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高潮で冠水したマーシャル諸島マジュロ環礁のエジット島(2014年3月3日撮影、資料写真)
【AFP=時事】太平洋にある低海抜のサンゴ礁の島々は気候変動に応じて形が変化している可能性が高いことが、最新の研究で明らかになった。こうした島をめぐっては、海面上昇で水没して人が住めなくなるという説があるが、今回の発見は従来の仮説に異を唱えるものとなった。
海抜わずか数メートルのツバル、トケラウ(ニュージーランド領)、キリバスなど環礁から成る島しょ国は、地球温暖化の影響を世界で最も受けやすい国とみられている。海面上昇に伴い、それぞれの国では気候変動難民が発生するのは避けられないとの懸念もある。
だが、こうした島々は硬い岩ではなく、サンゴ礁に生息する微小生物の死骸の骨格部分でできているため、環境に対して「地形の動力学的に反応する」ことが、今回の研究で明らかになった。
このように、島がまるで移動する砂(漂砂)のようにゆっくりと変化しているという証拠は、気候変動の影響を受ける国々の対策立案にとって極めて重要な意味を持つと研究チームは指摘する。
論文の共同執筆者の一人で、ニュージーランド・オークランド大学(Auckland University)のマレー・フォード(Murray Ford)氏によると、低海抜のサンゴの島はこれまで考えられていた以上に回復力に富むことが考えられるという。
フォード氏は、「個々の島々に及ぶ影響はさまざまなので、居住に適さなくなる地域もある一方で海面上昇の進行に後れをとらない地域も出てくる」と説明。また「長期にわたってどのように対応すべきかは政府や共同体の判断次第だ。だが、今回の研究では、自然が適応のためのテンプレートを提供しており、島の共同体も状況に合わせて変化する必要があるということが示されているように思う」と続けた。
ニュージーランド、英国、カナダなどの研究者らが実施した今回の研究は、米地質学会「ジオロジカル・ソサエティー・オブ・アメリカ(Geological Society of America)」が発行する学術誌「ジオロジー(Geology)」で発表された。
研究チームは、気候変動に起因する海面上昇と高潮の増加の影響を調べるために、全長20メートルの水路タンク内にツバル・ファタト島(Fatato Island)の50分の1スケール模型を作製した。
実験の結果、模型の島は最高海抜地点が高くなったほか、島の陸地全体が基盤を成すサンゴ礁の上を移動したことが明らかになった。この結果について研究チームは、「今回、得られた知見は、サンゴ礁の島における波による浸水リスクの将来予測の再評価に、島の地形動力学を早急に組み入れる必要があることを浮き彫りにしている」と指摘している。
研究チームは2018年、ツバルの9つの環礁と101の岩礁の陸地面積が1971年〜2014年の間に2.9%拡大していたことを明らかにしている。この研究では過去の航空写真が用いられた。
【翻訳編集】AFPBB News
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