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私は中学三年生まで『旅行代理店』というのは「お客の代わりに予約の代行をする」のではなく「お客のかわりに旅行にいってくる」仕事だと思っていた。本当だ。ネタではない。当時流行していた作家の島田雅彦に『亡命旅行者は叫び呟く』という小説があって、それにヒントを受け『亡命旅行社』というショート・ストーリーを書いたこともあったのだが、そこではちゃんと旅行者のために旅程をたてたり目的地との交渉などをしているので『旅行代理店』という商いのコンセプトはしっかり把握していたはずなのだが、それはあくまで『旅行会社』であって、『代理店』は別の業種だと思い込んでいた。
そういった普通はありえないおかしな思い違いの行為者になる場合が私の人生には時折ある。小学校のはじめの運動会で『ひげダンス』をやらされた時も、私だけがドリフターズを知らなかったので何をやっているのか理解していなかったのだ。200人くらいの全学年の中で私一人が知らなかったのである。私は下村先生の創作だと信じていたのだ。
今日はユーミンなんだな。国民的人気歌手、松任谷由美、旧姓、白川由美。いまのはボケた。荒井由美だ。自慢じゃないが今まで一度もレコード・CDを買ったり借りたりしたことはなく、名前しか知らない、に等しいのだ。確かTVには出ない人じゃなかったかと思うが、TVでも『俺たちひょうきん族』のエンディング・テーマでかかっていたような記憶が薄っすらあるだけである。『時をかける少女』だって原田知世バージョンしか通して聞いたことがない。
あるとき、武田鉄矢主演の『刑事物語5・やまびこの詩』をみていたときのことだ。賀来千香子と鈴木保奈美の演じるセレブ姉妹が自宅で料理に精を出しながら流行歌をコラボするのである。それが、あとから考えればユーミンの代表曲『ルージュの伝言』だったのだが、私はそんな曲は一度もきいたことがないので、賀来と保奈美が適当にハミングしながらでっちあげたオリジナル曲だと思っていたのだ。
(残念、二人が『ルージュの伝言』を歌う場面はYoutubeにあげられていたことがあるのだが、消えていた。武田鉄矢は今まで数えきれないほどのスターと共演してきたが刑事物語での鈴木保奈美は別格だったと言っていたことがある。賀来との姉妹コンビは本当によかったな。ちなみに私はまだ荻〇目〇子にはまるちょっと前で、鈴木保奈美と麻生祐未を天秤にかけてました。)
同じ時期、西部邁が東大を突然辞職する事件が起こり、その発端となったネオアカの旗手、天才学者などといわれた中沢新一がマスコミにポップな発言を提供するようになった。私は宗教や思想のことはよくわからなかったのだが、中沢が「日本人は外国に通用するかどうかなんて考える必要なし。ユーミンきいていればいいんだよ」と統失の分際でなにを言うか、みたいな発言をするのにただでさえ抵抗のあった邦楽に嫌気がさしたものである。
結局、ユーミンといえば『ひょうきん族』のエンディングと、「守ってあげたい」のサビがかすかに耳に残っている程度で、全く未知のアーチストのままであった。
月日は流れる。ごごっごご〜〜お、と。
アラサーのある日、私は古いLPをネットオークションで競り落とした。しかし、ターンテーブルを持っていない頃だったので、どうやってメディアに落とすか迷った。偶然、知り合いがカセットにコピーしてくれたのだが、新品のカセットがなかったとかでオーバーダビング。B面には全然知らない邦楽アルバムがはいっていたのだ。
なんとなく聴いてしまった。80年代Jポップである。タイトルはわからない。歌っているのは、シンガーソングライターだろう。私の脳裏に最初に浮かんだのは大貫妙子だった。そして白井貴子。どっちもよく知らないのだが、そういうイメージだった。NHKに出てきそうな模範的カルチャーアイコンのようなポップミュージシャンというのが第一印象。
曲よりも歌詞のほうが先に気に留まった。
(^^♪)いつでも 恋の オールマイティー
(^^♪)一度しか 使えないけど
(^^♪)だから フゥーー 君を 離さない
なんじゃ、この天然みたいな歌詞は!そのなめたシンギング・スタイルはなんのつもりだ年増め!そう。ユーミンとは気付いていない。
離さ〜な〜い。離さ〜な〜い。と特殊児童のようなリフが頭に残りそうな後味の悪さによろめく。早送れ。送り。送り。送り。あ、これいいな。
ずっとそばに 松任谷由美
ライブ・バージョンはアルバムより良くないが、Youtubeにはこれしかあがっていない。ユーミンは顔はモザイクだな。
Youtubeにオリジナルの音源があがっていた、この曲。
Night Walker 松任谷由美
背景のビキニの女は誰かしらないが、風邪ひくなよ。
あと何曲かいいのがあったが、Youtubeにはでてないな。
私はずっこけさせたオールマイティーは盛り上がる曲なんだろうか、芸能人がでとるな。
オールマイティー 松任谷由美
それから数か月してカセットの持ち主と話した時、はじめてそのアルバムは松任谷由美の『Reincarnation』だと知った。ネタではない。本当に白井貴子だと予想していたのだ。歌詞をググるというアイデアはなかった、というかそこまで知りたくなかったかもしれない。それからユーミンは一枚もきいていないし、あえてアマゾンやWikiで曲目を調べながらYoutubeするなんて暇もない。「ユーミンは聴くのが正解、見るのは不正解」以上。
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