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記事入力 : 2015/11/12 10:11
【萬物相】古くさいスポーツ国家主義が生み出した「薬物ロボット」
かつて東ドイツの陸上競技選手として活躍していたハイジ・クリーガーは、1997年に性転換手術を受けて女性から男性になった。最近撮影された彼の写真を見ると、鼻の下にひげを生やしたその姿は完全に男性だった。名前もアンドレアスに変更した。その一方で多くの不都合な事実も明らかになった。彼は1986年、欧州陸上競技選手権で女子砲丸投げの金メダリストになった。東ドイツ代表として出場し、男子並みの素晴らしい記録で優勝したが、実は彼は16歳の時からコーチに手渡されたビタミン剤を服用し続けていた。すると記録は急速に向上したものの、一方で体は少しずつ男性のように変化していった。彼が服用していたのはビタミン剤ではなく男性ホルモン剤だったのだ。その後彼は22歳の若さで引退し、最終的に本当の男性となってしまった。
戦後の一時期、東ドイツは米国やソ連と並ぶ世界のスポーツ強国だった。しかし後から明らかになったことだが、東ドイツは1万人以上の選手に数々の薬物を服用させることで、スポーツ強国の地位を築き上げていたのだ。まさに文字通りの「薬物メダル」ばかりだった。かつての冷戦の時代、スポーツは国の体制の優劣を競うイデオロギー対決の場でもあった。とりわけ社会主義諸国は才能のある選手を幼い頃から発掘し、過酷なトレーニングをやらせて金メダルを獲得させる仕組みを築き上げていた。薬物によってパフォーマンスを向上させるドーピングは、社会主義諸国にとってはメダル獲得に非常に効果的だったが、一方であまりにも非人間的な手段だった。
世界反ドーピング機関(WADA)は一昨日、ロシアで組織的かつ非常に大規模な形でドーピングが行われていた事実を公表した。WADAは2012年のロンドン・オリンピック陸上競技の女子800メートルで優勝したサビノワ選手をはじめとして、ロシアの5人の陸上選手と5人のコーチに永久資格停止の処分を下すよう求めた。WADAはさらにロシアで国が関与したドーピングは陸上競技だけでなく、20以上の種目でも同じように行われていた可能性も同時に指摘。昨年のソチ冬季オリンピックについてもあらためて検討する必要性があるとも言及した。
韓国国内でも風邪薬、漢方薬、ダイエットサプリ、あるいは発毛剤の使用でアスリートがドーピングに引っ掛かったことがよくニュースになっている。韓国における検査のレベルは他国に比べて非常に高く、海外の他の国なら分からなかったかもしれないケースもあるという。ある医師は「たまに選手にとっては厳しすぎると感じることもあるが、ドーピングがもたらす悪影響はそれだけ深刻なため、検査も厳しくやらざるを得ない」と語る。
薬物使用を突き止める技術が非常に発達したことで、ドーピングは逆にあまりにもリスクが大きくなった。そのため国が介入して大規模なドーピングを行うのはある意味理解し難いことだ。ロシアはプーチン大統領が先頭に立ってオリンピックやワールドカップの誘致に力を入れてきた。海外の優秀な選手やコーチの国籍取得にも金を惜しまなかった。スポーツを通じて「ロシアの強さ」を証明したいという欲に駆られたのだ。まさに時代錯誤ともいえる今回のロシアのドーピングに関するニュースを聞いた時、記者は冷戦時代のあしき慣習を思い出した。ロンドン・オリンピックに出場した米国のある陸上選手は「(ロンドン・オリンピックでの)ロシア選手たちはロボットのようだった」と当時を振り返る。実際の競技を見詰めた世界の数十億人の人たちも、古くさいスポーツ国家主義が生み出した「薬物ロボット」の虚像に一喜一憂していたのだ。
スポーツ部=閔鶴洙(ミン・ハクス)次長・論説委員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/11/12/2015111201246.html
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