http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/140.html
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「iPS細胞はがん抑制酵素を破壊」(EJ第4108号)
http://electronic-journal.seesaa.net/article/424860696.html
2015年08月28日 Electronic Journal
「ウォディントンのスロープ」というものがあります。ここで
ウォディントンというのは、英国の発生学者であり、彼は細胞の
分化のプロセスを山のスロープを転げ落ちるボールに譬えたこと
で、その名前があります。
2010年2月にスキーリゾートで開催されたキーストン・シ
ンポジュウム──参加された東京大学名誉教授の黒木登志夫氏に
よると、そこでは、ウォディントンのスロープをスキー場に見立
てた図「ウォディントン・リフトモデル」が用意されていたとい
うことです。
山中ファクターと呼ばれる4つの遺伝子がどのような働きをす
るのか、いまひとつ素人にはわかりにくいと思いますが、スキー
ヤーでもある黒木教授がスキーに譬えて自著で述べておられるの
で、そのウォディントン・リフトモデル(添付ファイル)ご紹介
することにします。図には、山中ファクターが書き込まれている
ので、明らかにiPS細胞を意識して作ったものと思われます。
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スキーヤーとしての経験から言うと、スキー場のスロープを下
から眺めたとき、自分が格好良く滑ってくる姿はイメージできて
も、頂上に向かって「滑り上がる」ことなど想像できない。
登るためには、スキーの裏に滑り止めのシールを貼るか、ある
いは、リフトを利用するほかない。山中因子は、いわばスキーリ
フトであった。ふもとから、c─Myc、KIf4、Sox2、
Oct4などのリフトを乗り継いで頂上のES小屋にたどり着い
た細胞がiPS細胞なのだ。 ──黒木登志夫著
『iPS細胞/不可能を可能にした細胞』/中央公論新社刊
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さて、昨日の続きです。iPS細胞の「がん化の危険」を再現
して、話をさらに先に進めます。
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1.がん化の危険(1) c─Myc
2.がん化の危険(2)レトロウィルス
3.がん化の危険(3)抑制酵素の破壊
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がん化の危険(2)について考えます。これについて、田中幹
人編『iPS細胞/ヒトはどこまで再生できるか』(日本実業出
版社)では、著者は次のように書いています。
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ウィルスを利用して遺伝子を体細胞に組み込むとき、「どこに
入るかわからない」という欠点がある。これは遺伝子組み替えの
宿命ともいえる。遺伝子配列を本に例えるなら、狙った位置では
なく、別のページに因子遺伝子が貼り付けられる場合も起こりう
る。すると、「問題を引き起こすかもしれない。こういった仕組
みによって、ガンを抑制している遺伝子が読み取れなくなり、間
接的にガンを引き起こすケースも確認されているのだ」。
──田中幹人編/日本実業出版社刊
『iPS細胞/ヒトはどこまで再生できるか』
──船瀬俊介著『STAP細胞の正体/「再生医療は幻想だ」
復活!千島・森下学説』/花伝社刊
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この第2のがん化の危険は、内容がきわめて専門的であり、ど
の程度リスクがあるかわかりませんが、これは遺伝子の組み替え
をやる以上、どうしても付いてくるリスクと考えられます。その
ため、素人にも朗報として受け取れるのは、発がん遺伝子である
c─Mycを使わなくても、iPS細胞を作製できるようになっ
たことです。メディアなども、ことさらそのことを強調している
ように思えます。
しかし、本当のリスクはがん化の危険(3)にあるのですが、
このリスクに関しては、田中幹人編の前掲書には載っておらず、
他の本にもなぜか載っていないのです。がん化の危険(3)とは
どのようなリスクなのでしょうか。
このリスクに最も警鐘を鳴らしているのは、高知市の土佐清水
病院院長、丹羽耕三医師です。丹羽氏のこの病院は一風変わって
いて、検査、薬、治療日数など、細部にわたって制限されている
現在の健康保険制度の枠にとらわれず、最善の治療を実現するた
め、すべて自由診療になっています。
院長の丹羽耕三氏のプロフィールをネット上で探すと、次のよ
うにプロフィールが紹介されています。
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活性酸素とSODの研究を臨床医として世界的にも最も早くか
ら(1970年代から)手掛け、この分野の世界的権威。SOD
などの研究論文を著名な英文国際医学雑誌に続けて発表。国際医
学誌の投稿論文の審査員でもある。また、世界に先駆け、遠赤外
線の効果を水、動物、人体などの全体の変化だけでなく、人体の
細胞レベルでの生理、生化学的変化の研究を行い、国内外の医学
専門誌で発表している。 http://bit.ly/1hC33fm
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このように丹羽耕三医師は、自分が何でもものをいえる立場に
身を置いて警告を発しているのです。この丹羽医師の警告につい
て、既出の船瀬俊介氏は自著で次のように紹介しています。
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人体には細胞増殖を抑制するブレーキ役として「PB」「P5
3」という2種類の酵素が備わっている。いっぽう、iPS細胞
によって再生医療を行うためには、iPS細胞を増殖させる必要
性がある。そのためには、2種の“ブレーキ”が邪魔になる。そ
こで、iPS細胞開発には、必ずこの2つのブレーキの破壊が必
須条件となる。そうすることで、ようやくiPS細胞は増殖し、
再生医療への活用が可能となるのだ。
──船瀬俊介著の前掲書より
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── [STAP細胞事件/081]
≪画像および関連情報≫
●iPS細胞、がん化に関わる遺伝子変異、移植手術延期
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理化学研究所などによるiPS細胞を使った世界初の移植
治療の臨床研究で、2例目の移植手術を見送っていたことが
2015年6月16日、分かった。患者から作製したiPS
細胞に複数の遺伝子変異が見つかるなどしたためだという。
17日に開く文部科学省の専門家会合に、研究チームを率い
る理研の高橋政代プロジェクトリーダーらが出席し、説明す
る見通しだ。
この臨床研究は「加齢黄斑変性」と呼ぶ高齢者に多い目の
難病患者が対象。患者自身の細胞からiPS細胞を作り、さ
らにシート状の網膜色素上皮細胞に育てたうえで患者の目に
移植する。事前に細胞の遺伝子を詳しく調べ、がん化などの
恐れがないと判断し昨年9月に1例目を実施した。手術後は
視力低下を抑えられ、がんもできていないという。当初の計
画では6人に移植手術をすることになっていた。
研究チームは2例目も同様の手法で移植する方針で、昨年
のうちに患者の細胞からiPS細胞を作り、網膜細胞を育て
ていた。ただ、iPS細胞の遺伝子を解析したところ、がん
化に関わるとされる遺伝子変異が複数見つかった。加えて、
父母からそれぞれ受け継ぐ遺伝情報のペアの片方が欠ける変
化が一部でみられた。そこで、そのまま網膜細胞の移植手術
に踏み切るのは問題だとの指摘を受け、実施の見送りを決め
たという。 http://bit.ly/1EPYcM7
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