http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/562.html
Tweet |
件名:ワイヤレス給電の開発研究の進展
日時:20170615
媒体:Nature
出所:http://www.natureasia.com/ja-jp/research/highlight/11948
-----
ワイヤレス給電の開発研究の進展
Nature
2017年6月15日
Physics: Wireless charging on the move
電源から遠ざかるLED電球にも電気を流し続けることのできるワイヤレス給電系について報告する論文が、今週掲載される。
ワイヤレス給電の開発研究には数々の進展が見られ、埋め込み型医療機器への電力供給、停止状態の電気自動車のワイヤレス充電といった応用への道が開かれた。しかし、動作条件(例えば、ワイヤレスで電力供給を受けるデバイスと電源との距離)が変わっても効率的な給電を維持できるロバストなシステムを作ることは難題だった。
今回、Shanhui Fanたちの研究グループは、こうした電源との距離が変化しても高い給電効率を実現するワイヤレス給電系を作り出した。Fanたちは、量子物理学の概念であるパリティ-時間対称性の原理を用いて電気回路を作製し、電源との距離が約1メートルの範囲内で変化しても一定の給電効率を確保できることを実証した。また、FanたちはLED電球を電源から遠ざける実験を行い、電源との距離が約1メートルに達するまでLED電球に電気を流し続けることができ、一定の輝度が得られることも実証した。
Fanたちは、こうした新知見を応用して、電力を伝送する距離と方向が絶えず変化する移動中のデバイスや車両にも電気を送れるようになる可能性があると考えている。
DOI:10.1038/nature22404 | 英語の原文
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
-----
//memo
*Robust wireless power transfer using a nonlinear parity–time-symmetric circuit
http://dx.doi.org/10.1038/nature22404
*乱雑さを決める時間の対称性を発見
−100年前の物理と数学の融合が築くミクロとマクロの架け橋−
http://www.riken.jp/pr/press/2016/20160427_2/
:共同研究チームは、ネーターの定理に従ってこのエントロピーの保存則を導く対称性を探そうと考えました。そこで、エントロピーの保存則が断熱下のゆっくりした変化でのみ成立することに注目し、「物質を構成する粒子の運動が、マクロな物質の熱力学量のゆっくりとした時間変化に対応する条件」を数式として書き出しました。これが鍵となり、マクロな熱力学の時間変化とミクロな力学の時間変化が結び付きました。
実際、その条件を満たすミクロな運動に限った場合にのみ、時間に対する特別な対称性が現れることが分かりました。具体的には、「ミクロな粒子の運動を記述する時間をずらしても、ずらす前の運動と同じ法則に従う」という対称性があるかどうかを調べました。その結果、量子力学のプランク定数を温度で割った分だけ、時間をずらすように選んだときにのみ、そのような対称性が現れました。そして、ネーターの定理をその対称性に適用することで得られる保存量がエントロピーと一致しました。ここでの温度はボルツマンの公式によって決まる量であり、時間に依存して変化します(図)。
これは、これまでにない対称性の発見であり、どのような物質にも現れうる普遍的なものです。ここで興味深いのが、この理論は完全に古典論に基づくにもかかわらず、プランク定数の存在が自然と導かれた点です。これは、エントロピーと量子力学の深い関係を示していると考えられます。:
:補足説明
1.対称性
ある運動法則に従う粒子の軌道に、ある変換を施すとする。もし変換後の軌道が前と同じ運動法則に従うならば、「その運動法則はその変換に対して対称性がある」という。例えば、摩擦のない平坦な床にボールを転がすと、等速直線運動という軌道を描く。今度は、先ほどとは異なるところから転がすと、再び等速直線運動をする。これは、床の均一性という対称性を表し、「空間並進対称性」と呼ばれる。この対称性に対応して、ネーターの定理により運動量が保存される。
2.エントロピー
熱力学において物質の状態を表す量の1つ。物質を構成する粒子の乱雑さを表わす。温度が一定に保たれたままゆっくり変化する場合には、受け取る熱を温度で割った量が変化する前と後でのエントロピーの差となる。断熱されたままゆっくり変化する場合にはエントロピーは一定の値をとる。以上の熱測定によってエントロピーを決定できる。
3.ブラックホール
重たい星の寿命の最後に形成されうる、重力の非常に強い領域のこと。一般相対性理論では、重力は時空の幾何学で表現されるため、ブラックホールは極端に曲がった時空だと言える。20世紀後半にホーキングは、「量子力学の効果により、ブラックホールは温度とエントロピーを持つ」ことを示した。興味深いことに、そのエントロピーは通常の物質と異なり、体積ではなく表面積に比例している。そのミクロな乱雑さの起源はまだ分かっていないが、時空の微視的構造に関係するため、多くの研究者がこの問題に取り組んでいる。
4.プランク定数
物理学における基本定数の1つ。量子論においてエネルギーと振動数を結びつける普遍的な比例係数として定義され、量子力学的な振る舞いを特徴付ける。hと記され、h=6.6 x 10-34ジュール秒という値を持つ。
5.時間の矢
熱い湯と冷たい水を混ぜると自然にぬるま湯になるが、ぬるま湯が湯と水に分かれることはない。このように、時間には向きがあり、それを「時間の矢」という。:
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 環境・自然・天文板6掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。