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http://mewrun7.exblog.jp/22769615/
2015-01-31 07:08
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先日、イスラム人質事件でイスラム国に殺害されたと見られている湯川遥菜氏が、民間の軍事会社創設に至った経緯について書いたのだけど。(関連記事『IS人質事件、1人殺害か+湯川の民間軍事会社設立までの経緯』)
イスラム人質事件に関して、非常に興味深い視点から書かれているコラムがあったので、ここにアップしておきたい。
このコラムを書いた黒藪哲哉氏は、湯川氏を安倍政権下の新自由主義と軍事大国化が生んだ最初の戦死者として見ているのである。(・・)
『【コラム 黒薮哲哉】安倍政権下の新自由主義と軍事大国化が生んだ最初の戦死者、(株)民間軍事会社(PMC)の顧問は自民党の元茨城県議
【1月30日、さくらフィナンシャルニュース=東京】
ニュースを読み解く際の視点は、メディアが「ある事実をどのように報道しているか、を見るとともに、どのようなニュースについて伝えていないか、を見ることが重要になってくる」(故新井直之創価大学教授)。
イスラム国に関する報道で、日本の新聞・テレビがほとんど報じなかった事実のひとつに、湯川遥菜氏の職業がある。(ただし死後は、職業を公にしている)
湯川氏は、(株)民間軍事会社(PMC)という企業の設立者である。通常、軍隊に関する業務は、国家の管轄になるが、それを私企業として代行するのが、この種の会社の役割である。つまり戦争関連業務の民営化である。
公的なものを民間へゆだねることで、市場を創出する新自由主義政策の中で、PMCは誕生したと言っても過言ではない。いわば橋本内閣(1996年成立)以後の自民党が押し進めてきた新自由主義と軍事大国化の中で生まれた会社である。
安部内閣は、昨年の4月に閣議決定により、武器輸出を原則禁止から、条件付きで認めることを取り決めた。こうした軍事大国化の流れの中で、民間企業が海外の紛争地帯で、戦争ビジネスを展開できる温床ができあがったのである。
湯川氏が設立したPMCの顧問は、自民党の元茨城県議・木本信男氏である。 この民間企業が紛争地帯でどのようなビジネスを展開しようとしていたのかについての詳細は、不明だが、いつくかのヒントがある。
たとえば湯川氏がみずからのFACEBOOKで公開している射撃訓練の様子である。
■射撃の動画(https://www.facebook.com/video.php?v=267679746756545&set=vb.100005435643985&type=2&theater)
ちなみに湯川氏は元?航空幕僚長の田母神俊雄氏とも関係があったらしく、両氏が撮影された数多くの写真が存在する。
◇恣意的に客観性を欠いた報道
新聞・テレビが積極的に報じない2つ目の事実は、米国とその同盟国がイスラム国に対して激しい空爆を行っている事実である。たとえば、1月23日付け「ロイター」の報道によると、米国の同盟国は、前日に25回に渡ってイスラム国を空爆している。
また、欧米だけではなく、ロシアや中国もからんでいる石油利権についても、故意に報じていない。資源の収奪という問題が隠されているのだ。民族自決権を蹂躙(じゅうりん)しているのは、「先進工業国」の側であるという重い事実がある。
なお、報道用語について言えば、日本の新聞は、イスラム国の軍隊に対して「イスラム過激派」という言葉を使っている。海外の報道は、単なるIslamic State militants(イスラム州戦士)である。
改めて言うまでもなく、イスラム国は現在、戦時下である。戦時下では、戦闘に参加する者は、敵味方を問わず、すべて「過激派」である。米国主導の空爆も、イスラム国による捕虜殺害も、同じ蛮行である。
ところが日本の新聞は、イスラム国は過激派で、米国とその同盟国は過激派ではないという間違った前提で報道を続けている。その姿勢が、「過激派」という言葉の選択にも現れている。
なお、テレビ画像の解析に関して、注意しなければならない点がある。それはイスラム国側の軍隊が、黒い覆面をしている映像が、視聴者に恐怖感を与えている点である。覆面をしている理由は単純で、敵対国側のブラックリストに顔写真が登録されるリスクを避けるためである。従って、この点を考慮して、公正中立の立場から画像を読み解かなければならない。
