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油価下落で最大の試練を迎えたプーチン大統領 同様にCIS資源大国も呻吟、日本にとってはチャンス到来(JBpress)
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/441.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 1 月 28 日 22:34:20: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

ロシア・モスクワで会合に出席したウラジーミル・プーチン大統領(2016年1月21日撮影、資料写真)。(c)AFP/SERGEI ILNITSKY〔AFPBB News〕


油価下落で最大の試練を迎えたプーチン大統領 同様にCIS資源大国も呻吟、日本にとってはチャンス到来
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45898
2016.1.28 杉浦 敏広 JBpress


■プロローグ/ウラジーミル・プーチン大統領誕生


 旧ソ連邦(ソビエト社会主義共和国連邦)は1991年末に解体された。ソ連邦を構成していた15の民族共和国は独立国家となり、旧ソ連邦の盟主“ロシア共和国”は新生“ロシア連邦”に衣替えとなった。


  新生ロシア連邦のボリス・エリツィン初代大統領は1999年12月31日、唐突に大統領辞任を発表。後継者として、ウラジーミル・プーチン首相を大統領代行に任命した。プーチン候補は翌年3月の大統領選挙にて当選。同年5月新大統領に就任し、カシアノフ新内閣が誕生した。


  プーチン新大統領は2000年7月、モスクワのクレムリンで就任後初の大統領年次教書を発表。同教書では「大国ロシアの復活」を標榜し、「強い国家を実現しなければ国が分裂して、国民は不幸になる」との認識を示し、中央集権国家の確立を目指した。


  2期8年の大統領職を務めたプーチン大統領は2008年5月、(大方の西側予想を裏切り)連続3選を禁止するロシア憲法の規定に従い、大統領職を退任。後継者に、ドミトリー・メドベージェフ第1副首相(前大統領府長官)を指名した。


  2008年3月に実施された大統領選挙では、プーチン大統領から後継指名を受けたメドベージェフ候補が当選。メドベージェフ新大統領は2008年5月ロシア大統領就任と同時に、プーチン前大統領を首相に指名。


  ここにいわゆる「タンデム(2頭立て馬車)政権」が発足した。メドベージェフ大統領の任期中に、大統領任期は従来の4年から6年に、ロシア国家院(下院/日本の衆議院相当)の任期は4年から5年に延長された。


  プーチン首相は2012年5月7日、同氏にとっては第3期目のロシア大統領に就任した。就任後直ちに、メドベージェフ前大統領を首相候補に指名。翌8日、メドベージェフ首相候補はロシア下院過半数の賛成をもって、新首相に選出された。


  プーチン首相時代にロシアのエネルギー分野を管掌していたイーゴリ・セーチン前副首相は、メドベージェフ首相より国営石油会社ロスネフチ社長候補に指名され、同社社長に就任した。


  プーチン大統領は3期目最初の大統領年次教書を、ロシア憲法記念日の2012年12月12日に発表。その中で「21世紀には、ロシア発展のベクトルは東方に向かう」と明言した。


  2回目の大統領年次教書は、2013年も憲法記念日の12月12日に発表された。同年次教書は新生ロシア連邦が誕生してからちょうど20回目の年次教書となり、プーチン大統領にとっては記念すべき第10回目の年次教書発表となった。


 同年次教書ではシベリア・極東に関して、「21世紀の国家的プライオリティー」としてシベリアと極東の発展を挙げ、同大統領は「東方政策」重視の姿勢を明確に打ち出した。


 一方、2013年秋に始まるウクライナ紛争と2014年3月のロシアによるクリミア半島併合後、欧米による対ロ経済制裁措置は強化され、プーチン大統領の欧米対決姿勢が鮮明となった。


 対ロ経済制裁措置を受け、プーチン大統領は2014年12月4日に第3期3回目の年次教書を発表。この年次教書の特徴は、例年必ず言及している石油・ガスプロジェクトには触れず、ロシア国家の生立ちから入り、クリミア編入を正当化している点である。


