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ケプラー宇宙望遠鏡のイラスト(2014年12月19日撮影、資料写真)。(c)AFP/NASA/Ames/JPL-Caltech〔AFPBB News〕
生命発見の日は近い! これが宇宙の新常識だ 太陽系の外はへんてこな惑星がいっぱいだった
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46835
2016.5.16 小谷 太郎 JBpress
宇宙についてみなさんの前で話をする機会が時折ありますが、最後に質問はありますかと尋ねると、手を挙げてこう聞く人がいます。
「宇宙人はいますか」
他の天体に生命はいるでしょうか。特に知的生命は存在しているでしょうか。私たち人類が宇宙人と会話する日が来るでしょうか。
この問は、人類が星を見上げるようになって以来、数百年にわたって繰り返されてきましたが、答はいつも同じです。
「誰も知りません」
しかし100年前の人類と違い、現在の私たちには他の天体を探査するためのとんでもなく進歩した観測技術があります。異星の生命や宇宙人がいるかどうかはまだ分からないのですが、100年前の人が聞いて驚く衝撃的な新発見と新知識を積み重ねてきたことも確かです。特に21世紀に入ってからの太陽系外惑星分野の進展は目覚ましく、前世紀に学校で習った常識はすっかり時代遅れです。
それでは最先端の研究が明らかにしつつある系外惑星像はどのようなものなのでしょうか。ここで常識をアップデートしておきましょう。
■新常識その1: 宇宙には惑星がうじゃうじゃいた
ペガスス座51番星の想像図。Illustration by ESO/M. Kornmesser/Nick Risinger (skysurvey.org) via
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私たちの太陽系には「水金地火木土天海」の8惑星があって、太陽を周回しています。大家族です。
よその恒星はこういう惑星を引き連れているのでしょうか。それとも惑星は宇宙に珍しい存在なのでしょうか。
よその恒星は何しろ遠いので、このような基本的な問も、長らく答えが分かりませんでした。
20世紀も終わりかけの1995年、ついによその恒星に惑星が発見されました。私たちの太陽系から50光年離れたペガスス座51番星をわずか4日で周回する、木星の半分もの質量を持つ惑星です。
こういう、よその恒星を周回する惑星は、太陽系外の惑星という意味で、「系外惑星」という名前で呼ばれます(太陽系外か銀河系外か紛らわしい名前ですが)。そういう系外惑星と中心の恒星を合わせて「恒星系」と言います。私たちの住む恒星系は「太陽系」という特別な名前で呼ばれます。
それから系外惑星は次から次へと見つかり、その数は現在3000個ほど、候補も含めると約5000個です。
ほんの20年前には1個もなくて、果たしてわれらが太陽系は宇宙で特別なのだろうか、などと議論されていたのが今や5000個です。1日1個くらいの率で発見されたことになります。
宇宙には惑星がうじゃうじゃいたのです。
■新常識その2: そのほとんどはケプラー宇宙望遠鏡が発見した
地上のケプラー宇宙望遠鏡。Photo by NASA/JPL/Ball Aerospace & Technologies Corp.
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2009年にアメリカが打ち上げた「ケプラー宇宙望遠鏡」は惑星発見を専門とする宇宙機です。地球を周回する人工衛星ではなく、371日周期で太陽を周回します。
これまで姿勢制御装置の故障や、それに対処するための運用方法の変更、ミッション名を「K2」に改名するなどありましたが、2016年5月現在も観測を継続しています。
ケプラーは白鳥座と琴(こと)座の境界の方向に望遠鏡を向け、15万個以上の恒星をカメラで監視します。
15万個の中には惑星を従えている恒星系があるはずです。そして惑星の中には、軌道を周回するうちに、恒星の前を横切り(トランジッション)、恒星からケプラーに届く光をわずかにさえぎるものがあると予想されます。
このわずかな減光をとらえるのが「トランジット法」と呼ばれる惑星発見方法です。
しかし、ほとんどの系外惑星の軌道は、恒星の前を通過するような、都合のいいものではありません。おそらく系外惑星のうち、トランジット法で検出できる割合は約0.1%と推定されます。つまり、発見された系外惑星1個につき、実際には1000個ほどの未発見系外惑星が存在すると思われます。
ケプラーはこの原理で、大量の系外惑星を発見しました。その数、実に約4000個。これまで発見された約5000個のうち、80%がケプラーの成果です。
ただし、ケプラーが減光を見つけただけでは、本当にそれが惑星による減光なのか断定できません。
ケプラーが発見した系外惑星候補は、地上の大型望遠鏡などで追観測されます。そして惑星そのものが撮像されたり、恒星の軌道に惑星が及ぼす影響が確認されたりすると、真の系外惑星として認定されます。
2016年5月11日(日本時間)にケプラー・チームは、新たに1284個の系外惑星が追観測で確認されたと発表しました。これでケプラーの発見した約4000個の系外惑星候補のうち、2268個が確認されたことになります。今後、この数はもっと増えるでしょう。
■新常識その3: よその恒星系にはへんてこな惑星がいっぱい!
