29. 2015年2月03日 00:27:08
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2015.2.2 05:02 【主張】 後藤さん殺害映像 残虐な犯罪集団を許すな 対テロで国際社会と連携 【過激組織「イスラム国」】 http://www.sankei.com/column/news/150202/clm1502020002-n1.html 過激組織「イスラム国」に拘束されていたジャーナリストの後藤健二さんが殺害されたとみられる残忍な映像が、インターネット上に公開された。 後藤さんとともに拘束されていた湯川遥菜さんも、すでに殺害されたとみられている。残虐で卑劣な犯罪行為である。どんな主張があるにせよ、暴力や恐怖によって相手を屈服させようとするテロリズムを許すことはできない。 安倍晋三首相は「テロリストたちを決して許さない。その罪を償わせるために国際社会と連携していく」と述べた。 日本の歩むべき道は、テロと戦う国際社会とともにあることを強く再確認したい。 ≪覚悟持つ社会の醸成を≫ 後藤さんはこれまで、主に紛争や貧困など厳しい環境にある子供たちの姿を追い、書籍や映像で伝えてきた。後藤さんを知る多くの人が、彼の生還を待っていた。彼の新たな報告や作品を待っていた。殺害が事実なら、それもかなわぬこととなる。 後藤さんと湯川さんが拘束された映像が流れたのは1月20日だった。ナイフを手にした男は身代金として2億ドル(約236億円)を日本政府に要求した。安倍首相が中東歴訪中に表明した、避難民に対する人道支援の額と同額である。 金額の多寡に関係なく、これを受け入れるわけにはいかなかった。テロに屈すれば新たなテロを誘発する。身代金は次なるテロの資金となり、日本が脅迫に応じる国であると周知されれば日本人は必ずまた誘拐の標的になる。 音声は日本政府を批判し、日本国民には政府に圧力をかけるよう要求した。これに呼応する形で国内の野党や一部メディアから同様の批判の声が相次いだが、日本の国民は冷静だった。 産経新聞社とフジニュースネットワークが実施した合同世論調査によると、イスラム国による脅迫事件への政府の対応について58・9%が「取り組みは十分」と評価し、67・3%が身代金を「支払うべきでない」と答えた。 後藤さんを殺害したとみられる映像は再び音声で日本政府を批判し、「日本にとっての悪夢の始まりだ」と脅した。理不尽な脅迫に対峙(たいじ)するためには、政府が毅然(きぜん)とした態度をみせるとともに、国民一人一人がテロに対して揺るがぬ心を持つ、覚悟を持った社会の醸成が必要となる。事件の責任を日本政府に求めるのは誤りだ。憎むべきは、テロ集団である。 イスラム国は2度目の脅迫画像をネット上に公開した際に身代金の要求を引っ込め、イラク人死刑囚の釈放を要求した。3度目の画像で後藤さんはイスラム国に捕らわれたヨルダン軍パイロットの写真を持たされ、パイロットの殺害も予告していた。 死刑囚は2005年にアンマンで60人以上の尊い生命を奪った連続爆破テロの実行犯である。逮捕されたのは自爆装置の起爆に失敗し、不発に終わったためだ。釈放には多くのヨルダン国民が反対し、ヨルダン政府もパイロットの生存確認を最優先させた。 ヨルダンの懸命の対応には感謝すべきで非難することは誤りだ。テロに屈しない。自国民の保護を優先させる。いずれも批判の対象とはなり得ない。両国の立場が逆だったとしても同様である。 ≪日本として責任果たせ≫ オバマ米大統領は「安倍晋三首相や日本国民と連帯し、この野蛮な行為を糾弾する。われわれは中東や世界の平和と繁栄を前進させるため、日本が着実に取り組んでいることを称賛する」などとする声明を発表した。 キャメロン英首相は「人命を一顧だにしない悪の権化」だと、イスラム国を強く非難した。 中東やアフリカなどイスラム圏の20カ国・地域からなる「在京アラブ外交団」は1月27日、「イスラムの気高い教えや原則をかたってこのような野蛮な行為が行われたことに対し、遺憾の意を表する」と声明を発表していた。 忘れてならないのは、「イスラム国」は国ではなく、犯罪集団であり、イスラム社会にとっても敵であるという事実だ。 安倍首相は改めて「日本がテロに屈することは決してない」と述べ、中東への人道支援をさらに拡充することを表明した。今後もイスラム諸国を含むテロと戦う国際社会と連携し、日本としての責任を果たさなくてはならない。
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