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2015年01月29日
まだ後藤氏は健在だったのは良いことだが、残念ながら、“Kenji Goto Jogo is no longer a prisoner of the Islamic State.”(ジャーナリストの健二後藤は、もはやイスラム国の捕虜ではない)とアブドゥル・アイルと云う戦士がTwitterの情報は、正しくはなかったようだ。結局、IS側の主張は、当初と何ら変わりなく、リシャウィ死刑囚と後藤氏の交換であり、パイロットのカサースベ中尉の交換には一言も触れていない。
彼に関しては、即座の処刑か延命までであり、解放に関しては一切触れない戦術を頑なに守っている。後藤氏とパイロットでは、捕虜の格付けが異なるようで、イスラム国やヨルダンにとって、ヨルダン・パイロットは真っ黒な捕虜。後藤氏はグレーな捕虜と云う立場にあるようだ。筆者の就寝後、事態は以下のように展開した。朝日の記事を引用して追いかけてみる。注目すべきは、何らなの交渉接点が存在し、時間が半日延長されたことだ。この辺に希望を持ちたい。
≪ 日本時間のきょう深夜を期限 後藤さん名乗る新たな音声
過激派組織「イスラム国」に拘束されたフリージャーナリストの後藤健二さん(47)を名乗る男性による新たな画像と音声のメッセージが29日、ネット上に投稿された。イラク時間の29日日没(日本時間同日午後11時半ごろ)までに、後藤さんとサジダ・リシャウィ死刑囚を交換する用意ができなければ、「イスラム国」に拘束されたヨルダン軍パイロットが即座に殺害されるだろうと述べている。
後藤さんとみられる男性の映像や画像、音声が公開されたのは4回目。今回は映像や写真がなく、静止画像にアラビア語で書かれた文章と同じ内容を男性が英語で話す音声が流れる。 男性は冒頭で「私は後藤健二だ」と名乗り、「この音声メッセージを送るように言われた」と続ける。
「イスラム国」がヨルダン政府に釈放を求めているサジダ・リシャウィ死刑囚について、「(イラク北部)モスルの29日木曜日の日没までに、トルコ国境で私と交換する用意ができなければ、ヨルダン人パイロット、ムアーズ・カサースベ(中尉)は即座に殺害されるだろう」と結ぶ。画像のアラビア語の文章では「殺害されるだろう」を含む最後の一文のみ赤い文字で強調されている。
モスルは「イスラム国」が勢力範囲とする拠点都市。メッセージは「トルコ国境」について、具体的な場所は明示していない。
ヨルダン政府は交渉を継続している模様だ。後藤さんの安否に関する情報は明らかにしていない。
ヨルダンのジュデ外相は米CNNに対し、拘束されたヨルダン軍パイロットのカサースベ中尉の救出をめざす一方で、後藤さんの解放も合わせて「イスラム国」と交渉していると語った。ヨルダンが求めるパイロットの生存の証拠が得られていないとしており、交渉が難航している可能性もある。交渉を仲介したというイラク国内の部族長は「交渉は12時間延長された」と朝日新聞に語った。
ヨルダン国営放送は28日、カサースベ中尉が解放されればリシャウィ死刑囚を釈放する用意がある、としたモマニ・メディア担当相の発言を報じたが、後藤さんには言及しなかった。
ヨルダンのアブドラ国王は28日夜、カサースベ中尉の家族と面会した。早期解放を求めた父親によると、国王は「安心してほしい。(交渉に)全力を尽くす」と語ったという。
日本政府は現地でヨルダン政府にも協力を要請し、情報収集などを続ける。後藤さんの安否確認について、中山泰秀外務副大臣は「実際にオンゴーイング(継続中)で進んでいる問題」などとして詳細を明らかにしていない。 ≫(朝日新聞デジタル:渡辺丘、渡辺淳基=アンマン、鈴木暁子)
パイロットの生存確約がヨルダン側の最重要課題のようだ。しかし、ISはパイロットの交換を条件には一切していない。ヨルダン政府の最重要な要求が、パイロットの生存確認と云う点に注目しておくことも大切だ。生存していないパイロットの延命手段とし、ヨルダン政府がリシャウィ死刑囚を解放したのでは、ドジな汚点だけが残される。表向き、パイロットの家族や国内世論に配慮して、パイロット交換をメインで交渉しているように見せているヨルダン政府の動きだが、その前提として、生存を確認する必要があると強く主張している。まだ、パイロットに関しての解放交渉は窓口にもなっていない可能性がある。
このような、極めてセンシティブな状況下においても、我が国の首相は、自分の言葉が、事件の経緯に、それ相当の影響力が及ぶことを、まったく考慮しない、自己陶酔発言を繰り返している。IS側に、あの発言はアメリカ用で、本当はこう云うことです等と伝えられるくらいなら、日本政府が交渉できるわけで、その発言は、ISへのメッセージでもある。
安倍は今日の予算委員会でも声高らかに、≪「無辜の市民を巻き込んだ卑劣なテロ行為は断じて許せない。強く非難をする」、「世界情勢はテロ事件の頻発により緊迫度を増している。もはやどの国もテロの脅威から安全な国はないと言ってもいい」、「テロを恐れるあまり、脅かしに屈するようなことがあれば日本人に対するさらなるテロの誘発を生み、卑劣な暴力を行使する者の意図がまかり通る世界になってしまう」≫等と相も変らぬ発言をしている。
交渉は一切しないと言いながら、ヨルダン政府を通じて、交渉をして貰っているのだから、脅しに屈しないと口で言いながら、「どうなってる、どうなった」と閣僚同士でもぞもぞやっているのも醜い。テロは許さない、脅しに屈していはならない、と云うのであれば、ここは言葉通り泰然自若の様子が窺えても良いものだが、あっちとの交渉は、こっちとの接点はと、動き回っている姿は、庶民受けはするだろうが、論理的には矛盾している。
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