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2015年01月19日
2015年1月19日です。
このところの寒さは特にお腹と頭にズキズキと響いてきます。早く雪が降ってほしい。皆様いかがお過ごしでしょうか。私は民主党代表選挙の投開票を音声だけ聞きながら、ある本を読んでいました。それは、歴史家の故・鳥居民(とりいたみ)氏の大著【『昭和20年』(草思社文庫)】(【】内は原文太字;転載投稿者)の第一巻です。この大著は昭和20年の時点であの十五年戦争のキーマンの動きを振り返るという歴史本で、鳥居氏の語り口がわかりやすいこともあって、非常に読みやすい本です。
冒頭で鳥居氏は近衛文麿を中心にした重臣政治家の動きを描き、そこから近衛の持つ人脈や外交思想について語っていくのですが、その中で大きく鳥居氏が取り上げていたのが、「爾後国民政府を相手にせず」という近衛内閣の蒋介石の国民政府否認策について。
支那事変を巡っては現地の参謀本部のほうが政府よりもハト派で柔軟であり、近衛内閣の閣僚は陸相の杉山元、海相の米内光政も強硬派だったということが詳しくかかれているのですが、重要なのは近衛声明を誰が書いたかという点で、そのことを追求して行く中で、鳥居民氏が中溝多摩吉という三多摩の壮士について語っているところで、当時、この中溝を中心にした青年団を率いていたような壮士(要するに院外団、ゴロツキ)たちが、民政党と政友会の議員たちに向けて、「政党解消運動」の署名活動をしていた、という話に触れているところです。本筋よりも私がオッと思ったのはその部分です。(というか本は未だ読んでいる最中)
この政党解消運動の背景には、一国一党論があり、それは共産主義に対抗する「防共護国団」という団体と連動していたのですが、この壮士たちが、財界からカネを引っ張って、二大政党の議員たちの家に押しかけて、強い挙国一致体制を作るために、政党解消運動への賛同をなかば脅しつけて署名させた、というふうに書いてありました。
さて、民主党の代表選挙では、一般大衆受けのする細野豪志が敗れ、前に代表を務めていた岡田克也元外相が二度目の代表当選となりました。民主党代表選挙はもともと国民一般は有権者ではないうちわの選挙で、党員サポーターもほとんどが労働組合などの組織のメンバーではないかと思います。そういう選挙ですから、労組の団結を重視する岡田氏が勝ってしまうのは当然といえばそうなのですが、よりにもよって、自民党から「やりやすい」と言われていた岡田氏が選ばれるというのは、この民主党というのは何処を向いているのだろうと思わない訳にはいかない。
もともと、この代表選挙は衆院選で海江田代表が落選して辞任しなければ、今年の9月に行われる予定でした。ところが海江田落選により、急遽行われることになり、その結果、岡田氏の任期は岡田氏の任期は「就任3年目の9月末」とする党規約に基づき、2017年9月末までとなっています。
衆院選のあと学ばなければならない反省は、野党がまとまらなければ選挙では大きな失点を犯していない自民党・公明党が必ず勝つというものでした。ところが、岡田氏は代表戦の冒頭で、細野豪志元幹事長が「維新と組もうとしている」ということを暴露し、党内の組織を揺さぶりました。長妻氏を支持していたのは左派系の自治労や日教組でしたから、これらの勢力を代表する赤松グループや輿石東参議院議員らは、最終的に岡田支持に回ったようです。
細野氏が受けていたのは、小沢グループの後継である階猛らをメンバーとする自分のグループ「自誓会」、それから党内最右翼の長島昭久元防衛副大臣の「国軸の会」といったグループでした。岡田代表は決選投票の前の演説では露骨に長妻氏の支持層へのリップサービスも忘れなかった。演説を聞いてみて、どっちが一般有権者の前を向いていたかと問われれば、それは細野氏でしたが、組織内選挙では岡田氏の方が上だったのでしょう。この岡田氏の根回しは投票直前に終わっていたのでしょう。
細野氏が、代表戦の一回目の投票の前に行った演説は「私には夢があります」というフルーズを使ったものでした。その夢とは「2020年のオリンピックを東京だけではなく被災地での開催とし、その時に民主党が政権を奪還している」というものだったのですが、それはともかく、このフレーズは2010年の代表選挙で、小沢一郎元代表が使ったスローガンと同じです。岡田氏が細野氏を破って勝利したということは、小沢氏を追放した「民主党6人衆」らが、「まだ小沢の息がかかっているから細野はダメだ」という判断をしたということなのでしょう。細野氏を支持した中には長島昭久のような保守系もいましたが、同時に小沢系もいた、ということで、民主党は小沢系と保守系には主導権を与えない、ということかもしれません。
