http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/145.html
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「NHKに小保方氏の実験ノートと電子メールをリークした理研職員の刑事責任について 2015/8/22」(理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問)
http://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/16747314.html
小保方氏側のBPO側への申立てにおいて、実験ノートの無断公開と、笹井氏との間の電子メールの無断公開について、それぞれ、著作権侵害、プライバシー・通信の秘密の侵害だとして機構に訴えています。
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「番組が申立人の実験ノートの内容を放送したことについて、「本人に無断でその内容を放送した行為は、明白な著作権侵害行為であり、刑事罰にも該当する」
「申立人と共著者である笹井氏との間で交わされた電子メールの内容が、両者の同意もなく、完全に無断で公開されたことは完全にプライバシーの侵害であり、また、通信の秘密に対する侵害行為」
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これらの申立ては、当然のことながら、NHKを相手にしたものですが、NHKに提供した理研職員がいたことが、前提となります。そのリーク元の職員が、明らかにバイアスのかかった情報の流し方をしていることは、前回記事でも書いた通りですが、その理研職員の行為は、みなし公務員規定により独立行政法人役職員に適用される国家公務員法上の守秘義務に違反することは明らかです。
BPOへの申立ては、あくまで個人の人権の侵害があったことを訴えるものに限定されていますから、小保方氏固有の人権侵害に絞って申立てをしているわけです。しかし、それには、リーク元の職員による守秘義務違反、通信の秘密侵害(刑法)、場合によっては、不正アクセス禁止法違反(権限なきアクセス)、不正競争防止法違反(理研の営業秘密の漏洩)といった刑事上の問題が伴っています。特許出願とも絡んできますので、知的財産の侵害にもつながりかねない(=発明発見を公知にしかねない)、かなり危うい行為だとも感じます。
それらの問題は、BPOの申し立てにはそぐわないので、言及されていないだけで、刑事告発して捜査対象にしようと思えば、親告罪ではありませんから、小保方氏を含めて誰でもできます。一個人の石川氏が小保方氏を告発しようとしたのと同じパターンです。
小保方氏側がそれをやらないのは、まだSTAP細胞が再現されていない段階で争うことの時間とエネルギー、コストの無駄、それから、理研に対して迷惑をかけるという意識があるのではないかと想像します。
しかし、今回、BPOでNHKの人権侵害が認定されれば、それによって、リーク元の理研職員のNHKへの提供行為の問題性を浮き彫りにできますから、まずは、BPOで争うということなのでしょう。
しかし、もし誰かが、リークした理研職員を、上記のような各種の刑事責任追及のために、被疑者不詳で告発したとすれば、それはおそらく受理されることになると思います(ただし、不正競争防止法の営業秘密侵害は親告罪)。
リークした主観的気持ちがどこにあるのかわかりませんが(小保方氏の陥れ? 小保方氏「不正」への正義感? 公益通報のつもり?)、世間の小保方バッシングの空気に乗じてやったのでしょう。それが刑事責任を含めて法的責任を問われる行為だということに、思いが至らなかったのでしょうか?
順番にご説明します。
(1)みなし公務員としての国家公務員法上の守秘義務違反
STAP細胞の一連の実験データや、不正調査に関する資料(実験ノート、メールを含む)は当然、守秘義務がかかります。後述の通り、ハーバード大との共同研究契約や特許出願のこともありますから、「営業秘密」「特許」という理研の「知的財産」とも関係してきて、なおのこと、この守秘義務は厳格に守られる必要があったはずです。
他方、公務員の守秘義務に関して、しばしば問題となるのは、取材・報道の自由との関係です。沖縄密約に関する機密漏洩事件(西山事件)などでも、取材・報道の自由には、一定の制約がかかることとされ、男女関係という拒みがたい関係を作った上で機密資料を女性事務官に提供させた行為は、報道の自由を逸脱しているとされました。そして、女性事務官と西山記者の双方が、守秘義務違反で有罪となりました。
これらの守秘義務違反では、情報漏えいを「企て、命じ、故意にこれを容認し、そそのかし又はほう助をした者は、それぞれ各本条の刑に処する」とありますので(111条)、漏洩した公務員だけでなく、それを取材して公表したマスコミ記者も、法律を厳格に適用すれば、違法になる可能性があります。西山記者が刑事責任を問われたのも、この条項に基づくものです。他にも、自衛隊法の防衛秘密に関する守秘義務違反で、自衛隊外部の共謀者も摘発の対象になっています。
