)
●香田さん追悼、若者ら官邸前で集会 自衛隊撤退求め
武装勢力に殺された香田証生さんを追悼する集会が1日夜、首相官邸前で開かれ、手に手にろうそくを持った若者ら約250人が参加した。「自衛隊がいなければ日本の青年は殺されていなかった」「小泉首相、これでもイラクは非戦闘地域ですか」。呼びかけ団体ピースボートの櫛渕万里・共同代表らは、そう抗議した。福岡市を始め、各地でも追悼集会が開かれた。
ピースボートは事件発生直後からスタッフを中東に送り、「香田さんは自衛隊とは関係ない民間人」と地元メディアなどに訴えてきた。参加者の代表は集会終了後、「これ以上犠牲を出さないためにも、派遣期間の期限切れになる12月14日の自衛隊撤退を宣言する」ことを求める声明文を内閣府に提出した。(朝日11/01 21:44)
●直方市に批判の電話相次ぐ
イラク日本人殺害事件で、香田証生さん(24)の家族を支援している福岡県直方市に、香田さんの死亡判明後も「なぜ公金を使って支援するのか」といった批判の声が多く寄せられていることが1日分かった。
直方市によると、香田さんの死亡が伝えられた10月31日から1日正午までに、電話やファクスなどで受けた外部からの声を集計したところ批判が26件あり、「家族に力を落とさないよう伝えてほしい」といった内容が17件だった。
同市が対策本部を設置した10月27日以降では、批判が約120件、好意的な声は25件にとどまった。批判は大半が匿名だったという。(産経11/01 19:41)
●イラクへのビザなし入国、夜行バスが“抜け道”に
【クウェート】イラクで殺害された香田証生(しょうせい)さん(24)が、ヨルダンのアンマンからバグダッドに入る際に使った夜行バスで、8月以降、少なくとも2人の日本人がビザなしでイラク入りしていた可能性が強いことが、1日わかった。
国境での入国審査が甘く、テロを恐れて外国人を乗せてイラクに向かうタクシーがないことから、夜行バスが入国の“抜け道”となっている。
夜行バスは、タクシーの10分の1程度の片道約2万イラク・ディナール(約1500円)。イラクの政府機関が運行し、ヨルダンの首都アンマンからバグダッドまでの砂漠地帯約1000キロを走り抜ける。
アンマンの旅行業者によると、8月にはカメラマンを名乗る日本人男性が、在アンマンのイラク大使館でビザが取れず、アラブの民族服を着用、頭にアラブ風ずきんをかぶり、現地の乗客に紛れて乗車した。
男性は無事戻り、業者に「往復とも夜行バスを使って成功した」と話したという。
また、9月には、フリージャーナリストを名乗る日本人男性も利用、無事に戻った。このほか、ルーマニア人男性も入国しているという。この2人も「ビザはない」と話していた。
イラクへの入国には、8月からすべての外国人にビザの取得が義務付けられた。取得には数週間かかり、ヨルダンかバーレーンにあるイラク大使館で発給を受ける必要がある。
香田さんはニュージーランドからイスラエルを経て10月19日にアンマン入りしたが、翌日には日本政府の渡航自粛勧告に反して夜行バスに乗っており、ビザを取得した形跡はない。夜行バスの運転手は「国境の入国審査はずさんで、ビザがなくても通過できる」と証言、別の運転手も「ビザがない外国人から金品をもらって入国審査の職員と分け合い、入国させる運転手もいる」と打ち明ける。
イラク戦争直後は、多くの外国人がタクシーでイラク入りしたが、治安が悪化した今春ごろからは客足が途絶えている。
アンマンで客待ちしていたイラク人のタクシー運転手、アハマド・カラフさん(36)は「イラクでは外国人はあまりに危険。テロや強盗に狙われる外国人を乗せて行くことなんて、頼まれても断る」と話した。 (読売11/1 14:46)
●小泉首相「政府は最善尽くした」 香田さん殺害で
小泉首相は1日、首相官邸で記者団に対し、香田証生さんがイラクで武装グループに殺害されたことについて「解放できなかったことは残念です。しかし、政府は最善を尽くしました」と述べた。
一方、細田官房長官は同日午前の記者会見で「(解放の)努力が功を奏しなかったことは反省すべきだ」としたうえで、自衛隊派遣について「一般の(イラク)国民や政府は理解していると思う。今回の犯行グループはまったく違う考え方と見受けられる」と語った。(朝日11/01 13:15)
●香田さん遺体、日本到着遅れる見通し 政府は手続き急ぐ
イラクで香田証生さんが武装グループに拘束、殺害された事件で、日本政府は香田さんの遺体をクウェート経由で日本に向けて搬送する準備を進めている。しかし、イラク国内の手続きや米軍機の運航事情などの理由から、日本到着は当初予定された2日夕より遅れる見通しだ。
香田さんの遺体は1日朝現在、バグダッド市内の医療機関に安置されている。遺体は当初、米軍機でクウェートに搬送し、日本人医務官が改めて身元を確認した後、ロンドン経由の飛行機で日本に向けて出発させる予定だった。
しかし、外務省によると、イラク暫定政府の担当部局から遺体引き渡しの許可を取る手続きに時間がかかっているという。搬送を依頼する米軍輸送機がいつ運航するかも、まだ調整中だ。外務省幹部は「米軍やイラク暫定政府は好意的で、物理的な問題だ」と話している。(朝日11/01 13:05)
●対応に誤りないと細田氏 イラク日本人殺害事件で
細田博之官房長官は1日午前の記者会見で、イラク日本人殺害事件について小泉純一郎首相ら政府の対応に誤りがなかったとの認識を示した。事件発生直後に首相が自衛隊を撤退させないと明言したことが犯人グループを刺激したのではないかとの指摘に対しても「そうは考えていない」と強調した。
同時に「人命を盾にとり自らの要求を通そうというのは卑劣極まりない行為。いかなる理由でも許されない」と非難。犯行グループと日本政府との接触については「努力したが(接触できるかどうかは)犯行グループの性格にもよる。今回の場合、努力が功を奏しなかったことは反省しないといけない」とした。
その上で「日本国民が殺害された。当局がしかるべき手続きを開始すると思う」と述べ、警察庁など関係当局がイラク暫定政府などと協力をして捜査を進める考えを示した。(産経11/01 12:43)
●香田さんの死に生徒ら黙とう 東海大五高
イラクで武装勢力の人質となり、殺害された福岡県直方市出身の香田証生(こうだしょうせい)さん(24)が2年まで在籍していた東海大五高(福岡県宗像市)では1日午前8時半からの職員朝礼で松岡哲(とおる)校長が香田さんの死を報告した。この後のショートホームルームで全校生徒1152人と教職員70人が30秒間の黙とうをささげ、冥福を祈った。
朝礼は本館2階の職員室であった。松岡校長は教職員を前に、香田さんが拉致された27日からの経緯を説明し「最終的には残念な結果に終わったが、香田さんのために全員で黙とうしよう」と切り出すと沈痛な面持ちで聴き入っていた。
午前8時50分からは全学年31クラスでショートホームルームが開かれた。武富正治教頭が校内放送で「イラクで拉致されていた香田証生さんの無事救出を学校挙げて祈っていたが、ニュースで報道の通りです。ご家族、ご親族のみなさまへお悔やみを申し上げると共に故人の冥福を祈って全員で黙とうをしたいと思います」と流すと全員が起立して黙とうした。
黙とうを終えた松岡校長は「子どもたちには、いつも『夢を持って頑張れ』と言ってきた。若い香田さんが犠牲になったことで、多感な子どもたちが冒険心を失わなければよいが……」と戸惑いを隠せない様子。この日の建学祭に備えて大掃除をしていた2年の女子生徒(17)は「心から冥福を祈った。安らかに眠ってほしい」と話していた。(毎日11/1 11:34)
●香田さん拉致集団、本体とは別の見方も 従来の行動と差