 プーチン大統領は2015年12月3日、クレムリンのゲオルギーの間で恒例の大統領年次教書を発表した。例年平均1時間の年次教書であり、今回の年次教書の特徴は強硬なトルコ批判となり、ウクライナと対米関係は言及されなかった。


■油価動静


 米EIA(エネルギー情報局)は2015年8月11日、短期油価予測 (Short-Term Energy Outlook) を発表した。


 2015年7月の短期油価予測と比較して大幅に油価予測を下げ、来年の油価予測は1バレル60ドル前後になった。10月6日に発表された短期油価予測も9月9日に発表された油価水準とほぼ同水準であり、12月8日に発表された短期予測も続落となった。



図1 米EIA 油価短期予測


 米EIA は2016年1月12日、今年最初の短期油価予測を発表した。今回の短期予測から2017年の油価予測も発表されたが、2017年予測は初めて油価上昇予測となり、 米WTI (West Texas Intermadiate) 予測は1バレル47ドル、北海ブレントは50ドルとなった。


 しかし、2016年に入り対イラン経済制裁が解除されたので、今後、原油・天然ガス共に供給量増大が予見される。これが、次回2月9日発表予定の米EIA短期油価予測にどのように反映されるのか注目される。


 ちなみに、2014年の米WTI 実績は93.17ドル、北海ブレント98.89ドル。2015年は米WTI 48.67ドル(前年同期比▲47.8%)、北海ブレント52.23ドル(同▲47.2%)となった。


 一方、ロシア財務省は2016年1月11日、2015年のロシアの代表的輸出ブランドたるウラル原油の平均輸出油価は1バレル51.23ドル(374ドル/トン)になったと発表した。


 2014年のウラル原油平均輸出油価は1バレル97.60ドル(713ドル/トン)ゆえ、この1年間でウラル油価は、上記のWTIや北海ブレント同様、47.5%下落したことになる。


 ちなみに、2014年12月度のウラル原油の平均油価は1バレル61.07ドル(446ドル/トン)、2015年12月の油価は1バレル36.42ドル(266ドル/トン)であった。


プーチン大統領を支える油価


 ここで、過去30年間のブレント・スポット価格の推移を概観したい。上述の通り、1991年末にソ連邦は解体され、ソ連邦を構成する15民族共和国が独立した。


 1999年末、新生ロシア連邦のボリス・エリツィン初代大統領は唐突に突然辞任表明して、後継大統領候補にプーチン首相を指名したが、ともに油価は1バレル20ドルを切っていた時代と重なる。



 油価高騰に支えられたロシア経済は油価依存型経済から脱却できず、逆にますます依存度を高めていった。ロシアから輸出される天然ガス価格は油価連動型ゆえ、一定のタイムラグはあるが、油価が上がればガス価格も上がり、油価が下がればガス価格も下がる。


 ロシア経済は2000年代前半、原油・天然ガスの価格上昇と輸出拡大、好調な内需などに支えられて成長した。原油・石油製品・天然ガスを中心とする燃料・エネルギー関連の輸出総額がロシアの輸出総額に占める割合は、1992年の約45%から近年では約70%までに上昇した。


 ロシア国庫歳入案に占める石油・ガス税収案は、プーチン大統領が誕生した2000年は約2割であったが、その後、油価上昇と共に石油・ガス税収案が国庫歳入案に占める割合は増加し、近年では国庫歳入案の半分以上を占めるに至った。


 ロシアで油価上昇局面を最も享受した人、それはプーチン大統領その人である。


 問題は、2014年後半から始まる油価下落局面である。2015年の平均油価は1バレル約50ドルだが、対前年比油価下落率は過去最高の47%になった。


 1998年の経済危機の際、油価は対前年比約33%の下落であり、2008年9月に発生したリーマンショック後の経済危機の時代でも対前年比油価下落率は36%ゆえ、今回の油価下落率がいかに大きいのか、また産油国に打撃を与えているのか、容易に想像がつくことだろう。


