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北極海で過去最大の海氷融解、メカニズム明らかに
日経ナショナル ジオグラフィック社
シェアツイートクリップ2016/6/25
ナショナルジオグラフィック日本版
http://www.nikkei.com/content/pic/20160625/96958A9F889DE2E1E5E0E6E6E2E2E3E5E2E4E0E2E3E4E2E2E2E2E2E2-DSXZZO0372591017062016000000-PN1-7.jpg
NASAの地球観測衛星アクアが2015年7月に撮影した画像。グリーンランド沖に解けかかった巨大な海氷が浮かんでいる。(PHOTOGRAPH BY JEFF SCHMALTZ, NASA)
北極海の海氷が急速に減り続けている。2016年5月に行われた観測では、過去の5月の海氷面積の最小記録を更新した。そしてこの事実が発表された2日後には、北極海での海氷融解がグリーンランドの氷床の融解に拍車をかけていることを示す研究結果が発表された。(参考記事:「海面上昇は予想を上回るペース、NASA」)
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO91439620X00C15A9000000?channel=DF130120166020&style=1
海氷面積の記録が発表されたのは6月7日。米国立雪氷データセンター(NSIDC)が人工衛星を使って観測したところ、今年5月の海氷面積は1200万平方キロメートルだった。これは、2004年5月に記録されたこれまでの最小値より約5%小さく、1981〜2010年の平均海氷面積と比較すると10%以上減っていた。
「非常に気がかりです」と米ラトガース大学の気候科学者ジェニファー・フランシス氏は言う。「私たちは人類がこれまで経験したことのない、未知の領域にいるのです」
最小記録の更新は、今年に入って1月、2月、4月に続き、これで4度目だ。5月は氷が融解するペースも速く、北極海で1日に失われた海氷の面積は平均6万1000平方キロメートルで、1981〜2010年の平均(1日あたり4万6600平方キロメートル)より約30%も多かった。
■海氷融解が陸上の氷も解かす
北極海の海氷融解は、地球温暖化に長期的な影響を及ぼす。海氷は、太陽光を反射するという非常に大きな役割を果たしているからだ。いったん海氷が解けてしまうと、北極海の色が濃くなって熱の吸収が促進され、海水温がさらに上昇する。このようなフィードバック現象によって気候変動が加速することを「北極の温暖化増幅」と呼んでいる。
6月9日付けのオンライン科学誌『Nature Communications』に発表された論文によると、こうした北極の温暖化増幅が、グリーンランドの氷床を解かし、さらには海面上昇をも引き起こす可能性もあると論じている。
この論文を執筆した米コロンビア大学地球研究所のマルコ・テデスコ氏が率いる研究チームは、2015年の夏にグリーンランドで起きた氷床の記録的融解について、気象データを分析。その原因は、北半球を取り巻くジェット気流が異常に蛇行していたことにあることを示した。
気候変動が進むと、高緯度地方と低緯度地方の温度差が小さくなり、ジェット気流が弱くなると考えられている。ジェット気流が弱くなると、ふだんより大きく北に蛇行することが知られており、実際、2015年のジェット気流は、これまで観察された中で最も北寄りだった。
ジェット気流が大きく蛇行すると、高気圧や低気圧を長期にわたって同じ地域に停滞させる「ブロッキング」が起きる。北寄りに大きく蛇行したジェット気流によりグリーンランドの上空でブロッキングが生じると、そこに低緯度地方の暖かく湿った空気が入り込み、去年の夏のような高温と氷床の融解が起こるという。
■北極温暖化のメカニズムを解く大事なピース
この研究自体は、北極の温暖化増幅と直接関係するものではないが、最近相次いで発表されている気候科学の論文がその関連性を示唆している。例えば、5月2日に発表された論文によると、1850年以降続いている地球温暖化によって、グリーンランド上空でブロッキングが発生する頻度が格段に増加しているという。同じく5月に発表された別の論文では、北極海の海氷融解がブロッキングを多発させており、それには北極の温暖化増幅が関与しているとしている。
ブロッキングと海氷融解に関するこの論文の共同執筆者であるフランシス氏は、「テデスコ氏の論文は、複雑なパズルに重要な1ピースを加えてくれました。このピースがはまり、ようやく全体像が見え始めてきたのです」
グリーンランドの氷床が解け続ければ、海面上昇のみならず世界の海流にも影響を及ぼすだろう。氷が解けてできた冷たい水がグリーンランドのすぐ南に集まると、低温で塩分濃度の高い北大西洋の海水が薄められ、海中深く沈降する速度が遅くなる。これにより地球全体の海に熱を伝える海洋循環のひとつ「大西洋子午面循環(AMOC)」も減速する。
2015年3月に気候変動に関する研究論文誌『Nature Climate Change』に発表された論文によると、気候変動が原因で20世紀に入ってからAMOCはずっと減速しているという。今年の5月に見られたような異常な海氷融解が続けば、将来の気候に深刻な影響を及ぼすことになるのは明らかだ。
(文 Michael Greshko、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)
[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2016年6月14日付]
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO03724400X10C16A6000000
6月の気温も過去最高を記録、14カ月連続 米NASA
2016.07.20 Wed posted at 15:17 JST
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気温の上昇で北極海の氷も減少が著しいという
(CNN) 米航空宇宙局(NASA)は19日、2016年1〜6月の世界の平均気温が過去最高を記録したと明らかにした。北極海の氷は30年前と比較して40%減少したという。
1月から6月の平均気温は19世紀末と比較して平均1.3度高かった。観測が始まったのは1880年以降だが、米海洋大気局(NOAA)によれば、地球の気温は14カ月連続で最高記録を更新し続けている。
オーストラリアや英国、香港、スペインでは平均よりも1度以上の上昇を見せた。ニュージーランドの1〜6月は記録を取り始めて以降で最高気温を記録した。
北極海の氷の減少も急で、1979年に人工衛星で記録を始めて以降、1〜6月のうち5カ月で最小となったという。
NASAの科学者、ウォルト・マイアー氏は、地球上の気温について、これまで過去最高を記録しているが、北極海ではさらに激しいと指摘。この暑さと普段とは違う気候パターンが、氷の面積が過去最小となることにつながっているという。
http://www.cnn.co.jp/fringe/35086132.html
1〜6月の平均気温 観測史上最高に NASA
7月20日 17時02分
ことし前半の世界の平均気温は、観測史上最も高かったことがNASA=アメリカ航空宇宙局の分析で分かり、NASAは二酸化炭素などの温室効果ガスによる地球温暖化に歯止めがかかっていないとして警鐘を鳴らしています。
NASAは19日、地上での観測と衛星からのデータに基づいた、ことしの前半(1月から6月までの間)の世界の平均気温の分析結果を発表しました。
それによりますと、ことし前半の世界の平均気温は、記録がある1880年以降最も高く、19世紀の終わり頃に比べると1.3度高いとしています。
また、平均気温と並んで地球温暖化の影響を見るうえで重要な指標の1つとなる北極海の氷の大きさは、3月を除いた5か月間で、衛星を使った観測が始まった1979年以降で最も小さかったということです。
平均気温が上がる傾向は数十年間続いており、NASAは二酸化炭素などの温室効果ガスによる地球温暖化の傾向に歯止めがかかっていないとして警鐘を鳴らしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160720/k10010602201000.html
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