遺体が発見された香田証生さん(24)を人質にとっていた武装集団「イラク・アルカイダ機構」は、これまでの拉致事件と比べ、やや異なる行動が目立つ。犯行声明を出すタイミングや、遺体が発見されるまでの期間などの違いに着目し、「本体ではなく、協力者か周辺による犯行の可能性もある」との見方も出ている。
この武装集団は、被害者の遺体が発見されるタイミングをにらみ、犯行声明にあたる殺害場面の映像などを公表してきた。6月末までは、映像ビデオを中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」に渡すか、ネットに声明を出した後に、遺体が発見されていた。ビデオ映像を比較的容易にネットに流せる「ユー・センド・イット」というソフトを使い始めた7月以降は、ネットによる映像公表の前後に遺体が見つかる例が多い。30日のように、犯行声明も映像もないまま、遺体だけが発見されるケースはほとんどない。
遺体の状況などから、今回の犯行は30日夜の発見直前だったとみられる。同機構が要求していた28日夜の「自衛隊の撤退期限」から2日後だ。解放条件をめぐり、遅れたとみられる例はあるが、今回のように交渉が行われた形跡さえ表面化していないケースで、延びた例は少ない。
こうした違いを指摘する関係者は少なくなく、「手口が異なり、イラク・アルカイダ機構の本体ではなく、協力者ら周辺による犯行の可能性もある。この組織のすそ野が広がっている、ともいえる」(過激派集団に詳しいイラク人記者)との見方が出ている。(朝日11/01 09:40)
●香田さん“無言”の帰国へ
イラク日本人殺害事件で、香田証生さん(24)=福岡県出身=の遺体は、1日夕(日本時間同日夜)にもバグダッドからクウェートの米軍基地に搬送される。早ければ2日深夜(同3日朝)、香田さんの両親が待つ日本に向け“無言”の帰国の途に就く。
米軍側から遺体を引き取るアンマン現地対策本部長の谷川秀善外務副大臣は10月31日夜(日本時間1日未明)、クウェート入りし、遺体の早期帰国に向け、イラク暫定政府や米軍との調整を続けた。
遺体搬送にともなうイラクでの手続きが1日昼ごろまでかかる見通しで、遺体はその後、バグダッドの米軍基地に運ばれ、米軍機でクウェートまで移送される。クウェートでの手続きも考慮すると、帰国の途に就くのは2日深夜以降となる。
クウェートでは日本から駆けつけた法医学の専門家、在クウェート日本大使館の医務官が本人確認し、先日起きた別人との取り違えのような混乱を避ける措置を取る。
香田さんはイスラム過激派「イラク聖戦アルカイダ組織」に拉致され、先月30日夜にバグダッド市内で首を切断された遺体となって発見された。同21日にバグダッドに到着した香田さんは23日に同市内のバス停で目撃されたのを最後に消息を絶っていた。(共同11/1日 8:46)
●親日感情砕く意図「米と同じ聖戦の敵」 香田さん殺害
「イラク・アルカイダ機構」による日本人の拉致・殺害は、国際テロ組織アルカイダに近いザルカウィ幹部が率いるとされる組織の凶暴性を改めて浮き彫りにした。遺体を星条旗で包んで遺棄したことは、自衛隊を派遣した日本を米国の協力者として敵視する意図を表している。アラブ世界でなお根強い親日意識や、イラク人にある日本に対する復興支援の期待を「対米聖戦」の名の下に打ち砕こうとする狙いだ。
ヨルダン人のザルカウィ幹部はイラク戦争後に「タウヒード・ワ・ジハード(統一と聖戦)」を創設し、10月中旬にアルカイダに合流、組織名を「イラク・アルカイダ機構」に改称した。米軍と外国部隊だけでなく、イラク暫定政権や警察、新国軍などイラクの親米組織も標的としている。
その手法は、車に爆弾を積んで突っ込む自爆テロと外国人拉致だ。民間人を巻き添えにする自爆テロはイラク人の強い反発をかっているものの、アラブ世界全体では、メディアの注目を浴びる大規模テロが「対米聖戦」の象徴となり、ザルカウィ幹部も一部で英雄視されている現実がある。
外国人拉致・殺害も同様だ。武装勢力による拉致が本格的に始まったのは今年4月だが、その中でザルカウィ幹部の組織が初めて人質の首を切り落とし、映像を公表する残虐な手法を使い始めた。戦争で圧倒的に強者の立場にある欧米の人間が無残に殺害される映像により、アラブの民衆向けに「聖戦」では自分たちが強者だという優越感を与える狙いがある。
そうした中で日本人の遺体を星条旗で包むという演出は、日本人と米国人の同一視を狙ったものだ。イラク復興で「日本は米国と違う役割を果たせる」(小泉首相の国会答弁)という主張や、「かつて日本は米国と戦争し、原爆を落とされた国」という中東・アラブ諸国にある日本人への共感や親近感を打ち砕く意図があるとみられる。
今回の事件では、10月26日にイスラム系ウェブサイトに日本人拉致のビデオが公表されると、次々とそれを支持する匿名市民らの言葉が書き込まれ、日本を敵視する表現も出た。「日本政府がその主人である米国との縁を切らない限り、不信仰者の日本人は殺害されるべきだ」などだ。
アラブ世論のごく一部にすぎない過激派支持者の主張とは言え、中東で日本と日本人に対する憎悪が声高に語られるのは極めて異例だ。イラクでの反米闘争は、アラブ世界の民衆の反米感情と結びついて一定の共感を得ており、その文脈で日本敵視が語られることにもなり得る。
今回の事件は、争乱が続くイラクでの超過激派組織による特殊な犯行というにとどまらない。「アルカイダ」の名の下にインターネットや衛星放送を通じて、「日本=聖戦の敵」という単純化されたメッセージがアラブ・イスラム世界に広がるようなことがあれば、日本と日本人はより大きな危険にさらされる。(朝日11/01 08:35)
●「香田さん、誰にでも優しかった」友人ら語る
ボランティア熱心で、高齢者介護にも関心を持っていた。香田証生さんのことを、高校時代からの友人はそう語る。周囲に「いつかは青年海外協力隊に参加したい」と話していた。
占部貴史さん(25)と小嶋亮さん(24)は、東海大五高(福岡県宗像市)の同級生で8年来の親友という。2人によると、香田さんは3年前の冬、キリスト教系の団体が北九州市内で主催した、ホームレスのための炊き出しに友人を誘って参加した。防寒用古着を並べ、弁当を配り、みそ汁をよそって回るなど熱心に働いていた。
祖母を介護した経験から、高齢者介護の問題に関心を持つようになり、病院で介護のアルバイトをしたこともあった。「困っている人を放っておけない性格だった」
今年1月、香田さんは現地で働くことができるワーキングホリデービザでニュージーランドに渡った。占部さんは7月ごろ国際電話を受けた。「英語がしゃべれないから仕事がなかなか見つからない」と話していた。それが最後の会話になった。「金がなくて国際電話もなかなかできず、イラクの人質事件をよく知らなかったのでは」
イラク戦争に憤っていた。米軍の爆撃で子供たちが死んでいることに、「悪くない人まで巻き込むのはおかしい」と語っていた。
小嶋さんは「イラクに行く前に電話をくれていたら意地でも止めていた。誰にでも優しくて素直で、汚れていない男だった。世界中の人にバカと非難されてもいいから、顔を見せてほしかった」。占部さんは「香田に殺される理由はない。無事に帰ってきてほしかった」と声を詰まらせた。(朝日11/01 06:59)
●自衛隊派遣延長、焦点に 与野党対決へ
小泉純一郎首相は香田証生さん殺害を受けた首相声明で自衛隊によるイラク人道復興支援の継続方針を強調する一方、12月14日に期限が切れる派遣計画の延長は明言を避けた。「世論がどうなるか分からない」(自民党幹部)と今回の人質事件の影響を読みかねているうえ、治安情勢をギリギリまで見極める必要があるためだ。民主党は犯人側の撤退要求を拒否した政府対応を支持したが、事件が最悪の結果に終わったのを受け、延長反対を明確に打ち出した。
「今回の事件は直接は影響しない」。首相は31日、自衛隊派遣問題への影響について否定の言葉を繰り返した。「テロに負けないように、妨害する勢力に屈しないように、イラク人の国づくりを支援すべきだ」と「テロとの戦い」の継続を強調する首相を、与党も「理不尽な行為によって国家の基本政策が歪められる事があってはならない」(公明党声明)と後押しした。
