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2016米大統領選 細る中間層
(上) ポピュリズム呼ぶ格差拡大 「トランプ現象」衰えず
今年11月の米大統領選の予備選が2月1日に始まる。民主党は本命、ヒラリー・クリントン前国務長官(68)が他を引き離す。共和党は不動産王ドナルド・トランプ氏(69)が世論調査の支持率で首位を走る。トランプ氏が今なお躍進している背後には、政治的に穏健な無党派が多い中間層の空洞化という米社会の構造的な変化がある。
富の集中進む
米世論調査機関のピュー・リサーチ・センターによると、2015年初めに米国のいわゆる中間層に当たる成人数は1億2080万人に上った。低所得層と高所得層は計1億2130万人。1970年ごろから統計を取り始めて以降、高・低所得層の合計数が中間所得層を初めて上回った。
ピュー・リサーチは、典型的な中間層の家庭を3人家族の場合で、年収が4万2000〜12万6000ドル(500万円強〜1500万円強)と定義した。
ここ数十年間で中間層は減り、高所得層と低所得層はいずれも増えた。高所得層の増え幅は低所得層より大きく、富裕層への富の集中も進んでいる。
米国で目立つ中間層の衰退は政治的なリスクとも連動する。中間層の人々が経済的な理由からそれまでの生活水準を維持できなくなった時に、その不満は情緒や感情で態度を決めるポピュリズムと結びつきやすくなるからだ。
候補者の立場からみても、当てにならない無党派層の取り込みに努力するよりも、主張や思想が近い支持者を確実に投票所に向かわせる戦術に傾きがちだ。
これは政策の実現性があるかどうかや、どんな効果が及ぶのかではなく、気分が優先されることにもつながりかねない。イスラム教徒が米国に入国することを禁止する案など非現実的とみられる政策を掲げながらトランプ氏の支持率が上昇するのは、その象徴だ。
政策より気分
昨年12月14日にラスベガスで開いたトランプ氏の演説会で「なぜトランプ氏を支持するのか」と参加者に尋ねた。最も多い回答は「ほかの政治家と違い正直だから」だった。政策より気分を重視している実態が、ここでもうかがえる。
「ブルーカラーの労働者たちは近年の経済情勢のなかで多大な苦労を強いられている。その経済的な不安につけ込んだ選挙戦を展開している」。「トランプ現象」へのオバマ米大統領の見解もポピュリズムをめぐる警戒にほかならない。
ただ、トランプ氏がこのまま独走し、共和党候補の指名を獲得するかは依然わからない。昨年12月22日に発表した米キニピアック大の世論調査によると、トランプ氏が大統領になることを「恥ずかしい」と答えた人が有権者全体の50%に達した。「誇らしい」は23%だった。
予備選の初戦となるアイオワ州はテッド・クルーズ上院議員(45)に勢いがあり、トランプ氏を上回る世論調査が多い。全国規模の世論調査で、リードしながらアイオワで敗れるような事態になれば、トランプ氏の陣営に動揺が広がる可能性もある。
トランプ氏の発言が最近、一段と過激になる裏には、こうしたことへの焦りと不安もある。
(ワシントン=吉野直也)
[日経新聞1月1日朝刊P.4]
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