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トランプ氏の天安門事件「暴動」発言 謝罪求める声
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/846.html
投稿者 あっしら 日時 2016 年 3 月 13 日 20:53:56: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


トランプ氏の天安門事件「暴動」発言 謝罪求める声[NHK]
3月13日 14時01分

アメリカ大統領選挙の候補者選びに向けた野党・共和党のテレビ討論会で、トランプ氏が、1989年に中国の北京で起きた天安門事件で民主化を求めた学生たちの行動を「暴動」と述べたことについて、アメリカ在住の民主活動家の間から発言は侮辱だとして、謝罪を求める声が上がっています。

不動産王のトランプ氏は、南部フロリダ州のマイアミで10日に行われた共和党のテレビ討論会で、1989年6月に北京で、民主化を求める学生たちの運動が武力で鎮圧され、大勢の死傷者が出た天安門事件について、司会者の質問に答えました。

この中で、トランプ氏は中国政府の対応について「支持しない」としたうえで、「強い政府が力を使って、『暴動』を鎮圧した。恐ろしいことだ」と述べました。トランプ氏が民主化を求めた学生たちの行動を「暴動」と表現したことについて、アメリカ在住の民主活動家の魏京生氏は12日に声明を出し、「多くの中国人にとって、受け入れがたい発言で、中国共産党による抑圧に反対する者への侮辱だ」として非難し、謝罪を求めています。

また、アメリカ在住の民主活動家の楊建利氏らも声明を出して、謝罪を求めたうえで、「発言はいいかげんで、力をたたえるトランプ氏の姿勢は、アメリカの価値観に背くものだ。アメリカの大統領にはふさわしくない」として、厳しく批判するなど、非難の声が上がっています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160313/k10010441781000.html

 

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1. 2016年3月14日 20:29:23 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[360]
2016年3月14日

「戦争はビジネス」と言った米兵とカルト宗教下にあった日本人。
第二次大戦から70年経ってその差は縮まったのか?
[橘玲の日々刻々]
 ひさしぶりの沖縄で平和祈念公園を訪ねました。ここは第二次大戦の沖縄戦で追い詰められた日本軍の玉砕の地で、近くにはひめゆりの塔があります。米軍の銃撃と砲撃にさらされたひとびとは壕のなかで集団自決し、摩文仁(まぶに)の丘の断崖絶壁からつぎつぎと身を投じました。

 戦前の日本は国家(国体)を神聖なものとし、すべての国民が天皇(皇統)に殉じることを当然とする“カルト宗教国家”でした。いまの北朝鮮のような社会ですから、当時のひとびとの価値観や選択を平和でゆたかな現在から批判しても仕方ありません。しかしそのなかにも、理不尽な現実に煩悶したこころあるひとはいました。

 八原博通は沖縄戦を戦った第32軍の高級参謀として、制海権・制空権を失った圧倒的不利な状況で、地形を利用した戦略持久戦を指揮して2カ月にわたって米軍を苦しめますが、大本営から無茶な決戦を求められて戦線は崩壊、最南端まで撤退するも戦闘継続不能に陥ります。このとき牛島満司令官、長勇参謀長は自決しますが、ナンバー3の八原は大本営への報告を命じられて壕を脱出、米軍の捕虜として終戦を迎えました。戦後八原は、沖縄戦の第一級資料となる手記を刊行し、劣勢を認めることができない大本営の愚策で兵士や沖縄県民が無駄に死んでいったことをきびしく批判します。

 八原は陸軍大学校を抜群の成績で卒業し、アメリカ駐在の経験もある超エリートで、合理的思考の持ち主でした。その八原は、刀折れ矢尽き丸腰同然で米軍に突撃していく将兵を見て、なぜ降伏してはならないのか自問します。そして、「(軍の最高権力者たちは)降伏に伴う自らの生命地位権力の喪失を恐れる本能心から、口実を設けて戦争を続けているのではないか」とまで考えるのです。

