http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/637.html
Tweet |
(回答先: なぜ日本は、ベトナムを「米中抗争」に引き込むのか?:越南も利口だから便益の供与は受けても引き込まれはしない 投稿者 あっしら 日時 2016 年 2 月 20 日 04:36:37)
[電子版&NIKKEI ASIAN REVIEW]ベトナム、崩れぬ「北の壁」
ベトナム共産党は1月28日に閉幕した党大会で、2016〜20年の新指導部を決定した。グエン・フー・チョン党書記長(71)が留任し、本命とされていたグエン・タン・ズン首相(66)は「失脚」した。41年前まで「北」と「南」に分かれて泥沼の戦争を繰り広げたベトナムは、いまだに分裂の後遺症が残っている。ズン氏は環太平洋経済連携協定(TPP)参加や外資規制の緩和など経済改革を進め、経済を重視する南部出身者の象徴的な存在だったが、共産党支配を重んじる北部を代表するチョン氏が留任。南部初の国家トップは実現せず、「北の壁」を崩すことはできなかった。
党大会直前の1月下旬、元指導部を務めた大物政治家がチョン書記長に宛ててメールを送ったという情報が流れた。「次期指導部の候補に経済をわかるやつがいない。南シナ海問題でも弱腰ばかりじゃないか。ズン氏は必要な人物だ」
その前の週、ズン首相は指導部入りの必要条件である200人の「中央委員」の候補者リストから漏れ、失脚はほぼ決まっていた。それでも「最後まで南部側の勢力はズン首相を担ぎ上げようと、いろいろな手を使って努力していた」(党に近い情報筋)と明かす。
ズン首相は国内外が認める実力者だ。南部カマウ省の出身で、10代で南ベトナム解放戦線の兵士として活動した。公安など内政にも顔が利き、国家銀行総裁を務めるなど経済にも強い。
ズン首相はTPPだけでなく、韓国や欧州連合(EU)、ユーラシア経済連合(EEU)などと矢継ぎ早に自由貿易を推進。1986年のドイモイ(刷新)以降市場開放を進めたものの、国営企業が多く、各種規制など不透明な経済システムも各所に残る。既得権益とも絡んで、速すぎる「ズン流改革」への反発は北部を中心に多かった。
さらに、南部出身者が最高指導者に就くことへの抵抗感もある。建国の父、ホー・チ・ミン氏以降、序列トップの書記長8人はすべて北部と中部の出身。南部は国家主席か首相止まり、というのが暗黙のルールだ。北ベトナムが南ベトナムを解放してあげたという意識が背景にある。
もう一つ、ズン首相の書記長就任を阻んだ要素として中国がある。中国がベトナムの人事に直接介入することはないにせよ、おなじ共産党国家として一定の影響力はあるとの見方が強い。中国が14年5月に西沙諸島(英語名パラセル)で石油掘削の準備を始めた直後、ズン氏は「ベトナムは主権と合法的な利権を中国との虚偽で従属的な友情と交換しない」と警告するなど、中国への強硬姿勢を隠さなかった。ベトナム政治に詳しい早稲田大学の坪井善明教授は「TPPで米国にすり寄ったズン首相を中国は警戒したのではないか」と指摘する。
今回の党大会は、今後5年間の党運営の中枢を担う政治局員19人も決定した。このなかにはディン・ラ・タン運輸相らズン氏に近いといわれる人物も多数入った。共産党幹部と親交があるベトナム人の会社社長は「ズン氏の権力は温存されている」との見方を示す。
「北の壁」は残った一方で、経済改革、市場開放の流れは止められない。改革のスピードが遅れるようでは成長の原動力の外資の進出にも悪影響が出かねない。
(ハノイ=富山篤)
[日経新聞2月14日朝刊P.15]
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。