ただ、派遣延長問題については公明党内にも慎重論がくすぶっており、神崎武法代表は同日、「サマワが非戦闘地域かどうかという法律に従って(派遣を)継続できるかどうか、12月14日の直前の状態で判断すべきだ」と治安情勢を見極める姿勢を示した。
しかしながら、自衛隊派遣という政治決断が初めて「人命」の代償を払うことになった現実は政府・与党に重くのしかかる。民主党の岡田克也代表は「自衛隊を派遣することはイラクや各地で日本人が標的になる可能性を高めた。その認識が本当に首相にあったのかが問われる」と指摘、12月14日を期限に自衛隊撤退を求める考えを示した。
今回の事件はイラクの治安悪化も改めて印象づけた。大野功統防衛庁長官は「(香田さんの遺体が見つかった)バグダッドと(陸上自衛隊の活動する)南部のサマワの治安は違う」と地域格差を強調するが、10月23日には陸自宿営地内にロケット弾が初めて着弾。「安全確保に万全を期している」(大野長官)との説明も揺らぎ始めた。
4月の日本人人質事件や昨年11月の日本人外交官殺害事件の犯人はいまだに不明だ。「イラク全土で銃器を使った襲撃は週に数百件も起きる。これはもう『犯罪』じゃなく『戦闘状態』だ」と指摘する政府関係者もいる。これ以上の治安悪化は「非戦闘地域」という自衛隊の派遣根拠さえ揺るがしかねない。陸自宿営地内の着弾に続き、今回の事件が起きたことで治安情勢への懸念が広がり、今後、派遣延長問題は与野党対決の焦点になりそうだ。(毎日11/1日 1:34)
●香田さん遺体、チグリス川沿いヤシ林に…殺害後放置か
【バグダッド】香田さんの遺体は、バグダッドにありながら、連日のように米軍と武装勢力が衝突を繰り返す「危険地帯」で発見された。
「死体がある」。現場近くに住むバス運転手アリ・アルカファジさん(41)は30日夜、叫び声を聞いた。が、通報で駆けつけた警察官と救急隊員は、その異様さになかなか近づけない。現場近くに住む40歳代の男性ハリドさんは、自宅の窓から遺体が見えたが、「事件に巻き込まれるのが恐ろしく、警察に通報しなかった」と声を押し殺しながら話した。
現場付近の大学生、アベド・アジズさん(21)は「何の罪もない人を殺すのは恐ろしいこと。こんな行為は許せない」と声を震わせた。だが、ここでは残忍なテロは日常。元運転手のサリフ・メフジさん(55)は「死体を見つけるのに慣れてしまい、誰も気に止めない」と吐き捨てるように言った。
現場は市内の目抜き通りに近く、飲食店でにぎわうチグリス河岸からも数百メートルの距離にある。しかし、ラマダン(断食月)で飲食店は営業しておらず、昼間も人通りはまばら。しかも付近は直前まで停電が続いていた。武装集団はどこかで殺害し、遺体を暗闇のヤシ林に置いたとみられる。(読売10/31 23:09)
●「殺される理由ないのに」香田さん殺害でイラク国内に批判の声
「この若者がこんなふうに殺される理由は何もないのに」−。香田証生さん(24)の遺体を30日夜発見したイラク人警官は、やりきれないという表情を見せた。日本人殺害事件は、残虐な事件には慣れているバグダッドや南部サマワの一般市民にも、強い怒りや悲しみを呼び起こした。
イラク国防省のアサディ副大臣は「われわれは殺人を強く非難する。イラクの伝統やイスラムとは無縁の行為だ」と述べる一方、「イラクと日本との関係は強固であり、われわれは日本の支援を忘れない」と付け加え、事件が対日関係や復興支援に悪影響を及ぼすことへの懸念をにじませる。
事件はイスラム教徒の信仰心が高まるラマダン(断食月)の真っ最中に起きた。バグダッドの電器商イマド・ハタブさん(35)は「この聖なる月に、神はこんな非道をお許しにならない。犯人は、イラクが不安定になればいいと思っているような連中だ」と語気を強めた。
事件への怒りは陸上自衛隊が活動するサマワにも広がった。大学生サナア・アリさん(23)は「もしも日本に出て行ってほしいなら、(暴力に訴えず)そのように要求すればいいことだ」と怒る。「教師の母は最近、日本に招待されたが、素晴らしい人々だと言っていた。こんな悲劇が起きてしまい、申し訳ない気持ちだ」と肩を落とした。(共同10/31 20:04)
●香田さん殺害で、皇太子さまがお悔やみ
福岡県を訪問していた皇太子さまは31日、イラクで同県出身の香田証生さんが殺害されたことについて、麻生渡知事に対し「大変残念な結果でありました。ご家族にお悔やみを言ってください」と伝えられた。
皇太子さまが昼食を取られるため訪れた筑紫野市の旅館で、同行した麻生知事が明らかにした。
皇太子さまは31日夕、新幹線で広島県へ移動。11月1日に福山市の県立歴史博物館で、研究課題としている海洋交通の展示を見学された後、帰京される。(産経10/31 19:51)
●過去の邦人人人質事件、日本政府の対応
香田証生さん誘拐事件で、日本政府は犯人側の要求を拒否する立場を貫いた。海外で起きた日本人誘拐・人質事件で、これまで政府に要求を突きつけたケースは、過激派による場合が大半だ。政府が犯人グループから要求を突きつけられてそれに応じず、人質が殺害される結果を招いた事件は、初めてとなる。
70年の日航機「よど号」乗っ取り事件では、赤軍派が北朝鮮行きを要求し、日本政府と駆け引きが続いた。平壌と称して韓国・金浦空港に着陸したが見破られ、乗客・乗員のうち103人解放の身代わりに山村新治郎運輸政務次官(当時)がなって、同機は北朝鮮に飛んだ。犯人グループは北朝鮮に残り、山村次官は乗員らと羽田に戻った。
77年の日本赤軍による日航機乗っ取り事件は、犯人側が日本政府に対し、拘置・服役中の過激派ら9人の釈放と身代金600万ドルを要求。政府は拒否した3人を除く6人を「超法規的措置」で釈放し、同機が着陸していたバングラデシュ・ダッカ空港に身代金とともに送った。代わりに乗客・乗員の多くが解放され、最終的にアルジェリアで全員が無事解放された。
イスラム系テロリストによる日本人人質事件は74年2月にも起きた。アラブゲリラがクウェートの日本大使館を占拠し、大使館員や商社マンら日本人22人を含む29人を人質にした。この1週間前に日本人を含む別グループが、シンガポールの製油所を襲撃してフェリーを乗っ取って5人を人質にしており、クウェート事件のグループは、シンガポール事件のグループの逃亡を要求。日本政府は要求をのみ、逃亡用の日航機を用意して両事件の犯人グループを乗せ、南イエメンに送った。人質は全員解放された。
日本人以外が人質になったケースでは、75年8月、マレーシアのクアラルンプールで、日本赤軍を名乗るゲリラが米国とスウェーデンの両大使館を占拠し、米領事ら53人を人質にした。犯人側は、浅間山荘事件や連続企業爆破事件で逮捕された計7人の釈放を要求。日本政府は、拒否した2人を除く5人をゲリラ側に引き渡し、人質は解放された。(毎日10/31 19:39)
●自衛隊撤退拒否を強く支持 米国務省声明
【ワシントン】米国務省は30日夜、香田証生さんの遺体確認について「憎むべき犯罪を強く非難する」とした上で、日本政府が犯人グループの自衛隊撤退要求を拒否したことを強く支持する声明を発表した。
声明は香田さんの家族、友人、日本国民への弔意を表明。「このような行為はイスラムの平和的教義に反しており、何ら正当化されるものではない」と犯人グループの行動を非難した。
さらに「日本がテロリストの要求を拒否したことを強く支持する。平和で、繁栄し、民主化されたイラクを築こうとするイラク国民の努力を断固として支援していることに深く感謝する」と日本が自衛隊撤退要求を拒否したことを評価した。
