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IS壊滅で米仏は方針転換(C)AP
IS壊滅目指す米仏 「アサド政権打倒」棚上げで早くも大失態
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/169862
2015年11月19日 日刊ゲンダイ
この「テロとの戦い」は、そう簡単には終わらない。先頭を切ってイスラム国と戦ってきた米仏両国の支離滅裂ぶりを見ていると、そう思わざるを得ない。
フランスのオランド大統領は16日の上下両院合同議会演説で、近く米露両国の大統領と会談することを表明、連携強化を宣言した。「対テロ共同戦線」は当然に見えるが、実は米仏はシリアのアサド政権打倒でタッグを組み、同政権支援のロシアと対立してきた。それがロシアと握手しようというのは、米仏が誤りを認めざるを得なくなったからだ。オランドは表向き「眼前の敵はアサド政権ではなくISだ」とゴマカし、オバマ大統領も「攻撃対象をISに絞り込むことが重要だ」なんて言っていたが、これは「アサド政権打倒はあきらめる」という意味だ。軍事評論家の田岡俊次氏もこう言った。
「米仏が本気でIS全滅を目指すならば、アサド政権と和解し、シリア政府軍と一緒に戦うしかない。航空攻撃だけでは、全滅は困難です。米仏がアサド政権打倒を公言している限り、シリア政府は米軍、仏軍の地上部隊を受け入れられない。アサド政権と協力して、シリアの2大反政府勢力である『IS』と『ヌスラ戦線』を打倒し、内戦が終結すれば、難民の流出も止まる。国外に逃れた400万人のシリア難民、760万人の国内避難民も帰郷できる。一方、もし、アサド政権が倒れれば、次はISとヌスラ戦線の内戦が始まり、難民は帰れない。そもそも、米仏がアサド政権打倒を目指したことが、今日の事態の混乱を招いたのです」
■戦う前からズッコケた
とりわけ罪深いのが米オバマ政権で、2011年に始まったシリア騒乱の際、米はロシア、イランと友好関係にあるアサド政権打倒のチャンスとみて介入、「自由シリア軍」をつくった。しかし、当初のもくろみは外れて、アサド政権は倒れず、米国は「新シリア軍」をつくろうとしたが、これも失敗。内戦は4年間続いている。混乱に乗じて勢力を拡大したイスラム国は、米軍がイラクのフセイン政権の残党としてスンニ派を追放した結果、スンニ派の不満が高まり生まれたものだ。こんな米国と共同歩調を取ってきたのがフランスで、今更「アサド政権打倒は棚上げ」と言うのは滑稽だ。
「つまり、米国の情報はことごとく間違ってきたのです。米国はイラクに侵攻した時、イラク人は米軍を歓迎すると思っていた。米国は16の情報機関を持ち、15万人の要員を抱えていますが、全部の情報を上げるわけにもいかないので、国家安全保障会議の要求に応じて情報を出す。それでは、上層部の思い込みを補強する結果になりがちです。日本はこんな国と集団的自衛権を行使し、共闘しようというのですから、危ない話です」(田岡俊次氏=前出)
米仏は戦う前に面目丸潰れになったということだ。
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