欧州の再生可能エネルギー開発減速 ENLARGE この数年間、スペイン、英国、イタリアなどの国は再生可能エネルギー関連の助成金を減らしてきた。写真はスペイン南部セビリアのソーラーパーク PHOTO: REUTERS By JUSTIN SCHECK 2016 年 2 月 5 日 18:14 JST 【ロンドン】欧州は再生可能エネルギーへの支出にうんざりしている。 10年以上にわたり、欧州諸国は風力・太陽光発電開発で世界のリーダーになるために巨額の奨励金を利用してきた。欧州連合(EU)の発電量に占める再生可能エネルギーの割合は2004年に約14%だったが、直近のEUのデータによると、13年には25%を超えたという。 ところがこの数年間、スペイン、英国、イタリアなどの国は経済混乱期の政府支出と電力料金を引き下げるための努力を理由に奨励金を削減してきた。これを受けて、それまでは政府支援による安定した利益が保証されていた業界から投資家がそっぽを向くようになると、承認を受ける新規プロジェクトの数が減少した。 今や欧州の多くの太陽光・風力発電所は、政府援助が減少する中で在来型の発電所と競争することになるだろう。 アクセス・フィナンシャル・パートナーズで再生可能エネルギー取引の助言を行っているパートナー、アレックス・チャバロット氏は、助成金の削減について、「再生可能エネルギーは自立しなければならない、というかなり強いメッセージとなった」と話す。 ENLARGE ここ数年の欧州再生可能エネルギー計画への投資額は減少している(上)ものの、発電量全体に占める風力・太陽光発電の比率は上昇している(下) ブルームバーグがまとめた大手会計事務所アーンスト・アンド・ヤング(E&Y)の分析データによると、英国以外のEU諸国で15年の最初の11カ月間に承認された新規の大規模太陽光発電プロジェクトはわずか1件で、新たに追加された発電能力の総量2メガワット(MW)は過去5年間の最低水準だったという。10年には14件もの新規プロジェクトが承認され、その発電能力の総量は240MWだった。 10年にはEU諸国が承認した新規の陸上風力発電プロジェクトの発電能力が6000MW近くに達していた。E&Yによると、昨年の最初の11カ月間のそれは1020MWにまで減少したという。洋上風力発電プロジェクトも減少しているが、陸上ほどではない。 英国で15年に承認された新規の陸上風力・太陽光発電プロジェクトの件数は減少した。英国政府は昨年、再生可能エネルギーへの奨励金を削減し、今年からは陸上風力発電所への助成金も廃止した。一方、政府は石油生産業者への減税措置を拡大した。 業界データを集計している政府と業界団体から成る国際的機関「21世紀のための自然エネルギー政策ネットワーク(REN21)」は、11年の欧州における再生可能エネルギーへの新規投資の総額が1207億ドルだったと述べた。これに対して14年の新規投資の総額は575億ドルだった。 それでもE&Yのパートナー、ベン・ウォーレン氏はドイツ、フランス、オランダなど、いくつかの欧州諸国は再生可能エネルギー投資で最上位に入っていると指摘する。特にドイツは助成金の高水準を概ね維持しているという。 欧州風力発電協会(EWEA)によると、数年前に承認されたいくつかの洋上風力発電プロジェクトが15年に稼働し始めた結果、新規の発電能力は前年比で2倍になったという。EWEAは向こう数年間の洋上風力発電プロジェクト――英国やその他の国で助成金削減の対象となってきていない――への投資に関して、高水準が維持されると見込んでいる。 デンマーク最大の公益事業会社ドング・エナジーは今週、イングランド北東部沖に世界最大の洋上風力発電所を建設する計画を進めると発表した。そのプロジェクトは100万世帯以上分の電力を供給し得るという。 しかし、クリーンエネルギープロジェクトへの投資では今や米国、中国、インドの方が欧州の大半よりも有利だとE&Yは指摘する。政府が短期的には奨励金を変更しないと保証していることがその主な理由である。 欧州の助成金削減に対して、投資家は各国政府が取引条件を不適切に変更したと主張し、多くの国際仲裁裁判――訴訟の越境版――を提起した。 今年1月、ある仲裁委員会はスペイン政府による助成金引き下げに違法性はなく、投資家に対していかなる賠償金も支払う必要はないという判断を下した。 スペインのエネルギー政策の責任者、アルベルト・ナダル産業副大臣はスペイン政府が07年に助成金を始めた結果、再生可能エネルギーの生産能力は助成金の継続が不可能な水準にまで高まってしまったと主張する。 