■ロシア経済のアキレス腱


 ロシア経済は油上の楼閣である(もちろん象徴的な意味合いだが)。国庫歳入の約半分とGDPの約1割が石油(原油と石油製品)と天然ガスからの税収である。


 また、輸出総額の約7割が燃料・エネルギー関連(主に石油と天然ガス)ゆえ、油価下落(=ガス価格下落)はロシアの国庫と経済に大きな打撃を与えることになる。


 ロシアのアキレス腱、それは経済である。正確に言えば、天然資源依存型経済構造であり、その様な経済構造を、筆者は油上の楼閣経済と呼んでいる。CIS諸国の中の天然資源大国はロシア、カザフスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、そしてアゼルバイジャンであるが、皆、典型的な油上の楼閣経済である。もちろん、中東産油国もこの範疇に入るだろう。


 ではここで、プーチン首相が大統領に就任した2000年以降のロシア国家予算歳入案に占める石油・ガス関連税収案の割合推移(%)を数字で確認しておきたい。



図3 ロシア国家予算歳入に占める石油・ガス関連税収案比率(%)推移(出所:ロシア財務省、他資料より筆者編纂)


 上述のごとく、ロシア国庫収入の約半分が石油・ガス関連税収、輸出額の約7割が天然資源輸出だが、アゼルバイジャンでは国庫収入の7割以上が石油・ガス関連収入であり、石油・ガス輸出金額は輸出総額の9割以上になる。


 トルクメニスタンも輸出額の9割以上が天然ガス輸出と言われている。


■油価低迷で難航するロシア国家予算案見直し作業


 ロシア政府が策定する国家予算原案はまず下院に提出され、下院にて審査・採択後、上院に送られる。上院にて承認後、大統領の署名をもって発効する。


 ロシア政府は、2016年国家予算原案策定の前提条件となる想定油価を1バレル50ドルに設定して、予算原案を編成。政府原案を2015年10月23日、下院に提出した。


 国家予算原案の前提となる為替は1ドル=63.3ルーブル、GDP(国内総生産)実質成長率+0.7%、インフレ6.4%想定にて、下院は12月4日に原案を採択した。上院は12月9日、下院にて採択された2016年国家予算原案を承認。プーチン大統領は12月14日に署名して、予算原案は発効した。


 2016年の予算原案は、GDPが78兆6730億ルーブル、歳入案13兆7385億ルーブル、歳出案16兆987億ルーブル、国庫予算赤字額2兆3602億ルーブル(GDP比3.0%)、想定油価50ドル、想定インフレ6.4%になった。


 一方、予算策定・審議中に油価は更に続落して、2015年12月9日の週にはウラル原油は約36ドルに下落。メドベージェフ首相は12月9日、上院が2016年国家予算原案を承認したその日、政府には今後さらに油価が下落した場合の危機対応策として、危機対策予算B・C案があると発言。このB・C案の予算案概要が2015年12月11日付け露日刊紙「Vedomosti」に報じられた。


 危機対策予算案の要旨は以下の通りである。


 露予算原案(基礎シナリオ)の2016年想定油価は$50。危機対策予算B案(悲観的シナリオ)は同じく想定油価50ドルだが、油価下落により国庫税収が更に低下した場合のシナリオで、GDPが77兆5780億ルーブル、国庫赤字額は3兆2194億ルーブル(GDP比4.1%)となる。


 プランC案(危機シナリオ)は油価40ドル想定にて、税収がさらに減少した場合のシナリオで、GDPはB案と同じだが、国庫赤字額は4兆727億ルーブルとなり、国庫赤字額はGDP比5.2%を想定している。赤字分は主に準備基金(石油基金)から補填されるので、プランB・C案になると、下記のごとく準備基金残高は急減することになる。



表1 2016年国家予算原案・B案・C案(単位:10億ルーブル)


 ロシア中央銀行のナビウーリナ総裁は2015年12月13日、2016年の平均油価は35ドルになり、この35ドルが危機シナリオではなく基礎シナリオになるだろうと予測。シルアノフ財務相は2016年の油価は30ドルになるだろうと、さらなる悲観的シナリオを発表した。