米AP通信は同夜、バグダッド発で「星条旗に包まれ首を切られて発見された遺体は、拉致された日本人のものだった」と速報。CNNテレビは東京発で「多くの日本国民が、香田さんがイラクへ行ったことへの怒りと哀悼の入り交じった気持ちでいる。殺害を受けてイラク政策をどうすべきか考えている」と報じた。(毎日10/31 19:35)
●福岡県警が殺人容疑念頭に国内で捜査
香田さんの実家のある福岡県警は31日、殺人容疑などを念頭に国内での捜査に当たることを決めた。警察庁も、現地で捜査を行うイラク警察に対し、外務省を通じて捜査支援を申し出る。同庁は同日、緊急に開いた国家公安委員会でこの方針を報告し、了承された。
昨年施行された改正刑法で、日本人が海外で殺人など重要犯罪の被害に遭った場合、日本の刑法を適用できるようになった。福岡県警はこの規定に基づき、香田さんの遺体が日本に戻り次第、検視や司法解剖を行い、死因や死亡推定日時などを特定する。同様の捜査活動は、昨年11月の奥克彦大使、井ノ上正盛1等書記官の殺害事件でも行われた。
一方、日本の警察当局が現地での捜査を直接行うことは出来ない。このため、国内の捜査活動で得た情報をイラク警察に提供する形で、捜査支援を行っていく。
この日の身元特定の決め手は、警察庁の犯罪鑑識官だった。外務省の要請で、現地大使館から電送されてきた遺体の顔写真や指紋を照合し、香田さんの遺体と確認した。(毎日10/31 19:22)
●サマワの自衛隊、通常通りの活動
防衛庁に入った報告によると、イラク南部サマワで復興支援活動に当たる陸上自衛隊部隊は31日、給水など通常通りの活動をした。宿営地外に隊員が出て、ウルク遺跡外柵(さく)補修工事の監督も実施。「首相がテロリストの要求を拒否している以上、我々は淡々と任務を果たすほかない」と、同庁幹部は話す。
襲撃事件が頻発するとされる15日からのラマダン(断食月)、23日のロケット弾の宿営地内初着弾、そして人質事件と、派遣部隊は今、治安に関して“三重不安”を抱える。4月に起きた前回の人質事件の際は、宿営地外での活動を一時自粛する措置を取ったが、今回はむしろ積極的に外に出て活動する姿勢を見せている。(毎日10/31 18:53)
●4月の人質事件家族らが語る
イラクで今年4月に起きた人質事件の家族らは、香田さんの遺族を思いやった。
ボランティア活動家、高遠菜穂子さん(34)の母京子さん(65)は「一番恐れていた結果になってしまい、家族の心痛を思うと言葉もない」とコメントを出した。「半年ほど前に私たちが経験したのと同じ状況に置かれた家族が心配で心配で、胸がつぶれる思い。残念、無念に思います」と言う。家族によると、京子さんはコメント発表後、寝込んでしまった。
今井紀明さん(19)の兄洋介さん(24)は「言葉が出ません。僕たちも落ち込んでいる」と言う。今井さんの家族も、文書でメッセージを公表。「半年過ぎても、なおイラクが混迷を増していることに深い悲しみを感じている。イラクの人々の手によるイラクの平和が来ることを願ってやみません」「ご家族にとっては、想像しえない悲しみ。このような事件が続くことがないよう願っている」と書いた。
フォトジャーナリストの郡山総一郎さん(32)は「コメントできません」とだけ話した。(毎日10/31 18:48)
●「ご両親に申し訳ない」直前に会った四ノ宮監督
「体を張ってでも押しとどめておけば…」。イラクで拘束された香田証生さんの遺体が発見されたとの情報に、イラク入りの直前の香田さんとヨルダンの首都アンマンのホテルで会った映画監督、四ノ宮浩さん(46)は「止めることができず、ご両親に申し訳ない」と悔い、何度も「残念だ」と繰り返した。
四ノ宮さんが「イラクを自分の目で見たい」という香田さんと出会ったのは10月20日。「今は素人が行ける状態じゃない。やめたほうがいい」と止めた。だが、香田さんは聞き入れなかった。「『行けば何とかなる』と思っていたようだ。それだけ好奇心が強い若者だった」
もう一度説得しようとしたが、香田さんは「じゃあ行きます」と言ってイラク行きのバスに乗り込んだ。表情には緊張感がにじんでいたという。
自身もイラクの住民の生活を撮影したいと考えていた。香田さんの気持ちが分かるだけに、強く引き留められなかった。
「彼はイラク戦争を自分の目で見て、耳で聞いて、体で感じて、平和ということを考えたかったのだろう。そのことをお母さんに伝えたい。彼の思いは多くの若い人たちにも通じると思う」。四ノ宮さんは自分に言い聞かせるように語った。(産経10/31 16:36)
●「大変悲しく残念」香田さん殺害で福岡県知事
福岡県の麻生渡知事は31日、イラクで同県直方市の香田証生さん(24)の殺害が確認されたことについて「何とか無事に帰ってきてほしいと思っていた。大変悲しく残念だ」と話した。
香田さんを殺害したとみられるイスラム教武装グループについては「言語道断の行為に怒りを覚える。腹が立つという気持ちが強い」と憤りをあらわにした。
人質事件が明らかになってからの日本政府の対応については「政府の対応は正しかった。人質を取ってテロ行為で国の政策の変更を迫ることに屈すべきではないと思う」と述べた。(産経10/31 16:36)
●谷川副大臣「断腸の思い」
「異郷の地でテロの犠牲になった無念を思うと断腸の思い」。イラクで拉致された香田証生さん(24)の遺体が確認された31日、現地対策本部長を務める谷川秀善外務副大臣がアンマンの日本大使館で記者会見し、救出できなかった悔しさをにじませた。
記者会見が始まったのは、まだ外が暗い午前5時(日本時間正午)。「無事解放を目指して全力を尽くしてきたが、このような結果となり誠に残念」。沈痛な面持ちで時折声を震わせるように話す谷川副大臣。ただ事件をめぐるこれまでの情報を問われると「言えることと言えないことがあるので」と口をつぐんだ。
大使館は30日夜、バグダッドで遺体が見つかったとの情報を受け、一気に緊迫感が高まった。電話連絡に追われる職員ら。谷川副大臣も駆けつけた。
大使館の正面玄関前には30人ほどの報道陣も。同じような光景は、結局香田さんとは別人と判明した遺体の発見情報が飛び込んだ29日から2夜連続。対策本部の関係者は「あらゆる可能性を考えて事実関係を確認している。昨日の今日だからこれ以上は」と話すだけだった。
一方、香田さんがイラク入り前にアンマンで宿泊した「クリフ・ホテル」従業員サメル・ハミディさん(31)は「ひどい。本当に悲しい。香田さんはイラクを知りたかっただけなのに。こんなことは二度と起きないでほしい」とショックを隠せない様子だった。(アンマン共同10/31 15:52)
●「ご迷惑をお掛けしました」香田さんの両親が市長と面会
イラクで殺害された香田証生さんの両親は31日午後、自宅を訪れた福岡県直方市長と面会し「皆さんに非常にご迷惑をお掛けしました」と述べた。(産経10/31 15:26)
●香田さん、両手縛られ 無残な姿で放置
香田証生さん(24)の遺体が見つかったのは、反米武装勢力と駐留米軍が日常的に衝突し、バグダッドの「反米のとりで」といわれるハイファ通り近く。人けのない病院裏の空き地に、切断された首と体が無残な姿で放置されていた。
遺体が見つかったのは30日夜(日本時間31日未明)。遺体を発見した警官によると、Tシャツにダークブルーのジーンズ姿、中国製の下着を身に着けていた。AP通信によると、遺体は両手を後ろ手に縛られていた。
香田さんは20日、夜行バスでヨルダンの首都アンマンを出発、21日にバグダッドに到着し、23日に同市内のバス停で目撃されたのを最後に消息を絶った。
香田さんを拉致し、国際テロ組織アルカイダと関係があるとされるザルカウィ幹部が率いる「イラク聖戦アルカイダ組織」は、これまでにもハイファ通り一帯で拉致事件を起こしている。
最近では、同組織が「一神教聖戦団」を名乗っていた9月末にハイファ通りでイラク人男性二人を拉致し、約2週間後に首を切断し殺害する映像をウェブサイトで流していた。(バグダッド共同10/31 15:01)
