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2015年1月25日
湯川遥菜さんが殺害されたとの情報が伝えられている。
政府も信憑性が高いとしている。
公開されたyoutube動画では、後藤健二さんが話しているとの形態で、イスラム国の後藤さん解放の条件が示されている。
ここで示されているメッセージで最重要の部分は、交渉の期限とも言える時間についての言及である。
殺害されるまでの時間的猶予について
hours
の表現が用いられている。
「数時間」
の意味になる。
イスラム国は身代金の要求を人質の交換に変更した。
ヨルダンで拘束されている死刑囚の解放と後藤さんの解放を交換する条件が示された。
このメッセージが正規のメッセージであり、イスラム国が契約を履行するならば、ヨルダンで拘束されている死刑囚の開放が実行されれば、後藤さんは解放されることになる。
「人命第一」の対応を取るというのであるなら、直ちにヨルダンと交渉し、この取引を成立させねばならない。
重要な点は、時間的猶予が「hours」とされたことだ。
日本のマスメディア報道では、もっとも重要なこのタイムリミットについての説明がほとんど示されていない。
政府から圧力が加えられて、「数時間」という猶予期間に関する情報を伝えることが禁止されているのかも知れない。
イスラム法学者の中田孝氏が1月22日に外国特派員協会で記者会見を行った。
適正な見解を示している。
http://www.jiji.com/jc/v4?id=isis15010001
本ブログ、メルマガでもイスラム国による邦人に対する殺害警告事件の背景について、安倍政権の責任の重大性を指摘してきたが、同様の指摘が示されている。
改めて事実関係を摘示しておきたい。
安倍首相は昨年9月に国連総会出席のためにニューヨークを訪問した際に、イラクのマスーム大統領と会談した。
その際、
「日本は,イラク政府も含む国際社会のISILに対する闘いを支持しており,ISILが弱体化され壊滅されることにつながることを期待する」
ことを表明した。
この事実は外務省のサイトに明記されている。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/me_a/me2/iq/page1_000073.html
また、この直前に、安倍首相はエジプトのシシ大統領としている。
その内容を日経新聞が、
「首相「空爆でイスラム国壊滅を」 エジプト大統領と会談」
のタイトルをつけて報道している。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE24H0A_U4A920C1EAF000/
「安倍晋三首相は23日午後(日本時間24日朝)、エジプトのシシ大統領と会談し、米軍による過激派「イスラム国」掃討を目的としたシリア領内での空爆について「国際秩序全体の脅威であるイスラム国が弱体化し、壊滅につながることを期待する」と述べた。」
つまり、安倍首相は、イスラム国(ISIS=ISIL)に対する空爆と、空爆による壊滅を支持することを明言してきたのである。
ここで重要であるのは、湯川遥菜さんイスラム国に拘束されたとの情報がyoutube動画に投稿されたのが昨年8月17日であることだ。
イスラム国に邦人が拘束され、その人命が危険に晒されるなかで、安倍首相はイスラム国に対する宣戦布告とも言える発言を示したのである。
そして、後藤健二さんがイスラム国のラッカに入って予定の日程に戻れなかったのが昨年の10月27日。
そして、11月にはイスラム国から後藤さんの妻に10億円の身代金を要求するメールが送られた。
このことは、後藤さんの妻から外務省に伝えられた。
日本政府は後藤健二さんがイスラム国に拘束され、イスラム国が身代金を要求している事実を把握していたと考えられる。
実際、日本政府はイスラム国と身代金交渉を直接的に、あるいは間接的に行なっていた可能性が高い。
こうした経緯があるなかで、安倍晋三氏が1月下旬に中東訪問を行なった。
この訪問で、安倍首相は1月17日、エジプトで開かれた「日エジプト経済合同委員会」で中東政策について次のように述べた。
「イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。
地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します。」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/me_a/me1/eg/page24_000392.html
安倍首相は
「ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します」
と述べたのである。
邦人がイスラム国によって2名拘束されている。
この状況下で、「イスラム国と闘う周辺各国に2億ドルの支援を行う」ことを表明した。
この表明を受けて、イスラム国が邦人2名を殺害する警告を発したのである。
事態の経過が常軌を逸している。
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