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欧州のシェール開発が停滞 採掘撤退相次ぐ
資源量下振れ 原油安も追い打ち
【フランクフルト=加藤貴行】欧州のシェールガス開発が壁にぶつかっている。豊富な資源量が期待されたポーランドやウクライナでは、期待したほどの量が見込めず欧米石油大手が撤退。環境規制や原油安もあり投資が滞っている。欧州化学大手は開発が進まない状況に見切りを付け、独自に米国からの原料調達に動き始めた。
「すっかりシェールガス投資が冷え込んでしまった。この先も新規受注は期待できない」。原油・天然ガス開発に使うリグ(掘削装置)大手のワルシャワ駐在幹部は肩を落とす。
欧州の開発熱が盛り上がったのは2011年。米エネルギー情報局(EIA)が技術的に回収可能な世界の資源量をまとめ、ポーランド187兆立方フィート(約5兆3千億立方メートル)、フランス180兆立方フィートをはじめ、ノルウェー83兆立方フィート、ウクライナ42兆立方フィートなどと指摘したのがきっかけだ。ポーランドの場合、同国内需の300年以上に相当する。
欧州が消費する天然ガスの3割を頼るロシアへの依存度を下げたい欧州連合(EU)の思惑もあり、シェールガスで沸いた米国に続こうと石油大手が相次いで政府の鉱区入札に応じた。
だが、ポーランドではシェールガス層までの地層構造が複雑なことなどから掘削コストがかさみ、12年から米エクソンモービルや仏トタル、米シェブロンなどが撤退。大手で最後に残った米コノコフィリップスも今年退いた。EIAが13年にポーランドの資源量を2割下方修正したこともマイナス要因になった。
ウクライナでも英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルやシェブロンのシェール開発が不発続きで引当金を計上した。結局、ロシア産ガスに依存する中東欧で商業生産に入った鉱区はないままだ。活発なのは英国くらいで、政府は北海のガス生産量の減少分を補おうと鉱区開放に積極姿勢を見せる。
原油安も開発停滞の一因だ。米国では技術革新によるコスト低減で生産を続ける鉱区もあるが、欧州では「収益が出るシェール鉱区は皆無」(関係者)という。
西欧では他の環境・エネルギー政策との「綱引き」もある。フランスやドイツは環境保護を理由に事実上認めていない。仏政府に対しては「原子力重視の国策が揺らぐことを避けるため、ガス生産量が増える事態は避けようとする姿勢に変化がない」(米系石油大手)との不満も出ている。
欧州素材大手は域内のシェール開発停滞を受け、原料価格が安い米国からの調達拡大に動いている。スイス化学大手のイネオスは英国のシェールガス鉱区を取得し開発に乗り出す一方、11月には米エクソンモービルと英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルから米国産エタンの供給を受ける契約を締結した。天然ガスから得られるエタンは原油由来のナフサより安く、エチレン生産の競争力にも直結する。
独BASF、オランダのライオンデルバセルも米国で原料部門の投資拡大に動いている。
[日経新聞12月24日朝刊P.7]
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