●「ご家族を支援したい」 向野・直方市長
イラクで殺害された香田証生さん(24)の自宅がある福岡県直方市の向野敏昭市長は31日午前10時半、市役所で記者会見し、「無事に帰って来て欲しいというみんなの思いが犯人に届かなかったことが残念でならない。犯人グループに対して言葉にならない怒りがある。家族のみなさんの心中をお察しする。今後は国・県と連絡を取りながら、ご家族への対応を考え支援したい」と述べた。
自衛隊派遣や撤退について向野市長は「国策としてやられていることなので、私がうんぬんすることではない」と語った。「それ(自衛隊の派遣維持)で証生さんが殺害されたのでは」という質問には「コメントできない」と答えた。(毎日 10/31 14:43)
●自衛隊活動の継続表明 「残虐非道に憤り」と首相
バグダッドで見つかった遺体が香田証生さんと確認され、報道各社のインタビューに答える小泉首相=31日午後0時40分、首相官邸
小泉純一郎首相は31日、イラク日本人殺害事件に関し、自衛隊によるイラク復興支援活動について「イラクの情勢を総合的に考えて判断していかなければならないが、国連でもイラク復興支援の決議があり、日本としてもできるだけの支援をしていかなければならない」と述べ、今後も継続させる方針を表明した。首相官邸で記者団に語った。
同時に「イラク人が懸命に努力している。テロに負けないよう、(復興を)妨害する勢力に屈しないようイラク人の国造りを支援していくべきだ」と強調。イラク復興支援と今回の事件は「別々だ。(自衛隊の活動に)直接は影響しない」と指摘した。
事件を「あのような残虐非道な行為にあらためて憤りを覚える」と犯行グループを厳しく非難。その上で「ご家族はつらいと思う。心からお悔やみ申し上げます」と述べた。(産経10/31 13:46)
●自衛隊派遣延長は「総合的に判断」 香田さん殺害で首相
小泉首相は31日昼、イラクで人質となっていた香田証生さん(24)が遺体で発見されたことについて、首相官邸で記者団の質問に答え、「残念ですね。ああいう残虐・非道な行為に改めて憤りを覚えます。ご家族もさぞ辛いことでしょう。おくやみ申し上げます」と語った。犯人グループについては「特定できていない」と明らかにした。
今後のイラク復興支援については、「いま、イラク人は自分たちの国造りに努力している。日本はイラクの友人として、国際社会と協力し、できるだけ努力していく」と延べ、引き続き支援に取り組む方針を表明。12月14日に期限切れを迎える自衛隊派遣の延長問題は「今回の事件は直接には影響しない。イラクの情勢、総合的によくみて判断しないといけない」と述べた。(朝日10/31 13:17)
●「イラクの平和願っています」…香田さんの家族が談話
イラクで殺害されたことが確認された香田証生さん(24)の地元、福岡県直方市の対策本部は31日午前、自宅で安否を気遣ってきた父・真澄さんと母・節子さん、兄・真生さん(26)が、市職員に「みなさんに迷惑をかけて申し訳ありません。救出に向け、各方面の協力をいただき、ありがとうございました。イラクの人たちの1日も早い平和を願っています」と語ったことを明らかにした。
対策本部の則松正年企画財政部長が同日午前11時過ぎ、香田さん方を訪問し、市職員に確認した。(読売10/31 12:38)
●米大使が犯行非難 日本人人質殺害
イラク日本人殺害事件を受けて米国のベーカー駐日大使は31日、声明を発表し、香田証生さんの遺族らに哀悼の言葉を述べた上で「このような行為は、イスラム教の平和的な教義に反しており、正当化できない」と犯行を強く非難した。
また、日本政府が自衛隊撤退の要求を拒否したことへの支持を表明した。(共同10/31 13:01)
●香田さん殺害で福岡県警が捜査 日本で遺体を司法解剖
イラクのバグダッドで見つかった遺体の身元が香田証生さん(24)と確認されたことを受け、警察庁は31日、刑法の国外犯規定を適用し、住所地を管轄する福岡県警が殺人容疑などで捜査を担当することを明らかにした。
遺体が日本に戻り次第、司法解剖して詳しい死因を調べるとともに、イラクの治安当局に捜査協力を要請するなどして、真相解明に向けた捜査を開始する。しかし不安定な治安情勢下で現地での十分な捜査は事実上不可能とみられる。
昨年7月の刑法改正で、日本人が海外で殺人などの重要犯罪に遭った場合、日本の警察当局が捜査できるようになり、4月に高遠菜穂子さんら3人がイラクで拘束された事件では警視庁と北海道警が捜査している。
高遠さんらの事件では、3人から事情聴取して拉致の状況などを調べているが、今回は香田さんが殺害されたことで、拉致や拘束の状況など基本的な事実を確認することさえ難しそうだ。(産経10/31 12:21)
●バグダッドの遺体、香田さんと確認
東京――日本政府は31日朝、イラク・バグダッド市内で発見された首を切られた男性の遺体を、日本人旅行者、香田証生さん(24)と確認した。町村信孝外相が記者会見を開き、発表した。香田さんは、テロ組織アルカイダと連携しているヨルダン人アブムサブ・ザルカウィ氏が率いる過激派組織「イラク聖戦アルカイダ組織」に拘束されていた。
町村外相は会見で、「大変残念なことに、これが香田さんの遺体であることを確認した」と語った。遺体の指紋が、香田さんのものと一致したという。
町村外相は「ご家族に心からのお悔やみを申し上げたい」と述べた。さらに「無辜(むこ)の民間人の命を奪う今回のテロは、卑劣きわまりない行為であり、強い憤りを覚える。断じて許すことはできない」とした上で、「テロに屈する形で自衛隊を引き揚げることはしない」「日本は国際社会と協力しながら、今後も断固たる姿勢でテロと戦い続ける」と述べた。
細田官房長官は、香田さん殺害について「痛恨の極み」だと述べた上で、「この悲しみと痛みを忘れることなく、イラクの友人として自衛隊による人道支援を引き続き行っていく」と述べた。
香田さんの遺体は、イラク警察が30日、バグダッドの中心部ハイファ通り近くで発見した。ハイファ通り周辺は武装勢力の拠点となっており、米軍も容易には入れない危険地域。
AP通信によると、発見時の香田さんは、ジーンズとベージュ色のTシャツを身につけ、両手、両足を縛られていた。遺体は米国旗で覆われていたという。また殺害からあまり時間がたっていない様子だったという。
ロイター通信によると、バグダッドのマスコミ機関に送りつけられたビデオがあり、そこには血染めの白いシャツを着たアジア人男性の遺体が映っていた。武装グループのひとりが、男性の黒い長髪をつかんで切り落とされた首をもちあげ、カメラに向けて示しているという。
武装グループは26日夜(日本時間27日未明)、香田さんを拉致したとする映像をイスラム系ウェブサイトに流し、48時間以内に自衛隊を撤退させなければ殺害すると警告。これに対して小泉首相は27日朝、「自衛隊は撤退しない。テロには屈しない」と拒否していた。 (CNN 10/31 12:09)
●「願い届かず最悪の事態」地元・直方市長らが会見 香田さん殺害
「何とか無事でとの願いが届かず最悪の事態になってしまった」。バグダッドで見つかった遺体が香田証生さん(24)と確認されたことを受け、香田さんの地元・福岡県直方市の向野敏昭市長らが31日午前に記者会見し、一様に沈痛な表情を見せた。拘束が伝えられてから丸4日。香田さん宅は、重苦しい雰囲気に包まれた。
同市によると、香田さん宅に外務省から連絡が入ったのは同日午前9時20分ごろ。証生さんの父、真澄さん(54)が「バグダッドの遺体を証生さんと確認した」との内容を聞いた。直後の真澄さんは「とても人と話せるような状態ではなくなった」という。
現在は、真澄さんの妹が政府からの連絡に対応している。
向野市長は「ご両親の心中を察すると、慰めの言葉もない。なぜこんなことになったのか。強い怒りを感じる。市として支援したい」と語った。
