World | 2016年 03月 11日 11:28 JST 関連トピックス: トップニュース トランプ氏、世界的な通貨安の動き批判 米国にとって「危険」 [ワシントン 10日 ロイター] - 米大統領選の共和党指名争いでトップを走る不動産王のドナルド・トランプ氏は10日、世界的な通貨安の動きについて、米経済にマイナスの影響を及ぼし、国内の雇用減少につながる、などとして強く批判した。 CNBCで述べた。欧州中央銀行(ECB)が10日決定した追加緩和について聞かれると、トランプ氏は、米国から製造業などの職が流出することを意味すると指摘。「座視するのは非常に危険」と述べた。 そのうえで、通貨安誘導よりも効果的なのは、中国など米国外で生産され、米国内で販売される製品に税金をかけることだ、と主張した。 「私は中国とはビジネス上の関係が深いが、中国の取引先も(通貨安などが)容認されるのは信じられない、と言っている」としている。 トランプ氏は、「公平」である限りは、自由貿易を支持する、としたが、通商交渉において米国はつけ込まれている、との認識を示した。 http://jp.reuters.com/article/usa-election-trump-idJPKCN0WD07L
World | 2016年 03月 11日 08:58 JST 関連トピックス: トップニュース トランプ氏、関税引き上げを提案 米共和党討論会控え
[ワシントン 10日 ロイター] - 米大統領選に向けた共和党の候補者選びでトップを走る不動産王のドナルド・トランプ氏は10日、外国製品に対する関税の引き上げを提案した。海外との競争で製造業の雇用が多く失われた州での予備選に向けたアピールとみられるが、自由貿易を推進する共和党の方針とは相いれない提案だ。 トランプ氏は、欧州連合(EU)やアジアでの利下げに対抗して、米国は関税を引き上げるべきだと主張した。 トランプ氏はこの日、テッド・クルーズ上院議員、マルコ・ルビオ上院議員、オハイオ州のジョン・ケーシック知事とともに、CNNが主催する討論会に参加する。討論会はマイアミ大学で、現地時間午後8時30分(日本時間11日午前10時30分)から行われる。 来週15日には、グローバル化で産業が衰退するオハイオ州、イリノイ州、ノースカロライナ州で共和党の予備選があるほか、フロリダ州、ミズーリ州などでも指名候補の選出が行われる。 http://jp.reuters.com/article/usa-election-idJPKCN0WC2Z9
トランプ氏の保護主義を可能にする米大統領の強力な権限 ニクソン大統領(1971年4月) By GREG IP 2016 年 3 月 11 日 09:22 JST ドル高と貿易赤字拡大が進行していた米国では、共和党出身の大統領は輸入品から国内製造業を保護するという選挙公約を果たす必要があった。そこで大統領は、全ての輸入品を対象に10%の輸入課徴金を導入、世界を驚かせた。 ドナルド・トランプ氏が大統領に就任したらこんなことが起きる、という架空の話ではない。1971年にニクソン大統領が実際に行った政策だ。 トランプ氏が貿易上のライバル国を締め付けるとの公約を打ち出し、大統領選に向けて共和党の候補指名争いで躍進する今、世界は大統領が握る強大な権限について知っておくべきだろう。米国が保護主義の道を歩むかどうかは大統領次第だ。 トランプ氏は自由貿易を支持し、保護主義者ではないと主張している。にもかかわらず、中国やメキシコからの輸入品には高い関税をかけると脅し、北米自由貿易協定(NAFTA)や環太平洋経済連携協定(TPP)などあらゆる貿易協定を非難している。 左図:米国の輸出入額のGDP比、右図:2008〜2015年に貿易相手国に科された制裁措置の件数 大急ぎで政策をまとめたように見受けられるトランプ氏の姿勢には一貫性がない。ただ、貿易相手国への敵対意識には根深いものがある。1987年には日本が「利己的な通商政策で米国を翻弄して」豊かになったと主張した。99年にはNAFTAを「大失敗」と酷評、2010年には米韓自由貿易協定について「バカじゃなきゃ署名しない」と発言した。 拷問を支持したりイスラム教徒の入国禁止を訴えたりしているのはトランプ氏だけだが、貿易についてトランプ氏と同様の主張をする候補は他にもいる。民主党指名候補のバーニー・サンダース上院議員も自由貿易には懐疑的で、5日には、「米国の経済界が書いたひどい貿易協定を事実上全て」支持しているとして民主党の最有力候補ヒラリー・クリントン氏を厳しく非難した。