最近は、公益通報保護制度ができていますので、一定の公益的に意義がある通報は守秘義務との関係では責任を問われないことになっています。おそらく、NHKに実験ノートやメールを提供した理研職員も、「小保方氏の捏造を暴く」という主観的気持ち、公益通報的意図があったのかもしれませんが、本件の場合には、公益通報として保護されることは、要件からして全く困難でしょう。
http://www.caa.go.jp/planning/koueki/gaiyo/files/gaiyo.pdf
公益通報の保護対象は、一定の法律で刑事罰を科せられている犯罪行為や、刑事罰に結び付く処分違反の場合に限られます。別に小保方氏や笹井氏に、犯罪行為があったわけではありませんし、まずは所属組織の窓口に通報しなければならず、マスコミへの通報が最初というのは、犯罪発生の緊急性や組織の対応がない等、よほどの緊急性がなければ、認められません。
こういったことからして、公益通報保護の余地はありません。仮に犯罪に至らない不正を保護対象と仮定するとしても、実験ノートやメールに、それを示す明白な材料が示されているかといえば、そうではありません。
西山事件の場合のように、政府が沖縄返還に関する密約の存在を否定している中で、その存在の証拠となる機密書類を入手して国民に知らしめる、ということは、公益的性格が高いという気がしますが、その入手手段に大きな問題があったがために、報道の自由として免責されなかったということかと思います。
本件の場合、公務員の守秘義務をオーバーライドするような公益的意味合いがあるのか?といえば、ないでしょう。実験ノートやメールが、犯罪事実、不正事実を示すものではありませんし、また、理研として、外部からの指摘を踏まえた研究不正の追加的調査や、小保方氏による再現実験を行うことを、6月30日に発表しています。
http://www.riken.jp/pr/topics/2014/20140630_1/
そして、それ以前に丹羽氏らによる検証実験を行うことは公表されていますから、組織としてこれらの解明を進めつつある中で、あえて、3年間の実験ノートすべてと、通信の秘密やプライバシーの対象となるメールとを外部にリークしなければならない公益的理由は見当たらないはずです。
したがって、それらを外部のマスコミに漏洩する行為は、正当化する余地はなく、刑事責任を問われることになるでしょう。
なお余談ですが、仮に、小保方氏側がNHKに対する損害賠償請求を行ったと仮定した場合に、その中で、取材源を明らかにするよう求めたとしても、最高裁の判断からすると、秘匿することは認められるようです。NHKのサイトに判決内容が紹介されていました。
https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/focus/106.html
「取材方法が違法である場合,取材源が開示を了承している場合,社会的価値を考慮してもなお公正な裁判を実現するために証言が不可欠な場合を除き,記者は証言を拒絶することができる」
「情報提供が法律に違反したり,その内容が内部告発情報に当たらなかったりした場合でも,取材源の秘匿は認められる」
※なお、更に余談ですが、上記の判決内容紹介の中で、次のような記述がありました。
「1審では証言拒絶を認めなかった情報源の数など取材過程に関する質問についても「個々の質問では,取材源が特定されなくても,質問が重なれば取材源の特定が可能になる」として,証言拒絶を認めた。」
この論理?は、「小保方氏が盗んだと直接は断定していなくても、証言その他の材料の紹介を重ねることによって、盗んだとの印象を強く与えるような演出を行えば、断定したに等しい」という理屈が成り立つように感じます。
(2)理研の知的財産の侵害行為
実質的にもっとも深刻な点は、2010年3月から3年間分の実験ノートを、リーク元からNHKが入手し、更にそれを分子生物学会の研究者たちに渡したことにあると思います。
@ 特許出願との関係
実験ノートは、小保方氏及び理研、ハーバード大の「知的財産」そのものであるはずです。何と言っても、特許出願と密接に関係しているわけですから、特許出願を支える研究内容を公表されてしまったら、出願前であれば、「公知」となり、新規性を喪失してしまい、特許は認められなくなってしまいかねません。
リーク時点では、特許出願済みだったといっても、出願済みのものに、実験ノート内容がすべて網羅されているわけではないですし、特許出願内容を説明する明細書と実験ノートとはイコールではありません。
発明者の意に反して公表されてしまった場合には、救済規定がありますが、それにしても期間、手続き等で制約がありますし、この救済規定は欧米すべてにあるわけではないはずです。特許出願人の一人は理研でしたから、当の理研の職員の手によって公知化されてしまうことについての扱いは難しいところでしょう。
また、特許のことは措くとしても、「営業秘密」として保護されるべきものでしょう。小保方氏は、4月初めの会見で、実験ノートの公開に関して、「所属先の知的財産である関係から、自分だけの判断では公開できないことをご理解いただきたい」という趣旨の発言をしていました。ですから、リークした職員やNHKは、そういう機微な性格のものであることを理解していたはずです。
