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2015年の気候はやっぱり記録ずくめだった 米海洋大気局レポート #今年はさらに・・
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 8 月 10 日 14:01:34: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

2015年の気候はやっぱり記録ずくめだった 米海洋大気局レポート

  米海洋大気局(NOAA)と国立環境情報センター(National Centers for Environmental Information)を中心に、世界の気候科学者450人によってまとめられた「2015 State of the Climate(気候の状態2015年版)」が発表され、気候変動による温暖化の主要なバロメーターである世界平均気温、二酸化炭素濃度、海面レベルが観測史上最高を記録したのをはじめ、その他の要素でも温暖化の進行を示していることがわかりました。

世界平均気温
  もうすでに今年初めに記事にしましたが、2015年は2014年の記録を大きく上回る観測史上最も暑い年になりました。

StateoftheClimate2015_surfacetemps_map_and_graph_620.jpg
Credit: NOAA Climate.gov (以下の画像すべて同じ)

  温暖化と自然変動であるエルニーニョ現象の影響を受け、2015年の世界平均気温は1981年から2010年までと比較して0.42℃〜0.46℃(データセットによって若干違う数値になる)上回る観測史上最高を記録しました。過去最高だった2014年の記録を0.13℃〜0.18℃上回っています。

  世界の主要な気象機関が毎月発表しているデータによると、今年前半の世界平均気温は昨年を大きく上回っており、99%以上の確率で今年は観測史上最高を更新すると予想されています。

二酸化炭素濃度
StateoftheClimate2015_carbondioxide_graph_620_0.jpg

  2015年の世界平均二酸化炭素濃度は400ppmに迫る399.40ppmと、観測史上最高を記録しました。最も長期にわたって観測されているハワイ州マウナロア観測所のデータでは、史上初めて年間の平均二酸化炭素濃度が400ppmを超えて400.80ppmを記録しています。

  1960年代には1年あたり0.6ppmだった二酸化炭素濃度の上昇率は、直近10年間では年平均2.1ppmと加速しています。また、1年間でマウナロア観測所の二酸化炭素濃度は3.05ppm上昇しましたが、この上昇幅は1998年の2.93ppmを上回る観測史上最大となりました。

  エルニーニョ現象の2年目にあたる今年は、前年と比較した平均二酸化炭素濃度の上昇幅が従来の記録を大きく上回っており、今年1年間の世界における年平均二酸化炭素濃度の上昇幅も昨年を上回って観測史上最高を記録する確率がかなり高いです。

海面レベル
StateoftheClimate2015_sealevel_map_and_graph_620.jpg

  2015年の世界平均海面レベルは、衛星による観測が始まった1993年の平均を約7センチメートル上回り、観測史上最も高くなりました。

  上の世界地図は1993年から2014年までの世界平均海面レベルと2015年の平均の偏差を示しています。エルニーニョ現象の影響で貿易風が弱まったため、赤道太平洋の東岸から中央付近までの海面レベルが高く、赤道太平洋西岸の海面レベルが低くなっています。

  下のグラフは、1993年から1999年までの世界平均海面レベルと各年の平均を比較した偏差を表しています。衛星による観測が始まった1993年以降は、年平均で0.33センチメートル海面が上昇しています。

海洋の蓄熱
StateoftheClimate2015_oceanheatcontent_map_and_graph_620_0.jpg

  温暖化の余剰熱のうち約90%を取り込んでいる海洋が蓄えた熱量が増加し、海表面から水深700メートルまでと、700メートルから2000メートルまでの海域が蓄えた熱が最大となり、両海域は1993年の衛星による観測開始以来最も温かくなっています。

  上の地図は、2015年に水深700メートルまでの海洋が蓄えた熱エネルギーと、1993年から2015年までの平均値を比較した偏差です。青は平均よりも蓄熱量が少なく、オレンジは蓄熱量が大きい海域です。赤道太平洋の東岸と西岸の違いは、エルニーニョ現象の影響によるものです。

  北太平洋も、赤道太平洋と同じように東岸に蓄熱量の多い海域があり、西岸には平均よりも蓄熱量が小さい海域があります。これは、太平洋十年規模振動の影響を受けたと考えられています。また、北大西洋の海表面が平均よりも冷たくなっている海域は、大西洋の鉛直循環(Atlantic meridional overturning circulation: AMOC)が弱まったことが原因なのではないかとみられています。

  下のグラフは、1993年と比較した海表面から水深700メートルまで(オレンジ)と、そこから水深2000メートル(グレー)までの海域における蓄熱量を表しています。年によって上下しながらも(エルニーニョやラニーニャなどの自然変動の影響)、長期的には増加傾向にあることがわかります。浅い海域における蓄熱量の増加が著しいのは、大気の温暖化が進んでいることを示しています。

  この他にも、深刻な干ばつに見舞われた地域が、2014年の8%から2015年は14%と大きく増加しています。

  また、北極圏の温暖化が急速に進んでおり、2015年3月には海氷の冬季最大面積が観測史上最小を記録しました(2016年3月にそれを破る史上最小を記録)。

  さらに、山岳氷河の面積は36年連続で減少しており、2015年は最も山岳氷河がとけた年のひとつとなりました。

  こうして振り返ると、2015年がどれだけ異常な暖かさだったがよくわかります。しかし、昨年は2014年の気候について今年と同じことを感じました。

  恐らく、来年の今頃には今年と同じ感想を抱くことになると思います。少なくとも、今年前半の気候データはそうなる可能性が極めて高いことを示しています。

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