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60年代、ヒッピーのメッカであるアメリカ西海岸はロックの実験場だった。LSDとマリファナが自由に流通しサイケデリック音楽が若者文化の中心になり栄えた。ブリティッシュ・インベージョンの第二世代であるレッド・ゼッペリンやザ・フーなども西海岸の影響を無しには存在しえなかったのだ。
西側世界の最西端で起こった音楽革命。主人公の一端である白人・黒人の混成グループ、Love。彼らはThe Byrdsがフォーク・ロックのブームを起こした60年代半ばのLAから彼らの後を追うようにでてきた(フランク・ザッパの伝記にも自分達が出てくるまでのLAはフォーク独占時代でバーズがいてその後にラブが続いただけだった、と記されている)のだが、音楽性はバーズの模倣も見られるものの、かなり変わった作風のバンドだった。
サウンド作りの要になったのは、リーダーで殆どの作詞・作曲・ボーカルを担当した黒人のアーサー・リーと、モンキースのオーディションに失敗してバーズのロード・マネージャーをしていたアイルランド人のブライアン・マクリーンの二人。
彼らのファーストアルバムは、リーとマクリーンを7:3くらいの比重で押し出しており、この基本姿勢は2年にわたる彼らの活動期間中、継続されていた。しかし、マクリーンは実際には作曲をしていたのは自分とベーシストであり、リーはそこに出てきて歌詞をつけてはジャイアンをかまして横取りしたと訴える。結局、バンド解散から20年以上たってもまだ裁判沙汰が続くほどでマクリーンの評価というものは故人となってからも定まりきってはいない。
ファーストアルバムで異彩をはなったブライアン・マクリーンの曲。
Softly to me - Love
私はこの曲に出会ったウン十年前に、なんだか後味の悪さを覚えていつもFFで飛ばしていたものである。確かに名曲ではあるのだが、何かが非常な不具さ、不健全さを彷彿とさせるのだ。まるで時計の針が、四方にグルグル回ったまま止まったような感覚だ。一度、正午にリセットできないだろうか・・・・・
そういう思いを抱きながら、私はなんとかこの名作を健全な方向に中和させる触媒がないものかと模索していた。あった、見つけた、とまではいわないが、私にはおそらくマクレーンをインスパイアしたに違いないこの曲がマクレーンの持つ危険な自虐の毒性を和らげる抵抗毒なのではないかと思える。
Come Softly To Me-The Fleetwoods
このオールディーズを知ることで、私はマクリーンの現実感がどこまで歪んだかという処方箋を得ることができた。別にマクレーンが間違っていたとは思わないが。
ブライアン・マクリーンはそれからもバンドにとって大きな方向性を与える大曲を提供したあと、脱退して日の目を見ることなく余生を送るわけだが、彼の曲で一番有名なのはラブの傑作LP[Forever Changes]に収録されたこの曲だろう。
Alone Again- Bryan MaClean
このデモを聞いたエレクトラのプロデューサーはストリングやホーンを加えて売り出すことを決定。結果的にはジャイアンのリーがまた出てきてボーカルをデュオに変えてしまう。リーはコピーライター的なセンスでタイトルにOrを付け加えた。
Alone Again Or- Love
話はここで終わらない。この曲の丁度5年後、同じアイルランド人のシンガーソングライター、ギルバート・オサリバンはAlone Again Or? という問いに
答えをだした。Alone Again、と。やっぱり独りぼっちに戻る。
オサリバンのバージョンは、また全然別物なのでパロディーとは言えないが、それでも彼がマクリーンの全曲を知っていて、アローン・アゲインとタイトルを付けたことは疑いようがない話だ。
今回のブライアン・マクリーン若き日の映像。ボーカルの向かって左後ろでリズム・ギターをひいている白人が彼。口が半開き、眼球が動いていない。関西風にいえば「アホの子〜」であるが、実際は世代を代表するミュージシャンなわけだから人は見かけによらない。
余談:日本人とアイルランド人というのは非常に相性がいい。川口マーン恵美は『ドイツ人とシナ人』が合う民族だと執拗に言ってきているが、日本とアイルランドやウェールズといったイギリス辺境民族との非常に似通った民族性、文化をもっと紹介する人がいてもいいと思う。我々は自然や動物に囲まれて有史以来生きてきた島民で、四季風情のもたらす細やかな情緒を生活感情に織り交ぜて人生を送るのだ。別にそれだからどうというわけではないが。
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