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露国や中国を中心にドル離れが進む中、イランが石油取引の決済をユーロにすると表明した衝撃
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201602110000/
櫻井ジャーナル
株式相場が下がっているようだ。経済状況に大きな変化がなくても株価は上がり下がりするものだが、現在、その状況が大きく変化しつつある。ドルを基軸通貨とする仕組みが崩壊しはじめ、アメリカが世界の経済、金融を支配する時代が終焉を迎えている。「世界経済が減速」しているという次元の話ではない。
そうした中、イランは今後の石油取引に伴う支払いはドルでなくユーロで決済すると表明、インドは未払いの石油代金をユーロにするほか、イランと新たに契約したフランスのトタル、スペインのセプサ、ロシアのリタスコもユーロを使うようだ。
トタルは以前から石油取引の決済をユーロへシフトする意思を示していた。2014年7月に同社の会長兼CEOだったクリストフ・ド・マルジェリは、石油取引をドルで決済する必要はないとしたうえで、ユーロの役割を高めれば良いと主張していた。
そのド・マルジェリは同年10月、ロシア政府主催の会合に出席するために同国を訪問した際、モスクワ・ブヌコボ空港で事故死している。帰国のため、彼を乗せたダッソー社製ファルコン型ビジネス機が離陸しようとしていたとき、滑走路上で除雪車と激突したという。
暗殺、クーデター、軍事侵攻などで脅して自分たちに従わせ、基軸通貨を発行する特権を使って購買力を維持してきたアメリカ。ドルを基軸通貨の地位に止めておくために考えられた仕組みのひとつがペトロダラーだ。
人間社会を支えている石油の取り引きをドルで決済させ、ドルが流れ込む産油国には財務省証券や高額兵器を買わせてアメリカが回収して通貨の流通量を調整しようというわけである。
アメリカの巨大資本が保有する利権を守り、拡大するためにCIAは各国でクーデターを実行、軍事独裁体制を樹立した時期がある。アメリカが独裁体制を好む理由のひとつは、西側の金融資本や国際機関による融資は独裁者が懐へ入れ、西側の金融機関に持つ口座へ沈めるのだが、それによってドルの流通量を減らすことができる。後は各国の庶民からカネを取り立てるわけだ。闇金と似た手法である。
こうした仕組みをアメリカが作り上げる出発点は1971年8月。このとき、リチャード・ニクソン大統領がドルと金の交換を停止すると発表している。国際収支の赤字で金が流出し、金本位制度を維持することができなくなったのだ。この決定でブレトン・ウッズ体制は崩壊し、1973年から変動相場制へ移行した。その後もドルを基軸通貨として維持するためにドルの回収システムとしてペトロダラーが考えられたのである。
1970年代には新自由主義経済が持て囃され、さまざまな金融規制を緩和、あるいは撤廃させて投機市場を肥大化させる政策が進められる。その始まりは1973年9月11日にチリで実行されたオーグスト・ピノチェトの軍事クーデター。その黒幕はヘンリー・キッシンジャーの命令で動いていたCIAだ。
クーデター成功後、巨大資本にとって邪魔な人びとは誘拐、拷問、殺害され、反対派の粛清を進めるが、その一方で新自由主義経済が導入される。シカゴ大学のミルトン・フリードマン教授の「マネタリズム」に基づき、大企業/富裕層を優遇する政策を実施するのだが、その実行部隊がいわゆる「シカゴ・ボーイズ」。フリードマンは大学の同僚であるアーノルド・ハーバーガー教授と1975年3月にチリを訪問、3日間の旅行で受け取った報酬は3万ドルだと報道されている。その結果、内外の巨大資本が大儲けする一方で庶民は貧困化、貧富の差が拡大した。新自由主義経済を導入した国で共通して起こる現象である。
新自由主義経済は金融を肥大化させ、経済を悪化させる。投機市場は活況になり、現実の社会は疲弊、メディアを使った幻影で騙しきれなくなったなら、ファシズム体制を本格的に始動させる。
その一貫として導入されようとしているのがTPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)だ。巨大資本が国を支配、庶民から主権者としての権利を奪うことになる。
こうした日米欧の動きに対し、ロシアや中国を中心とする諸国は新たな経済システムを築こうとしている。こうした国々はすでにドル離れしているのだが、そこへイランも参加する。ペトロダラーは揺らいでいる。サウジアラビアやトルコの暴走がアメリカの支配体制が崩壊する時期を早めているように見える。
新自由主義が社会を破壊、資本主義自体を潰すことを認識している人物が西側支配層の内部にもいる。例えば、2011年4月にアメリカのブルッキングス研究所で演説したフランス人のドミニク・ストロス-カーン。当時、IMFの専務理事だった。
失業や不平等は不安定の種をまき、市場経済を蝕むことになりかねないとし、その不平等を弱め、より公正な機会や資源の分配を保証するべきだと彼はその中で主張、進歩的な税制と結びついた強い社会的なセーフティ・ネットは市場が主導する不平等を和らげることができ、健康や教育への投資は決定的だと語った。さらに、停滞する実質賃金などに関する団体交渉権も重要だとしている。
正論だが、その翌月、アメリカ滞在中に彼は逮捕、起訴されてしまう。レイプ疑惑をかけられたのだが、途中で取り下げられている。冤罪だった可能性が高い。2011年の段階でアメリカ流の経済/金融政策を否定的に語る人は西側支配層の内部でも出始めていたと言えるだろう。
2001年にジョージ・W・ブッシュが大統領に就任した時点でアメリカの投機政策は破綻していた。ブッシュ大統領を支えていたネオコン/シオニストの財布と言われていたエンロンは投機で急成長していた会社だが、2001年12月に倒産する。その前年、同社の副社長だったシェロン・ワトキンス副社長が不明瞭な会計処理を警告していた。この事件は2001年9月11日、ニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された際、押収されていた重要文書は瓦礫と共に消えたという。
その後も投機政策は続き、2008年9月15日のリーマン・ブラザーズ倒産につながる。このとき、西側諸国の巨大金融機関は「大きすぎて潰せない」として庶民のカネを大量に投入して救済、不正が明らかになった銀行幹部は「大きすぎて処罰できない」ということで逃げおおせた。
この当時、アメリカの財務長官を務めていたのはヘンリー・ポールソン。ゴールドマン・サックスでCEOだった人物で、2002年12月、小泉純一郎政権のときに三井住友出身で日本郵政の社長だった西川善文、竹中平蔵、そしてゴールドマン・サックスのジョン・セインCOOと郵政私有化について会談している。
そのポールソンは昨年4月、マイケル・ミルケンが主催した会議で別の元財務長官、つまりロバート・ルビンとティモシー・ガイトナーとステージ上で対談している。その際、司会者からポールソンは不公正な収入について質問され、ゴールドマン・サックス時代からその問題に取り組んでいると答える。
それに対し、ガイトナーが「どっちの方向?」と皮肉るとルビンが「君はそれを拡大させた」と言い、全員が大笑いしている。不公正な仕組みで貧困化している庶民にとっては深刻な問題だが、彼らにとっては笑い話ということ。ポールソンが長官として行った政策は支配層の目先の利益にとってプラスだったのだろうが、彼らの信頼度を大幅に低下させることになった。
こうした光景を世界の人びとが見ている。腐敗したアメリカに未来はないと考えるひとが増えても不思議ではない。しかも、ロシアと中国という対抗勢力が台頭している。イランもアメリカの破綻を見通しているのだろう。
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