 しかしそれでも、八原は参謀として降伏を進言することができません。司令官も参謀長も、日本の滅亡を避けるには無条件降伏以外の道はないと確信しますが、そのことにいっさい触れないまま、美しい辞世の句と漢詩を残して自決してしまいます。これが6月23日のことですから、司令官を失った日本軍は戦闘を継続する能力もなく、かといって降伏することもできず、終戦まで1カ月以上、多数の住民や学徒兵を巻き込んでむごたらしい自決と玉砕を重ねることになったのです。

 終戦後、米軍の捕虜収容所にいた八原のもとに1人の米兵がやってきます。ミルウォーキーで技師をしていたという一等兵で、日本軍がなぜ自決するのか不思議に思って、高級参謀にそのことを尋ねようと思ったのです。

「これ以上戦っても効果がない、自分は十分に義務を果たしたと思えば降伏するのが当然ではないか」と米軍一般の見解を述べたあと、一等兵は、天と地ほど身分の違う高級参謀に向かって次のようにいいます。

「国家、政府、戦争、これらはすべてビジネスです。ビジネスにならぬ国家、政府、戦争は有害無益です」

 八原は米軍の一兵卒のこの言葉を聞いて、日本軍の神がかりの論理とのあまりのちがいに愕然とし、言葉を失います。

 それから70年たちましたが、この米兵と同じように国家を語れる日本人がいったいどれほどいるでしょうか。

参考:八原博通『沖縄決戦 – 高級参謀の手記』
稲垣武『沖縄 悲遇の作戦―異端の参謀八原博通』
『週刊プレイボーイ』2016年3月7日発売号に掲載
http://diamond.jp/articles/-/87910

 


トランプはなぜ勝ち続けるのか?米国民の本音を現地で徹底調査(上)


2016年3月14日 長野美穂

トランプ旋風が止まらない――。このままいけば、共和党の大統領候補者レースを制し、ひょっとしたら「トランプ大統領」が誕生する可能性すら出てきた。

3月1日に行われたアメリカ大統領選における最大の地方予備選挙、スーパーチューズデイで圧勝したドナルド・トランプ氏。その過激な発言に賛否両論が飛び交い、ついに最新の民主党公開テレビディベートでは、「トランプ氏はレイシストか?答えてほしい」という質問が、ヒラリー・クリントン候補に直接ぶつけられた。共和党内部のエリート層は慌てて「トランプを止めろ」運動に血道を上げるが、「トランプフィーバー」はすでに一大社会現象に育ってしまった。

トランプ氏の「大統領の資質」が取り沙汰されるなか、不安を抱く日本人も多い。同盟国である日本にとって、新大統領が打ち出す経済、外交、安全保障政策の影響は計り知れないからだ。彼はなぜこれほどの注目候補になれたのか。「トランプ派」「反トランプ派」の両方に現地で聞き込み取材を行ない、彼らの本音を徹底的に探った。(取材・文/ジャーナリスト 長野美穂、本文中敬称略)

「トランプ大統領」を求める
米国民の知られざる声


トランプ旋風が止まらない。このままいけば、「トランプ大統領」が誕生する可能性すら出てきた。米国民はなぜ彼を支持するのか。現地で本音を探った Photo:REUTERS/AFLO
「私、トランプがテレビでは見せない、ソフトで人間的な面を実際に見たことがあるの」

 そう語るのは、カリフォルニア州クレアモントに住むジュディ・ニール(68歳)だ。

 地元の共和党クラブの長を務める彼女のイチオシはテッド・クルーズ候補だが、トランプがもし共和党の指名を受ければ「100%のエネルギーを注いでトランプを大統領にする」と断言する。ニールは、違法移民によって殺害されたアメリカ市民を追悼する会「We The People Rising」の集会でワシントンDCを訪れたとき、トランプに初めて会った。

「ギャング活動や飲酒運転する違法移民に殺された市民が、実は全米にたくさんいるんです。そんな犠牲者を追悼するキルトを縫って展示していたら、トランプが『これは何?』と近づいてきたの」

