【パリ時事】パリ中心部のバタクラン劇場と郊外の競技場付近などで13日夜(日本時間14日朝)、複数の銃撃や爆発などの同時テロがあり、フランスの捜 査当局筋は14日、AFP通信に対し、少なくとも120人が死亡、200人以上が負傷したと明らかにした。このうち、約80人が重傷という。数十人の人質 を取って犯人が立てこもった劇場には14日未明(日本時間同朝)、警官隊が突入。一連のテロ事件でイスラム過激派とみられる8人が死亡した。ただ、まだ複 数の容疑者が逃亡中の可能性がある。
オランド大統領は13日、国民に向けて演説し「前例のないテロ攻撃がパリで起きている」と表明。全土に非常事態を宣言し、容疑者の逃亡を許さないため国境の封鎖を命じた。オバマ米大統領も「全人類と普遍的価値への攻撃だ」と非難した。これまで犯行声明は出ていない。
在仏日本大使館は、14日午前0時(日本時間同8時)現在の情報として「銃撃に巻き込まれた邦人はいないもようだ」と述べた。
AFP通信によれば、複数の関係者が13日、競技場近くの爆発は自爆テロだと証言した。目撃者によると、劇場に対する襲撃は13日午後10時(日本時間 14日午前6時)ごろ発生し、占拠犯はアラビア語で「アラー・アクバル(神は偉大だ)」と叫んで乱射した。容疑者の1人が「オランド大統領のせいだ。シリ アに手を出すべきではなかった」とシリアへの軍事介入を非難していたという。
AFP通信はさらに、劇場で発砲があったほか、劇場付近のカンボジア・レストランも襲撃を受けたと報じた。また、競技場付近では複数回の爆発音が聞こえたという。治安機関筋は、テロ攻撃は市内計7カ所で発生したと述べた。劇場だけで100人が死亡したとみられている。
競技場ではフランス代表とドイツ代表のサッカーの試合が行われており、オランド大統領が観戦していた。オランド大統領は事件を受け、急きょ内務省に向かい、危機対策室で対応に着手。「犯人に情けは無用」と徹底捜査を指示した。
仏大統領府は14日、トルコで15日から開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議をオランド大統領は欠席すると明らかにした。イダルゴ・パリ市長は住民に対し、自宅から出ないよう要請した。
フランスでは1月、パリの風刺週刊紙シャルリエブド本社やパリ近郊のユダヤ教食料品店がイスラム過激派に襲撃され、17人が死亡した。さらにパリでは30 日から国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が開幕するため、仏当局が警戒態勢を強化していた矢先の事件となった。(2015/11 /14-13:24)