「結局、エネルギーセクターへの投資を中止した主な理由は財務面の不安定さだった」とナダル副大臣は言う。 英エネルギー省の報道官は、助成金の遡及的でない削減は消費者が支払う電力料金を低く抑えるために必要だったと述べた。「再生可能エネルギーの生産コストは低下し続けると見込まれているので、われわれが支援の縮小について考えるのは正しいこと」と報道官。 昨年、パリで開かれた国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)では、欧州首脳らが再生可能エネルギーの増産などを通じて二酸化炭素の排出量を削減すると約束した後、多くの欧州諸国で奨励金が削減された。 EU加盟国は温室効果ガスの排出量を2030年までに1990年の水準から40%削減することに合意した。 ナダル副大臣はスペインがCOP21で合意した2020年までの排出量削減目標と義務を達成できそうだと話した。英エネルギー省の報道官は、20年までに総電力量の30%を再生可能エネルギーにすることでは順調に進んでいると述べた。 太陽光・風力発電開発に対して支払われてきた金銭的報酬の効果で、欧州諸国は20年以上にわたって再生可能エネルギーの世界的なリーダーに君臨してきた。1990年代初めに欧州諸国が再生可能エネルギーに定めた保証価格は市場価格を上回ることも多かった。 米太陽光発電会社シルバー・リッジ・パワーがイタリアだけで約7億5000万ドルを注ぎ込むなど、企業は巨大な太陽光発電所に投資した。シルバー・リッジのイタリア事業の元責任者、エリック・ブー氏は、プーリア州の小さな村の外れにある斜面に建設が予定されていたトロイアと呼ばれる123MW規模の施設が欧州最大規模の太陽光発電所になるはずだったと話す。ブー氏はトロイアをイタリアでの同社の重要資産と位置付けていた。 2011年初めに同プロジェクトの建設認可を取得した同社は、変電所を建設し、その巨大施設用にソーラーパネルを購入した。 ちょうどその頃、欧州南部は世界金融危機の後遺症に苦しめられていた。スペインは10年に助成金を削減した。イタリアもこれに倣い、11年にはトロイアの建設を支えるはずだった太陽光発電向けの助成金を大幅に削減してしまった。 「わが社の株主も不信感を抱いた」とブー氏は振り返る。同氏は建設中止を決断した。 今やシルバー・リッジは、イタリアでのプロジェクトに関連した特定の助成金の削減をめぐって仲裁請求を申し立てようとしている。この件の詳細について、シルバー・リッジの代理人はコメントを拒否した。イタリアのエネルギー省は助成金の削減に関してコメントを差し控えた。 http://si.wsj.net/public/resources/images/OJ-AF771_RENEW_16U_20160203163341.jpg 陳言の選り抜き中国情報 2016年2月5日 陳言 [在北京ジャーナリスト] 悪質極まりない中国電気自動車、補助金詐欺の手口 ?今、中国では電気自動車が爆売りされている。2015年11月に、電気乗用車の生産量はすでにその他の国の合計を超え、12月はさらに11月の2倍も増産され、6万3525台生産された。 中国では電気自動車が急速に普及している(※写真と本文は関係ありません) ?ただし、妙なことに、中国の電気自動車の生産量とナンバープレートの取得数には倍の差がある。生産された電気自動車には政府の補助金は支払われるが、当の車はどうも市場にはそれほど出回っていないようなのだ。
?悪質なメーカーはリース会社と称するダミー企業に電気自動車を売り、そこで車を解体して電池を取りだし、また新しい電気自動車を作って補助金を2重にせしめる、と業界に詳しい人は中国のマスコミに明かす。 ?2020年までに中国では電気自動車を中心とする新エネルギー自動車をトータル500万台普及しようと計画し、そのためには3900億元(約7.8兆円)の補助金を出す。それを目当てに、補助金のだまし取りが今、大流行している。 他社から買った部品を 粗末なラインで組み立てる ?1月16日、『経済観察報』は「新エネルギー自動車業の補助金詐欺者」というタイトルで次のように報じた。 ?ある電気自動車メーカーは、最近シャシーの注文を受けた。発注元の責任者の名前を見ると、6年前に辞めた同社の労働者だった。 「辞めてから、電気トラックの改装関連の仕事をしていると聞いたが、今度は乗用車のシャシーを購入して、電気自動車に進出したようだ」と電気自動車メーカーの責任者は『経済観察報』記者に明かした。 ?1台の電気自動車につき、国と地方政府からあわせて10万元の補助金がもらえる。元労働者は車を組み立てる技術があり、最近は買ったシャシーに電池を付けて電気自動車を作り、億元単位の金を手に入れているようだ。 ?だが元労働者はとくに電気自動車を作っているとは言わない。既存の自動車を電気自動車に改装する関連の仕事をしているという。 中国で売られる電気自動車(※写真は本文とは関係ありません) 「数万元もするシャシーを以前勤務した企業に発注してくれるだけでありがたいが」と責任者は言うが、内心穏やかではないだろう。