それにしても、民主党代表で飛び交った言葉でわからないのは「中道」はまだいいとして、「リベラル」という言葉です。民主党議員たちはリベラルという言葉をきちんと定義しているとは思えません。自民党が保守だから自分たちはリベラルという程度の気分でしょうし、細野陣営の馬淵澄夫氏などは「リベラル保守」というわけのわからない言葉をメルマガで使っていました。
「リベラルなのか、保守なのか、リバータリアンなのかはっきりせいよ」と言いたい。保守であるがリベラル寄りなのか、リベラルであるが保守派の良い点は学ぶのか、どっちかによって「座標軸」が正反対になる。リベラル保守を待望している人たちは、保守のどのあたりが良いと思っているのかも明確にしていない。アメリカでも「リベラル・リアリスト」と言うふうな造語もあるのでリベラル保守という言葉もあってもいいとは思いますが、日本人は保守とリベラルを定義するのが先でしょう。【「国民の生活が第一」というスローガンには「リベラル保守」は勝てない。おそらく民主党のいうリベラルというのは、「護憲派」というイミなのでしょうけど。】(【】内は原文太字;転載投稿者)
この結果を受けて、維新の党の松井一郎前幹事長は、同じ日に首相官邸で菅義偉官房長官に面会した後で、「バラバラ感だけが伝わってきた」と酷評しています。大阪維新の会は、何度も書いていますが、自民党維新の会というもともとは大阪の自民党議員団の一派です。それが橋下徹という小泉純一郎首相を真似た政治家によって、「抵抗勢力に屈しない新しい自民党」として生まれ変わっただけです。野党のフリをしていますが、実際は大阪の維新は自民党そのものです。
しかし、内向きに党を固める路線の岡田氏が勝利したことで、もともとあとで合流しようとしていた細野氏と親しい維新の党の松野頼久幹事長らははしごを外されてしまいました。浮動票を狙う国民大衆の人気で言えば、細野氏や松野氏のような若手を中心とした民主党・維新の新党が望ましいですが、一方で組織票を持ち、運動員をボランティアで派遣できるのは労組です。同時に、民主党細野系が離党して松野維新系が合流しても、それこそが自民党の菅官房長官の思う壺です。国会の間では、さまざまな野党が存在しても、法案の採決では反対にまとまることができますが、選挙のときは敵同士になるからです。それに、そもそも今の議席数では野党は自公にまったく歯がたたない。
【自民党と「官邸」でつながっている橋下・松井がいるうちは維新の党は野党再編に乗ってくることはないでしょう。維新の橋下と松井は自民党が野党勢力に送り込んだエージェントです。】(【】内は原文太字;転載投稿者)
こういう風に野党の一角が与党と談合しており、一方で共産党もまた、暗黙の自民党支持勢力となっている、そしてリベラル勢力は小沢グループが山本太郎と合流してしまい、「お笑い要員」化してしまっている、という絶望的な状況です。
結局、強力な官邸と官僚機構が一体化して一党独裁体制を作っているのが今の政治の現状です。政治主導というのが政治家主導、つまり議会における活発な意見のやりとりを通じた政治ではなく、官邸主導になってしまっている。政党というものが官僚機構に大きく負けている、という状況です。
そんなふうな政局を見ていくと、昭和の戦前と違って今の日本では、政党解散運動などしなくても、自然に自民党の一党独裁体制が形成されているように感じられます。【二大政党制は完全な失敗でした。今からでも中選挙区制度に戻したほうがいいと思いますが、自民党と公明党が絶対に乗ってこないでしょう。】(【】内は原文太字;転載投稿者)
今の野党はしいて言えば、反対意見だけを唱えるが実際には影響を与えない、中国の政治協商会議のような存在です。実権を奪われた「野党」ということです。【佐藤優氏によると今の世界は帝国主義に再び向かいつつあるということで、ロシアのプーチン大統領、トルコのエルドアン大統領のような、「右派ナショナリスト」の安倍晋三首相が登場してきているのもその現れなのでしょう。足を国内で引っ張る野党に強い指導者は不要だという空気が生まれつつあるのだと思います。】(【】内は原文太字;転載投稿者)
そういう時代の空気に支配された民主党代表選挙でした。
私は、細野、長島、馬淵の3人のいずれかが、次の総理になると思っていたのですが、そういう平成前期のポスト冷戦時代の考えを引きずる思考法はいよいよ通用しないのかもしれない、と考えを新たにしました。
<参考記事>
維新・松井顧問、民主を酷評「期待ない。柱の政策バラバラ」(産経)
http://www.sankei.com/politics/news/150119/plt1501190011-n1.html
維新の党顧問の松井一郎大阪府知事は19日午前、岡田克也新代表の就任が決まった民主党への期待感について「ない。代表選を見てよく分かった。柱になる政策も右から左までのバラバラ感だけが伝わってきた」と述べた。首相官邸で菅義偉官房長官と面会後、記者団に答えた。
松井氏は「外交や防衛の話も聞いたが、どうやってあれが一つの政党でまとまれるのか不思議でしようがない」と語り、民主党を酷評した。
