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与党・自公、最高裁へ圧力で言論弾圧 名誉棄損基準緩和と賠償高額化、原告を点数化も
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150129-00010000-bjournal-soci
Business Journal 1月29日(木)6時1分配信
元最高裁判所裁判官で明治大学法科大学院教授の瀬木比呂志氏が、今月16日に上梓した『ニッポンの裁判』(講談社現代新書)内で衝撃の告発をしている。2001年頃から与党である自民・公明党の圧力により、最高裁を中心に裁判所が名誉棄損の主張を簡単に認めるように基準を変え、賠償額も高額化させ、謝罪広告掲載要求なども積極的に認めるようになったことで、両党による実質上の言論弾圧が行われているというのだ。同書は最高裁の内幕を描く作品として、早くも法曹界を中心に大きな反響を呼んでいる。
告発内容を紹介するに当たり当時の状況を振り返ってみると、01年初頭、当時の森喜朗首相は度重なる失言問題により各メディアから猛烈な批判にさらされており、公明党も最大の支援組織・創価学会批判キャンペーンに悩まされていた。森首相は00年4月に、小渕恵三前首相が脳梗塞で倒れ緊急入院したことを受けて首相に就任した。
しかし就任早々、新聞各紙の「首相動静」について「ああいうのはウソを言ってもいいんだろ」と発言。マスコミの抗議に対して森氏は平身低頭の態度を取らなかったため、マスコミの態度も硬化していった。同年5月、森氏は「日本は天皇を中心とした神の国」と発言し(「神の国発言問題」)、同年6月には衆院選をめぐり「無党派層は寝ていてくれればいい」と発言。さらに同年10月の英ブレア首相との会談において「北朝鮮による日本人拉致被害者を第三国で行方不明者として発見する案」を、日本政府が北朝鮮との協議で提案したことを漏らすなど数々の失言で、メディアや世論から批判を浴びた。
ここからが瀬木氏の告発で明らかになったことだが、同書によれば、このような状況を受け自公は、01年3月〜5月にかけて衆参法務委員会などで「名誉棄損裁判をどうにかしろ」と、裁判所を突き上げていた。そして最高裁は与党の意向を受け、裁判所の名誉棄損の基準を変更することを検討し、その結果、裁判所と関係の深い法律誌である「判例タイムズ」(01年5月15日号)が、「名誉棄損損害賠償請求については、500万円程度の賠償が相当」という元裁判官の論文を掲載した。
発売直後の01年5月17日には、最高裁に属する司法研修所で損害賠償の実務のあり方についての研究会が行われ、その研究会の趣旨が同誌(01年11月15日号)に掲載された。『名誉棄損による慰謝料額の定型化のための算定基準』と題されたその資料では、名誉棄損の損害賠償額の算定方法がマニュアル化され、賠償額算定基準のうち原告の社会的地位について、タレントは10点、国会議員・弁護士等は8点、その他は5点という設定がされている。これは、その行動について監視と報道が行われるべき政治家に対する名誉棄損については、高額な賠償を認めることを意味している。
同誌は新しい法律に関する最高裁事務総局の見解が掲載される雑誌であり、裁判官たちは掲載論文を最高裁による暗黙の「業務命令」と理解する。与党の圧力を受けた最高裁が、論文発表というわかりにくいかたちでカムフラージュして、裁判官たちをコントロールしたとも受け取れる。こうした狡猾なやり口を、最高裁事務総局に勤務経験のある瀬木氏が告発したのだ。さらに、01年の司法研修所の研究会では「謝罪広告についても積極的に認めよ」とも主張されていたという。
このようにして、与党の圧力により、最高裁が名誉棄損の基準をガラリと変え、さらに賠償額は高額化し、言論の自由を脅かしたのである。
●裁判の国際常識を逸脱する日本の裁判所
瀬木氏は同書内で、裁判所が安易に名誉棄損を認めるようになった具体例として、以下の事件を取り上げている。