 トランプは犠牲者の家族に歩み寄り、キルトを手に取り、彼らの話に耳を傾けたという。

「アメリカの大メディアは、違法移民の権利を保護拡大するための報道にはすごく熱心。でも、違法移民に命を奪われた犠牲者の家族の苦しみにスポットライトを当てることは、ほとんどない。トランプは、オバマ政権にも無視されているそんな声をちゃんと聞いてくれた」

イスラム教徒の入国阻止を支持
テロの記憶に今も怯える60代女性


ジュディ・ニールは「トランプはナルシストで傲慢だけど、決してマヌケじゃない」と支持する
 カリフォルニアで生まれ育った彼女が住む街は、昨年12月、14人が射殺されるテロ事件が起こったサンバーナディーノ地区から車で40分ほどの場所にある。地元民の間には、近くで起きたテロのショックがまだ色濃く残る。「パキスタンから来た“妻”に影響されてジハードを計画した人間が、次々と罪もない市民を殺した」とニールは言う。

 事件以来、彼女にとって、IS(通称イスラム国)はもはや、遠いシリアの話ではなくなった。街にあるイスラム教のモスクがFBIのウオッチリストに載っているという噂を聞くたび、「もしかしたら、次のテロに向けて信徒の洗脳が進んでいるかもしれない」と想像するだけで恐怖だという。

「移民でイスラム教徒の一家がウチの近くに住んでいるけど、彼らだってテロが怖いと言っている。テロリストが普通のイスラム教徒のふりをして入国してきたら見分けがつかない。人道主義を振りかざして外国人を入国させるのはいいけど、次に殺されるのが私の家族ではないという保証は一体誰がしてくれるの?」

 そんな彼女は、トランプの「イスラム教徒を米国に入国させるな」という発言を支持するという。

「宗教を差別するつもりはない。米国は宗教の自由が建国の源だから。でもイスラム過激派のテロリストが入国できてしまう現在のシステムは、危険すぎる」

 ニールは自宅に拳銃を常に配備し、射撃訓練も受けてきた。特にテロ後は、万一のことも考えて、子どもたちや家族を誘って射撃練習場で練習するようになった。拳銃を携帯するための州の許可も申請中だ。

「私は13人の孫がいるおばあちゃんだけど、射撃の腕はちょっとしたもの。銃を所有していることに、大きなプライドを感じているわよ」

 彼女が共和党の活動に積極的に関わるようになったきっかけは、2008年のリーマンショックの最中、共和党の議員の無策な対応に我慢ができなかったからだという。

「オバマがAIGや銀行に巨額の税金を注ぎ込んで救済する中、倒産していく中小企業には何の援助もなかった。それを共和党議員たちは黙って見ているだけ。情けなかった」

 共和党エスタブリッシュメント――。これは、彼女が何度も口にした言葉だ。共和党の権力中枢、エリート層を指す。そのエスタブリッシュメントに愛想を尽かした彼女は、スモールビジネスの税制優遇措置の拡大を求めて、地元でティーパーティを立ち上げる活動にも積極的に関わってきた。彼女と夫が経営する建設会社は不況の煽りを受け、収入も減った。

「リーマン不況の元凶を防げなかった大統領のブッシュにも怒りを感じたけど、オバマ政権になってその10倍悪くなった」

 自らを筋金入りの保守派だと言うニール。だが、10代の頃、投票したかったのは民主党のジョン・F・ケネディだった。

「すごくハンサムだったから」

 選挙権を得てからは、一貫して共和党候補に投票してきた。なかでも彼女の永遠の憧れは、レーガン前大統領だ。ロサンゼルス郡の警官だった彼女の父親が、レーガンの警備に当たったときに使った車のライセンスプレートは家宝として大切に取ってある。

 ある世論調査では、アメリカ人有権者の約半数が「もしトランプが大統領になったら恥ずかしいと思う」と回答したという。これをどう思うかについて聞いてみると、ニールは「ヒラリーが大統領になる方がよっぽど恥ずべきことだ」と断言する。