クリントン氏、さらには共和党指名候補のテッド・クルーズ、マルコ・ルビオ両氏はこれまでにTPPへの支持を撤回している。 ドナルト・トランプ氏(3月9日、フロリダ州) 政策監視機関のグローバル・トレード・アラートのまとめによると、保護主義的な動きはインドやロシアを中心に世界各地で増加の一途をたどっている。英国では間もなく、欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票が実施される予定だ。率直に言えば、保護主義を主張する米大統領が誕生すれば、それは時代の流れということだ。 米国では1930年にスムート・ホーリー法が成立、輸入関税が大幅に引き上げられ、大恐慌で悪化していた貿易にさらに追い打ちをかけた。今では保護主義への教訓として引き合いに出されることが多い。ただ、今と違うことが1つある。スムート・ホーリー法はさまざまな業界を守ろうとした議員の駆け引きによる産物だった。貿易史を研究するダグ・アーウィン氏によると、この結果、米議会は34年に、「関税をめぐる議員間のなれあい」をやめることを決定、関税交渉について大半の権限を大統領に委譲した。 権限が分割されたことで世界の貿易システムは米議会に左右されることはなくなった。そして、世界は裁量権が強化された大統領に振り回されるようになったということだ。 商務省では大統領に任命された役人が輸入品のダンピングを訴える国内の業界からの苦情に必ずと言っていいほど業界寄りの判断を下している。罰則が適用されるかどうかは独立した米国際貿易委員会(ITC)が判断する。ITCのメンバーは大統領が指名し、議会の承認を経て就任する。 大統領選の各候補は貿易の規制について詳細に議論していないが、大統領は74年通商法第301条や201条など、幅広くかつ強力な権限を通じて極めて大きな権限を握っている。301条では、米国の輸出に「不当または不合理な」差別があった場合、大統領は「適切かつ実行可能なあらゆる手段」を取ることができる。201条では業界を輸入急増から保護する措置を取ることができる。 トランプ氏は中国を「為替操作国」に認定すると公約している。法律では、米国は認定国と協議を行うとしているだけで、罰則は明記されていない。しかし、トランプ氏は為替操作国に認定すれば「中国を交渉の席に着かせることができる」ほか、「中国に厳しい相殺関税を課す」と主張している。これには前例がある。ニクソン政権による輸入課徴金実施から4カ月後、世界はドルの切り下げを容認した。1980年代には、レーガン大統領が日本を自動車輸出の自主規制に追い込んだ。 トランプ氏はメキシコからの輸入に関税を課せば両国の間の壁の建設費をメキシコに負担させることができると主張している。トランプ氏は62年通商拡大法第232条か、国際緊急経済権限法のいずれかを根拠に輸入関税を正当化できるとの憶測も一部で浮上している。 一方的な貿易障壁を阻止するには通商協定に基づいて米国に対して報復をちらつかせるしかない。ジョージ・W・ブッシュ大統領が2002年に、通商法201条に基づいて輸入される鉄鋼製品に関税を課すと、世界貿易機関(WTO)はEUに報復する権利を認めた。米国が関税を課せば、メキシコはNAFTAの裁定機関に提訴する可能性がある。 それでも米国は譲らず、報復を受け入れるかもしれない。法律的根拠ははっきりしないものの、貿易に詳しい弁護士ゲーリー・ホーリック氏は、大統領が6カ月前に通知すればおそらくWTOやNAFTAを脱退できるとみている。その場合、協定の条項に関わる法律の多くは維持されるそうだ。 トランプ氏はおそらく側近、それに海外で事業を展開する米国企業から、経済戦争が起きた場合の経済的、外交的な混乱について忠告を受けるだろう。自由貿易をおおむね支持している共和党議員は反発するかもしれない。果たしてトランプ氏には反発に耐えて公約を押し通す覚悟はあるだろうか。 関連記事 米大統領選、経済の先行き不透明感強める=WSJ調査 TPPに逆風、米国で政治的後押し失う 【社説】トランプ氏がもたらした共和党の亀裂 トランプ氏躍進、中国は期待と不安で熱い視線 米大統領選特集 http://si.wsj.net/public/resources/images/NA-CJ363A_CAPAC_16U_20160308184829.jpg
|