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2015年01月26日
今回の「イスラム国」による日本人人質事件は最悪のパターンで展開している。筆者は、今回の事件を時系列に沿って追いかけてみた時、日本政府及び対スラム国包囲網を米英中心に対ISIL有志連合60か国程度で構成している。この「対ISIL有志連合60か国」とは、如何にも巨大な実態があるように表現されているが、アメリカ一国が突出した軍事作戦であり、その空爆の規模も、イラク戦争などに比べて小規模なものである。
おそらく、「イスラム国」の実態が、倒すべき政権や国家の概念が定まっていないのだから、勝ち負けが、どこで決するかも判断のつかない戦いになっていることだ。つまり、魔女として血祭りにあげ、我々の勝利だと宣言できることの出来ない戦争なのである。このように、誰と誰が戦っているか判らない戦争は、ウクライナ内戦にも通じることで、誰が味方で、誰が敵か判らない戦争に西側中心に巻き込まれつつあると云う状況なのだろう。
アメリカ一国の腰が座っているかといえば、オバマは地上軍の投入はあり得ないと明言しているので、オバマ政権が続く限り、本腰は入れない。次の大統領がどうするかは、現時点でまったく不明だ。なにせ、カリフ(最高指導者)だと云うバグダーディーと云う人物が、本当に支配者として君臨しているのかさえ、明確ではない。21世紀の混沌を象徴するような、国家的勢力の誕生であり、国境なき国家のようで、本当は手の施しようがないのだろう。
しかし、世界の覇者として21世紀も出来るだけ長く君臨していたいアメリカにとって、「イスラム国」のような勢力の抬頭は看過しがたいのだろう。しかし、このような勢力乃至は人々は、西側諸国にとってはウィルスのようなもので、大手術を行えば、体中に拡散させる危険もあるのだから、塊である時点で殲滅したと叫びたい欲望が生まれるのも理解出来る。その意味で、「対ISIL有志連合60か国」はシンボリックだが実効性は怪しい。
にも拘らず、なぜこのような勝者なき戦争をしなければならないかだが、一つはアメリカの中東政策が、悉くイスラム的考えに跳ね除けられている問題が根底にあるようだ。そこで、戦略好きのアメリカが考えたことは、イスラム教徒の集団を分断統治するアイディアを考えついたのだろう。テロをするような野蛮なイスラム教信者はイスラムにあらずと云う構図を描いたのだろう。つまり、イスラム教文化圏から危険な思想(ジハードなど)を切除する方法に走った可能性がある。
しかし、21世紀の混沌と云うものは、なにもイスラム教文化圏だけの問題ではなく、富の偏在性であるとか、ナショナリズムであるとか、地球温暖化であるとか、核の小型化と拡散リスク‥等、混沌の要素は溢れているわけで、モグラ叩きのように、混沌の原因は潰しても潰しても生まれてくるだろう。しかし、米英仏独を含め、親イスラエルな中東諸国も含め60カ国以上が、「イスラム国」への十字軍として名目的にせよ、名を連ねたわけである。日本も、この十字軍に明確参加したとは言っていないが、相手方が、そうだと認定した以上、参加と同義になる。
彼らに、人道支援の範囲なのになど云う寝ぼけた主張が通じるわけもないので、日本政府のやっていることは、時間潰し、粛々とシナリオを実行する、一つのコマになっていると見るべきだろう。おそらく、アメリカの権力二重構造にあって、日本政府は議会側(共和党)の権力に阿り、そこからの一点突破を企てる話に乗ったのだろう。いわゆるネオコンの話に乗ったと云うことだ。無論、ネオコンと同じ周波数を持つ安倍晋三にしてみれば、渡りに船な話で、本気で救出するよりも、話が拗れればこじれるほど、自分の感情と同調する空気が国内に醸成される。
このような視点に立てば、軍国主義的風味の政権を作れたと自己満足できるわけで、意図して、湯川氏や後藤氏を人質に差し出したわけではないが、殆ど救わなければいけない理由を探す方が困難だ。「テロには屈しない」と断固たる態度を示しながら「テロ実行死刑囚を釈放してよ」なんて、口が裂けても言える理由がない。湯川氏にせよ、後藤氏にせよ、11月時点では、完全に捕虜になっているのを知った上で、衆議院選を実施して、全面的信任を得たと強弁し、親イスラエル中心(パレスチナ除く)の国を訪問し、2億ドルをばら撒き「イスラム国」の殲滅に協力すると宣言したのだ。
おそらく、このようなネオコンの話に乗った時点で、中東訪問もシナリオに含まれていただろうし、人質がどのような」扱いをされるだろうかも想定済みだったと推量する方が自然だ。なにも、安倍官邸が馬鹿阿保だから、こういうことになったと云うのは甘い考えで、起こるべきことを予期した上で、軍事国家の道に一歩また進む、ベターな口実が出来たと云うことだ。捕虜二名には悪いけど、運の悪いときにイスラム国などに捕まってしまったものだくらいの感想しか持っていないだろう。まあ、たしかに、両名ともリスクは承知で紛争地帯のシリアやイラクに自らの意志で言ったわけだから、政府が強く非難される可能性は低い。
現に、世論調査では、安倍たちは良くやっていると6割の人間が思っているのだから、どうしようもないだろう。世界の混沌と云うものは、こうして次から次と、世界の人間達に難題を投げかけてくるのだろう。正直、個人で、どれほど頑張ってみても、幾つもの仮説が成り立つわけだから、その推論にも限界がある。ただ、アメリカネオコンらが考えているシナリオも、とどのつまりには、行き詰るのだろう。勝者なき混沌は、あらゆる要因に対しても有効で、どこまで続くのか、想像もできない。以下は、幻のような「対ISIL有志連合」の実態を報じているロイターの記事である。口だけの有志連合60カ国に新たに参加する日本が、気がついたら突出したポジションに座っていると云う冗談のような事態も、安倍政権ではあり得るのだろう。