「トランプはナルシストで、傲慢だけど、決してマヌケではない。必ず賢い人間を要職に抜擢するはず。ヒラリーはリビアの米国人大使を見殺しにしたし、とにかく嘘つきだから決して信用できない」

徴兵制が復活され戦争に突入?
弁護士が恐れるトランプの人心掌握術


トランプフィーバーを「人々の心に恐怖をかき立てることで得た人気。そこが怖い」と語る、弁護士のデイビッド・ゴンデック
 一方、ロサンゼルス郊外、エルモンテ市の弁護士、デイビッド・ゴンデックは、トランプの支持率の高さを「人々の心に恐怖をかき立てることで得た人気。そこが怖い」と見る。

 民主党のヒラリー・クリントン候補を支持する彼は、「国境に壁を立ててその費用はメキシコに払わせろ」「イスラム教徒を国に入れるな」という一連のトランプ発言に油を注いできたのは、共和党が暗黙の了解で米国民にふりまいた「無知はいいことだ」という価値観そのものではないかという。

「アメリカが世界の中心で、最強で、世界の複雑に絡み合った難問をシンプルな解決策で解決できると思っている無知さが、トランプ人気を支える基盤だ。昔、ナンシー・レーガンが、ドラッグ中毒の問題を解決するには『ドラッグを薦められてもNOと言えばそれで解決でしょ』と言ったのは有名だ。ドラッグ中毒者がそもそも中毒になってしまった社会的背景、その他の理由を考えれば、そんなに簡単に解決できる問題ではないことは明らかなのに」

 ゴンデックは、ビジネスマンとしてのトランプの手腕を、そのまま政治の場で発揮できると思う有権者が多いことが危ないと指摘する。

「ビジネスの場では利益を生むために、効率と生産性が重視される。でも、政治で最も大切なのはフェアであることだ。効率だけで考えれば、ムッソリーニもヒトラーも非常に効率的な政治をやっていた。トランプはフェアという理念を理解し、実践する経験値が少なすぎる」

 もしトランプが大統領になったら、具体的に何が起きると思うかについて聞いてみた。

「戦争に突入したり、徴兵制度も復活しかねない可能性もある。恐怖を煽ってコントロールする政治になると思う」

 ゴンデックは現在60代半ば。両親が共和党支持者という家庭で育った。医師だった父親は、20年前に亡くなる直前には民主党寄りになり、「国民皆健康保険が必要だろう」という意見に傾いていた。一方母は、右派でタカ派のラジオ・トークショーホストのラッシュ・リンボーのファンで、一貫して保守派だ。

 そんな環境で育った彼が民主党支持者になったのは、14歳のときジョージ・オーウェルの小説『1984年』を読んで『戦争は平和である』や『無知は力である』というスローガンを掲げる社会の実現だけは、何としても防がなければ、と決意したことがきっかけだった。

「モラルがないから貧困に陥った」
共和党が振り撒く暗黙のメッセージ

 ゴンデックが幼い頃からずっと違和感を感じてきた共和党の価値観の1つは、「貧困」をモラル的に間違ったことをした自己責任の結果だ、と判断する態度だったという。「神的、倫理的に見て正しい行いをしていないから、貧困層から脱却できないのだ」という暗黙のメッセージが我慢できなかったと彼は言う。

「トランプの圧倒的な資産は、金持ちになりたい、儲けたいという人間の欲を全肯定するツールとして使われている。これは職業政治家のテッド・クルーズやマーク・ルビオが使えないカードだけに、トランプの独壇場だ。だが、カジノ経営にすら失敗してきたような手腕で、政治の経験もなく、大統領になってから策を考えれば何とかなるという、行き当たりばったり思考は危険すぎる」

 カリフォルニアで起きたテロ事件については、同州住民として、ゴンデックはこう語る。

「テロを起こすのはイスラム教徒の外国人だけじゃない。今回のテロも主犯は米国で育った米国人だった。オクラホマの連邦政府ビルを爆破したティモシー・マクベイも米国人だった。テロが起きたからと言って、イスラム教徒を全て締め出せという短絡さは、差別を生むだけだ」