大量に発見されたよその恒星系を眺めると、私たちの太陽系の姿とは全然違うものが目につきます。
私たちの太陽系では、太陽に近い軌道を水星、金星、地球、火星といった小さな岩石惑星が行儀よく周回し、太陽から遠くには木星、土星という巨大ガス惑星があり、さらに遠くには天王星、海王星という巨大氷惑星が秩序正しく巡っています。
なので、これまで研究者は、宇宙空間のガスが集まって恒星系が生まれるとき、中心の恒星に近いところには小さな岩石惑星ができて、遠いところには大きな惑星ができるものだと納得していました。
ところが系外惑星が実際に見つかると、中心の恒星のごく近くを木星サイズの巨大惑星がぎゅんぎゅん周回していたり、そういう巨大惑星がいびつな楕円軌道を描いて中心星から遠ざかったり近づいたり、想像していた姿と全然違います。
どうやら私たちが私たちの太陽系だけを観察して思い描いていた恒星系の誕生・進化の過程は、まるで想像力不足で非現実的だったようなのです。
現実の宇宙には、巨大惑星を太陽に近づけたり逆に遠ざけたり、惑星どうしが干渉して重力で相手を弾き飛ばしたり、ダイナミックな過程が働いているようなのです。
現在、恒星系の誕生・進化を研究している人たちは、大喜びで進化のシナリオを検討し直しているところです。
■新常識その4: 生命発見はこのあとすぐ!
ケプラー宇宙望遠鏡の発見したハビタブル・ゾーン中の惑星(地球に近い日光を受ける岩石惑星)の例。Illustration by NASA Ames/JPL-CalTech/R. Hurt
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そうなると気になるのはやはり、生命を持つ系外惑星があるのかどうかです。
地球の生命がどうやって誕生したのか、まだ分かっていませんが、おそらく海や水たまりなど、液体の水が関与したものと信じられています。
そうすると、生命を持つ系外惑星の候補としては、表面に水があるものを探すべきでしょう。
(ただし、系外惑星を発見したら太陽系の惑星と全然違っていたように、宇宙の生命も見つけてみたら地球の生命や地球の環境と全然違うこともありえます。というより、おそらく違うでしょう。)
惑星の表面に液体の水が存在するためには、その惑星が中心の恒星から受ける日光が地球と同程度でないといけません。
(実はそれだけでは液体の水が存在するとは限らなくて、火星も金星も受ける日光は地球と同程度なのに、どちらにも液体の水は存在できません。大気圧や温室効果ガスを微妙に調整しないと液体の水は存在できないのです。)
そういう「地球型惑星」はこれまで数十個見つかっています。
そこに生命があるかどうか、どうやって調べればいいでしょうか。
1つの実現可能な方法は、大気組成を調べることでしょう。
地球の大気には酸素が20%含まれています。これは地球大気の特徴で、火星にも金星にもこれほどの酸素はありません。なぜなら地球大気の酸素は緑色植物が光合成をして作ったものだからです。
異星の植物が酸素を作っているかどうか確信は持てませんが、酸素あるいは他の不自然な成分が見つかれば、植物の存在の根拠になります。今後の観測技術の進歩に期待します。
あるいは、惑星表面で反射された光を分析して、植物の葉緑素に相当する物質の存在を調べることも、将来可能になるかもしれません。
ある日、「ついに生命発見!」というニュースが飛び込んできて、異星の生命の姿が明らかになり、生命についての私たちの思い込みがまるで想像力不足で非現実的だったと判明する。そんな日は近いかもしれないのです。
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