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人質事件 日本は国際社会から「身代金を払う国」と見られる
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150127-00000001-pseven-soci
週刊ポスト2015年2月6日号
イスラム国が拘束しているジャーナリスト・後藤健二氏と民間軍事会社代表・湯川遥菜氏の殺害予告を行ない、2億ドルの身代金支払いを要求した(24日には湯川氏が殺害されたとする映像が公開された)。この問題で、安倍首相は「テロには屈しない」と強調しているが、日本政府は過去のテログループによる邦人人質事件で「身代金」を支払い、国際社会からは「カネを払う国」と見られている。
古くはダッカ日航機ハイジャック事件(※注1)で時の福田赳夫首相が「人命は地球より重い」という言葉で600万ドル(当時のレートで約16億円)の身代金を払ったうえに、服役中だった連合赤軍メンバーら6人を釈放。小渕内閣時代のキルギス日本人誘拐事件では、官房機密費から3億円の身代金が払われたことを後にキルギス政府関係者が明らかにしている。
【※注1】ダッカ日航機ハイジャック事件/1977年、拳銃や手榴弾で武装した過激派「日本赤軍」5名がフランス発羽田空港行きの日航機をハイジャックし、バングラデシュのダッカ国際空港で乗客を人質に日本政府と交渉。政府は超法規的措置として要求に応じた。
小泉内閣時代にイラクで日本人青年がアルカイダを名乗る組織によって殺害された事件(※注2)では、犯人側が犯行声明の中で日本政府から数百万ドルを支払うという申し出があったとしている。
【※注2】イラク日本人青年殺害事件/2004年、国際テロ組織アルカイダがインターネットで日本人青年を人質にとったと明らかにし、自衛隊のイラク撤退を要求。政府は撤退を拒否した。人質の青年は遺体で発見され、斬首の動画がネット上に配信された。
イスラム国は拘束した外国人の身代金を有力な収入源としている。米紙ニューヨーク・タイムズ(昨年10月26日付)によると、フランスやスペイン政府は自国民の人質解放のために1人あたり平均200万ユーロ(約2億7400万円)以上を支払ったという。
国連安全保障理事会の報告書ではイスラム国が最近1年間で得た身代金収入の総額は「3500万ドル(約41億円)〜4500万ドル(約53億円)」と推定されている。
英国の危機管理セキュリティ会社G4S社の日本法人役員などを務めた国際政治アナリストの菅原出氏が指摘する。
「身代金目的の誘拐事件は人質の存在を公表される前に解決するのがセオリーです。その方法でフランス人やスペイン人が救出されたケースは多い。しかしイスラム国側は今回、日本政府との交渉に行き詰まって首相中東訪問に合わせてビデオ公開に踏み切り、邦人人質を政治的デモンストレーションに利用した。イスラム国がビデオメッセージで身代金を要求したのは初めてであり、他の過激派組織にも、日本は標的にしていいという認識が広がった。
こうなると日本政府が今から要求に応じれば国際社会から批判を浴びるし、中東に滞在する邦人の危険が高まる。日本政府は非常に厳しい状況に陥った」
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