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2015年1月22日
安倍晋三氏は昨年9月に国連総会出席のためにニューヨークを訪問した際に、イラクのまあすーと大統領を会談した際に、
「日本は,イラク政府も含む国際社会のISILに対する闘いを支持しており,ISILが弱体化され壊滅されることにつながることを期待する」
ことを表明している。
このことは、その内容を明らかにしている外務省サイトに掲載されている。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/me_a/me2/iq/page1_000073.html
また、日本経済新聞は、これに先立つ9月23日に行われた、安倍首相とエジプトのシシ大統領との会談について、
「首相「空爆でイスラム国壊滅を」 エジプト大統領と会談」
の見出しで、次のように伝えている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE24H0A_U4A920C1EAF000/
「安倍晋三首相は23日午後(日本時間24日朝)、エジプトのシシ大統領と会談し、米軍による過激派「イスラム国」掃討を目的としたシリア領内での空爆について「国際秩序全体の脅威であるイスラム国が弱体化し、壊滅につながることを期待する」と述べた。」
安倍首相は、空爆によるイスラム国(ISIS=ISIL)の壊滅支持を明確に宣言している。
この安倍首相が、この1月17日、エジプトで開かれた「日エジプト経済合同委員会」で中東政策について、次のようにスピーチした。
「イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。
地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します。」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/me_a/me1/eg/page24_000392.html
安倍首相は
「ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します」
と述べたのである。
その内容はともかく、安倍首相は、空爆によってイスラム国を壊滅することを支持し、このイスラム国と闘う周辺国に2億ドルを拠出することを表明したのである。
問題は日本が直面している局面である。
邦人である湯川遥菜(はるな)さんと後藤健二さんがイスラム国に拘束されている状況下で、安倍首相が
「空爆によるイスラム国の壊滅を支持し」
「イスラム国と闘う周辺諸国に2億ドルを拠出する」
ことを公式の場で発言し、これが日本政府の公式サイトに掲載されているのである。
これでは、人質の危険を日本政府が誘導したと批判されても仕方がないということになる。
この責任は極めて重いと言わざるを得ない。
一連の背景にあることは、日本が米国の手先に成り下がろうと率先していることである。
日本は日本国憲法を保持し、平和主義を外交の基本に据えてきた。
ところが、安倍晋三氏は、この基本を捨て去り、日本が、米国が創作する戦争に積極的に加担する道を選択しようとしている。
安倍氏はこれを「積極的平和主義」と呼んでいるが、噴飯ものである。
原発推進を原子力の平和利用の美辞麗句で包み込んできたことと通じるものだ。
2003年に米国はイラクに対して侵略戦争を実行した。
この戦争に日本も加担した。
米国はイラクが大量破壊兵器を保有していることを根拠に軍事侵攻したが、イラクから大量破壊兵器は発見されなかった。
日本は米国が創作する戦争に加担するのではなく、戦争を回避するために知恵を出し、仲介の労を取るために力を尽くすべきなのである。
これが本当の意味の「積極的平和主義」である。
今回の人質事件では、すでに人質解放についての水面下での取引があったと思われる。
英、米は、イスラム国と取引せず、人質の殺害を容認してきているが、これ以外の国では、イスラム国と交渉を行い、人質を救出してきている。
日本政府は2億ドルの要求を表面化される前に、この問題の解決を図るべきであった。
問題解決を図らずに、イスラム国に宣戦布告するような言動を示してきたことは、安倍政権外交の重大な失敗であると言わざるを得ない。
人質殺害のタイムリミットが迫るなかで、日本政府は人命第一の対応を迅速に取るべきである。
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