A 「営業秘密」との関係
もともと、STAP細胞の研究は、ハーバード大からのオファーによって締結された共同研究契約に基づいて研究が進められたものです。当然、契約上の秘密保持義務も理研側は負っていたはずですから、営業秘密として、それなりの保管の仕方をしていたと思います。
「営業秘密の保護」は、不正競争防止法に規定されていて、元々は「不正競争目的」による漏洩が罰則の対象でした。その場合には、競業者による入手がもっぱら念頭にありましたが、外国政府のスパイや愉快犯などによる漏洩、公開も念頭に、「図利加害目的」として、利益を得る目的と相手を害する目的の双方をカバーするようになっています。
そして、漏洩した者と取得した者の双方を罰する仕組みになっています。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/slide6-ver_10.pdf
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「事業者の営業秘密を、不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、不正取得、領得、不正使用、不正開示のうち一定の行為について、個人については10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金(又はこれを併科)を、法人については3億円以下の罰金(両罰規定)を科す」
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今回の場合、「不正の利益を得る目的」や「その保有者に損害を加える目的」に当たるのかどうかは、微妙なところなのかもしれません。この「図利加害目的」には、報道、内部告発の目的で行う行為は処罰の対象とはならないとされていますから、NHKの責任を問うのは難しいのかもしれません。しかし、NHKはマスコミとして広く報道することが業務なのですから、リークした理研職員は、NHKに実験ノートを手交すれば、それが公開されることは当然認識していたのではないでしょうか。また、NHKは、競業者たる分子生物学の研究者たちに手交しています。
リーク者やNHKは、それらの実験ノートをチェックし、捏造、改竄その他不自然な点がないかどうかを明らかにすることが目的だ、というのかもしれません。しかし、公益通報的位置づけを認める余地がないことは前述の通りですし、少なくとも、結果として、小保方氏と理研の知的財産を害したことは間違いがありません。また、研究機関の職員の常識として、実験ノートを外部に漏らすことは、知的財産を侵すことだということはわかっていたはずです。また、研究者たちも、未公開の様々な知見という研究上の利益を得られたことでしょう。未公開情報があることは、小保方氏も示唆していましたから、その実験ノートを元に、別途の応用研究をし、公開したり特許出願することも、理屈の上では可能です。
営業秘密の侵害罪は、親告罪ですので、当事者の理研が告訴しなければ、罪には問われないわけですが、道義的、倫理的責任はあると思われます。
(3)背任的行為
リークした理研職員は、3年分の実験ノートやメールを入手できる立場にあったと思われますので、不正調査を行う者又はその事務局的立場にあったと想像されます。NHKのナレーションでは、メールは「理研の調査に提出された」と説明されているので、そういうことかと思います(当初、私は、小保方氏や笹井氏のメールサーバーのID,PWを使ってメールにアクセスした可能性を疑い、不正アクセス禁止法違反の可能性を書きましたが、ナレーション通り、アウトプットされて提出されたものであれば、同法との関係はなくなります)。
しかし、不正調査を担当する者がリークしたのだとすると、調査対象物を外部に漏洩することは、背任的色彩を帯びるのではないでしょうか。調査に支障が生じるのであれば、業務妨害ともなり得ます。背任罪などは、「図利加害目的」が要件ですので、報道機関へのリークだと、その要件には形式上は当たらないのかもしれませんが、(1)で述べたように公益的理由も極めて乏しい中で、任務に背いているとは言えるでしょう。
(4)通信の秘密、プライバシーの侵害
申し立ての中では、通信の秘密とプライバシーの侵害が指摘されていました。これは、NHKスペシャルで流されたメールを読み上げたナレーションは、
http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/07/28/0007187321.shtml
不正調査とは何の関係もない、小保方氏と笹井氏との不適切な関係を印象付け、スキャンダル的イメージを持たせるための、それこそ不適切な利用の仕方であるということに対するプロテストだと思われます。
NHKは、抗弁として、次のように述べているとのことです。
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「(1)申立人と笹井氏の間の電子メールは、笹井氏が、申立人に対し、画像やグラフの作成に関して具体的な指示を出していたことを裏付けるものであり、申立人の実験ノートと同様に、本件番組において紹介することが極めて重要なもので、「違法なプライバシーの侵害にはあたらない」
