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'14年の4月以来、公の場所に姿を現していない〔PHOTO〕gettyimages
兵庫県警が任意聴取で再び注目 小保方氏「擁護派」と「許せない派」が大論争!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47940
2016年02月19日(金) 週刊現代 :現代ビジネス
被害者か嘘つきか—。ここまで両極端に評価が分かれるケースも珍しい。小保方氏は良くも悪くも人を惹きつける「何か」を持っている。同情派と批判派、それぞれが熱く自論を述べる。
■彼女は利用された側だ
中部大学総合工学研究所特任教授の武田邦彦氏は、小保方晴子氏に同情する一人だ。
「今回のSTAP細胞騒動の本質は、『小保方さんだけが悪い』では片付けられません。
仮に小保方さんがありもしないSTAP細胞があるとウソをついていたとしても—実際はそうではないと思いますが、一緒に研究をしていて、世界一流とされる科学者たちが見抜けなかったのであれば、彼らに責任があります。彼女一人の責任にするのは明らかにおかしい」
20万部を超える大ベストセラーとなっている小保方氏の手記『あの日』をめぐって、大論争が起こっている。ネット書店『Amazon』の「カスタマーレビュー」では、同書の内容を肯定する「星5つ」が約半数、逆に酷評する「星1つ」が約3割と、評価が真っ二つに分かれた(2月4日現在)。
今回、本誌が識者や専門家に行った取材でも小保方氏に対する「同情派」と「批判派」に評価は二分された。
武田氏が続ける。
「たしかに小保方さんは科学者としては未熟でした。それはSTAP細胞論文を発表した時の記者会見を見ていて実感しました。STAP細胞についての詳しい説明は、理研CDB(理化学研究所発生・再生科学総合研究センター)副センター長(当時)の笹井(芳樹)さんがしていたことからもわかります。
そんな小保方さんを『天才的な女性科学者』に祭り上げたのは誰なのか。それは当時の理研CDBの首脳陣であり、STAP細胞論文の責任著者である笹井さんや、山梨大学教授で当時理研CDBにいた若山(照彦)さんたちです。若い彼女には論文提出や記者会見などについて何の権限もなかったはずですから」
小保方氏はSTAP細胞をめぐる科学者たちの「欲望」に巻き込まれたのではないか。脳科学者の茂木健一郎氏は、そんな見方を提示する。
「僕の周りの科学コミュニティを見ていても思うのですが、科学界は論理だけが重視される世界ではありません。すごく人間臭いドラマが起きているんです。
特にiPS細胞がノーベル賞をもらって再生医療に注目が集まる中、iPS細胞を超える可能性のあるSTAP細胞の存在を発表すれば、同じくノーベル賞の栄誉に輝くかもしれない。研究費も今までよりたくさんもらえるだろう。科学者としての地位も上がるに違いない—。そんな科学者たちの欲望が渦巻いて、結果として小保方さんが利用されてしまったのかな、というのが本書を読んだ印象です」
茂木氏は小保方氏が「悪女」で、周囲の男性を騙したという、騒動当時に主流を占めていた世論は間違っているのではないか、とも言う。
「本書を読むと、小保方さんは自分の世界に入り込んでしまう人だということがわかります。加えて、周囲の期待に応えたいと考える女性だということも。
そんな彼女がハーバード大学の教授だったチャールズ・バカンティさんに出会い、『すべての体細胞が刺激により初期化できる』というヴィジョンに感化された。理研の若山さんや笹井さんにも、iPS細胞を超えるような万能細胞を発見したいという思いがあった。
彼女が彼らの期待に応えようとしたことが、今回の騒動につながってしまったのではないでしょうか。主導権を握っていたのはあくまで男性陣で、小保方さんではないと思いますね」
■どこまで自己愛が強いんだ
STAP細胞は発表当初、「ノーベル賞級」の発見だとメディアに大きく取り上げられ、その後、論文に不正が見つかると、小保方氏らは人格を否定されるほどのバッシングを浴びた。
もちろん、今でも小保方氏に批判的な考えを抱いている人は多い。
「本に書いてあるのは自分に都合のいいことばかりで、実験データの不正や再現実験の失敗などの具体的な点については『個人攻撃をされた』、『精神的に追いつめられていた』と被害者面することで逃げ回っています。彼女は『悲劇のヒロイン』を演じようとしているとしか思えません。一体、どこまで『自己愛』が強いのか。理研の関係者や専門家を相手に説明する機会はいくらでもあったはず。ほとぼりが冷めた後になって、自己弁護に終始する姿勢は科学者ではない。いや、彼女はそもそも最初から科学者ではなかったんです」(科学ジャーナリスト)
小保方氏の本を手に取ることにさえ拒否反応を示す人もいる。元理研CDBグループディレクターで、京都大学大学院教授の阿形清和氏はこう吐き捨てる。
「私は本書を買う気はありません。微々たる額とはいえ、少しでも小保方氏の利益につながる行為は避けたいからです。