市は幹部2人を香田さん宅に派遣したが、両親には会えていない。(産経10/31 11:43)
●遺体発見場所は治安悪い一帯
【カイロ】香田証生さんの遺体が発見された場所は、バグダッド市内中心部のハイファ通り沿いの一角だった。この通りはチグリス川西岸を川と平行するように走る。首が切断された遺体は30日夜(日本時間31日未明)、警察官らにより発見されたという。
イラク暫定政府の内務省報道官によると、頭部は胴体の脇に置かれていた。AP通信によると、遺体は長い黒髪で、ジーンズ姿にベージュ色のシャツ、黒色下着姿だった。後ろ手に縛られ、足もロープで縛られていた。殺害されてから間もなかったという。また遺体の上には星条旗(米国旗)が置かれていたという。
遺体はその後、市内のメディカルセンターに収容。日本政府は在バグダッド大使館の現地スタッフ2人を同センターに派遣して身元確認を急いでいた。
遺体が見つかった現場周辺はバグダッド市内でも特に治安が悪い一帯という。(毎日10/31 10:52)
●救出の糸口つかめず、最悪の結末に 政府
「残念ながら、今度は本人であると確認された」。日本時間の31日未明にバグダッド市内で発見された遺体が、イラク武装勢力の人質となっていた香田証生さん(24)と確認され、外務省幹部は悲痛な表情で語った。30日には香田さんの安否情報が混乱し、政府は無事解放に向けた態勢を立て直したばかりだったが、結局救出への糸口すらつかめず、最悪の結末を迎えた。
遺体発見の直後、政府にはバグダッドの日本大使館を通じて「バグダッド中心部で首を切断された日本人男性とみられる遺体が発見された」との情報が入った。午前4時すぎから首相官邸、外務省には幹部が続々とかけつけ、情報収集と確認作業に追われた。幹部はいずれも固い表情で「はっきりするまで何も申し上げられない」「確認すべきことがいろいろとある」などと語った。
午前5時40分すぎに外務省に到着した町村信孝外相は「今、最終確認中だ」とだけ語り、地下1階のオペレーションルームに向かった。同7時20分すぎに首相官邸に到着した細田博之官房長官は「まだ分からない」を繰り返した。
小泉純一郎首相も同9時45分ごろ、東京・東五反田の首相公邸を出発。記者団の「遺体は確認されたのか」との質問に対して、終始無言のまま首相官邸に向かった。(毎日10/31 10:49)
●バグダッドの男性遺体、香田証生さんと確認 指紋が一致
イラクのバグダッド市内で30日夜(日本時間31日未明)、首を切られたアジア人男性の遺体が見つかり、政府は31日朝、イスラム過激派グループ「イラク・アルカイダ機構」に拘束されていた日本人旅行者、香田証生さん(24)と確認した。町村外相が同日午前に記者会見し、「大変残念なことに、これが香田さんの遺体であることを確認した」と語った。
遺体から採取した指紋が、香田さんのものと一致したという。町村外相は「(香田さんが)テロの犠牲になられたことは誠に痛恨の極みであり、ご家族に心からのお悔やみを申し上げたい」と述べた。さらに「今回のテロは卑劣きわまりない行為であり、強い憤りを覚える。断じて許すことができない。日本として国際社会と協力し、今後も断固たる姿勢でテロとの戦いを続けないといけないと考える」と述べた。
遺体はバグダッドの中心部ハイファ通りに近いヤシ林に放置されていた。現地警察が市内のメディカルセンターに移送。日本大使館のイラク人警備員2人が派遣され、身元の確認作業を進めた。ここで採取した指紋を東京に電送し、警察庁の専門家の意見を踏まえ、香田さんのものと同一であると判断したという。遺体はクウェート経由で日本に搬送する見通し。
武装グループは26日夜(日本時間27日未明)、香田さんを拉致したとする映像をイスラム系ウェブサイトに流し、48時間以内に自衛隊を撤退させなければ殺害すると警告した。だが、小泉首相は27日、「自衛隊は撤退しない」と拒否していた。 (朝日10/31 10:45)
●バグダッドの男性遺体、香田さんと確認 イスラム過激派が殺害か
イラクの首都バグダッドで日本時間の31日未明、首を切断された若いアジア人男性の遺体が見つかり、日本政府は同日午前、イスラム過激派を名乗る武装組織の人質になっていた福岡県出身の香田証生さん(24)と確認した。政府は、国際テロ組織アルカーイダとの関係が指摘されるアブムサブ・ザルカウィ幹部が率い、香田さんを拉致した「イラク聖戦アルカーイダ組織」が殺害したとみている。
同組織はウェブサイトで27日、南部サマワに駐留する自衛隊を48時間以内に撤退させなければ首を切断すると脅迫していた。
イラクでの日本人殺害は昨年11月の奥克彦大使ら外交官2人、今年5月のフリージャーナリストの橋田信介さんら2人に続き5人目。人質にとられる形では初めて。
香田さんは今年1月にニュージーランドに渡航し、9月からイスラエルに滞在。10月20日夕、ヨルダンの首都アンマンを夜行バスで出発、21日にバグダッドに着いた。23日昼前、バグダッドのバス停で目撃されたのを最後に消息が途絶えていた。
香田さんは、聖戦アルカーイダがウェブサイトに流した映像で「小泉(首相)さん、彼らは自衛隊の撤退を求めています。さもなくば僕の首をはねると言っています。すみませんでした。また日本に戻りたいです」と日本語で語っていた。
同組織は、これまでにも欧米人や韓国人らを拉致し惨殺していた。
政府は30日、米軍が香田さんと似た遺体をイラクで発見したと発表したが、検視で別人と判明していた。(共同10/31 10:12)
●首を切断された遺体発見 アジア系男性か バグダッド
AP通信によると、イラクの複数の治安当局者は30日、バグダッドで頭部を切断された若いアジア人男性とみられる遺体が見つかったと語った。中東の衛星テレビ、アルアラビーヤによると、イラク暫定政府の内務省報道官も、日本人とみられる遺体を発見したと発表した。
イラクでは香田証生さん(24)=福岡県直方市=が武装勢力の人質となっており、日本政府が情報収集と身元確認を急いでいる。
遺体は反米武装勢力の活動が活発な中心部のハイファ通り近くで見つかった。両手を後ろ手に縛られ首を切られた遺体と、頭部があったという。遺体は救急車で地元の病院に搬送された。
香田さんを拉致したとする「イラク聖戦アルカーイダ組織」はウェブサイトで26日(日本時間27日)、南部サマワに駐留する自衛隊を48時間以内に撤退させなければ、首を切断すると脅迫していた。
聖戦アルカーイダは、国際テロ組織アルカーイダとの関係が指摘されるアブムサブ・ザルカウィ幹部が率いている。(共同)
≪米軍も入れない危険地帯≫
日本人の可能性がある遺体が30日見つかったバグダッドのハイファ通りは、市内中心部に近く、チグリス川の西岸をほぼ平行する形で北西から南東に走っている。一部は武装勢力が拠点を築いており、市内で最も危険な場所の一つだ。米軍ですら簡単に入れない「ノー・ゴー・ゾーン」(立ち入り禁止区域)といわれる。
通りは高級マンションが林立し、旧フセイン政権時代は、政府高官や支配政党バース党員らが特権として部屋を与えられていた。しかし旧政権崩壊直後から反米武装勢力が入り込み、米軍車列に対する爆弾攻撃も相次いだ。
マンション群の裏側には、古い一戸建て住宅が並び、武装勢力が逃げ込むには格好の場所。シリアなど外国から来た「イスラム戦士」も多いとされる。そのため「イラク聖戦アルカーイダ組織」を率いるザルカウィ幹部らが潜伏しているとされるバグダッド西方ファルージャになぞらえ、「リトル・ファルージャ」と呼ぶ人もいる。
通りの南東端は米英の大使館や国際会議場、暫定政府庁舎などが集まる米軍管理区域「グリーンゾーン」に続いている。ハイファ通りは、グリーンゾーンへの度重なる攻撃の出撃拠点ともみられている。(共同10/31 08:32)
●遺体の指紋採取、鑑定へ 政府、確認作業急ぐ