(下につづく)
* * * * * ☆
◇湯川氏と後藤氏の質的な違い
戦争報道では、こうした基本的な解釈を踏まえなければならないはずだが、日本の新聞・テレビは、今回の事件の舞台が戦時下にある点をきれいさっぱりと忘れている。故意にさけているのではなく、おそらく認識できていないのではないかと思う。これが安倍首相ら「戦争を知らない人々」の実態だ。
政府の対応も同じ初歩的な問題をはらんでいる。他国に乗り込んで戦争ビジネスの準備をしていた湯川氏と、ジャーナリストとして正当な活動をしていた後藤健二氏を、同一に捉えて対処しているわけだから、救出できるはずがない。
湯川氏に関しては、最初から釈放の意思など毛頭なかったはずだ。「捕虜」として認識していた可能性が高い。それゆえに裁判(後述)を予定していたのである。
イスラム国にしてみれば、湯川氏と行動を共にしていた後藤氏を湯川氏の仲間と勘違いするのは当然である。激しい空襲の下で、スパイ行為に対しては極めて敏感になっていることが推測される。これがしばしば内ゲバの引き金になったりする。それゆえにスパイ活動に対しては、極めて厳しい。
と、なれば政府は、湯川氏と後藤氏の質的な違いをはっきりとイスラム国に伝えたうえで、湯川氏の助命と後藤氏の釈放を求めるべきだった。
◇イスラム国との窓口を破壊したのは公安警察
政府は繰り返し、イスラム国との窓口がないことを強調していた。しかし、意外に知られていないが窓口はあった。少なくとも昨年の秋までは、窓口が存在していた。
結論を先に言えば、窓口は、ジャーナリストの常岡浩介氏と中田考同志社大学教授のふたりである。昨年の11月14日、常岡氏は、特定秘密保護法違憲訴訟原告団が主催した集会で講演し、その中で、次のような事情を説明した。
常岡・中田の両氏は、イスラム国から公式の招待申し出を受けた。湯川氏の裁判の通訳として、イスラム国に来るように要請があったのだ。ところが公安警察が、特定秘密保護法の「予行演習」のつもりだったのか、常岡氏の自宅を家宅捜索し、計画がつぶれてしまったのだ。
常岡氏らが予定どおりに出国していれば、事態は変わっていたかも知れない。
ちなみに紛争地帯への「人道支援」の資金は、軍の関係者が横領することが少なくない。慎重に行わなければ、かえって人殺しに資金に変質する。【了】』
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ところで米国のブッシュ政権ががイラク戦争で、民間の軍事会社に各地の管理を委託していたのは有名な話だが。米国ではレーガン政権の頃から、民間の軍事会社を使うようになっていて。近時は、できるだけ国の予算や責任を削減のために、軍事政策、戦争まで民営化しちゃおうという流れが進んでいるような感じがある。(~_~;)
そして、黒藪哲也氏は、湯川氏が民間の軍事会社を創設しようとしたのは、安倍政権の新自由主義政策の影響が大きいと見ている。
しかも、『民間会社と「日本軍」の協力というモデルが出来るのではないかと推測される。徴兵制にすると、日本人の平和意識を目覚めさせるからだ』とのこと。この見方も実に興味深いものがある。(~_~;)
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『【コラム 黒薮哲哉】私設の軍事会社と戦争の民営化の関係、現地リクルートの兵士で日本兵の輸送費などの大幅削減が可能に
【1月30日、さくらフィナンシャルニュース=東京】
イスラム国で戦死した湯川遥菜氏が設立した(株)民間軍事会社(PMC)のようなビジネスが、浮上してきた背景には、新自由主義、武器輸出の原則解禁、それに軍事大国化など安部内閣が押し進めている政策がある。
民間の軍事会社は、今後、その数を増していくと思われる。事実、湯川氏の会社も、シリア、イラク、トルコ、アフリカに支社(OVERSEAS BRANCH)を持っている。
改めて言うまでもなく、戦争に関する業務は、伝統的に国家が管轄してきた。そこに民間企業が参入してきたわけだから、戦争そのものの民営化にほかならない。
<下につづく>
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◇新自由主義とは?