理研CDBの解体、笹井氏の自殺など、小保方氏の一連の言動が日本の科学界に与えたダメージは計りしれない。その影響は、現場でいまなお続いているのです」
■文章のうまさに驚いた
血液病理の専門家で広島大学名誉教授の難波紘二氏は、小保方氏を含めた関係者たちを一刀両断する。
「本書によれば、'10年に小保方氏はハーバード大から帰国し、神戸にある理研CDBの若山氏を訪問して『共同研究』の申し入れをしています。以後は主要舞台が理研CDBに移り、役者も若山氏、'12年からは笹井氏に交代します。特筆すべきは、バカンティ氏、若山氏、笹井氏らが完全に小保方氏を信じきっていることです。
'12年10月に『体細胞核の初期化』研究に対して京都大学の山中伸弥氏らにノーベル生理学・医学賞の授与が決まったこともあり、次なる栄誉を求めて研究者の間での競争が激しくなっていたという事情もありますが、関係者の誰一人も『実験がおかしい』と思わなかったことは重大な過失と言えるでしょう」
それに加えて、当時の理研は「特定国立研究開発法人」を目指し、売り物になる「目玉の研究」を必要としていたため、理研幹部が功を焦った可能性もあるという。
「そういった複雑な背景があって小保方氏の単純なウソがバレないまま、'14年の『ネイチャー』での論文発表に至り、その後、過剰なメディアの賞賛報道が読者や視聴者に疑念を抱かせ、ネット上での『査読』につながったと思われます」(前出・難波氏)
ネットを中心に「STAP細胞」論文だけでなく、小保方氏の過去の論文にも数々の疑義が提示された。理研は調査委員会を設置し、検証を行った結果、STAP細胞から作られた「キメラマウス」はES細胞から作製されたものだと結論づけた。ただし、誰がES細胞を混入させたのかについては、結論を出していない。
小保方氏は自著で〈私は(ES細胞の)混入犯に仕立て上げられ、社会の大逆風の渦に巻き込まれていった〉(カッコ内は編集部註)と主張し、若山氏がキメラマウス作製の責任者だったとして、若山氏周辺が「混入犯」であることを匂わせる。
騒動後に設置された理研の改革委員会のメンバーで、信州大学特任教授の市川家國氏は、小保方氏が出版に至った心理をこう推察する。
「改革委員会では理研を立て直すという方針のもとで結論を出しましたが、私個人としては、STAP細胞の真偽や、小保方氏と若山氏のどちらが悪いのかまでは正直わかりません。
ただ、医師の立場から今回の小保方さんの行動を見ると、手記の出版という自分の思いを吐き出す行為が、心の癒やしになっているのでしょう。彼女の受けた心の傷はかなり深い。信頼していた笹井さんが非業の死を遂げた。しかも、自分の研究がきっかけとなった。その心の傷を癒やすために、手記の発表があったのかもしれない」
精神科医の香山リカ氏は小保方氏に中立的な立場だが、その「筆力」には驚いたという。
「結局、小保方さんの本を読んでもSTAP騒動の真相はわかりません。むしろ『科学的ライトノベル』、『科学ファンタジー』といった印象を受けました。文章もうまいし、一つの物語としてよくできています。
自分の想像したストーリーに従って事実を組み立てる小保方さんの構成力はすごいと思います。事実かどうかは別として、彼女の心象風景の中ではこういうことが起きていたのでしょう。
彼女自身の文学的な表現、感覚的な発想力が理系の世界では大胆な着想となって、そこに世界一流の研究者たちが可能性を見出したのはたしかだと思います」
■若山氏は出てくるべきだ
小保方氏に才能を感じた笹井氏は死を選び、彼の口から真相が語られることはない。小保方氏が「若山氏がES細胞混入の『犯人』だ」と主張している以上、若山氏はそれに反論せざるをえないという声もある。
東京大学医科学研究所特任教授の上昌広氏はこう指摘する。
「私は、小保方氏の本はひどい内容だと思っています。言い訳に終始していて、見苦しい。言うまでもなく博士論文でコピペがあったとか、実験ノートに不備があったなど、彼女に科学者としての資質がなかったことはわかりきっています。
国民の税金で研究を行っていた以上、不正が発覚すれば批判を受けるのは当然であり、それを個人攻撃だと被害者面するのも情けない」
上氏は返す刀で、若山氏に対してもこう要求する。
「小保方氏が極めて疑わしいという状態のまま、STAP細胞騒動が沈静化していましたが、彼女がこういう手記を出したことで、わからなくなった部分もある。調査はすべて終わっていて、今さら改めて検証しようもありませんから。
小保方氏の擁護派にとっては、勢いづく展開です。若山さんが沈黙しているからなおさらです。反論しなければ、小保方氏の言い分を認めてしまうことになる。週刊誌では若山さんの奥さんが手記について『捏造の本』と発言していましたが、なぜ若山さん自身は反論しないのでしょうか」
小保方氏の手記発表によって、STAP細胞騒動が再燃した。若山氏と小保方氏が過去を建設的に検証する日は、果たしてくるのだろうか。
「週刊現代」2016年2月20日号より
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