 近所のスーパーのレジなどで、オバマ批判やトランプ支持を口にする客がいると、ゴンデックはつい話しかけて議論をしてしまうという。

>>後編『トランプはなぜ勝ち続けるのか?米国民の本音を現地で徹底調査(下)』に続きます。
http://diamond.jp/articles/-/87819


2016年3月14日 長野美穂
トランプはなぜ勝ち続けるのか?
米国民の本音を現地で徹底調査(下)
>>。ハ上)より続く

「ヒラリーはバランスの取れた政策を打ち出せる大統領になると私は信じているし、それを説明すると、大抵相手は黙ってしまうけど」

 彼が危惧しているのは、トランプ支持を公言する層ではない。外では口には出さないが、実はトランプに投票するという、いわば、サイレントマジョリティのトランプ支持者だ。

「その多くが、年配の白人女性、つまり私の母やその友だちなんだ。メディアは怒れる白人男性ばかりをトランプ支持者と強調するけど、違う。たとえば、年配のアメリカ人白人女性の戦争に対する考え方は、第二世界大戦の戦火を生き抜いた同じ年代のドイツ人女性の考え方とは180度違うんだ。自分の住んでいる街が爆撃されず、自身が兵隊に取られることもなかった彼女たちは、戦争にそれほど嫌悪感を持っていない場合もある。つまり、テロの恐怖を使って、タカ派や右派が一番取り込みやすい層なんだよ」

「オバマを継承するヒラリーはダメ
トランプが指名を得たら必ず勝たせる」


オバマケアの影響で、ロサンゼルスのレストラン関係者が苦境に立たされている。そこトランプ人気はその反動か
「オバマケアのせいで、LAのレストランがどんどん潰れてるんだ」

 カリフォルニア州、ロサンゼルス近郊のレドンド・ビーチに住むビル・シュミッドの声には怒りが籠もっていた。

 ロサンゼルス全域のレストランに食材を卸売りする会社でセールス担当として働く彼は、オバマケアが施行されてから、レストラン業界が大きな打撃を受けてきたと語る。レストラン業界では、週に30時間以上働く社員が、フルタイム社員とカウントされる。フルタイム社員を50人以上雇っている企業は、オバマケア施行後、社員に医療保険を提供することを義務づけられた。

 医療保険を提供しない場合には罰金が課せられる。そのため、多くのレストランがフルタイム社員を減らし、パートタイム社員を増やして保険を提供する義務を逃れるか、規定通りに社員に保険を提供して、そのコストを負担するという選択肢を迫られた。

「フルタイムのスタッフがパートタイムに格下げされ、収入が激減したケースを何度も見てきた。料理の価格を値上げして、客にオバマケアのコストを払わせる手もあるが、それをやれば当然、値上げしない店に客をごっそり取られてしまう」とシュミッドは言う。

 さらに、ロサンゼルスの最低時給は2020年までに9ドルから15ドルへと段階的に引き上げられる。これもレストランオーナーにとっては、頭の痛いコスト増となるため、人員削減をせざる得ない企業が増える。「オバマの社会主義は、レストランオーナーも労働者も幸せにしないどころか、彼らの将来を潰そうとしているとしか思えない」とシュミッドは言う。

 共和党員の彼が支持するのは、テッド・クルーズだ。だが、トランプが共和党の指名を勝ち取れば、トランプに投票して必ず勝たせる、と答えた。

「オバマケアに代表されるような社会主義を継承するヒラリーだけは、絶対に大統領にしてはいけない」

 ロサンゼルスのレストラン業界で働くスタッフには、メキシコ系や南米系の移民も多い。トランプが、メキシコからの違法移民に「犯罪者」のレッテルを貼り、ヒスパニック系の有権者から批判を浴びていることをどう思うか聞いてみた。