?近年、多くのいわゆる新エネ自動車企業は、(自社製造ではなく)他社から購入した低基準電池を粗末な組み立て生産ラインで、これまた車体生産メーカーから購入したボディに取り付けることで、「新エネ自動車」を次々と生産し、政府から高額の補助金を受け取り、利益をむさぼっている。 ?新エネ自動車補助金の一般特恵制度によると、新エネ自動車企業は研究開発と販売などの段階で補助金を得ることができ、定められた技術的基準に合致する限り、中央政府からの補助金だけでなく、中央と地方が1:1の比例で支給する地方補助金も享受することができる。 ?過去数年間において、一台の電気自動車の販売で12万元(約240万円)の補助金を獲得でき、さらに補助金最高額が適用されると車両の全体コストもカバーできるというものであった。 ?これまでにない高額の補助金と、当面それほど厳しくない監督システムが直接、大量の「補助金詐欺者」を生むことになってしまった。名を明かすことは控えたいというある消息筋は、『経済観察報』の記者に次のように語った。 作った自動車を右から左に 補助金をせしめる手口 ?低基準電池の使用、水増しの連続走行距離報告などは、まだ初歩的なレベルの詐欺手口であり、それよりさらに手際のよい詐欺の方式とは「左手で売って、右手で買う」というものである。 ?一部の投機企業は自動車を生産すると同時に、ひそかにリース会社を設立し、生産した電気自動車を自分のリース会社に転売することで、左手から右手に渡すようにして、補助金もそのまま手に入れる。 ?さらに悪質なのは、多くの自動車が結局、道路上を走行することはないということだ。不正な売買で生産者は補助金を手に入れたら、車を車庫に保管したままにしておいたり、あるいは電池を取り外して売ってしまったりすることもある。 ?甚だしい場合には、取り外した電池を使って再び別の自動車を組み立てることで改めて補助金を申し込む、といったこともあるという。そもそもガソリン車の場合、エンジンに番号がそれぞれついているが、電気自動車には、電池に統一された番号をつけていない。偽造などはいたって簡単にできる。 ?このような車両でも、販売前には最も基本的な技術テストが行われるが、初期の研究開発段階が不足していることによって、車両は技術先進性どころか、安定性、安全性においてまったく保証しようのないしろものである。 ?本格的に電気自動車を研究開発している企業は、とても改装電気自動車などの企業とは競合できない。研究開発には数億元か、場合によって数十億元の金を投入して行うが、政府からもらった補助金はむしろ不足し、研究開発を思うままにできない。 ?一方、国の補助金をだまし取ろうとするメーカーは、たとえ彼らの生産した電気自動車が販売されておらず、実際使用されていなくても億元単位の補助金を手に入れ、どんどん肥えていく。 目に余る詐欺行為の蔓延に ようやく政府も取り締まりを開始 ?上述のような行為はすでに新エネ自動車業における公然の秘密となっていた。国家情報センター資源開発部の徐長明主任は、「2015年の1月〜10月、中国の新エネ自動車販売量は17万台にのぼるが、ナンバープレートをつけた車両は10万台にも満たない」と明らかにした。 ?そして、徐長明主任は、「7万台もの差の背後には、自動車企業が偽りの販売をしてから電池を取り外して転売するというような、補助金詐欺行為があるのではないか」と疑っている。 ?補助金詐欺行為はすでに政府部門の注意を引き付け始めた。1月12日に、工業・情報化省のウェブサイトで公表された「新エネルギー自動車の普及応用に対する検査活動に関する通知」によると、財政省、科学技術省、工業・情報化省、発展改革委員会などが近いうちに、財政資金使用管理の状況に対して特別検査を進めることになっている。 ?さらに電気自動車に対する補助金の支払い制度もこれからは大いに見直さなければならなくなっている。 http://diamond.jp/articles/-/85708
[32初期非表示理由]:担当:関連が薄い長文
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