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もともと虚構だったとしても口の端にはのぼっていた“アメリカンドリーム”が99%の国民には無関係の絵空事と思われるようになり、正義の旗を掲げ膨大な陸上戦闘部隊で他国領域を席巻する対外行動が称賛も利益も得られない虚しいものと理解されるようになったことが、米国の現在の政治状況を生み出しているように思える。
99%の人にとっては、“アメリカンドリーム”の実現どころか、“アメリカンドリーム”を実現した人たちのおこぼれさえろくに滴り落ちてこないという厳しい経済状況である、
冷静に考えれば、そのような状況は、「孤立主義の復活」ではなく、米国政治の西欧化を意味していることがわかる。
(19世紀から20世紀初めの孤立主義は、戦争に明け暮れる欧州に関わることで米国の繁栄を阻害されたくはないという興隆期の精神に支えられたもの)
さらに言えば、かつての中道主義全盛の西欧諸国ではなく、中道主義が存在意義を劣化させ「国民国家主義と新型左翼主義の対立」が目立つようになった当世西欧諸国の政治状況に一気に近づいている。
トランプ氏支持者は仏国民戦線支持者に近いものがあり、サンダース氏支持者はスペインPODEMOSに近い価値観を感じる。
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米国の孤立主義の復活
コラムニスト ギデオン・ラックマン
中東が戦闘の炎に包まれ、ロシアが暴れ回っているのはなぜか。それは、オバマ米大統領が弱く、国際問題に介入しないため、世界情勢が手に負えなくなるのを許してしまったからだと非難されている。リベラル派、保守派を問わず多くの米国人が同じ批判を口にする。右派のサラ・ペイリン氏は、オバマ氏のことを「最高降伏指揮官」と呼んだ。
強い米国の外交政策を切望する人は大概、次の大統領が「強い米国を取り戻してくれる」と考える。だが、その見方は米国の政治と外交政策の根本的な方向性を読み誤っている可能性が多分にある。米大統領選の現在の最有力候補――共和党のトランプ氏、民主党のサンダース上院議員――はいわゆる孤立主義の立場を取っているからだ。
トランプ氏の思考に内在する孤立主義は、軍を立て直すといった威勢のいい発言に隠れてしまうことがあるが、移民には厳しいし、経済に関する発言を聞いても、要は世界を締め出すという保護主義の最右翼だ。安全保障についても重商主義的発想で、米国による軍事的保護に対する費用を韓国と日本に支払わせると約束している。つまり、アジア太平洋地域の安全を請け負うことに米国の本質的な国益はない、との考え方だ。
サンダース氏は、左派バージョンの孤立主義の立場をとり、米国が「世界の警官」であるべきだという考えを糾弾する。同氏も自由貿易には嫌悪感を抱き「何の制約もない自由貿易の締結は米国の労働者にとって大惨事」と断じる。両氏はともに、米国人のグローバル化に対し高まっている幻滅を利用しているのだ。
大統領選の今の流れは、トランプ氏かサンダース氏のどちらかが実際に党の指名を勝ち取り、最終的に大統領の座を手に入れる可能性を否定することはできないことを示唆している。
万が一、そんなことが起きたら、オバマ氏の「弱さ」と「無気力」を嘆いている評論家たちは、オバマ氏が、これまでの大統領の中では、真摯かつ献身的な国際主義者の最後の1人だったかもしれないことに気づくだろう。
(16日付)
[日経新聞2月21日朝刊P.11]
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