「あの発言は確かに決めつけすぎだったとは思う。でも、違法移民には決して米国市民になる権利を与えるべきじゃない」

子どもでも理解できる
発言のわかりやすさが最大のウリ

 シュミッドがクルーズとトランプを押すのは、不法移民には救済策を決して与えないと彼らが強調する点に共鳴するからだ。「その点、穏健派のマルコ・ルビオでは弱い。トランプの発言のわかりやすさ、シンプルさ、それが彼の最大のウリだ」という。

「トランプの言うことは13歳の少年でも完璧にわかるような内容ばかり。誰でも理解でき、単純だ。だがその単純さに、多くの人間が心地良さを感じていることは否定できない」

 ジェブ・ブッシュが低い支持率しか取れず、戦線離脱したことについては、「共和党のエリート家系の出であれだけ惨敗したことが、国民はエスタブリッシュメントをもう求めていないことの証明だ」という。

 現在73歳で現役で働くシュミッドにとって、生涯現役でビジネスに邁進することは当たり前のことだ。今ではLA中のレストランに友人がいるし、働くのが心底好きだと言う。

「リーマンショックで自分が持っていた株券の価値は半分になった。たまたま株以外でもコツコツ資産を形成してきたから、何とかなったけど、自分と同年代の友人の多くは引退を撤回して、再び働いている。そうしないと生活できないから」

 スモールビジネス推進派の彼は、米国のGDP(国民総生産)の成長率が2%台で停滞している元凶は、オバマ政権のビジネスへの規制の厳しさのせいだという。

「本来なら6%から8%の伸びを見せてなきゃいけないのに、こんな低い成長率なんてあり得ない失敗だ。企業のCEOだったらとっくにクビになってるよ」

 実業家のトランプならば、いくら政治の経験がなくても、こんな経済状況には決してしないとシュミッドは言う。

「トヨタがカリフォルニアからテキサスに移転した。民主党の州から共和党の州に次々とビジネスが移転していく。金の流れは嘘をつかない。これがオバマ政治のなれの果てだ」

 ソーシャルメディアに通じた若者らが民主党のバーニー・サンダース候補を後押しするなか、共和党の弱みはソーシャルメディアを使いこなせないことだと言われている。その点を70代のシュミッドはこう分析する。

「確かに、ソーシャルメディアには共和党は弱い。だが、若者だってリストラで自分の仕事がなくなり、収入が増えず、腹が空いてどうしようもなくなれば、税金ばかり無駄遣いして肝心の経済を立て直さない大きな政府に、三行半を叩きつけるはずだ」

外国人が米国に来なくなる!
「トランプ断固阻止」のガイドブック関係者

「トランプが大統領になったら、絶対に困る。外国から米国に来る旅行客が減ってしまうに違いないから」

 ロサンゼルスで旅行ガイドブック作製とオンライン出版に携わるタジ・ベイツは、こう叫んだ。

 大手企業のIT畑でキャリアを積んできた30代前半の彼女は、独立して南カリフォルニアのガイドブックを製作・販売する事業を興した。米国にやってくる外国人旅行者向けに、スマホで読める電子ガイドブックを販売したい彼女にとって、次期大統領がどんな外交政策を打ち出すかは、一番の関心事だ。

「トランプは女性、ヒスパニック系、イスラム教徒を蔑む発言をしてきた。彼が大統領になったらカナダに移住したいと真剣に考える米国人は多い。さらに、米国に来ることをボイコットする外国人が増えてもおかしくない。それだけは困る」

 ガイドブックの取材の一貫で、ロングビーチで博物館兼ホテルとして停泊している客船のクイーンメリー号の中を見て回った彼女は、第二次大戦中にナチスが支配するドイツから客船に乗って逃げてきたユダヤ人の証言ビデオを見て、驚愕したという。

「ヒトラーが選挙で選ばれたとき、誰もが『心配ない、すぐ失脚するだろう』と楽観していたと、そのユダヤ人は語った。だが、そんな楽観がホロコーストの悲劇につながってしまったと。トランプがもし大統領になってしまったら、一体どうなるのか考えたら、鳥肌が立った」