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新代表に岡田氏 決選投票で細野氏を逆転(産経)
http://www.sankei.com/politics/news/150118/plt1501180011-n1.html
民主党代表選は18日、国会議員らによる決選投票に持ち込まれた結果、岡田克也代表代行が133ポイントを獲得し、1回目の投票でトップだった細野豪志元 幹事長の120ポイントを抑え、新代表に選出された。岡田氏の任期は平成29年9月まで。4月の統一地方選や来年夏の参院選を控え、党再生や安倍晋三首相 が率いる自民党に対抗する野党勢力の結集に向けた手腕が問われることになる。
岡田氏は、新代表選出直後のあいさつで「政権交代は容易な ことではない。全員の力が必要だ。私と一緒に苦しい道を乗り越えていこう」と呼びかけた。また「政権を担える政党と思ってもらえるよう、安倍自民党としっ かり戦っていきたい」と表明した。岡田氏は幹事長人事など党役員人事に着手する。
代表選は、長妻昭・元厚生労働相と細野、岡田両氏の3 人で争われた。党員・サポーターや地方議員も参加した1回目の投票は、トップが細野氏で202ポイント、2位が岡田氏で199ポイント、3位が長妻氏で 94ポイントとなり、どの候補も過半数(381ポイント)に達しなかった。このうち国会議員と次期参院選公認予定者の結果は細野氏96ポイント、岡田氏 95ポイントだった。
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輿石副議長「細野氏は八方美人、信念分からぬ」
読売新聞 2015年01月19日 10時31分
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150119-OYT1T50006.html
民主党代表選に初挑戦した細野豪志元幹事長は、決選投票で敗れた。
党内からは、若さなど細野氏の長所を訴え切れなかったことが敗因との見方が出ている。
◆発言に揺れ
「1回目で勝たないとダメだ。決選投票に持ち込まれたら負ける」
細野陣営は、こう発破をかけ続けてきた。代表選告示日の決起集会では最も多くの国会議員を集めた細野陣営だったが、決選投票になれば、岡田克也代表代行と長妻昭・元厚生労働相の両陣営が「2位3位連合」を組むとみていた。政策的に岡田、長妻両氏が近いためだ。
1回目の投票で過半数を獲得するためには、党員・サポーター票や地方議員票が焦点だ。
「4月の統一地方選のポスターはどの代表と撮りたいですか」
細野氏や陣営幹部だけでなく、細野氏の夫人までも地方議員に電話攻勢をかけたという。43歳と最も若い細野氏の方が、統一地方選でアピールできると「若さ」を売り込んだのだ。
だが、代表選では、若さや清新さを前面に出すという細野陣営の戦略に狂いが生じた。
細野氏は持論だった野党再編の主張を封印し、「維新の党との合併は現実的に難しい」と明言した。陣営幹部は「参院側から再編論を抑えるようくぎを刺されていた」と打ち明ける。
岡田氏は細野氏の発言の揺れを見逃さなかった。8日の討論会で、岡田氏は「衆院だけでも、みんな(の党)と民主と維新が合併すべきだ」と衆院選前に細野氏から提案されたことを暴露したのだ。
慌てた細野氏は発言が二転三転。若さは「危うさ」のイメージにつながった。輿石東参院副議長は周囲に「細野氏は八方美人で、どこに信念があるのか分からない」と漏らしたという。
細野氏が当初、盛んに訴えた「世代交代」も途中から影を潜めた。党内から幅広い支持を得るためだった。
「勝ちたい気持ちが先に立ち、『細野カラー』を出せなかった。守りに入ってしまった」。細野陣営幹部はそう肩を落とした。
細野氏は決選投票後の陣営報告会で「岡田新代表をしっかり支えて、民主党で政権奪還を目指して共に頑張りたい」とあいさつした。
岡田陣営の玄葉光一郎前外相は18日、細野陣営の羽田雄一郎参院幹事長からの電話に対し、「党を再生する上で、細野氏の力を借りないといけない」と協力を呼びかけた。
◆存在感大きく
決選投票で岡田氏を支持した長妻陣営は、新執行部の党運営では大きな存在感を示すことになりそうだ。長妻氏の党幹部起用も取りざたされている。
陣営幹部は「長妻氏の出馬を後押ししたのは、リベラル勢力がキャスチングボートを握るためだった」と明かす。
旧社会党系議員からは、「労組を敵視する維新の党との再編の動きを打ち消したことも、大きな成果だ」との声が出ている。
2015年01月19日 10時31分
続いて、トップの細野氏と2位の岡田氏の間で、国会議員らによる決選投票が行われ、長妻氏を支援した議員らが岡田氏に投票し、細野氏を逆転した。
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