 ちなみに、2014年末に発効した2015年ロシア国家予算歳入の前提となる油価は期首1バレル100ドルであったが、期中で50ドルに修正されている。


 付言すれば、カザフスタンの2016年国家予算案の前提となる想定油価は1バレル40ドル、アゼルバイジャンは50ドルだが、両国は現在、想定油価の見直し作業中である。アゼルバイジャンのシャリホフ財務相は想定油価25ドルを提案しており、近々、修正予算案が発表されるだろう。


■エピローグ/最大の試練に直面するプーチン大統領


 プーチン大統領は2015年12月17日に開催された恒例の年末記者会見の席上、「現実の油価が予算原案の想定油価より大幅に下回っているのに、50ドル前提でよいのか」と疑問を呈した。


 プーチン大統領はその後も続く油価続落の現状に鑑み、政府に対し2016年国家予算案の見直しを指示。これを受け、政府は予算歳出の10%削減案を検討中にて、ウリュカエフ経済発展相は油価1バレル25ドル、1ドル=80ルーブルを前提に見直し中と発言。一方、シルアノフ財務相は2016年3月末までに政府修正案を策定予定と発表した。


 余談ながら、ここで一言付け加えたい。


 国際関係論や政治学を専門とする学者や評論家の中には、「油価下落はプーチン大統領を失脚させるための某国の陰謀である」との陰謀論を唱えている人もいるが、あまりにナイーブな発想と言わざるを得ない。


 油価下落・低迷がロシア経済を直撃していることは確かであるが、それは結果論にすぎない。産油国・産ガス国はすべからく経済的打撃を受けているのである。


 ロシア統計庁は2016年1月25日、ロシアの2015年GDP成長率(速報値)を発表した。2015年の実質成長率は▲3.7%となり、2008年のリーマンショック以来、6年ぶりのマイナス成長となった。またロシア国家予算案によれば、2016年のロシアのGDP成長率予測は+0.7%であるが、IMF(国際通貨基金)は▲1%と予測している。


 ロシア経済とプーチン大統領は愈々、胸突き八丁に差しかかったと言える。上記の表1の通り、もし現在の油価水準が続くと、危機対策予算C案(想定油価40ドル)でも対処困難となるだろう。


 2016年秋には2017年の国家予算原案策定作業が始まるが、この場合は石油基金(準備基金)の剰余金が枯渇して、プーチン大統領は大統領就任以来、最大の経済危機を迎えることになる。


 2016年9月にはロシア下院総選挙が実施される。本来なら2016年12月の予定であったが、繰上げ選挙になった。2017年の国家予算原案は国民生活に影響の出る予算編成にならざるを得ないので、もし12月であれば、2017年国家予算原案の国会審議最中に選挙となる。


 ゆえに、政権側にしてみれば、予算編成作業内容が発表される前の9月の繰上げ選挙で救われる局面になる可能性大、と筆者は予測する。


 故エリツィン大統領政権末期には、油価は1バレル10ドル台の低水準が続き、国庫の財源は払拭して、同大統領は唐突に辞任した。


 油価で泣いた人は故エリツィン大統領、油価で笑った人は現プーチン大統領。油価上昇を最大限に享受したそのプーチン大統領は油価低迷の現在、大統領就任以来最大の試練に直面している。


 日本にとり隣国ロシアは安定した資源供給国になり得る大国であり、ロシアとの経済関係強化は両国の国益に適う。両国間の経済関係が強化され、信頼関係が醸成されれば、領土問題解決の道筋も見えてくるかもしれない。


 今こそ、日本外交の鼎の軽重が問われていると言えるだろう。


 

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コメント
 
1. 2016年1月29日 09:11:17 : KJvcab77v6 : ccJU@DJe49k[1]
クズ物書きが政権のケツを舐めて御駄賃頂戴W。
チャンスチャンス日本最高とセンズリ搔いて25年、さっぱり成長致しませんW。

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