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イラン市場を奪取せよ、ロシアが武器輸出攻勢 原油の協調減産問題も絡み、水面下では激しいやり取り
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/676.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 2 月 25 日 09:00:00: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

着陸する戦闘爆撃機「Su-34」。シリア・ラタキア県にあるロシア軍施設で(2015年12月16日撮影、資料写真)〔AFPBB News〕


イラン市場を奪取せよ、ロシアが武器輸出攻勢 原油の協調減産問題も絡み、水面下では激しいやり取り
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46166
2016.2.25 小泉 悠 JBpress


 ロシアがイランに対する武器輸出攻勢を強めている。

 その背景には、イランが国際社会に復帰しようとする中でのロシアなりの思惑があるようだ。

 2月16日、イランのホッセイン・デフガン国防相がモスクワを訪問し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領やセルゲイ・ショイグ国防相と会談した。

 会談ではシリア問題も話し合われたようだが、もう1つの重要テーマがイランによるロシア製兵器の購入だ。

■2020年に武器禁輸処置解除

 イランは長らく核開発疑惑に伴う武器禁輸措置を受けており、軍用装備の旧式化が進んでいる。しかし、昨年の核合意によってイランへの制裁措置は段階的に解除されていくことが決まり、2020年には武器禁輸措置も解ける見込みとなった。

 イランは世界有数の産油国であり、経済封鎖が解ければ国防費の増加も見込める。

 こうした中でイランが今後の武器供給元として期待を寄せているのがロシアで、モスクワでの記者会見に臨んだデフガン国防相は、ロシアとの「軍事技術面での協力」の拡大に意欲を示した。

 ロシア側でも新たな大口顧客としてイランに期待を寄せており、気の早いメディアでは「イランは第2のインドになるか?」という見出しも踊った。

 インドは現在、中国を抜いて世界最大のロシア製武器輸入国となっている。実際、2007年に国連安保理がイランへの武器禁輸措置を課すまで、イランは世界3位のロシア製兵器の購入国となっていたから、条件さえ整えばイランが再び大口顧客に復帰する可能性は高い。

 その目玉と言えるのが「Su-30」戦闘機の供与だ。

 現在、イラン空軍はソ連製の「MiG-29」に加え、王政時代に米国から導入した「F-4」戦闘機や「F-14」戦闘機を保有しているが、いずれも旧式化が著しい。

 特にF-4やF-14の保守には苦労しているらしく、これらの戦闘機の予備部品をイランが密輸によって入手していることがたびたび指摘されている。また、ロシアも何かと協力していると言われるが、実態ははっきりしない。

 これに対してSu-30シリーズはロシア空軍だけでなく、インドや中国をはじめ世界中に供与されている優秀な多用途戦闘機であり、生産ラインもできているから納入も早い。

 ロシアの国営通信「スプートニク」がイラン国防相筋の話として伝えたところでは、Su-30の購入話はデフガン国防相の発案であるという。しかも、デフガン国防相はSu-30の購入だけでなく、イランでのライセンス生産にも関心を示していると伝えられる。

■第2のインドとして熱い期待

 これ以外には、最新鋭の「S-400」防空システム、バスチョン長距離地対艦ミサイルシステム、「T-90S」戦車、「Mi-8」ヘリコプターといったあたりが話題に上っており、ロシアの有力紙「コメルサント」によれば総額は80億ドルにも達するという。

 ロシアの年間武器輸出額は150億ドルほどだから、「第2のインドか」と期待が集まるのもなるほど無理はない。

 ロシアがインドへの武器輸出に期待するのは、経済的な利益ばかりではない。イランへの影響力確保という政治的効果も期待されているようだ。

 ロシアが恐れているのは、国際社会に復帰したイランに対する影響力の低下である。例えばロシアの国際政治学者であるドミトリー・トレーニン氏は、核問題が解決されてイランの原油輸出が再開されれば、同国は中東の地域大国として今以上の存在感を持つだろうと指摘する。

 ロシアにとっては弱く依存したイランが好都合であったが、そうした状況が失われかねない、というのがロシア側の危機感であると言えよう。

 また、原油生産の調整問題でも明らかなように、産油国であるロシアはイランに対して顧客としての影響力を行使することもできず、むしろイランとは競合者の立場にもなりかねない。

 こうした中で、今後もロシアがイランに影響力を残せそうな分野が原子力と武器である。特に武器については、2020年に禁輸措置が解けてもそう簡単に西側諸国の対イラン大規模輸出が始まるとは想定し難い。

 そこで今のうちにイランに対する兵器供給国としての役割を(再)確立しておくことがロシアとしては重要になってくる。

 例えばロシアはイラン核疑惑が持ち上がっていた2007年にS-300防空システムの対イラン輸出を凍結したが、核合意後、これを早々に撤回している。これなどはまさに、武器を通じた影響力確保策の典型と言えよう(武器禁輸は2020年に解けると書いたが、防空システムはもともと対象外であったため、ロシアの一存で再開することが可能)。

 ただし、ロシアの目論見がどこまで成功するかはまだ未知数である。

■タフ・ネゴシエーター

 忘れてはならないのは、イランが非常なタフ・ネゴシエイターであるということだ。前述のS-300の輸出再開に関しても、両国間では、輸出停止に伴う補償や、どのタイプを引き渡すのかなどを巡って激しい駆け引きがあった。

 また、諸条件が決まった後、今年1月中には始まると言われていた引き渡しは現在も始まっていない。

 2月半ばには、デフガン国防相の訪露中にS-300の引き渡しが実施されるなどとも報じられたが、ロシア国防省筋は「イランがまだ代金を支払っていない」などとして報道を否定した。

 これと並行してロシアはイランに原油の生産調整に応じるよう求めており、S-300の引き渡し問題がその交渉材料となっていたことも考えられる。

 サウジアラビアがロシアに巨額の武器購入を持ちかけてシリア問題での翻意を促そうとしていることも関係しているかもしれない。いずれにせよ、両国関係が一筋縄でいかないことはこの経緯からも明らかであろう。

 前述したSu-30戦闘機やT-90戦車についても、デフガン国防省の訪露中には具体的な合意は結べず終いであった。

 そもそもイランの工業水準ではSu-30のような戦闘機をライセンス生産することには無理があるという観測も見られ、イラン側がロシアに相当の条件を吹っかけた可能性もある。T-90戦車についてもイランは購入かライセンス生産かで立場を二転三転させていた。

 このように、イランへのロシア製武器輸出を巡っては両国の思惑が交錯しており、前評判ほどあっさりとは大口契約につながらない可能性も出てきた。

 ただし、いずれイランへの武器禁輸は解除されること、イランが軍事力の近代化を必要としていること、経済危機に陥ったロシアも外貨を求めていることなどを考えるに、曲折を経ながらもロシアはイラン市場に復帰していくのではないだろうか。
 

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