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※イメージ画像:『桑田佳祐言の葉大全集 やっぱり、ただの歌詩じゃねえか、こんなもん』新潮社
2015年1月17日 12時0分
メンズサイゾー
http://news.livedoor.com/article/detail/9684412/
サザンオールスターズの桑田佳祐(58)が、自身のライブパフォーマンスをめぐって謝罪コメントを発表した騒動が波紋を広げ続けている。
昨年末、年越しコンサートで桑田は受章した紫綬褒章を尻ポケットから取り出し、ファンに向けて「5000円からいきましょう、ほしい人〜?」などと公開オークションを開くかのような軽口を交えて披露した。また、MCの最中に伝達式での天皇陛下のモノマネをしたといい、ライブ中のステージ後方にバツ印がつけられた日本国旗や「中國領土・釣魚島」と書かれた旗の映像が流れたとされている。桑田流のジョークと見る向きもあったが、一部で「不謹慎だ」「天皇陛下に対する不敬」「反日バンド」などといった批判が高まり、右翼系団体が今月11日にサザンの所属事務所「アミューズ」本社前で街宣活動をする騒ぎになっていた。
また、昨年大晦日に出演したNHK『紅白歌合戦』でチョビひげをつけながら歌うというパフォーマンスをしたことについても「安倍首相をヒトラーになぞらえて批判している」といった憶測が飛び交い、これも保守系の人々からの厳しい批判を招くことになっている。
これを受けて桑田は今月15日、アミューズとの連名で「感謝の表現方法に充分な配慮が足りず、ジョークを織り込み、紫綬褒章の取り扱いにも不備があった為、不快な思いをされた方もいらっしゃいました」とコメントを発表。パフォーマンスについては「ライブの内容に関しまして、特定の団体や思想等に賛同、反対、あるいは貶めるなどといった意図は全くございません」と釈明しつつも「深く反省すると共に、ここに謹んでお詫び申し上げます」と謝罪している。業界内では「街宣活動が決定打」「天皇陛下絡みはさすがにマズかった」とウワサされており、右翼団体に目をつけられたことが謝罪コメントにつながったようだ。
だが、謝罪したらしたで今度は「謝るくらいなら最初からするな」「桑田にはガッカリ」「カッコ悪すぎ」「エセリベラルの政治主張ごっこだったのか」などといった批判がネット上で噴出。著名思想家の東浩紀氏も自身のTwitterで「この程度の批判精神だったということ」「擁護してた人たちが滑稽」などと桑田を切り捨て、エジプト人タレントのフィフィは「世間に言論の弾圧をされたというアピールにはなるよね」と皮肉っている。また、桑田のパフォーマンスを支持していたはずのリベラル系のネットユーザーからも「圧力に屈してほしくなかった」といった落胆の声が寄せられている始末だ。
こうした事態に陥った原因として「2010年に食道がんを患ったことをきっかけに桑田のスタンスが変化した」と指摘され、これまで過激な言動がありながらも国家や民族の問題には触れてこなかったサザンが急激に政治的主張をし始めたことで反発を招いたのではないかと一部で分析されている。
だが、桑田が政治や民族の問題に触れだしたのは最近のことではない。今から20年前の95年に発表されたサザンのアルバム曲『悲しみはメリーゴーランド』は「歴史が曲げた心には 隣の人が泣いてる」「己も恥ずかしい つぶらな少女の涙を誰が拭い去る」などと従軍慰安婦問題や創氏改名問題などを風刺したと思われる歌詞がメインテーマとなっている。また、98年のアルバム曲『爆笑アイランド』はもっと直接的に「有名な抑止兵器と条約 民衆(ひと)の群れはBlue」「"Baby、安全なんです"と、長官(ボス)は言う」などといった歌詞が登場し、さらには当時の首相・小渕恵三氏(故人)が演説で語った言葉をラップとして使っている。同曲は昨年末に安倍晋三首相がサザンのライブに来場した際に桑田が「衆院解散なんですと無茶を言う」と歌詞を一部変えて披露したことでも知られる。ほかにも桑田の"社会風刺ソング"は枚挙にいとまがなく、決して急に彼が政治づいたわけではない。
保守派にヤリ玉にあげられることが多い2013年発売のシングル『ピースとハイライト』も今までの風刺ソングと比べて特別過激というわけではなく、韓国や中国といった日本の"隣人"との相互理解を訴える平和的な内容だ。パフォーマンスについても、今までの桑田の芸風を考えれば紫綬褒章を茶化すのは想定の範囲内だろう。
にもかかわらず、なぜここまで大問題になってしまったのか。
「かつてはいくら政治的なメッセージを歌詞に織り込んでも、それよりサザンの音楽性が勝っていた。80年代的な独特の"軽さ"によって風刺を気にせずとも純粋に『音楽』として楽しめたのです。そのバンドとしての勢いが反リベラルからの批判すら封じ込めていた。しかし、大病を経験した桑田のパワーダウンやサザンが時代に合わなくなってきたことが影響し、最近は風刺の部分だけが目立つようになってしまった。また、それに加えて中国や韓国との関係が注目されている時期というタイミングの悪さも関係しているでしょう。かつてのサザンなら、こんな批判くらい平気でかき消すようなパワーがあった。しかし、残念ながら年齢的にも衰えがあらわになってきたことで批判をハネ返すだけの力がない状況が浮き彫りになったといえます。とはいえ、今回の謝罪は『会社に迷惑を掛けたくない』『桑田の創作活動を煩わせたくない』という、桑田と事務所の双方の合意で出されたコメント。桑田の基本スタンスは変わらないでしょうから、今後どう巻き返すのかに期待したいですね」(音楽ライター)
政治的な主張の是非はさておき、アーティストは作品がすべて。ひとまず場外乱闘に決着をつけた桑田には音楽活動に専念してもらい、右も左も黙らせるようなパワーあふれる名曲を生み出してほしい。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)
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