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民主主義にしろ、人権にしろ、環境保護にしろ、本来の意味で使われるなら反対する理由はない。ところが、ひとたび、こうした単語をアメリカの支配層が口にした途端に話は違ってくる。自分たちの意に沿わない体制を破壊する口実として使われ、それによってもたらされるのは破壊と殺戮だ。民主主義も人権も否定され、環境は破壊される。
現在、アメリカ政府は軍事介入の口実としてIS(ISIS、ISIL、ダーイッシュなどとも表記)を利用、アル・カイダ系のアル・ヌスラ/AQIを「穏健派」であるかのように宣伝している。ISが登場するまで、アル・カイダ系武装集団はアメリカ軍が中東/北アフリカへ軍事侵攻、気にくわない体制を破壊し、多くの人びとを虐殺する口実に使ってきた「テロリスト」だが、そうしたことを忘れてしまったようだ。
ISは資金源として盗掘石油を使っている。トルコへ運び、トルコからシリアへ軍事物資などを運び込んでいる。ジャーナリストのウィリアム・イングダールによると、密輸石油を扱っているのはレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の息子、ビラル・エルドアンが所有する海運会社、BMZ社。
燃料輸送車やパイプラインでレバノンのベイルートやトルコ南部のジェイハンへ運び、そこにある秘密の埠頭から日本へ向かうタンカーで運んでいるという。ジェイハンからタンカーでイスラエルへ輸送し、そこで偽造書類を受け取ってEUで売りさばくという情報も伝わっている。こうした盗掘石油を扱っていると言われている会社のひとつがエクソン・モービルだ。ロシア軍は盗掘石油の精製施設や燃料輸送車を空爆で破壊、こうした石油の流れを止めてしまい、エルドアン家のビジネスは壊滅的な打撃を受けた。
ロシア軍は空爆が効果的だということを示し、アメリカ軍がISの兵站ラインや盗掘石油の輸送を攻撃してこなかったことを口にする人が増えてきた。兵站ラインを攻撃し、資金源を断つことは戦争の常識だろうが、それをアメリカは行わず、アメリカを恐れてなのか、その点を口にしない人は多かった。
そうした蜜月時代は終わり、この点を質問されたCIAのマイケル・モレル元副長官は副次的被害のほか、環境破壊を防ぐためだと主張した。石油を炎上させることは環境に悪影響を及ぼすというのだが、その配慮によって、首を切られるなど多くの人びとが惨殺され、女性は拉致されて「慰安婦」になることを強要され、住宅やインフラが破壊され、遺跡も破壊と略奪の対象になっている。
戦争による環境破壊が気になるなら、戦争など始めるべきではなかった。アメリカ軍は2001年にアフガニスタンを先制攻撃して以来、環境を破壊しただけでなく、家婚式や病院を攻撃、一般人を虐殺してきた。その一方、盗掘石油を運ぶドライバーの「人権」を守るため、事前に逃げるよう警告するのビラもまいていた。アメリカ支配層が気にする人権や環境はアル・カイダ系武装集団やISの戦闘員を守ることに結びついているときだけだ。「テロリスト」の黒幕がアメリカ支配層だとは言えないので、こうした失笑を買うような発言をするしかないのだろう。哀れと言えば哀れだ。
石油関連の施設などを破壊した後、ロシア軍はトルコから武器を持ち込んでいる輸送部隊を攻撃しているが、その前には各地の司令部や兵器保管所を破壊して大きなダメージを与えている。少なからぬアル・カイダ系武装集団やISの戦闘員がが殺され、生き残っても逃走している。そうした状況の中、シリア政府軍やイランからの援軍が要衝を奪還中だ。
こうした中、トルコ軍のF-16戦闘機がロシア軍のSu-24爆撃機を撃墜した。ロシアは事前に作戦内容をアメリカ側へ伝え、Su-24の飛行経路をNATO仲間のトルコも知っていたはずで、「国籍不明機」を撃墜したという弁明は信用されていない。実際はトルコ軍機がシリア領空を侵犯したようだ。
この後、ロシア政府は迅速に動き、ミサイル巡洋艦のモスクワを海岸線の近くへ移動させ、何らかの敵対的な行動が予想された場合は攻撃すると警告しただけでなく、新たな軍艦を地中海へ増派、最新の防空システムS-400を配備、爆撃機を護衛するための戦闘機も増強、対戦車ミサイル対策もかね、最新のT-90戦車を送り込んだとも言われている。恐らく、こうした動きはNATOに対するメッセージも含まれているだろう。
ところで、ISが広く知られるようになったのは、2014年1月にファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言し、6月にモスルを制圧してからだろう。モスル制圧の際にはトヨタ製の真新しい小型トラック「ハイラックス」を連ねてパレードしているが、このパレードをアメリカ軍は攻撃しなかった。スパイ衛星、偵察機、通信傍受、地上の情報網などで動きはつかんでいたはずだが、反応しなかったのだ。なお、その小型トラックはアメリカ国務省がシリアの反政府勢力へ提供した43台の一部だという。
2011年3月にシリアで戦闘が始まったころから反シリア政府軍はトルコを拠点とし、アメリカ空軍インシルリク基地では、アメリカのCIAや特殊部隊、イギリスやフランスの特殊部隊から派遣された教官が戦闘員を訓練、シリアへ反政府軍の兵士として送り出してきた。
イスラエルでの報道によると、シリア国内にはイギリスとカタールの特殊部隊が潜入、ウィキリークスが公表した民間情報会社ストラトフォーの電子メールによると、アメリカ、イギリス、フランス、ヨルダン、トルコの特殊部隊が入っている可能性がある。すでにイギリスの特殊部隊SASの隊員120名以上がシリアへ入り、ISの服装を身につけ、彼らの旗を掲げて活動しているとも報道された。
戦闘を継続するためには兵站が重要だが、物資を運び込む主要ルートはトルコからシリアへ延びている。ドイツのメディアDWは昨年11月、トルコからシリアへ武器や戦闘員だけでなく、食糧や衣類などの物資がトラックで運び込まれている事実を報じた。その大半の行き先はISだと信じられている。
その輸送を守っているのはトルコ軍。シリア政府軍がISの兵站ラインを攻撃しようとした際、トルコ軍機に妨害されたとも伝えられている。例えば、昨年3月23日にトルコ軍のF-16戦闘機がシリア軍のミグ23を撃墜している。トルコ政府はシリア機の領空侵犯を主張していたが、シリア政府は反政府軍をシリア領空で爆撃中に撃墜されたとしていた。今回、同じことをロシア軍機に対しても行ったわけだ。
イランのテレビ局プレスTVの記者だったセレナ・シムもこうした人や物資の動きを調べていたひとりで、トルコからシリアへISの戦闘員を運び込むためにWFP(世界食糧計画)やNGO(非政府組織)のトラックが利用されている事実をつかみ、それを裏付ける映像を入手したと言われている。そのシムは昨年10月19日に「交通事故」で死亡した。その前日、MIT(トルコの情報機関)から彼女をスパイ扱いされ、脅されていたという。
遙か以前から指摘されていたアメリカ支配層やその仲間の犯罪的な行為をロシア軍の登場を切っ掛けにして語る人が増えてきた。ネオコンは相手を脅して屈服させ、思い通りに事を運ぶことしたできないようで、脅しが機能しなくなった現在、彼らに打つ手はあるのだろうか?
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