バグダッドで首を切断された若いアジア人男性とみられる遺体が見つかったと連絡を受け、日本政府は31日未明、イラクで武装勢力の人質になった香田証生さん(24)=福岡県直方市=の可能性もあるとして、情報収集と確認を急いだ。遺体の指紋などを採取してバグダッドの日本大使館に持ち帰り、専門家に鑑定を依頼する考えだ。
首相公邸で連絡を受けた小泉純一郎首相は「事実関係をよく確認してほしい」と指示した。
高島肇久外務報道官は31日朝、緊急記者会見し、大使館職員を病院に派遣し身元確認作業に入ったことを明らかにした。高島氏によると、日本時間午前3時半ごろ、イラク保健省から在イラク日本大使館に対して「イラク市内で(日本人とみられる)遺体が見つかった。香田氏の身体的特徴と一致するか確認している」との連絡があった。遺体の状況については「報告する内容を持ち合わせていない」と述べるにとどめ、詳細を明らかにしなかった。
首相官邸には午前4時すぎから、柳沢協二内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)、警察庁の瀬川勝久・警備局長、飯島勲首相政務秘書官ら関係者が集まり、外務省や現地の日本大使館と連絡を取り合った。外務省のオペレーションルームにも、町村信孝外相、竹内行夫事務次官らが入った。
官邸筋は「遺体の見つかった場所がバグダッド市内であり、確認にはそれほど時間がかからないだろう」との見方を示した。
≪外務報道官の記者会見要旨≫
外務省の高島肇久外務報道官が31日朝、イラク邦人人質事件に関して行った記者会見の要旨は次の通り。
高島氏 今朝3時半ごろ、イラク保健省からバグダッドの日本大使館に「バグダッド市内で遺体が見つかった。(人質の)香田証生氏の身体的特徴と一致するかどうか確認している」と連絡があった。大使館関係者2人を遺体が安置されている同市内のメディカルセンターに派遣し確認作業をしている。
−遺体の状態は。
高島氏 今の段階で報告する内容は持ち合わせていない。
−派遣したのは医務官か。
高島氏 現在、バグダッドは深夜で大変危険。大使館の警備をしている地元の人に行ってもらった。
−最終確認は誰がするのか。
高島氏 しかるべき人間がしかるべき手段で判断する。(病院に派遣した2人は)遺体の身元が確認できるようなさまざまな材料を入手して持ち帰ってくることになっている。
−家族に連絡したか。
高島氏 イラク保健省から連絡があったことは家族に連絡した。(産経10/31 08:04)
●アンマンの現地対策本部は緊迫 アジア系男性の遺体発見
イラク邦人人質事件の現地対策本部があるアンマンの日本大使館は、バグダッドで日本人の可能性がある遺体が見つかったとの情報が流れた30日夜、職員が電話連絡に追われるなど緊迫感が高まった。
関係者によると、現地対策本部長の谷川秀善外務副大臣も夜になって大使館に駆けつけた。
夜が更けても明かりがともる大使館の前には30人ほどの報道陣。同じような光景は、拉致された香田証生さんと別人と判明した遺体発見情報で混乱した29日から2夜連続となった。
対策本部関係者は「あらゆる可能性を考えて事実関係を確認している。これ以上は話せない」とこわばった声で話した。(共同10/31 06:42)
●人質、共同通信「殺害」と誤報…地方・ブロック紙掲載
イラクで福岡県の香田証生(しょうせい)さん(24)が武装勢力の人質となった事件で、共同通信社が30日に「香田さんの殺害が確認された」との誤った記事を配信、ブロック紙や地方紙の多くが夕刊で「殺害」「遺体発見」と報道する事態となった。
共同通信の記事は、北海道新聞、岩手日報、河北新報、中日新聞、西日本新聞、熊本日日新聞、南日本新聞などが1面トップで掲載、社会面でも大きく関連記事を取り上げた。
共同通信はこの日午前3時過ぎ、政府与党関係者の話として「遺体は香田さんに間違いない」と配信。政府が午後3時半過ぎ、「遺体は香田さんではない」と明らかにすると、午後4時前、「記事を取り消す」と加盟社に誤報を認める「おことわり」を配信した。
しかし15分後には「事実の確認を続ける」と取り消し、4時間近くたった午後8時過ぎ、「情報の判断ミスが誤報につながった」と配信し直した。
この記事をもとに、香田さんの地元・福岡県の西日本新聞は朝刊で「殺害」と報じた上に、夕刊でも「遺体発見」とし、福岡市など一部地域で記事を差し替えて夕刊を配り直した。 (読売10/31 00:19)
●遺体の身元確認で混乱 揺れた現地対策本部
「あす一番でドーハに行く」「やはりアンマンにとどまる」−。イラク邦人人質事件の遺体の身元確認をめぐる混乱で、アンマンにある日本政府の現地対策本部の対応はわずか半日のうちに大きく揺れ動いた。
現地対策本部長の谷川秀善外務副大臣は29日夜(日本時間30日未明)の記者会見で、拉致された香田証生さん(24)と身体的特徴が一致するとされた遺体の搬送先だったドーハにできるだけ「速やかに向かう」と言明。対策本部の事務方は30日午後にドーハに向かう便の予約に入った。
ところが遺体は30日早朝、ドーハではなくクウェートに到着。しかも最終的に香田さんとは別人と判明した。谷川副大臣は同日朝の記者会見で「当面アンマンにとどまり解決に向け指揮を執る」と強調した。
一方、日本の報道陣も29日夜にはドーハ入りしようと飛行機の予約に懸命になったものの、事態の混迷で30日にはキャンセルするなど振り回された。(共同10/30 22:58)
● 「振り出しに戻った」細田官房長官
細田博之官房長官は30日夜、イラク邦人人質事件について「振り出しに戻りました」と述べ、拘束されている香田証生さんの解放に向け、全力を挙げる考えをあらためて示した。
一方、細田氏は「ちょっと反省しなくてはいけないことがあるかも。連絡に」と指摘、米軍と日本政府との間で人質の生命に関する情報の混乱があったことを認めた。ただ米軍からの情報提供について「向こうも善意だから」と述べた。(産経10/30 22:54)
●遺体は香田さんと別人 特徴に大きな相違点
政府は30日夜、イラクのバラドで発見された遺体について、イスラム過激派を名乗る組織に拉致された福岡県直方市出身の香田証生さん(24)とは別人と最終的に確認した。遺体を搬送したクウェートで日本大使館の医務官が検視した。米軍が当初香田さんに似ていると伝えてきた遺体の身体的特徴と相違点が多いため、再度照会した結果、バラドで発見された同一遺体で、香田さんとは別人と判明した。
政府はあらためて香田さんの消息確認、救出にに向けて、イラク暫定政府や各国に協力を要請する方針だ。最終確認まで情報が錯綜(さくそう)し、政府内が混乱したことから、小泉純一郎首相は30日午後、正確な情報を把握するよう指示した。
記者会見した細田博之官房長官によると、この遺体の死亡推定時から相当時間が経過していることに加え、歯型、虫歯の治療跡、外見などが香田さんと明らかに異なったという。高島肇久外務報道官は「日本人の遺体ではない」と述べた。
遺体は現地時間の29日午前、米軍がイラク北部のティクリートとバグダッドの間のバラドで発見し、身長、体重、後頭部の髪の状態が香田さんと一致した部分があると日本政府に伝え、米軍機でクウェートに移送した。
これを受け、政府は高島外務報道官が30日未明に緊急記者会見し、確認作業を急ぐ考えを表明。細田長官らも首相官邸に急きょ集まり、対応を協議していた。(産経10/30 19:18)
●同一遺体か確認急ぐ 搬送は香田さんと別人
政府は30日午後、米軍がイラクからクウェートに搬送した遺体について、イスラム過激派を名乗る組織に拉致された福岡県直方市出身の香田証生さん(24)とは別人と発表した。クウェートの日本大使館の医務官が検視、細田博之官房長官が記者会見で明らかにした。しかし、米軍がイラク・バラドで発見し、当初香田さんに似ていると伝えてきた遺体の身体的特徴と相違点が多いため、政府は同一のものか、確認を急いでいる。
