http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/348.html
Tweet |
2016年01月14日 (木)
キャッチ!インサイト 「核実験強行 北朝鮮はどこへ
出石 直 解説委員
(VTR)
新年早々、突然飛び込んできた衝撃的なニュース。
(特別重大報道1/6)
「初めての水爆実験が成功裏に行われた。民族の歴史に特記すべき出来事に天地が揺れた」
国連安保理は緊急会合を開いて北朝鮮を強く非難し今後の対応を検討しています。
幾度の制裁を受けながらも国際社会の警告を無視して核開発を続ける北朝鮮は、どこに向かおうとしているのでしょうか。今後の行方について考えます。
ここからは出石 直(いでいし・ただし)解説委員とともにお伝えします。
Q1、今回の核実験は予告や兆候もなく唐突だったという印象でしたが。
A1、私も正直、予想していませんでした。今回は実験場での兆候も捉えられていませんでしたし、中国政府もアメリカ政府も事前通報はなかったとしています。北朝鮮としてはもはや中国やアメリカに配慮する必要はないという判断もあったのかも知れません。
もうひとつ唐突という印象を受けたのは、核実験の前に弾道ミサイルの発射がなかったことです。過去3回の核実験は弾道ミサイルの発射とセットで行われてきました。今回はいきなり核実験でした。
Q2、これはどう見れば良いのでしょうか?
A2、順序は逆になりますが、近いうちに弾道ミサイルの発射を行う可能性は高いと思います。ミサイル発射と核実験がセットになっているのは理由があるからです。北朝鮮は一貫して「抑止力のための核」「自衛のための核」だと主張しています。「北朝鮮を敵視しているアメリカが核兵器で北朝鮮の安全を脅かしているから、自衛の手段として核武装をしているのだ」という理屈です。この理屈で言えば、北朝鮮の核はアメリカを攻撃する能力を備えていなければなりません。核兵器の開発に成功してもそれがアメリカに届かなければ意味がないからです。核兵器を弾道ミサイルに搭載できるよう小型化、軽量化し、弾道ミサイルがアメリカに届くよう射程を伸ばす、この2つがともに実現しないと北朝鮮の言う「核抑止力」にはなりません。核開発を続けている以上、弾道ミサイルの開発も続けていかなければならないのです。
Q3、開発はどこまで進んでいると見るべきでしょうか。
A3、弾道ミサイルについては、射程1000キロのスカッドと1300キロのノドンはすでに配備されていると見られています。さらに過去に発射実験が行われたムスダンはグアムまで、テポドン2はアメリカ本土にも届くと見られています。北朝鮮は去年、潜水艦からの発射実験にも成功したとしています。「核兵器の小型化にも成功した」としており、核・ミサイル開発は最終段階に近づいているのではないかと見るべきではないでしょうか。
Q4、核兵器についても今回は水爆だったと主張していますが、実際はどうだったのでしょうか?
A4、爆発の規模がそれほど大きくなかったことから疑問視する声もあります。ただ今回の実験が水爆だったにせよ原爆だったにせよ、北朝鮮が非常に破壊力の強く小型で軽量の核兵器の開発を着実に進めていることは間違いありません。これは東アジアのみならず世界の平和にとって深刻な脅威です。
Q5、結果的に4回もの核実験を許してしまうことになってしまいました。国連安保理はその度に制裁決議を採択していますね。なぜ核開発を止められないのでしょうか。
A5、国連安保理はこれまでに4回の制裁決議を採択していますが、4回目の核実験を止めることはできませんでした。制裁が十分な効果をあげていないと認めざるを得ません。実際、厳しい制裁措置にも関わらず北朝鮮の経済は緩やかながら上向いているのです。
こちらは北朝鮮の経済成長率の推移です。5年ほど前まではマイナス成長でしたがここ数年プラス成長が続いています。最近北朝鮮を訪れた人に聞いても、女性の服装がおしゃれになったとか、ピョンヤン市内では交通渋滞まで起きるようになったなど、暮らし向きは少しずつ豊かになってきているとのことでした。北朝鮮にすれば、制裁を科せられても大丈夫という自信があったからこそ核実験に踏み切ったと言えるのではないでしょうか。
Q6、制裁の効果が上がらないのはどうしてなのでしょうか?
A6、ひとつには安保理決議をきちんと守っていない国があるということです。国連加盟国は、決議された制裁措置をどのように履行しているか安保理に報告するよう求められていますが、ご覧のようにヨーロッパは45か国中44か国と、ほぼすべてがきちんと報告しているのに対して、アフリカは7か国しか報告をしていません。まだ一度も報告していない国はあわせて94か国にのぼります。船の名前や運航会社を次々と変えて制裁を逃れようとしていたケースも指摘されていますし、中朝国境や途上国特にアフリカとの間には貿易統計には乗らない取引もかなりあると言われています。
Q7、これまでの制裁が効かないとなると、それ以上の強い対応が求められると思いますが。
A7、安保理による制裁の対象を広げる、例えば渡航禁止や資産凍結、北朝鮮への輸出を禁止している品目を増やす、あるいは外貨の獲得やマネーロンダリングに使われている可能性のある銀行口座の凍結なども効果的だと思われます。ただ制裁には限界があります。抜け穴もありますし、食料を止めるような措置を取れば一般の人々の生活を苦しめることになってしまいます。
そこで安保理による制裁に加えて各国による個別の対応も重要になってきます。
Q8、北朝鮮の動きをもっとも警戒しているのは韓国ですが、どんな対応を取るのでしょうか。
A8、パク・クネ大統領はきのう(13日)の記者会見でも「北朝鮮の態度を変えさせるため強力な制裁が必要だ」と述べています。中国に対しても「安保理の常任理事国として必要な役割を果たすと信じている」と述べ、より積極的な関与を求めました。
中国も北朝鮮の核開発には反対の立場ですが、核開発に対する危機感は、日米韓などと較べると薄いと言わざるを得ません。その中国を本気にさせなければなりません。
Q9、中国を本気にさせるとは?
A9、アメリカ軍はすでに核兵器を搭載できる戦略爆撃機B52を韓国上空に展開しています。3月から米韓合同軍事演習が始まりますが、黄海に米空母船団やイージス艦を入れることも検討するのではないかと思われます。これは中国へのけん制でもあります。こうした兵器が展開されれば北朝鮮軍だけでなく中国軍の動きも丸裸になってしまうからです。中国を本気にさせるよう揺さぶりをかけていくことも必要だと思います。
ただいくら中国が動いたからと言っても、北朝鮮自身が考え方を変えない限り核開発をやめることはないでしょう。核をもつことが北朝鮮にとってもマイナスなのだということに気づかせるようにもっていく、気づかせるような環境を作っていくことも重要ではないでしょうか。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/900/235563.html
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。