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活動期迎えた日本の火山
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投稿者 あっしら 日時 2015 年 8 月 30 日 14:14:21: Mo7ApAlflbQ6s
 


[今を読み解く]活動期迎えた日本の火山
喫緊の課題に取り組む 京都大学教授 鎌田浩毅

 昨年秋に御嶽山が噴火し、死者・行方不明者63人という戦後最大の火山災害を引き起こした。その後も箱根山、口永良部島、浅間山などで火山活動が活発化。今月は桜島で噴火の可能性が高まり、一時避難勧告が出された。

 私が専門とする地球科学から見ると、これらは予測されたことだった。4年前の東日本大震災以来、日本列島の地盤が大きく変化したからだ。マグニチュード(M)9.0という巨大地震により、東北地方が東西に最大5.3メートルも引き伸ばされた。このため、東日本では今でも直下型地震が断続的に発生している。

 実は、東日本大震災は日本列島で1000年に1度発生するかどうかの非常に稀(まれ)な巨大地震だった。その結果、9世紀以来という「大地変動の時代」に突入した。加えて、この規模の巨大地震は、火山の噴火を誘発することが経験的に知られている。地盤にかかる力が変化した結果、活火山の地下でかろうじて安定を保っていたマグマの活動が励起されるからだ。


●震災後に活発化

 これを裏付けるように、東日本大震災の直後に地下で地震が増えた活火山が20個ある。富士山、箱根山、浅間山、伊豆大島、草津白根山などがそうで、その後に箱根山と浅間山の火山活動が活発化した。このように緊迫した状況の中で、高橋正樹著『日本の火山図鑑』(誠文堂新光社・2015年)には活火山すべての噴火史と特徴が網羅されており、全容をつかむには非常に有益だ。数多く挿入されたカラー写真とともに、巻頭や巻末の解説を利用することで、活動期を迎えた火山の基礎知識を押さえることができる。

 噴火は人的被害のみならず大きな経済被害をもたらす。この際、火山災害を軽減するため重要な情報がハザードマップ(火山災害予測図)にある。火口から噴出する溶岩流、火砕流、火山灰、泥流などが何時間でどこまで到達するかを予測した地図だ。あらかじめハザードマップを見ておくことで、危険な場所から退避できる。企業や官庁は、噴火災害に対する事業継続計画(BCP)が立案可能だ。

 朝日新聞社著『日本列島ハザードマップ』(朝日新聞出版・13年)は、火山、地震、津波などの自然災害を軽減するハザードマップを、ビジュアルに分かりやすく解説したものだ。後半には地域別の詳細なハザードマップが用意されており、こうした図からBCP策定をスタートすればよいのではないか。

 私は常々、「火山防災は地震防災と一緒に取り組むべき」と主張してきた。たとえば、江戸時代には宝永地震(1707年)と呼ばれる南海トラフ巨大地震が発生し、その49日後に富士山が大噴火した。大量の火山灰が噴き出て、江戸に5センチメートルほど降り積もったのだが、噴火は宝永地震によって誘発されたものである。よって、2030年代に予想される南海トラフ巨大地震の後にも、富士山など活火山の噴火を警戒する必要がある。

 国の想定では、次の南海トラフ巨大地震によって東日本大震災の10倍以上の経済被害が試算されている。すなわち、最大220兆円の地震災害の後に、富士山噴火による2兆5000億円の噴火災害が発生する予測だ。富士山は300年以上もマグマを溜(た)め込んでいる。これらは国家存亡の危機をもたらす喫緊の課題なのである。


●「長尺の目」必要

 さて、日本列島ではかつて、「巨大噴火」と呼ばれる規模のはるかに大きい噴火も起きている。熊本県・阿蘇カルデラを作った噴火がそうだが、噴出した火山灰は2000キロメートル離れた北海道東部に10センチメートルも積もった。火山が「本気を出した」例だが、日本列島では巨大噴火が平均すると約7000年に1回発生している。

 このように、私たち地球科学者は人間のスケールをはるかに超える現象を扱う。佐野貴司著『地球を突き動かす超巨大火山』(講談社ブルーバックス・15年)は、地球の歴史を繙(ひもと)く中で巨大噴火を解き明かした意欲作だ。視野を広げて地球と人類を考える際に役立つだろう。

 私は「長尺の目」と呼んでいるが、時間スケールで数億年、空間スケールで数千キロメートルの視座を持つと、まったく異なる描像が出現するのだ。「大地動乱の時代」に入った今こそ、適度な経済成長を維持しつつ、地理上の宿命的な課題に粘り強く取り組むべきだろう。

[日経新聞8月22日朝刊P.19]

 

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コメント
 
1. 2015年11月07日 11:30:50 : 9HFRDF5cwU
>江戸時代には宝永地震(1707年)と呼ばれる南海トラフ巨大地震が発生し、その49日後に富士山が大噴火した。

富士山以外に火山の例が出ていない。したがって、1700年代に火山が活性期に入ったとは言いがたい。単に府会牽強しているに過ぎない。
 確かに今日火山の活発さが多く目にされるが、それは一つには情報化社会だから、観測が緻密になってきたから、に他ならない。火山が数多くある以上、一つ二つの火山は、常に活発化の可能性はあるのだから。


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