≪ 焦点:米主導のイスラム国掃討、有志連合の結束は続くか
[ワシントン 23日 ロイター] - イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」の掃討に向け、オバマ米大統領が「幅広い有志連合」を構築すると発表して約2週間。中東の有志国がシリアでの空爆に参加するなど、米軍事行動に対する国際協力の構図は固まりつつあるように見える。
しかし、各国の思惑には大きな差があり、オバマ大統領自身が数年かかる可能性もあると認める作戦で、有志連合が実際にどこまで結束できるかは依然不透明だ。イスラム国掃討作戦では、有志連合側の兵士や民間人に犠牲者が出るなどの難しい事態も予想される。 「幅広い有志連合を団結させる力は共通の脅威だ」。
こう語るのは、1991年の湾岸戦争時に米国主導の連合構築に携わったエドワード・ジェレジアン元米大使。 現在はライス大学ベイカー研究所の所長を務めるジェレジアン氏は、「(今回の)有志連合が、結束力の点でどの程度強いのかは分からない。それが大きな問題だ」と指摘した。
米中央軍によると、シリアで夜間に始まった空爆には、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダン、バーレーン、カタールが参加した。 米国や西側の当局者らは、「圧倒的多数」の爆弾やミサイルを投下したのは米軍だが、中東諸国の参加は地政学的に重要な意味を持つと語る。
西側と戦っているというイスラム国の大義名分を弱めることになるからだ。 中東諸国はこれまで、シリアの内戦ではそれぞれ異なる勢力を支援していた。サウジと同国周辺各国は、米国との軍事協力に反対する武装勢力から報復攻撃を受けるかもしれない。
一方、ヨルダンは、国境を接するシリアから流入する多くの難民の扱いに苦慮している。 ただ、匿名の米国務省の高官は、中東有志国とオバマ大統領・ケリー国務長官の間で行われた複数の会談では、「長期間にわたる」作戦遂行に「完全な合意」があったと明かしている。
別の同省高官によれば、サウジのアブドラ国王は今月11日に行われたケリー長官との2時間にわたる会談で、「必要なら空爆を含めて何でも協力する」と申し出た。 また、ケリー長官はその数日後、パリで会談したUAE外相に対し、サウジの後に続くよう要請。ヨルダンのアブドラ国王に対しては、今月に入ってアンマンで開催された夕食会で有志連合に参加するよう呼びかけ、19日にワシントンで行われた非公表の直前会合でも協力を求め たという。
<思惑交錯で「玉虫色」>
シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」のジョン・アルターマン副代表は、中東有志国の軍事力は米国に比べると非常に限られていると指摘。中東有志国はオバマ政権に「象徴的に」軍事支援を提供したが、実際の役割に変化は生じないと述べた。
中東有志国とは対照的に、これまで米国と軍事行動を共にすることが多かった英国とフランスは今回、武力行使は慎重に進めている。
フランスは、イラクではイスラム国を狙った空爆を数回行っているが、シリアでは実施しないとしている。 英国はここまで、人道支援物資の輸送支援のほか、諜報活動やクルド民兵組織への武器供与は行っているが、直接の戦闘行為には踏み込んでいない。
キャメロン英首相の報道官は23日、同首相はシリアでの空爆を支持しており、「ISIL(イスラム国の別称)の脅威に対する国際的な取り組みに英国がより貢献できる方策」について国連総会の場で協議すると述べた。
中東有志国の空爆参加は、米国主導の軍事行動に懐疑的な欧州の世論を変える可能性がある。 米国務省が公表した報告書には、イスラム国掃討に協力を表明した国として54カ国が名を連ね、その中には、自国東部で親ロシア派との深刻な衝突を抱えるウクライナも入っている。 米当局者によれば、グルジアからは、米国が支援するシリア反政府勢力の訓練を引き受けるとの申し出もあったという。
ただ多くの国は、政治的支援の表明にとどまっているようだ。 ギリシャのベニゼロス外相はロイターの取材に対し、米政府から具体的な要望は受けていないが、人道支援や軍事支援の用意はできていると説明。「われわれからの提案はまだ何もないが、政治的に言って、われわれも有志連合の一部だ」と語った。
協力国リストには入っているが、態度を明確にしていない国の1つは、北大西洋条約機構(NATO)加盟国でもあり、シリアと国境を接しているトルコだ。 一部のアナリストは、イスラム国が6月から拘束を続けていたトルコ人約50人が先に解放されたため、トルコは行動の選択肢が増えたと指摘する。 しかし、米当局者は、シリア人難民の大量流入に頭を悩ませているトルコは慎重姿勢を崩さないとみている。
トルコのエルドアン大統領は23日、米国主導の空爆について、軍事支援もしくは後方支援を提供することが可能だと表明したが、具体的な中身については言及しなかった。 ≫(ロイター:原文:Warren Strobel記者、翻訳:宮井伸明、編集:伊藤典子)
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