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<ドイツ>難民らキリスト教改宗も 強制送還恐れ
毎日新聞 3月4日(金)11時9分配信
【ベルリン中西啓介】難民問題でドイツ政府が認定手続きの厳格化を図る中、イスラム教徒の難民・移民らがキリスト教に改宗するケースが目立っている。厳格な宗教戒律からの解放を理由に挙げる人が多いが、改宗で出身国への送還を免れ、滞在資格を得ようとする人もいる。改宗は難民間の対立の火種にもなっており、教会の役割を巡る議論になっている。
日曜午前10時、ベルリン郊外の閑静な住宅街にある教会に次々と短髪に黒いひげを生やした人たちが集ってきた。聖堂内は300人の信者で満員だ。「すべての難民申請者のため祈りましょう」。牧師のゴットフリート・マルテンスさん(53)の声に合わせ、全員がこうべを垂れた。
マルテンスさんの教会は、寄付だけで運営する独立系プロテスタント教会。イランやアフガニスタン方面から来た人の間では、支援を拒まない「駆け込み寺」として有名だ。
昨年秋に多数の難民が欧州に押し寄せて以降、一気に難民系信者が増加。現在はドイツ人約250人に対し、難民系は約750人に上り、さらに約400人が洗礼を待つ。
「キリスト教は愛の宗教。厳罰で脅すイスラムにはうんざりだ」。イラン出身のオシドバルさん(30)は改宗の動機を語る。口コミで訪れる人の8割がイラン人で、2割がアフガン人。両国で改宗は、死刑も適用されうる重罪だ。
ドイツの難民審査では送還後に身の危険が予想される場合、滞在許可が出ることが多い。この教会の改宗者で強制送還された人はおらず、オシドバルさんも「なんとしてもドイツにとどまりたい」と言う。
マルテンスさんによると、ベルリン市内の収容施設で2月中旬、教会の信者を含むキリスト教徒6人がイスラム教徒から脅迫された。十字架のネックレスを引きちぎられるなどの暴行事件も起きた。施設滞在が長引く中で、怒りの矛先が「裏切り者」視される改宗者に向かう。
難民・移民の洗礼に懐疑的な意見は他の教会でも強い。国内最大のプロテスタント団体のタイレマン牧師は「難民支援を布教手段にしてはならない」とくぎを刺す。「我々にとって洗礼は神聖な行為。他宗教を尊重する観点からも、支援とは分けるべきだ」との立場だ。
一方、マルテンスさんは「洗礼希望者への教育や試験は厳格なものだ」と反論。9割以上の信者が難民認定後も教会に通い続けているとして、洗礼の妥当性を強調している。
最終更新:3月4日(金)11時22分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160304-00000030-mai-eurp
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