 そんな彼女が支持するのは、民主党のバーニー・サンダースだ。ヒラリー・クリントンではない。

「ITを専門に仕事をしている私にとって、国務長官という要職にありながら、安全保障に関わる国家機密を私用メールでやりとりしていたヒラリーは、セキュリティ上、全くのアウト。リーダーとして信用できない。国務長官を辞めなければならなかった事実を、もっと重く受け止めるべきだと思う」

 少額の献金を有権者から幅広く集めて4000万ドル以上の選挙資金を集めることに成功したサンダースは、企業や投資家などから大口献金を受け取っているクリントンと比べて、好感が持てるとベイツは言う。

「アメリカ人は自分の国が他国からどう見られているのか、もっと意識するべき。トランプを倒すために、最終的にヒラリーを支持しなければならないなら、それは仕方なく受け入れる。でも、バーニーがトランプを打ち破ったら、どんなにスカッとするだろう」

とてつもない金持ちになりたい
トランプは「富」のロールモデル


「TRUMP」とロゴが入った金色のホテルがそびえるラスベガス
 カジノの街、ネバダ州ラスベガス――。「TRUMP」とロゴが入った金色のホテルがそびえる。

 合衆国の国旗をヘビーメタル風にアレンジしたファッションに長髪で現れたのは、ラスベガス在住の共和党員で、カメラマンのビクター・スネークマンだ。どくろマークの指輪をした手には、合衆国国旗の柄と共和党のシンボルマークであるゾウ柄のタトゥーが、色鮮かに彫り込まれている。


「トランプは富のロールモデル」と語る、カメラマンのビクター・スネークマン
 トランプ大統領が誕生する日を心待ちにしているという彼は、トランプを支持する理由をこう語った。

「自分もトランプみたいに、いつか大富豪になりたい。トランプが手に入れているものを自分も全部手に入れたい。彼はロールモデルなんだ。事業を成功させて、たくさんの雇用を作り出したい。そして、自分で稼いだ金を政府に使われたくない」

 とてつもない金持ちになりたい――。そんな欲望をストレートに語る彼にとって、金ピカのトランプホテルは憧れの象徴だ。トランプなら、レーガン時代のような「強く素晴らしいアメリカ」を取り戻してくれると信じているという。そんなスネークマンが一番恐れているのは、ヒラリーが大統領になることだという。

「彼女がアメリカを社会主義国にしようとするのも嫌だけど、一番問題なのは、彼女のテロ対策や安全保障対策が最悪だから。CIA長官だったペトレイアスがガールフレンドに機密を漏らしていた疑いで辞職に追い込まれたけど、ヒラリーはペトレイアス以上に機密保持が壊滅的にできない。ベンガジの米領事館襲撃事件で殺された4人のアメリカ人への責任も取っていない」

 そしてこう付け加えた。

「ISに殺されたくなければ、ヒラリーではなくトランプに票を入れるべきだ」

 3月8日、ミシガン、ミシシッピ、ハワイの3州でトランプが勝った。2位のテッド・クルーズとの差をじりじりと広げつつある。
http://diamond.jp/articles/-/87845


 


【社説】トランプ氏が分裂を煽るリスク
敵対者の封じ込め戦略に勝ち目はない
延期となったシカゴの集会場の外でにらみあうトランプ氏の支持者と反対者(11日) ENLARGE
延期となったシカゴの集会場の外でにらみあうトランプ氏の支持者と反対者(11日) PHOTO: ZUMA PRESS
2016 年 3 月 14 日 19:43 JST

 民主主義には騒々しさがつきものだが、市民が思っている以上にもろくなることがよくある。数週間にわたり抗議活動や暴力が続発する中で、米国人、特にオバマ大統領と大統領選に出馬する人々は、この教訓を心に刻むべきだ。

