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田原総一朗:日本人人質事件で対岸の火事ではなくなった「イスラム国」問題
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150122-00000002-fukkou-bus_all
nikkei BPnet 1月22日(木)22時53分配信
イスラム過激派組織「イスラム国」のメンバーと見られる男が人質として拘束している日本人2人について「72時間以内に2億ドル(約236億円)を払わなければ2人を殺害する」と脅すビデオ映像が1月20日にインターネット上に公開された。
■「日本の首相よ、自ら進んで十字軍への参加を志願した」
菅義偉官房長官は21日午前の記者会見で、「2人の男性は、ご家族による画像確認、諸情報を総合的に勘案すれば、湯川遥菜氏、後藤健二氏であると考えている」と述べた。
湯川さんは千葉市出身の会社経営者で、昨年8月にシリア北部で「イスラム国」に身柄を拘束されたとみられる映像が公開された後、行方がわからなくなっていた。後藤さんは仙台市出身のジャーナリストで、昨年10月、取材のためにトルコ経由でシリアに入国したとみられ、その後連絡が取れなくなっていた。
黒い服と頭巾で全身を覆ったイスラム国のメンバーと見られる男はビデオ映像で次のように語っている。
「日本の首相よ。あなたは『イスラム国』から8500キロ以上も離れているのに、自ら進んで十字軍への参加を志願した。我々の女性や子どもを殺し、イスラム教徒の家を破壊するために、誇らしげに1億ドルを提供した。したがって、この日本人市民の命の値段は1億ドルとなる。さらに『イスラム国』の拡大を防ぐ目的でイスラム聖戦士に対抗する背教者を訓練するためにもう1億ドルを提供した。したがって、このもう1人の日本人市民の命の値段も1億ドルとなる」
■昨年8月の空爆後から人質5人を殺害
中東訪問中だった安倍晋三首相は20日のエルサレムでの記者会見で、「人命を盾にとって脅迫することは許しがたいテロ行為で、強い憤りを覚える」と非難。「今後も国際社会と連携し、地域の平和と安定のために一層貢献していく。この方針を変えることはない」と強調した。
そもそも「イスラム国」とは何か。その組織はアルカイダ系などのスンニ派過激勢力が2006年に合流した旧イラク・イスラム国(ISI)を前身としている。シリア内戦で勢いをつけ、指導者アブバクル・バグダディが預言者ムハンマドの後継者であるカリフを名乗り、2014年6月、一方的に「イスラム国」の樹立を宣言した。現在、シリアとイラクにまたがる地域を支配し、シリア北部のラッカを「首都」としている。もちろん欧米諸国も日本政府も「イスラム国」を国家として認めていない。
彼らはイスラムの教えを極端に解釈し、統治に従わない者や敵対勢力を容赦なく斬首する。また、昨年12月にはイラク北部で拉致した少数派ヤジャディ教徒の女性や子どもを、戦闘員に「戦利品」として分け与えるなどの奴隷制を復活させたとしている。
「イスラム国」は、米国が昨年8月に「イスラム国」への空爆を始めた直後から、人質となっていた米英のジャーナリストや援助活動家、NGO(非政府組織)職員、元兵士の合計5人を次々に殺害してきた。いずれの場合も殺害を予告し、実行する映像をネット上に公開している。
■2億ドルの人道支援を「馬鹿げた決定」と決め付ける
こうした残忍な行為を続ける「イスラム国」は、イスラムの大義を掲げているが、それは現実性のない大義であって、現在のシリアやイラクの体制を破壊しようとしているテロ集団にしか思えない。「イスラム国」には具体的にどんな展望があるのか、私には見えてこない。
その「イスラム国」が日本人2人を人質として2億ドルを要求する事件を起こしたきっかけは、安倍首相の中東訪問(エジプト、ヨルダン、イスラエル、パレスチナ自治政府)にあったようだ。
特に、「イスラムの敵」であるイスラエルを訪問したこと、そしてエジプト・カイロでの演説で、総額25億ドルの経済支援を行うとしたうち、「イスラム国」の台頭に伴う難民支援などのためにトルコやヨルダンなど周辺国に2億ドルを無償資金協力として供与するとしたことが、事件に大きく影響しているようだ。
2億ドルの支援については、声明映像の中で「あなたたちの政府の馬鹿げた決定」と断定しているが、それは違う。日本からの医療や食料の提供は、街や国を追われた人たちへの不可欠な人道支援だ。「イスラム国」と対決するためでも、「イスラム国」に向けた攻撃でもない。
■「イスラム国」問題は対岸の火事ではなくなった
今回、日本人2人が人質として捕らえられたことで、「イスラム国」問題は対岸の火事ではなくなった。日本国としてこの人質問題にどう対応するか、非常に難しい問題だ。
もし、日本が2億ドルを支払えば、米英をはじめ世界の国々から「テロリストに屈した」と手ひどい非難を浴びるだろう。しかも、日本政府は人質で脅せば身代金を払うものと足元を見られ、今後も類似の事件が起こりうる。
1977年、日本赤軍が日航機をハイジャックした「ダッカ日航機ハイジャック事件」では、当時の福田赳夫首相が「一人の生命は地球よりも重い」と述べ、身代金600万ドル(当時16億円に相当)を支払い、さらに日本で死刑判決を受けていた過激派メンバーを釈放した。この「超法規的措置」により、日本は世界中から非難を浴びた。それをまた繰り返すわけにはいかないだろう。
では、2人の人命を犠牲にして、要求された身代金を払わないのか。新聞各紙はこの問題を取り上げ、「2人の人命を尊重し、『イスラム国』と交渉を」と言っている。どのように交渉を行うのかはきわめて難しい問題である。
「暴力には屈しない」というのが世界の潮流である。それを考えれば、日本政府は、人質解放に向けてぎりぎりの交渉をしながら身代金は支払わない、という毅然とした態度をとるしかないだろう。
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