ちなみに新自由主義の基本的な政策は、国家の財政を縮小することで、大企業の税負担を軽減し、国際競争力を高めることである。また、同じ目的で、弱小企業を淘汰する。さらに労働条件を国際水準に引き下げたり、司法制度を海外の基準に修正することで、海外からの投資を呼び込む。すなわち「世界一、企業が活動しやすい国」の条件を整備するのだ。
が、単に「小さな政府」をつくって、市場原理に経済をゆだねるだけではない。
公的なサービスを縮小し、それによって出現する需要を民間企業に提供することで、新市場を生み出す。その典型的例が、郵政民営化である。また、医療の公的部分を縮小して、質の高い医療は私費で行う体制である。これにより経費を削減すると同時に医療市場を生み出す。
さらに大学をはじめとした教育機関を少数のエリート育成の機関にして、その目的に合致しない学校は、補助金をカットするなどして切り捨て、公的な負担を縮小する。現在の企業には、少数エリートしか必要ないとする考え方が新自由主義者の中にあるからだ。こうした安倍政権の政策をあげると際限がない。
わたしはどこまで民営化が進むのか、暗い好奇心を抱いてきたが、結果的に軍事部門までが、民営化の方向へ向かっているとは想像もしなかった。
◇なぜ、戦争の民営化なのか?
軍事部門における民営化の典型例は、傭兵の派遣会社である。この方式は、「小さな政府」を目指す国家にとっては、さまざまなメリットがある。具体的には、
(1)傭兵を現地でリクルートするので、兵隊の派遣費用がゼロ円になる。
(2)戦死者に対して国が責任を負わないので、補償問題が生じない。
(3)先進工業国よりも、第3世界の方が傭兵のリクルートが簡単。
(4)地理的な感がない日本兵では戦力にならないゲリラ戦にも、現地傭兵で対応できる。
◇レーガン政権と新自由主義
わたしが知る限り、傭兵による戦争が本格化したのは、1980年代のニカラグア内戦である。1979年に首都を制圧したFMLN(サンディニスタ民族解放戦線)による革命政権に対して、右派が起こした内戦である。が、右派の背景には、米国のレーガン政権がいた。
レーガン政権はコントラと呼ぶ傭兵部隊を組織し、米国民に対しては、「フリーダム・ファイターズ」と命名して、その正当性を主張した。さすがにコントラの主体は、民間軍事会社ではなかったが、国家予算を削減する目的は達した。
傭兵のリクルート先は、もともと中央政府に対して民族自決の意識が極めて高かったニカラグアのカリブ海よりの地域だった。ここで傭兵を集め、米軍が直接戦闘に参加するのではなく、兵士に対して軍事訓練をほどこし、戦闘員としたのである。
レーガン大統領は、イギリスのサッチャー首相、チリの独裁者ピノチェトと並ぶ初期の新自由主義者である。そのレーガン大統領の下で、米軍の派遣は司令官とトレーナーだけに限定することで、経費を抑え、しかも、米軍に代って傭兵を投入する「代行戦略」が確立したのである。
日本も将来的には、米国と同じ方向性をもった軍事行動のスタイルを目めざす可能性が高い。しかも、コントラとは異なり、民間会社と「日本軍」の協力というモデルが出来るのではないかと推測される。
徴兵制にすると、日本人の平和意識を目覚めさせるからだ。
ちなみに米国が日本に軍事部門の協力を迫っている背景にも、米国の新自由主義政策があると見て間違いない。戦争に莫大な国家予算使いたくないからだ。
◇戦争中という認識がない
その意味では、ジャーナリズムは、今後、私設の軍事会社を監視対象にしなければならない。
しかし、日本の新聞・テレビは、(株)民間軍事会社が戦死者を出した背景を正確に伝えていない。湯川氏の死を、一般的なテロによる死としてしか報じない。確かにテロには違いないが、それ以前に、空爆や銃撃も含めて、刃物による人質の殺害も、広義の戦闘行為であることを忘れている。
今、イスラム国と日本の間で起こっていること、そのものが戦争の実態なのだ。【了】
黒薮哲哉(くろやぶてつや)/フリーランス・ライター、ジャーナリスト
1958年兵庫県生まれ。会社勤務を経て1997年からフリーランス・ライター。「海外進出」で第7回ノンフィクション朝日ジャーナル大賞・「旅・異文化テーマ賞」を受賞。「ある新聞奨学生の死」で第3回週刊金曜日ルポ大賞「報告文学賞」を受賞。『新聞ジャーナリズムの正義を問う』(リム出版新社)で、JLNAブロンズ賞受賞。取材分野は、メディア、電磁波公害、ラテンアメリカの社会変革、教育問題など。著書多数。「MEDIA KOKUSYO』
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以上 THANKS
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