 米大統領選の共和党指名争いで先頭を走る実業家のドナルド・トランプ氏はメキシコ人やイスラム教徒、そして共和党の同胞に対してさえ抑制の効かないレトリックを用い、長らく米国で見かけなかったような分裂を引き起こす政治的人物になってきた。だからこそ、トランプ氏が政治的な反発を招いたことは驚くに値しないのだ。

 リベラル系の市民活動団体「ムーブオン・ドット・オーグ」が認めたように、トランプ氏の集会は左派団体からの組織的な攻撃対象となっている。近ごろの左派大学生のように、進歩的な活動家は反対意見を許容しなくなり、保守的な論調を封じ込めたいと考えている。扇動者らは、シカゴで11日に予定されていたトランプ氏の集会に詰めかけた。トランプ氏はさらに醜い衝突を引き起こすリスクを取らず、賢明にもこの集会を延期した。すると扇動者らは勝利を宣言した。

 こうした活動家の中には逮捕されたがっている人もおり、暴力を超えられない人もいる。11日のトランプ氏の集会でステージに突入した男は純粋に悪事を働こうと思ったのかもしれない。昨年、黒人の人権擁護運動「Black Lives Matter(黒人の命も大切)」がバーニー・サンダース上院議員の集会を中止させたことを思い起こすといい。ヒラリー・クリントン前国務長官とオバマ米大統領が言論を抑え込もうとする左派の動きを非難するなら、両氏のトランプ批判は信ぴょう性を増すだろう。

 しかし、同様に気がかりなのはトランプ氏が同じやり方で、本能的に敵対者に対応しているように見えることだ。ここには自由な政治言論を弾劾せよという彼の主張が含まれる。数週間前、トランプ氏は自分に対するマスコミ批判を封じ込めるため、名誉毀損(きそん)に関する法律を改正すると述べた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が環太平洋連携協定(TPP)に関するトランプ氏の明白な知識の欠如を指摘しただけで、同氏は名誉毀損でWSJを訴えると脅した。トランプ氏は12日、カンザスシティーで「うそつきの泥棒記者」と非難した。

 さらに悪いのは、トランプ氏が荒っぽい言い回しをするため、暴力が彼の支持者から容認されているように見えることだ。トランプ氏は先月、ある抗議者に「警備員らは彼(抗議者)に非常に親切だ。彼は大きくハイタッチをし、笑顔で笑い声を上げながら出て行った」と述べた。その後、同氏は喝采を浴びながら「実は彼の顔にパンチを食らわせたかった」と付け加えた。

 ミズーリ大学のある左派の教授が昨年、保守派を立ち退かせるのに「腕力」の利用を要求したように、トランプ氏はカンザスシティーで握り拳を作りながら、反対者には「ブーム、ブーム、ブーム(強打する音)」で対抗してやると述べた。今週、トランプ氏の支持者の1人が反対者によって集会場から連れ出される際、その支持者は反対者の顔面に不意打ちを食らわせた。これを受け、トランプ氏は同氏の陣営がその支持者のために訴訟費用を負担してやると述べた。

 トランプ氏はこのトーンが落ち着くのを望むそぶりを一切示しておらず、これが15日の重要な「ミニ・スーパーチューズデー」に支持者を動員させるだろうと計算しているかもしれない。短期的な政治計算では正しいだろうが、同氏が共和党の指名を勝ち取ればそのコストは非常に高くなる可能性がある。米国人は彼らが尊敬できる大統領を欲しがっているのであり、絶え間なく騒動を引き起こす人物ではないのだ。

 ある年代の人なら1968年のことを覚えているだろう。これは今回を除く最近の米国史上で最悪となった大統領選の年で、暴力的な抗議活動が多発した。この年にはロバート・ケネディ氏とマーティン・ルーサー・キング牧師が暗殺された。これに比べると、今年の抗議活動は少なくとも現時点までは穏健だ。ただ、政治指導者が最優先すべき義務は市民社会の安定維持で、特に大統領を目指す人物にとってはなおさら重要だ。

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