細田長官によると、検視した遺体は、死亡推定時から相当時間が経過していることに加え、歯型、虫歯の治療跡、外見などが香田さんと異なるという。高島肇久外務報道官は「日本人の遺体ではない」と述べた。クウェートには複数の遺体が運ばれている。
米軍は現地時間の29日午前、イラク北部のティクリートとバグダッドの間のバラドで遺体を発見。身長、体重、後頭部の髪の状態が香田さんと一致した部分があると日本政府に伝えた。
政府は連絡を受け、高島外務報道官が30日未明に緊急記者会見し、確認作業を急ぐ考えを表明。細田長官らも首相官邸に急きょ集まり、対応を協議していた。(産経10/30 16:59)
●「遺体は香田さんと別人」 細田官房長官
細田博之官房長官は30日午後、イラクのバグダッド北方で発見された遺体について、在クウェート日本大使館の医務官が確認したところ、武装グループに拘束された福岡県直方市出身の香田証生さん(24)ではないと発表した。首相官邸で記者団に語った。
細田長官は、香田さんと違うとした理由として(1)歯型が全く違う(2)虫歯の治療跡が違う(3)背丈や後頭部の髪の状態が違う(4)死亡推定時刻が相当に前とみられる−−などをあげた。細田長官は「総合的なことから専門家が(香田さんではないと)判断した」と語った。
発見された遺体は日本時間30日正午ごろ、米軍がクウェートに移送し、日本大使館の医務官が確認した。ただ、遺体移送の際、遺体を取り違えた可能性について、外務省の高島肇久外務報道官は同日午後の会見で「当初(米側から)連絡を受けたものと同一の遺体かどうか念のため確認している」と述べた。政府に入った連絡によると、米軍はバグダッド北方約80キロのバラドで遺体を発見したとされる。
ヨルダン人のイスラム過激派ザルカウィ幹部の率いる「イラクの聖戦アルカイダ組織」がインターネットのウェブサイトで香田さん拘束を公表したが、30日夕現在、新たな犯行声明は確認されていない。(毎日10/30 15:54)
●日本の警察権及ばず 捜査は難航必至
イラク・バラドで発見された遺体が香田証生さん(24)と特定されれば、今後は犯人グループの特定と身柄の拘束が焦点となる。だがイラク国内では日本の警察権が及ばないうえ、不安定なイラク国内情勢、現地警察当局の不十分な態勢などから、捜査は難航が予想される。
海外で起きた事件は、たとえ被害者が日本人であっても、捜査、裁判権は現地の警察・司法当局にある。今年6月に主権移譲を受けたイラクでは、イラク警察が今回の事件の捜査に当たる。
日本も昨年、刑法を改正し、海外で日本人が重大犯罪の被害に遭った場合、犯人に日本の刑法が適用できるようにした。しかし、イラクとは身柄の引き渡し条約もなく、犯人が日本国内で逮捕されない限り、現地で裁判を受けることになる。
警察庁は27日、「国際テロリズム緊急展開班」(TRT−2)を隣国ヨルダンに派遣し、情報収集をしてきた。同庁幹部は「当面、遺体発見時の状況について米軍側から情報提供を求めるなどして、今後の方針を詰めることになる」と話す。主に情報面でイラク警察の捜査を支援していく。
しかしイラク警察は、国内で続発する外国人の人質事件、イラク人の子どもや富裕層を狙った誘拐事件にも十分対応しきれていない。今回の事件は、国際テロ組織アルカイダのザルカウィ幹部が率いる組織による犯行との見方が強いが、組織の実態は未解明だ。
日本人が被害に遭った事件でも▽昨年11月に奥克彦大使、井ノ上正盛書記官が殺された事件▽今年4月、2度にわたり日本人計5人が拉致された事件▽5月にフリージャーナリストの橋田信介さん(当時61歳)らが殺害された事件のいずれも、犯人グループの実態は全く分かっていない。
一方、警察庁は、日本人を標的とした今回の事件に危機感を強めており、国内でもイスラム原理主義過激派の関係者などが潜伏していないかどうか警戒を強める。国内のイスラムコミュニティーなどを中心とした関連情報の収集や、重要施設のテロ警備を徹底する。(毎日10/30 14:10)
●「生きていると信じる」 望みつなぐ香田さん家族
予想もしないイラクでの拘束が伝えられてから3日間、無事を祈り続けた家族に悲報が届いた。香田証生さん(24)の遺体が見つかったとの連絡が米軍からあった30日朝。実家の母、節子さん(50)は「まだ生きていると信じている」と悲痛なつぶやきを繰り返した。
証生さんの両親や兄妹、親類らのいる福岡県直方市の実家。外務省から連絡が入った30日午前2時半ごろ、静かだった1階の部屋に急に明かりがともり、慌ただしく動く人影が窓に映った。
夜明けを待たず、市や福岡県警の職員が相次いで到着。朝になって駆けつけた父、真澄さん(54)のいとこの男性が真澄さんに言葉を掛けると「大丈夫だ」とだけ答えた。
家族らが押し黙った重苦しい空気の中で、節子さんは「まだ(身元が)確認されたわけじゃない」と何度も強調したという。
人質となった証生さんの映像が流れた27日、両親は「なぜイラクに。心を測りかねている」と驚きを素直に語った。
政府は犯人グループの自衛隊撤退要求を当初から拒否。「単なる旅行者という印象」と不快感をあらわにする閣僚もいた。批判の電話は実家に相次ぎ、家族らは苦しい立場に追い込まれた。
「心の優しい子。イラクの役に立とうと思っていたはず。どうか息子を返して平和のために仕事をさせてやってほしい」。上京して取材にこたえた節子さんと兄、真生さん(26)は哀願に近い言葉で訴えた。
だが願いは届かず、迎えた最悪の事態。直方市によると、両親はショックで寝込んでしまったという。
家族に代わって親類が市に伝えたのは「身元が証生とはっきり確認されるまでは動かない」という言葉だった。(産経10/30 13:46)
●遺体発見で各党も対応協議
イラクでの日本人と見られる遺体の発見を受け、与党と民主党も30日未明から幹部が対応を協議した。
与党は午前5時、武部・自民、冬柴・公明の両幹事長らが出席して「イラク人質事件対策会議」を自民党本部で開き、細田長官から遺体の状態などの説明を受けた。政府が遺体の身元を確認した段階で、与党の見解をまとめることを決めた。
民主党は午前4時半から、鳩山由紀夫「次の内閣」外務担当らによる「イラク人質事件緊急対策会議」を党本部で開いた。 (読売10/30/13:47)
●香田さんとみられる遺体、指紋と歯型で最終確認へ
イラク・バラドで発見された邦人人質事件の被害者、香田証生(こうだ・しょうせい)さん(24)=福岡県直方市出身=とみられる遺体は、現地の夜が明けるのを待ち、日本時間30日午後に米軍機でクウェートなどの米軍基地へ搬送、待ち受ける在クウェート大使館の医務官が最終的な本人確認をする予定だ。
身元確認は日本から電送した香田さんの指紋と歯型で行うという。
谷川秀善外務副大臣ら現地対策本部のスタッフもヨルダンから駆けつけ、作業を見守ることにしている。(産経10/30 13:46)
●遺体発見現場・バラド、反米感情の強い地域
日本人と見られる遺体が発見されたバラドは、「スンニ派三角地帯」内に位置し、反米感情の強い地域。最近は、外国人テロリストが多く流入していることで知られる。
バラドは、ヨルダン人テロリスト、アブムサブ・ザルカウィ容疑者が潜伏しているとされるファルージャの北方約80キロにある小都市。最近は、駐留米軍を狙った爆弾攻撃が多発。
バラド北西約30キロのサマッラでは今月初旬、米軍が掃討作戦を行い、武装グループ100人以上が死亡した。サマッラでは米軍による制圧後も自動車爆弾攻撃が相次いでいる。
また、バラドはイラク元大統領サダム・フセインの出身地ティクリートの南方約80キロに位置し、イラク戦争前には国連査察団がここにあった軍事訓練施設を生物化学兵器の関連施設として立ち入り調査した。 (読売10/30 13:42)
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