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J.S.Bach のフーガの技法 未完のフーガの復元
J.S.Bach のフーガの技法は、未完のフーガがあることで知られている。コントラプンクト14という曲で3重フーガである。これは、フーガの技法の基本主題と組み合わせられるということで、4重フーガとして復元しようという試みが、いままでいろいろされてきた。
なおBACH=2+1+3+8=14 となり、14という数はバッハをあらわす。平均律第U巻の第14曲は3声部の三重フーガであり、この前奏曲とフーガはバッハの音楽のなかで特別なものであり、信仰告白として理解されている。3声部の三重フーガは、三位一体をあらわすという。これらは、平均律第T巻第8曲の前奏曲とフーガとも内面的にも関連し、フーガの技法は、フリードリッヒ大王の音楽の捧げものより、むしろこれらの平均律の諸曲に、内面的には近いような気がする。
BACHという名も、音名として、フーガの技法ばかりでなく、いろいろな場で主題としてかれは使っている。したがって第14曲の第3主題は、BACHという音名のテーマである。まるで署名のように曲の中に入れられている。
つぎの復元は、なかなかいいな、と気にいっている。対位法は、漢詩の平仄法みたいに専門家にしか、わからないきまりで、こういったものには古代ギリシア詩の音韻のきまりとか万葉集の漢字のきまりとか、いろいろあり、これらを理解しようとして私は挫折したので、理解できる人には羨望の念をいだく。
だから、この4重フーガの復元が、対位法のきまりにどのようにかなっているかは、じぶんでフーガを作曲した人にしかわからないのだろう。平均律の諸曲のように、技法をこえた音楽の深い世界にひたるというようなものではないが、4つの主題の組み合わせの妙に感動することになる。
Contrapunctus XIV
https://www.youtube.com/watch?v=0rHMBXHQ9eo
この(9:20)あたりからはじまる復元は、まず第1曲の基本主題(4)を効果的に使っている。これが第4主題として入るとき、第14曲の第2主題が反行形で組み合わせられる(10:31)にはおどろく。バッハはそれまで反行形は提示していなかったからだ。単独で聴こえる場がないのが残念だ。私はあまり音楽の素養にとぼしいのではっきりききとれないのだが、第1曲の基本主題(4)と反行形の第2主題の組み合わせには、はっとする異様なまでの美しさがある。これには作者Tudor Saveanuのフーガの技法への愛が感じられる。
第14曲の第1主題と第1曲の基本主題(4)が併置されるのも効果的だ。垂直と水平の組み合わせが効果的なようにバッハによって主題が作り込まれていて、ならべるだけでいいわけだ。最後に霧が晴れるようにソプラノから第1曲の基本主題(4)があらわれて、最良の組み合わせで曲が盛り上がり、終わる。すばらしい復元だ。
なお、フーガの技法はグスタフ・レオンハルトの大学院卒論のテーマであり、つぎの演奏は、かれのベストだ。
Leonhardt ,Bach: Die Kunst der Fuge
https://www.youtube.com/watch?v=5qSnQ-CC8l8
この第1曲の主題が14曲の第4主題となっている。
この時期のバッハを描いた映画がある。全部で動画4つでは5時間ほどあるが、フーガの技法を作っているときの晩年のバッハを描いたつぎの4/4がいい。フリードリッヒ大王の音楽の捧げものの場面から、フーガの技法の作曲や銅板に必死に彫り込むすがたが胸をうつ。ポルトガル語でまえは日本語化できたが、いま不可能になってしまった。
Johan Sebastian Bach - SerieCompleta - Cap.4/4:''A Ordem das Estrelas''
https://www.youtube.com/watch?v=itcqClfkraU
バッハが死に、埋葬され、マグダレーナが麦畑に消える最後は、ゴッホの絶作の麦畑が連想される。流れるロ短調ミサの第18曲 Et resurrexit も情景に合っている。感動的で何回もなぜか見てしまう。
BWV 232 - Mass in B Minor (Scrolling)
https://www.youtube.com/watch?v=EH6wdRVqoXQ
第18曲 Et resurrexit
この映画ではリヒターの演奏が使われているようだ。1969年の演奏はつぎの動画にある。
https://www.youtube.com/watch?v=ZnIDTOR9EkM
第18曲 Et resurrexit 1:22:58
マグダレーナ・バッハのつぎの映画もいい。バッハの音楽によせる監督の愛情やこだわりが感じられる。これらは、有名になったマグダレーナ・バッハの思い出の例の本からヒントを得て作ったものだろう。
The Chronicle of Anna Magdalena Bach: A film about Johann Sebastian Bach & his wife (1:33:33)
https://www.youtube.com/watch?v=NCFu7VmjmB4
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