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[けいざい解読]共和党に広がるFRB批判 米中銀の独立性に影
2016年米大統領選の候補者選びで、米連邦準備理事会(FRB)が有力な共和党候補の批判の標的になっている。「いまのFRBは民主党寄り」と決めつけている。
昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)。2008年のリーマン危機以来、初の利上げは10人の委員による「全会一致」の決定だった。しかし投票権を持つFOMC委員の定員は実は12人。「欠員2」の状態が続いている。
オバマ大統領は昨年7月までに、空席のポストにそれぞれ、元地方銀行経営者と女性経済学者を指名済みだ。しかし議会の主導権を握る野党共和党は承認手続きを拒否している。
上院の共和党執行部は月内にも、FRBの金融政策運営への政治のチェック機能を強める新法案「FRB監査法案」を採決する構えだ。法案の起草者で大統領候補にも名乗りを挙げているランド・ポール上院議員は「FRBの秘密主義を改めるときがきた」と訴える。
FRBは「金融政策を政治化し、独立性を侵しかねない誤った法案」(イエレン議長)と反発する。同種の法案は過去に下院を通過することはあった。しかし「良識の府」と位置づけられる上院が取り上げるのは異例だ。
仮に上院を通過してもオバマ大統領が拒否権を行使するので、すぐ法律になる可能性は薄い。とはいえ共和党大統領候補として最近、支持を伸ばすテッド・クルーズ上院議員も新法案を支持する。11月の大統領本選で政権が交代すれば、その先は分からない。
幾多の暴言にもかかわらず指名争いの首位を走る富豪ドナルド・トランプ氏は「イエレン議長はオバマ氏の手先」と断じる。こうした「FRBたたき」が勢いを増すのは「票」につながると考えられているからだ。金融危機以降の一連のFRBの対策で株式相場は回復し、金融機関も再生した。ただし実体経済や雇用者所得は勢いを欠く。「そもそも金融危機を招いたのはブッシュ政権」(オバマ大統領)だが、共和陣営は「国民の税金でFRBはウォール街を救済した」と主張する。
気になるのは、党内で過激な言動に距離を置き、いざ本選で民主党のヒラリー・クリントン候補に対抗できる「穏健派」と評されるマルコ・ルビオ上院議員の最近の発言だ。「大統領になったらイエレン氏の再選は認めない」。議長の1期(4年)限りでの退任は最近、例がない。
かつては、民主党員のボルカーFRB議長をレーガン大統領(共和)が再任。ビル・クリントン大統領(民主)は、共和党員のグリーンスパン議長の3、4選を支持し、息の長い景気拡大を実現した。党派を超えた議長再任は定着していた。
「共和党をずっと支持してきたが、最近は愛想が尽きた」。バーナンキ前議長は自伝で嘆いた。
米国内外の景気指標は明暗が交錯する。だがイエレン議長の頭痛のタネは金融政策運営にとどまらない。
(ニューヨーク=佐藤大和)
[日経新聞1月10日朝刊P.]
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