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J S Bachの、いまわたしが好きな音楽3 平均率1の第8番やパルティータなど
1、平均率1の第8番
WTC 1 第8番 前奏曲とフーガ BWV853
この曲は、高度な作曲技法に目をうばわれるフーガにまず目が行くが、そのうちに、バッハの前奏曲とフーガの常、前奏曲の深い魅力にひきずりこまれることになるだろう。平均率に親しんだ人は、この前奏曲にいろいろな想い出があるであろう。バッハのなかでも情感にみちた1曲である。
この曲には、意外にぴったりくる演奏がない。アルペッジョの解釈が微妙だからだ。最近見つけたこの奏者 Hyun-Young Choi のものは、かって聴いたカークパトリックRalph Kirkpatrick の円熟時の演奏にも似て、自由と厳格さが、ほどよくバランスがとれている。Hyun-Young Choi は韓国人。演奏時はまだ20代だったようだ。検索しても、ほとんど、なにもわからない。本人がアップしたらしい猫の動画があるだけ(笑)今後の円熟が楽しみだ。
https://www.youtube.com/watch?v=ITNgk3hlhsc
つぎのは平均率1の全曲から、他の奏者もいる。
https://www.youtube.com/watch?v=2THc4ClNr1Y#t=0h35m05s
演奏は、ごくほんのわずか、くせはあるが、気にならないほど。前奏曲のアルペッジョはいい感じ。前奏曲のアルペッジョの上昇音階が、フーガの主題と関連するが、その関連づけよりは、むしろ前奏曲の音楽性の内容の充実のほうが重要である。前奏曲のアルペッジョが、さまざまな和声をみせ変化していく。フーガは、この前奏曲のアルペッジョの万華鏡のなかから自然に現れてくるようにつくられている。和声と対位法の統合の見本のような曲。
アナリーゼというのか用語は知らないが、フーガは楽曲分析があるとよく理解できる。残念だが、動画ではなかった。
http://www.bachwelltemperedclavier.org/pf-ebd-minor.html
スコアのついたものは、(scrolling)
https://www.youtube.com/watch?v=HlXDJhLeShg#t=0h32m18s
演奏者は、記載がないが、たしかトン・コープマンTon Koopman
Hyun-Young Choi の演奏は、たんたんとひいているが、これがいい。チェンバロは歴史的名器の複製らしくて、落ち着いた響き。ほかにもいい演奏者はいっぱいいるのであろうが、まさに人生の出会いと同じ。一期一会(いちごういちえ)である。
これは何人かで平均率を演奏しているもののなかのひとつ。
Louis-Noёl Camboulas の終曲24番BWV869 の演奏もいい。
https://www.youtube.com/watch?v=e-UfcMQJE2M
なお、演奏者たちについては、まったくなにも知らない。演奏者たちの名前の読みすらわからない。
さて、みなさんが、聴くのはなんだろう?
たぶんグレン・グールドGlenn Gould だろうか。
https://www.youtube.com/watch?v=LwKUN2W3OHM#t=0h29m00s
うまいが、わたしにはグールド節が鼻につく。グールドの音楽として完成しているのは、長所にも短所にもなりうる。たとえばバッハのピアノ協奏曲の場合は、長所が前面に出て、類のない名演になっている。平均率の場合は、たとえばリパッティのように自己を無にして弾くべきなのだろう。リパッティが平均率を録音していないのはほんとうに残念だ。あまりに早逝しすぎた。神に愛された人は早逝する。
ピアノの正統派はこんなか?