「週刊文春」(文藝春秋/12年7月19日号)は、日本経済新聞社の喜多恒雄社長が借りている高級賃貸マンションに、同社の女性デスクがたびたび宿泊していると報じた。同社は名誉棄損だとして1億7200万円と謝罪広告を求めて文藝春秋を提訴。この裁判では、女性デスクがマンションに宿泊していたのは事実だと文藝春秋が立証したのを受けて、日経新聞が「女性デスクが宿泊していたのは、同マンションの別部屋に住む十年来の知人A氏宅だ」とする主張を展開した。
しかし、喜多社長とA氏がわずか155戸の高級マンションに偶然住んでいる確率など、ほとんどゼロに等しい。瀬木氏は当サイトの取材に対し、次のように解説する。
「このような事実認定を行うためには、『別の知人』の氏名や、デスクとの関係が明らかにされることが必要です。また、その知人や喜多社長、女性デスクの尋問を行うのが民事裁判の常識であり国際標準です。そうした手続きも踏まずに日経新聞の主張を全面的に認めるのは、非常識も甚だしい。文藝春秋側は、喜多社長や女性デスクの尋問を求めましたが、裁判所はこの本人尋問申請を却下し、陳述書のみで事実認定を行っています。これは、あまりに偏った裁判の進め方、訴訟指揮でしょう。真実性、真実と信じたことの相当性の証明を文藝春秋側に厳しく求める一方で、日経側の主張に対する文藝春秋側の抗弁立証の機会を認めず、結局、真実性や相当性についてきちんとした審理を行わないまま原告の請求を認めてしまっています。こんな偏った裁判で東京地裁は日経側の主張を採用して名誉棄損を認め、文藝春秋に1200万円もの損害賠償を命じ、さらに文藝春秋、日経各紙面への謝罪広告の掲載まで命じたのです。高裁もこれを是認してしまいました。昔なら考えられない裁判の進め方で、手続的な正義がないがしろにされています」
本裁判は現在、最高裁に上告されている最中にあるが、最高裁が裁判所の過ち、腐敗を正すことができるのか、世論の注目が集まる裁判となっている。
●恫喝裁判横行の懸念も
以上のような裁判所の現状を受け、事件の加害者側が弁護士を雇い被害者側を名誉棄損で提訴する恫喝訴訟が頻発するようになっている。瀬木氏は語る。
「日経の裁判でも、裁判官の常識として、『別の知人』の特定、原告らとその別の知人の尋問ということはすぐ頭に浮かびます。これは万国共通の手続的正義、手続保障であり、日本の裁判官の常識でもありました。裁判はその実体的側面とともに手続的側面、手続保障、手続的正義も重要です。それを踏みにじっている判決なのです。このような訴訟の進め方には、週刊誌に対する偏見も感じられます。裁判官は感情を殺してでも中立であるべきであり、当事者の一方に偏るべきではない。これも世界標準であり、万国共通の思想です。裁判官が最初から偏見を持ってしまえば、民事でも刑事でも憲法・行政訴訟等でも、公正な裁判などありえなくなってしまいます。
要するに、日本の裁判は今や、民事まで世界標準を逸脱してしまっているという、非常に危機的な状況なのです。スラップ訴訟、恫喝訴訟についても同書で触れていますが、米国では多くの州で恫喝訴訟を規制する法律がつくられているのに、日本では野放しという状況です。このままでは、日本の司法は世界の司法の悪い部分や遅れた部分ばかりつなぎ合わせたようなものになってしまいます。法律家として、深い危機感を感じます」
●求められる司法改革
昨年10月8日、韓国検察が朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉を棄損したとして、産経新聞前ソウル支局長を刑事で在宅起訴した。この事件について日本の菅義偉官房長官は次のように声明を発表している。
「特に民主主義国家では最大限尊重されるべき報道の自由との関係では、法執行は抑制的でなければならないと考える。そのことは国際社会の常識で、そうした国際社会の常識と大きくかけ離れており、本日中に政府としては韓国に事実関係の詳しい確認と、懸念をしっかりと伝達したい。報道の自由や表現の自由は極めて重要な問題である。民主国家としてはあるまじき行為だと考えている」
まさにこの菅官房長官の言葉通り、民主主義国家としておかしくなってしまった日本の裁判所の名誉棄損基準を、早急に是正することが求められている。
(文=編集部)
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