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きょう、1月27日は、「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」です。とりわけ今年はアウシュビッツ強制収容所の解放70周年を迎え、国連総会が、アウシュビッツ強制収容所が解放された1月27日を「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」と制定してから10周年にあたります。そうしたなか戦後70年における日本社会の劣化の一端を示す動きです。
朝日新聞の従軍慰安婦問題の報道については、すでに「吉田証言など一切関係なく安倍首相や櫻井よしこ氏の慰安婦ヘイトスピーチと二枚舌が国際的に批判されている」で全面展開していますので繰り返しません。上記報道の朝日新聞提訴についても同様で、「吉田証言など一切関係なく渡部昇一・上智大名誉教授やジャーナリストら8749人の慰安婦ヘイトスピーチが国際的に批判される」ことにならざるをえません。
朝日新聞の誤報そのものをどう見るかについては、ジャーナリストの青木理さんが、「日本社会が戦後70年経って歪んだ変質を遂げつつある中で起きた歴史的事件だ」として次のように語っています。
上記のように、青木理さんが指摘しているように、「朝日叩き」をするメディアは、メディアとして「異常」であり、この「異常」を許し続ける今の日本社会も「異常な状態」になりつつあるのではないかと危惧します。そして、「朝日叩き」に乗じて提訴までした「渡部昇一・上智大名誉教授やジャーナリストら8749人」は「深刻な病」に陥っている方たちだと思います。
以前、産経新聞社長と中曽根元首相が慰安所づくり自慢「女の耐久度、どこの女がいい悪い、3千人のための慰安所」というエントリーをアップして、日本軍が公的に慰安所づくりをしていたことを紹介しました。これはウソだとサンケイ出版などを相手取った提訴などを産経新聞社長と中曽根元首相は起こしていませんし、「渡部昇一・上智大名誉教授やジャーナリストら8749人」もサンケイ出版などによって「日本の国際的評価が低下し、国民の名誉を傷つけられた」とし提訴もしていないのでウソではないと確定できるでしょう。いやいや日本軍が公的に慰安所づくりをしてたのは認めるけど、「日本軍に組織的に強制連行された慰安婦かどうかが問題の本質なのだ」から産経新聞社長と中曽根元首相の慰安所づくり自慢などまったく問題ではないのだ、「渡部昇一・上智大名誉教授やジャーナリストら8749人」はとにかく「強制連行された慰安婦かどうかが問題の本質」で提訴しているのだ、と歴史修正主義者はここで言うのでしょう。ところが、この歴史修正主義者の理屈が正しいとするなら北朝鮮の拉致問題もなかったことになってしまうことは、「吉田証言など一切関係なく安倍首相や櫻井よしこ氏の慰安婦ヘイトスピーチと二枚舌が国際的に批判されている」で書いておきましたのでここでは繰り返しません。「渡部昇一・上智大名誉教授やジャーナリストら8749人」も国際的に批判される二枚舌はやめるべきです。
問題の本質が「強制連行」ではないことについて、元外交官だった東郷和彦氏やブッシュ政権時に国家安全保障会議上級アジア部長を務めたマイケル・グリーン氏が次のように指摘しています。
そもそも「強制連行」についても、加害国である日本の司法によってさえすでに事実認定されています。たとえば、「アジア太平洋戦争韓国人犠牲者補償請求訴訟」の東京高裁判決(2003年7月22日)では、「軍隊慰安婦の募集は、旧日本軍当局の要請を受けた経営者の依頼により、斡旋業者がこれに当たっていたが、戦争の拡大とともに軍隊慰安婦の確保の必要性が高まり、業者らは甘言を弄し、あるいは詐欺脅迫により本人たちの意思に反して集めることが多く、さらに、官憲がこれに加担するなどの事例も見られた」「軍隊慰安婦は、戦地では常時旧日本軍の管理下に置かれ、旧日本軍とともに行動させられた」と明記されていますし、オランダ人女性を強制的に慰安婦にした事実認定として、「スマラン事件」の公文書があります。そこには、「慰安所で女性を脅して売春を強制」「女性らに対し、売春をさせる目的で上記慰安所に連行し、宿泊させ、脅すなどして売春を強要するなどした」と明記されています。そして、日本軍の「強制連行」によって慰安婦にされたオランダ人女性8人の体験談を集めた『折られた花』(新教出版社)が昨年11月に出版されています。この『折られた花』の中で、性経験のなかった少女たちが日本軍に「強制連行」されて、毎日20人ほどの日本軍兵士たちに犯されたことなどが綴られています。
それから、「強制連行」もない上に「慰安婦は性奴隷でもなかった」のだから国際的に批判される問題ではないなどと主張される方は以下の読売新聞記者の記録を読んでください。
だまされて「慰安婦」にさせられた16歳、17歳の少女の状態が「日本軍性奴隷」であることを読売新聞記者も記録していた
「読売新聞の従軍記者 小俣行男氏の記録」
1942年5月か6月頃 ビルマ(現ミャンマー)
(朝到着した貨物船で、朝鮮の女が四、五十名上陸したと聞き、彼女らの宿舎にのりこんだとき)
私の相手になったのは23、4歳の女だった。日本語は上手かった。公学校で先生をしていたと言った。「学校の先生がどうしてこんなところにやってきたのか」と聞くと、彼女は本当に口惜しそうにこういった。「私たちはだまされたのです。東京の軍需工場へ行くという話しで募集がありました。私は東京に行ってみたかったので、応募しました。仁川沖に泊まっていた船に乗り込んだところ、東京に行かず南へ南へとやってきて、着いたところはシンガポールでした。そこで半分くらいがおろされて、私たちはビルマに連れて来られたのです。歩いて帰るわけに行かず逃げることもできません。私たちはあきらめています。ただ、可哀そうなのは何も知らない娘達です。16、7の娘が8人にいます。この商売は嫌だと泣いています。助ける方法はありませんか」
考えた末に憲兵隊に逃げこんで訴えるという方法を教えたが、憲兵がはたして助けるかどうか自信はなかった。結局、8人の少女は憲兵隊に救いを求めた。憲兵隊は始末に困ったが、将校クラブに勤めるようになったという。しかし、将校クラブ(将校専用の慰安所)がけっして安全なところでないことは戦地の常識である。その後この少女たちはどうなったろうか。
※出典 小俣行男著『戦場と記者 - 日華事変、太平洋戦争従軍記』冬樹社(1967年)より【きっこさんのTwitLongerから転載】
この読売新聞記者の従軍記も朝日新聞の慰安婦報道と同じで、ねじ曲げられた歴史を国際社会に広めるものだと言うのならば、読売新聞に対しても朝日新聞と同じように「日本の国際的評価が低下し、国民の名誉を傷つけられた」として批判し提訴しなければつじつまがあいません。
そうではなくこの読売新聞記者の従軍記を読んでも「慰安婦は性奴隷ではなく国際的に批判される言われはない」と考える方は、当時16歳や17歳の少女であった女性たちの人権を蹂躙し、セカンドレイプし、女性への性暴力容認、戦時性奴隷制肯定を扇動するヘイトスピーチを平気で行える方というほかありません。
朝日新聞の「慰安婦」報道が日本の国際的評価を低下させたのではなく、今回の渡部昇一・上智大名誉教授やジャーナリストら8749人による性奴隷・戦時性暴力肯定こそが日本の国際的評価を低下させ、国民の名誉を傷つけるのです。