J.S.Bach BWV853 - Ptricia Hase
https://www.youtube.com/watch?v=vYKCz4CoOng
リヒテル派の人はけっこういるだろう。とてもいい音楽性だ。
https://www.youtube.com/watch?v=xFTvjRpaU38
グルダはちょっと耽溺しすぎか。
https://www.youtube.com/watch?v=Y4kihlDPP4Q
モーツアルトも、フーガ研究中にこの曲に取り組んで、前奏曲を作曲している。KV404a
https://www.youtube.com/watch?v=AuoqTRzIQ20
この曲はほんとうは、ハンマークラーフィアやクラビコードのように弾くべきなのだろうか?クラビコード Clavichord の響きは、録音再生がむずかしそう。
https://www.youtube.com/watch?v=S9XgDPmaKFQ
チェンバロのヴァルハHelmut Walcha 派の人もいるだろう。
https://www.youtube.com/watch?v=hordvX3AA3A#t=0h34m21s
楽譜に忠実に、ということなのか、がちがちの演奏になっているが、しかし見事だ。
チェンバロのレオンハルトLeonhardt も健闘している。
https://www.youtube.com/watch?v=e3eezi0urgo#t=0h33m58s
2、パルティータ
Hyun-Young Choi の演奏は、ほかにパルティータ 3番 BWV827があった。
https://www.youtube.com/watch?v=mWeeiq3y3Xw
ヴァルハHelmut Walchaのパルティータ3番BWV827とくらべてみよう。
https://www.youtube.com/watch?v=nTwW6113K14
やはり、ヴァルハの集中力はすばらしい。遅めのテンポもいい。とうぜんか。
パルティータはカークパトリックRalph Kirkpatrick の演奏があり、知られていないがとてもいい。1938年ころのものはよくないが、1958年から1960年ころのはいい。たとえば、この2番BWV826
パルティータ2番BWV826
https://www.youtube.com/watch?v=bIPxF5prRO4 1.Sinfonia
https://www.youtube.com/watch?v=JUAXhEBTGp8 2.Allemande
https://www.youtube.com/watch?v=cc-YFlJuwKg 3.Courante
https://www.youtube.com/watch?v=TnVGHo9Z5X0 4.Sarabande
https://www.youtube.com/watch?v=3OugjvgIjeI 5.Rondo
https://www.youtube.com/watch?v=6pDVxhAxnxU 6.Capriccio
パルティータは、舞曲の組曲集である。ふつうはアルマンドなどから始まるが、バッハは、シンフォニアなどをくっつけて、組曲としてひとつのまとまったものを構成してしまった。イギリス組曲、フランス組曲と作曲してきて、パルティータとなる。この曲集パルティータは自信があったのか、バッハ自身が出版している最初の曲集になる。
これは、もはやダンスの曲集であるとは、とても信じられない内容の曲のあつまりになっている。それは、たとえば、つぎのアルマンドAllemandeやサラバンドSarabandeを聴くとわかる。
BWV829 - Partita No.5 in G Major (scrolling)
https://www.youtube.com/watch?v=zhsTQ_mf-RU#t=03m06s
BWV830 - Partita No.6 in E Minor (scrolling)
https://www.youtube.com/watch?v=KTcJHfDq7gE#t=17m28s
これらは、トン・コープマンの演奏だったと思うが・・・つぎの歴史チェンバロのほうが、やさしい音がする。BWV830のサラバンド
Louis-Noёl Camboulas のBWV830 - Partita No.6 in E Minor
https://www.youtube.com/watch?v=A25-KwU2zKM#t=14m00s
3、リパッティのパルティータなど
パルティータでは、リパッティDinu Lipattiのパルティータ1番BWV825のよく知られた名演がある。最後のリサイタルのもの
https://www.youtube.com/watch?v=9etK1RuN2jc
リパッティの名演といえば、よく知られたグリークのピアノ協奏曲イ短調がある。鮮烈なピアノだ。
https://www.youtube.com/watch?v=_uRFCECOnA8
さらに、つぎのバッハのコラール前奏曲は、あまりにも有名。最後のリサイタルのものかどうかは、未確認。
われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ BWV639
https://www.youtube.com/watch?v=gkUZX77vNtc
来たれ、異教徒の救い主よ BWV659
https://www.youtube.com/watch?v=MC3Upv8DuRQ
4、映画「惑星ソラリス」につかわれた BWV639
タルコフスキー監督のレムのSFの映画惑星ソラリス では、「われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ BWV639」 が使われていた。
https://www.youtube.com/watch?v=mGb0tP1Gz5Y
ここに出てくる惑星ソラリスの海が、知的生命体であるという設定だ。主人公のこころの深層から、かって自殺した恋人を現出させる。なんのためか、わからない。未知との遭遇だ。結局、かれは地球に帰らず、惑星の海のなかに消える。
この映画は、異星人コンタクトもののレムのSFの「ソラリスの陽のもとに」を読んでいないと、ストーリーはよくわからないだろう。だが、バッハの音楽の出来によって、このタルコフスキーの映画が名作になったのでは?という複雑な気持ちにもなる。
なお、レムは、この映画には不満であったと記憶している。知的生命体である「惑星ソラリスの海」こそが、もうひとりのほんとうの主人公だが、あまりはっきり、おもてに出てこないからであろう。なお、レムのSFは、新訳が「ソラリス」という題で出ている。
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