http://www.bpo.gr.jp/?p=8254&meta_key=2015
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しかし、小保方氏や若山氏の当初論文を、笹井氏がテコ入れして図表等を大幅に追加して再構成をしたことは、初めから当事者が明らかにしていることですから、二人の間で接触が日常的にあったことは当然わかることです。ですから、あのような内容と感情を持たせたナレーションで、そのことを裏付けさせる云々など、全く抗弁にはなり得ません。もし、笹井氏が捏造なり改竄を指示なり示唆なりしているメール内容であれば、もちろん話は全く違ってきます。しかし、読み上げられたものは、そういう類いのものではまったくありません。
笹井氏が、STAP細胞の研究を大発見であるとして研究者としての昂奮を示していたことは、昨年1月の当初発表時の発言ぶりからも明らかなのですから、メールの挨拶の中で「小保方氏と一緒に研究できて嬉しい」と思うのは当たり前のことでしょう。そういった中で、メールというプライバシー保護の典型的対象であるものを、しかも、抗弁で主張するような目的とは到底思えない公開、読み上げなど、許されるものではありません。
他方、リーク元の理研職員の責任のほうですが、上記(3)で述べたように、3年分の実験ノートや関連のメールを入手できる立場にあったと思われますので、不正調査を行う者又はその事務局的立場にあったと想像されます。
「通信の秘密とは、個人間の通信(信書・電話・電子メールなど)の内容及びこれに関連した一切の事項に関して、公権力がこれを把握すること、および知り得たことを第三者に漏らすなどを禁止すること。」(ウィキペディア)とあり、後者については、郵便や電気通信などを念頭に、職務上知り得た秘密を漏らしてはいけない、というものかと思います。
ただ、総務省の「情報通信の不適正利用と苦情対応の在り方に関する研究会報告書」の報告書においては、
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「一般的には、発信者の氏名、住所等の発信者情報についても『通信の秘密』に含まれるとされているため、この問題を検討する上では、まず、『通信の秘密』を保護した現行の法規定との関係を整理する必要がある。」とした上で、憲法上の「通信の秘密」との関係について、「基本的には、憲法の基本的人権の規定は、公権力との関係で国民の権利・自由を保護するものであると考えられている。電気通信自由化以前については、電電公社、国際電信電話株式会社には憲法の規定が適用されていたとも考えられるが、電気通信が自由化された現在では、電気通信分野における競争の進展状況、インターネットの登場等の電気通信の多様化の進展状況にかんがみれば、憲法上の『通信の秘密』は私人である電気通信事業者等へは直接的な適用はなく、電気通信事業法等で保護されているものと考えられる。」とされている(同報告書・第4章・2(1))。」
http://www.jaipa.or.jp/info/2005/iw2005.pdf
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とのことだそうです。そうだとすると、憲法上の「通信の秘密」は、公権力をもっぱら対象にしたものなので、本件については、直接は関わってこない、ということなのかもしれません(学説は様々がありそうですが)。不正調査に従事する者がその職務上取得し、知り得たメールの内容を漏らすという行為は、直接的には、(1)のみなし公務員としての守秘義務違反で責任を問うということになるようです。
他方、プライバシーの侵害については、古典的プライバシー権として指摘されているような、「一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立つた場合公開を欲しないであろうと認められること」、「一般の人々に未だ知られていないことがらであることを必要とし、このような公開によつて当該私人が実際に不快、不安の念を覚えたこと」といったものが挙げられており、あのような内容、態様でのメールの読み上げは、これに該当することでしょう。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%90%E3%82%B7%E3%83%BC
リークした職員にしても、マスコミという公開、報道を業務とする組織の記者に対して渡すということは、それらが公開されることを認識していた・・・というより、公開させることを意図して提供した、ということでしょうから、プライバシー侵害行為になるということでしょう。他人を手段として使う「間接正犯」のような構図でしょうか??
なお、後述するように、メールの公開については、直接は著作権侵害の観点からは述べていないように思われますが、当然、メールには著作権がありますから、その侵害についても訴えることが有効と思います。
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